「同じ長さに切る」だけなら、方法はいくらでもあります。けれど「あまりを出さず、しかもできるだけ大きく分ける」には、使う数がひとつに決まります。その数を見つける道具が最大公約数です。
工作の時間に、2本のリボンを配られました。
1本の長さをどう決めればいいでしょうか。たとえば10cmで切れば、赤は9本、青は6本とれて、あまりは出ません。でも10cmはずいぶん短く、本数が多くなって扱いにくくなります。あまりを出さないまま、できるだけ長く切るには何cmにすればいいかを考えます。
両方をあまりなく割れる数が「公約数」です。その中でいちばん大きい30が最大公約数。90÷30=3本、60÷30=2本と、どちらもぴったり割れます。これより長い数では、どちらかに必ずあまりが出てしまいます。
「偶数と奇数・倍数と約数」で習った連除法を使えば、約数をすべて書き出さなくても同じ答えが求められます。
左に並んだ数を、すべてかけ合わせると最大公約数になります。もう共通の約数が見つからなくなるところ(ここでは3と2)まで続けるのがポイントです。書き出して見つけた30と、連除法で求めた30が、きちんと一致しました。
最大公約数は、図形を分けるときにも使えます。たて18cm、よこ24cmの板を、同じ大きさの正方形だけで、あまりも重なりもなくぴったり埋めたいとしましょう。正方形はできるだけ大きくしたいところです。
1辺6cmの正方形なら、たてに18÷6=3まい、よこに24÷6=4まい、ちょうど3×4=12まいでぴったり埋めつくせます。
もし7cmの正方形を使おうとすると、18÷7も24÷7もあまりが出て、ぴったり埋まりません。最大公約数より大きい数では、必ずどこかであまりが出るのです。
反対に、3cmの正方形ならどうでしょうか。18÷3=6、24÷3=8で、たしかにあまりは出ません。ただし、まい数はたて6段・よこ8列の合計48まいになり、6cmで埋めたときの12まいより、ずっと多く必要になります。あまりが出ないだけでは「もっとも良い分け方」にはならないことが、ここからも分かります。大きさと枚数は反対の関係にあり、できるだけ大きく、しかもあまりを出さないという条件を同時に満たす1辺が、最大公約数の6cmなのです。
今度は人数の場面です。1組24人、2組18人、3組30人の子どもたちを、クラスの区別なく、あまりが出ないように同じ人数の班に分けたいとします。1班の人数は、できるだけ多くしたいところです。
1組は24÷6=4班、2組は18÷6=3班、3組は30÷6=5班に分けられます。クラスをまたいで班を作っても、人数にあまりは出ません。3つ以上の数の最大公約数も、2つずつ順番に求めていけば答えが出ます。最小公倍数のときと、同じやり方です。
その1 最大公約数の代わりに最小公倍数を使ってしまう。
90と60なら最小公倍数は180です。180cmで切ろうとしても、90cmのリボンからは1本も切れません。あまりなく分ける話では、公約数(わりきれる数)を使うのが鉄則です。
その2 最大ではない、小さい公約数で満足してしまう。
90と60を5cmで切れば、あまりは出ません。でも5cmはずいぶん短く、本数ばかり増えて使いにくくなります。問題が「できるだけ大きく」を求めているときは、公約数の中でもいちばん大きい1つを選ぶ必要があります。
その3 3つの数の最大公約数を、一度にまとめて計算しようとする。
24×18×30のようにまとめてかけ算すると、答えが大きすぎになってしまいます。2つずつ、順番に最大公約数を求めていくのが確実です。
その4 公約数と最大公約数を区別せず使ってしまう。
90と60の公約数は30だけではありません。1, 2, 3, 5, 6, 10, 15, 30の全部が公約数です。その中でいちばん大きい1つだけを最大公約数と呼びます。
Q1 90cmと60cmのリボンを、あまりなく、できるだけ長く切るには何cmにすればいいか。
A 30cmです(90と60の最大公約数)。赤は3本、青は2本に切れます。
Q2 たて18cm、よこ24cmの板を、あまりなく正方形で埋めるとき、正方形の1辺は最大で何cmか。
A 6cmです(18と24の最大公約数)。たて3段・よこ4列、合計12まいで埋まります。
Q3 公約数と最大公約数のちがいは何か。
A 公約数は両方をわりきれる数の全部、最大公約数はその中でいちばん大きい1つです。
Q4 24人・18人・30人を、あまりが出ないように同じ人数の班に分けるとき、1班は最大で何人か。
A 6人です。2つずつ最大公約数を求めます(24と18→6、6と30→6)。
Q5 最大公約数の代わりに最小公倍数を使うと、何が起きるか。
A 数が大きくなりすぎます。90と60の最小公倍数は180で、もとのリボンより長くなってしまい、現実には使えません。
最大公約数も、教科書の中では「分数の約分」の場面でしか見かけませんが、実際にはあまりを出さずに、できるだけ大きく分けるという場面で広く使われています。リボンや布を無駄なく切る、タイルやブロックで面を埋める、人数をあまりなく班分けする、といった場面に気づけると、計算の意味が実感できます。
連除法は最小公倍数とまったく同じ手順で求められるため、「今、公約数と公倍数のどちらを求めているのか」を混同しやすいところです。「わりきれる数(公約数)」か「そろう数(公倍数)」かを、場面ごとに確認する習慣をつけてあげてください。
お時間があれば、お家にある紙や布の大きさを2つ測って、実際に最大公約数の大きさで分けられるか試してみるのもおすすめです。