五角形に対角線を1本ずつ線で引いてかぞえると5本になりますが、式で求めようとすると答えが合わない子がよく出ます。原因はたいてい1つ、全部の頂点から出た対角線を集めると、同じ対角線を両はしから2回数えてしまっていることです。この「2回かぶる」をおさえれば、六角形でも十角形でも、1本も線を引かずに本数が分かります。
多角形の頂点どうしを結ぶ線には、2しゅるいあります。となりあう頂点を結ぶ線は「辺」、となりあわない頂点を結ぶ線が「対角線」です。四角形ABCDなら、AとBはとなりあっているので辺、AとCはとなりあっていないので対角線になります。
三角形には対角線が1本も引けません。三角形はどの頂点も、残りの2つの頂点とすべてとなりあっているからです。対角線が初めて現れるのは四角形からで、四角形ABCDには対角線がAC・BDの2本あります。
n角形の1つの頂点から対角線を何本引けるか考えます。ある頂点から線を引ける相手は、自分自身を除いた残りの頂点ですが、その中で両どなりの2つの頂点は「辺」でつながる相手なので対角線にはなりません。
つまり、結べない頂点は「自分自身」1つと「両どなり」2つを合わせて3つ。頂点の総数がn個なら、1つの頂点から出る対角線の本数はn-3本になります。
五角形なら5-3=2本、八角形なら8-3=5本です。頂点の数が1つ増えるたびに、となりあわない頂点も1つ増えるので、1つの頂点から出る対角線も1本ずつ増えていきます。
「1つの頂点から(n-3)本」が分かったので、これを頂点の数n個分かければ、全部の対角線の本数が出せそうに思えます。しかし、n×(n-3)をそのまま答えにすると、本当の本数の2倍になってしまいます。
理由は、対角線ACを考えると、頂点Aから見たときの対角線「A→C」と頂点Cから見たときの対角線「C→A」は、同じ1本の対角線なのに、全部の頂点でかぞえる作業の中では2回数えられているからです。だから、n×(n-3)を求めたあとに2でわる必要があります。
六角形で確かめます。頂点は6個、1つの頂点から出る対角線は3本でした。
式だけで覚えると不安なので、実際に頂点から線を1本ずつ引いて確かめます。五角形ABCDEの対角線は、AC・AD・BD・BE・CEの5本です。式でも5×(5-3)÷2=5×2÷2=5となり、一致します。
六角形ABCDEFでも同じように数えると、AC・AD・AE・BD・BE・BF・CE・CF・DFの9本になります。式の9と、実際に数えた9本が合うことを確認してから、次の多角形は式だけで求めても安心して使えます。
| 多角形 | 頂点の数 | 1つの頂点から出る本数 | 対角線の本数 |
|---|---|---|---|
| 三角形 | 3 | 0 | 0 |
| 四角形 | 4 | 1 | 2 |
| 五角形 | 5 | 2 | 5 |
| 六角形 | 6 | 3 | 9 |
| 七角形 | 7 | 4 | 14 |
| 八角形 | 8 | 5 | 20 |
表を見ると、頂点が1つ増えるごとに対角線の本数の増え方も大きくなっていくことが分かります。七角形で14本、八角形で20本と、頂点の数のわりに対角線はどんどん多くなります。
多角形の角の和を求める単元で、1つの頂点からすべての対角線を引いて三角形に分ける方法を習いました。このとき、多角形がいくつの三角形に分かれるかはn-2個でした(六角形なら6-2=4個の三角形)。
この「n-2個」は、対角線の本数(n(n-3)÷2本)とも、1つの頂点から出る対角線の本数(n-3本)とも、どれも別の数です。六角形で3つを並べると、1つの頂点から出る対角線は3本、三角形に分けた数は4個、対角線の総本数は9本と、3つとも違う数になります。どの質問に答えているのかを、式を書く前に区別することが大切です。
1つの頂点から出る対角線の本数 … n-3
1つの頂点から全対角線を引いたときにできる三角形の数 … n-2
多角形全体の対角線の本数 … n(n-3)÷2
n×(n-3)で出た数を、そのまま対角線の本数として答えてしまう。
六角形なら18のまま答えてしまうが、正しい本数は18÷2=9本。「2回ずつかぶっている」ことを思い出し、必ず2でわります。
1つの頂点から出る本数を求めるとき、両どなりの2つだけを引いて自分自身を引き忘れる(-2)、またはどちらか一方しか引かない(-1)まちがいが出ます。
結べない頂点は「自分自身1つ」+「両どなり2つ」で合計3つ。必ず-3になります。
四角形の「対角線は何本?」と聞かれて、辺の数と同じ4本と答えてしまう。
四角形の辺は4本、対角線は2本とまったく別の数です。辺は図形の外側を1周する線、対角線は内側を結ぶ線だと図でも確認します。
「六角形の対角線は何本?」と聞かれて、1つの頂点から出る本数の3本をそのまま答えてしまう。
3本は1つの頂点だけから見た本数で、多角形全体の対角線の本数は9本です。「どの頂点から」なのか「全部で」なのかを、問題文で確認します。
Q1 五角形の対角線は何本ですか。
A 5×(5-3)÷2=5×2÷2=5本です。
Q2 七角形の対角線は何本ですか。
A 7×(7-3)÷2=7×4÷2=14本です。
Q3 八角形の、ある1つの頂点だけに注目すると、その頂点から出る対角線は何本ですか。
A 8-3=5本です(全部の対角線の本数20本ではないので注意)。
Q4 十角形の対角線は何本ですか。
A 10×(10-3)÷2=10×7÷2=35本です。
Q5 四角形の辺の数と対角線の数を、それぞれ答えなさい。
A 辺は4本、対角線は2本です。
この単元は公式だけを覚えると「n-3」「÷2」のどちらかを忘れやすいので、まずは五角形か六角形を実際に紙に描いて対角線を1本ずつ数える作業から始めるのがおすすめです。手で数えた本数と、式で求めた本数が同じになることを確認できれば、式の意味が「結べない頂点が3つあること」と「両はしから2回数えていること」の2点に由来していると実感できます。
多角形の角の和を求める単元で習った「1つの頂点から対角線を引いて三角形に分ける」話と混同しやすいので、「三角形の数(n-2)」と「対角線の総本数(n(n-3)÷2)」は別の問いに対する別の答えだということも、表で並べて見せてあげると区別しやすくなります。