この単元でつまずく子のほとんどは、立体の形が分からないのではありません。どの面が底面かを、置き方で決めてしまうのです。ここさえ直せば、見取図も展開図も一本の道でつながります。
まず、身のまわりから探してみましょう。三角のおにぎり、えんぴつ、羊かん、ジュースの缶、ラップの芯。これらには共通点があります。
上と下に、まったく同じ形の面が向かい合っていること。そして、その2つの面がまっすぐな柱でつながれていることです。
この向かい合った2つの面を底面、まわりを囲んでいる面を側面といいます。
底面が多角形であれば角柱、底面が円であれば円柱です。名前のちがいは、それだけです。
ピラミッドの形(角すい)やアイスのコーン(円すい)は、上にいくほど細くなり、輪切りの大きさが変わっていきます。だから「柱」の仲間には入りません。この区別は中学でも使い続けます。
ここがこの単元の核心です。
「底」という字のせいで、多くの子が机に接している面を底面だと思いこみます。ところが教科書の問題では、三角柱が横に寝かせて描かれていたり、円柱が転がした向きで出てきたりします。そのとたん、手が止まるのです。
ジュースの缶を横に倒しても、缶のふたと底が底面であることは変わりません。立体を回しても、底面は一緒に回るだけです。
だから、底面を探すときに「下」を見てはいけません。見るのは「同じ形が2つ、向かい合っているか」の一点だけです。
問題の図を指で押さえて、同じ形の面を2つ探して両手の指を置きます。その2枚が底面。残りが全部側面です。
もう一つの見分け方は「串をさすならどこか」。だんご串をまっすぐ通したとき、串が突きぬける2つの面が底面です。三角柱を寝かせてあっても、串は左右の三角形を貫きます。
そしてもう一つ。角柱の側面は、必ず長方形です(底面に対して柱がまっすぐ立っているとき)。だから「長方形かどうか」でも側面を見分けられます。円柱の側面は、平らではなく曲がった面で、しかもぐるりと一周でつながった1枚です。
角柱の名前は、底面の形だけで決まります。底面が三角形なら三角柱、五角形なら五角柱です。側面がいくつあっても、高さがどれだけあっても、名前には関係しません。
この表を丸暗記する必要はありません。数えるすじ道があります。
七角柱を聞かれても、面は7+2で9、頂点は7×2で14、辺は7×3で21とすぐ出せます。暗記ではなく、数え方を持っておくほうが強いのです。
なお、4年生で学んだ直方体と立方体も、四角柱の仲間です。底面が長方形(正方形)の四角柱、というだけのこと。新しい立体を覚えたのではなく、すでに知っていた立体に広い名前がついた、と考えてください。
見取図とは、立体の全体の感じが分かるようにかいた図のことです。うまくかこうとして絵の才能の問題だと思ってしまう子がいますが、守るのは2つだけです。
手順2の「同じ向き・同じ長さ」が命です。ここがばらばらだと、立体がゆがんで見えます。
そして見えない辺は点線。これは飾りではなく、「ここに辺がある」と伝える情報です。点線を省くと、立体の中身が読み取れなくなります。
円柱の見取図は、上下の円をつぶれた楕円でかき、左右を縦の直線で結びます。下の円の手前側は実線、奥側は点線になります。円をまん丸にかいてしまうと、上から見た絵になってしまい、立体に見えません。
展開図は、立体を切り開いて平らにした図です。ここで多くの子が驚くのは、角柱の側面がばらばらの長方形ではなく、つながった1枚の長方形になることです。
たての辺だけを切って、ぐるりと開くのですから当然なのですが、この「1枚になる」感覚が展開図の理解を一段上げてくれます。
大事なのはこの対応です。
「よこの長さ」を求めよと言われたら、それは底面のまわりの長さを聞かれているのです。ここを結びつけておくと、6年生で側面積や体積を扱うときに迷いません。
円柱でも、まったく同じことが起きます。
円柱の側面は曲がった面なのに、開くとただの長方形になります。缶づめのラベルをはがすと長方形の紙になるのは、このためです。ラベルをはがして確かめると、「よこ=まわりの長さ」が一瞬で腑に落ちます。
頭の中で組み立てようとすると混乱します。かわりに、数で確かめます。
・底面は2つあるか
・側面の長方形のよこは、底面のまわりの長さと同じか
・底面をつける位置は、長方形の上と下で、辺の長さが合っているか
この3つが合っていれば、その展開図は組み立てられます。
横倒しの三角柱を見て、机に接した長方形を底面だと答えてしまう。
底面は向かい合う合同な2面。串をさすならどこか、で探します。
よこに高さを書きこんでしまう。
たてが高さ、よこがまわりの長さ。開いた紙で1回確かめれば、間違えにくくなります。
よこの長さに直径や半径をそのまま書いてしまう。
よこは円のまわりの長さなので、直径×3.14が必要です。
見える辺だけかいて、平面の絵になってしまう。
見えない辺は点線まで含めて図が完成します。
Q1 六角柱の面・辺・頂点の数はいくつですか。
A 面は6+2で8、辺は6×3で18、頂点は6×2で12です。
Q2 三角柱を横に寝かせました。底面はどれですか。
A 左右の端にある2つの三角形。机に接している長方形は側面です。
Q3 底面が1辺4cmの正方形、高さ7cmの四角柱。展開図の側面の長方形のたてとよこは。
A たて7cm、よこは4×4で16cmです。
Q4 底面の直径6cm、高さ10cmの円柱。側面の長方形のよこは何cmですか。
A 6×3.14=18.84cm。直径6cmをそのまま書かないよう注意します。
Q5 アイスのコーンは角柱や円柱の仲間ですか。
A 仲間ではありません。輪切りの大きさが場所によって変わり、向かい合う合同な2面がないからです。
この単元は、道具があるほど早く終わります。用意するのは、空き箱・缶づめ・ラップの芯。それだけです。
まず、缶を横に倒して「底面はどこ?」と聞いてみてください。下の面を指したら、そこが今つまずいている場所です。ゆっくり立て直して、「回しただけで、面は変わっていないね」と確かめれば十分です。
次に、缶づめのラベルをはがして広げてみてください。曲がっていた側面が長方形になり、その長い辺が缶のまわりとぴったり同じであることが、手で分かります。展開図の問題を10問解くより、この1回のほうが残ります。
見取図がうまくかけないことを気にする必要はありません。この単元で問われているのは絵の上手さではなく、平行を守ることと、見えない辺を点線で示すことだけです。