5年 算数 正多角形と円

正多角形と円 ── 3.14はどこから来た数字なのか

円周率は、覚える数字ではありません。自分で測って確かめられるのです。

正多角形とは

正多角形とは、辺の長さがすべて等しく、角の大きさもすべて等しい多角形です。

正三角形 … 3辺、3角がすべて等しい 正方形 … 4辺、4角がすべて等しい 正五角形 … 5辺、5角がすべて等しい 正六角形 … 6辺、6角がすべて等しい

2つの条件両方が必要です。

ひし形 … 辺は等しいが角がちがう → 正多角形ではない 長方形 … 角は等しいが辺がちがう → 正多角形ではない 正方形 … 辺も角も等しい → 正多角形

正多角形の1つの角の大きさは、計算で求められます。

正□角形の1つの角 = 内角の和 ÷ □ = 180 × (□-2) ÷ □ 正五角形: 540 ÷ 5 = 108° 正六角形: 720 ÷ 6 = 120° 正八角形: 1080 ÷ 8 = 135°

前の単元「図形の角」で学んだ公式が、そのまま使えます。

円を使って正多角形をかく

正多角形は、円を使うと正確にかけます

正六角形のかき方 ① 円をかく ② 中心のまわりを6等分する 360 ÷ 6 = 60°ずつ ③ 円周上の点を順に結ぶ

なぜこれで正多角形になるのでしょうか。中心からの距離(半径)がすべて等しいからです。

中心角を等しくすれば、できる三角形もすべて合同になり、辺も角も等しくなります。

とくに正六角形には、面白い性質があります。

正六角形の中心角は 360 ÷ 6 = 60° 中心と2つの頂点でできる三角形は ・2辺が半径(等しい) ・その間の角が60° → 正三角形になる! → 正六角形の1辺 = 円の半径

だから、コンパスだけで正六角形がかけます。円をかいて、その半径のままコンパスで円周を区切っていけば、ちょうど6等分できるのです。

円周率の発見

いよいよ、この単元の中心です。

いろいろな大きさの円で、円周と直径を測って、わってみましょう

円A: 直径 5cm、円周 15.7cm → 15.7 ÷ 5 = 3.14 円B: 直径 10cm、円周 31.4cm → 31.4 ÷ 10 = 3.14 円C: 直径 3cm、円周 9.42cm → 9.42 ÷ 3 = 3.14

どんな大きさの円でも、同じ値になります。これがおどろくべき事実です。

円周 ÷ 直径 = 3.14… この値を 円周率 という

大きな円でも小さな円でも、必ず同じ。円という形が持っている、変わらない性質なのです。

この関係から、公式が導かれます。

円周 = 直径 × 円周率 = 直径 × 3.14 = 半径 × 2 × 3.14

逆に、円周から直径を求めることもできます。

直径 = 円周 ÷ 3.14
自分で測ってみよう

円周率は、実際に測れば確かめられます
缶やコップの底を紙に写して直径を測り、まわりに糸を巻いて円周を測る。わり算をすると、3.1くらいの値が出るはずです。
測り方が粗いと3.0や3.2になりますが、それでいいのです。何度か測って平均すれば、3.14に近づきます。
「教科書に書いてあるから」ではなく、自分の手で確かめたという経験が大切です。

3.14の正体

円周率は、実は3.14ではありません

円周率 = 3.14159265358979… 小数点以下が終わらない くり返しもしない

永遠に続く数なので、正確に書き表すことはできません。だから、3.14で計算するという約束にしているのです。

この数は、古くから研究されてきました。

古代の円周率の値 約4000年前のバビロニア … 3.125 古代エジプト … 約3.16 アルキメデス(古代ギリシャ)… 3.14前後 → 正96角形を使って求めた 中国・日本の和算 … さらに精密に

アルキメデスの方法が面白いところです。

円に内接する正多角形と 円を囲む正多角形を考える 内側の正多角形の周 < 円周 < 外側の正多角形の周 角の数を増やしていくと だんだん円に近づく → 円周率をはさみうちにできる

正多角形を使って円に迫る。この単元で正多角形と円を一緒に学ぶ理由が、ここにあります。

現在ではコンピュータで100兆けた以上まで計算されていますが、実用には3.14で十分です。

円周率を使う計算

実際の問題を見てみましょう。

【基本】 直径8cmの円の円周は? → 8 × 3.14 = 25.12cm 半径5cmの円の円周は? → 5 × 2 × 3.14 = 31.4cm 【逆算】 円周が18.84cmの円の直径は? → 18.84 ÷ 3.14 = 6cm

半径から求めるときは、2倍するのを忘れないことが重要です。

少し複雑な問題も見ておきましょう。

半円のまわりの長さ ┌────────┐ │ / \ │ └────────┘ 直径10cm 曲線部分 = 10 × 3.14 ÷ 2 = 15.7cm 直線部分 = 10cm 合計 = 25.7cm

直線部分を忘れないのがポイントです。「まわりの長さ」なので、直径の部分も含みます。

計算の工夫も覚えておくと便利です。

3 × 3.14 + 5 × 3.14 = (3 + 5) × 3.14 ← 分配法則 = 8 × 3.14 = 25.12 3.14 のかけ算は1回で済む

3.14のかけ算は手間がかかるので、まとめてから1回だけかけると計算が楽になります。4年生で学んだ分配法則が役に立ちます。

身のまわりの円

円周の計算は、実生活でも使えます。

【自転車の走行距離】 タイヤの直径が66cmの自転車 タイヤが1回転すると → 66 × 3.14 = 約207cm = 約2m進む 100回転で約200m

自転車の走行距離を測る機械は、この計算をしています。タイヤの回転数から距離を出しているのです。

【木の太さを測る】 木の幹にまきじゃくを巻いたら 円周が157cm 直径 = 157 ÷ 3.14 = 50cm → 木を切らずに太さが分かる

直接測れないものも、円周から計算できます。地球の大きさも、この考え方を使って古代に測られました。

つまずきやすいところ

その1 半径と直径を取りちがえる

半径に3.14をかけてしまう。
円周=直径×3.14です。半径なら2倍してから使います。

その2 まわりの長さで直線を忘れる

半円のまわりで、曲線だけ計算する。
「まわりの長さ」は一周ぐるりです。直線部分も含めます。

その3 3.14の計算でミスする

筆算が複雑で間違える。
分配法則でまとめると、かけ算が1回で済みます。3.14×2=6.28、×3=9.42、×4=12.56 は覚えておくと速いです。

やってみよう

Q1 正多角形の条件を2つ言いましょう。

A 辺がすべて等しいことと角がすべて等しいこと。両方必要です。

Q2 円周率とは何ですか。

A 円周 ÷ 直径の値です。どんな大きさの円でも同じになります。

Q3 半径6cmの円の円周を求めましょう。

A 6×2×3.14=37.68cm。半径なので2倍を忘れずに。

Q4 缶やコップで、円周率を実際に測ってみましょう。

A 糸を巻いて円周を、定規で直径を測ってわります。3.1くらいになれば成功です。

まとめ

おうちの方へ

円周率は「覚える数字」だと思われがちですが、本来は発見される値です。実際に測って確かめる体験を、ぜひさせてあげてください。
缶詰、コップ、お皿、時計。丸いものなら何でも使えます。糸やメジャーで円周を測り、直径でわる。3.1前後の値が出れば大成功です。何個か測ると、どれも同じ値になることに驚くはずです。
この「どんな大きさでも同じ」という発見が、この単元の核心です。
3.14のかけ算は計算量が多く、ミスも起きやすくなります。分配法則でまとめる工夫を教えてあげると、負担が減ります。
自転車のタイヤの計算は、実感が持てる良い題材です。1回転で約2m進むという事実は、子どもにとって新鮮な発見になります。