5年 算数 偶数と奇数・倍数と約数

最大公約数か、最小公倍数か ── 同じ2つの数でも、聞かれ方で答えが変わる

5年生の「偶数と奇数・倍数と約数」で習った最大公約数と最小公倍数は、どちらも同じ2つの数から計算できますが、答えはまったく違う数になります。たとえば「10と15」という同じ2つの数でも、「あまりなく同じ大きさに切り分けたい」という問題なら答えは5、「次に同時にそろうのはいつ?」という問題なら答えは30です。どちらを使うべきかを、文章の言葉の手がかりと、出てきた答えの大きさの2つから見分ける方法を整理します。

同じ「10と15」なのに、答えが5にも30にもなる

次の2つの問題を読んでみましょう。どちらも「10」と「15」という同じ2つの数字しか出てきませんが、求める答えはまったく違います。

問題A たて10cm、よこ15cmの色紙を、あまりも重なりもなく、同じ大きさの正方形だけで切り分けたい。正方形をできるだけ大きくするには、一辺を何cmにすればよいですか。 問題B ゆうえんちで、観覧車は10分おき、ジェットコースターは15分おきに、同じ場所から動き始めます。午前10時に2つが同時に動き始めたあと、次に2つが同時に動き始めるのは何分後ですか。

問題Aは、10も15もあまりなく割れる数、つまり10と15の最大公約数を求める問題です。5で割ると10÷5=2、15÷5=3となり、どちらもあまりが出ません。6で割ると10÷6はあまりが出てしまうので、5より大きい数では成り立ちません。答えは5cmです。

問題Bは、10分おきのくり返しと15分おきのくり返しが、次に同じ瞬間に重なるタイミング、つまり10と15の最小公倍数を求める問題です。10分おきの時刻は10・20・30・40…、15分おきの時刻は15・30・45…で、最初に重なるのは30分後です。答えは30分後です。

同じ2つの数「10」「15」から、問題Aでは5、問題Bでは30という、大きさも意味もまったく違う答えが出てきます。この2つを取りちがえないための手がかりを、ここから整理します。

言葉の手がかりで見分ける

文章題の中には、どちらを使うべきかを教えてくれる言葉がかくれています。

よく出る言葉していること使う道具
「あまりなく分ける」「同じ大きさに切る」「ぴったり詰める」「いちばん大きく(多く)」大きいものを、同じ小さい単位にきっちり分ける最大公約数
「同時に」「そろう」「次に重なるのは」「くり返す」「両方とも」くり返し起きることが、次に重なるタイミングをさがす最小公倍数

問題Aには「あまりも重なりもなく」「できるだけ大きく」という最大公約数の言葉が、問題Bには「同時に」「次に」という最小公倍数の言葉が、それぞれ入っています。文章題を読むときは、数字を見る前にまずこの種類の言葉を探すのが近道です。

答えの大きさで検算する

言葉だけで迷ったときは、出てきた答えの大きさを見るのも有効な検算です。最大公約数は、もとの2つの数を分けるための数なので、もとの数より大きくなることは絶対にありません。10と15の最大公約数なら、答えは必ず10以下です。反対に、最小公倍数は、もとの2つの数がどちらも何回かくり返して重なる数なので、もとの数より小さくなることは絶対にありません。10と15の最小公倍数なら、答えは必ず15以上です。

最大公約数(10, 15) = 5 → 小さいほうの数(10)以下 ○ 最小公倍数(10, 15) = 30 → 大きいほうの数(15)以上 ○

もし最大公約数の問題を解いて30のような大きな答えが出たら、最小公倍数と取りちがえている可能性が高いです。もし最小公倍数の問題を解いて5のような小さな答えが出たら、最大公約数と取りちがえている可能性が高いです。計算をやり直す前に、まず答えがもとの数より大きいか小さいかを確認する習慣をつけると、取りちがえにすぐ気づけます。

入れかえてみると、何がおかしくなるか

取りちがえた答えを、もとの場面にもどしてみると、おかしさがはっきり分かります。

問題Aで、もし最小公倍数の30を一辺の長さだと思ってしまうと、30cmの正方形になります。しかし色紙はたて10cm、よこ15cmしかないので、30cmの正方形はそもそも紙に収まりません。切り分ける一辺が、もとの紙より大きくなることはあり得ないのです。

問題Bで、もし最大公約数の5を同時に動き始めるまでの時間だと思ってしまうと、5分後に2つがそろうことになります。しかしジェットコースターは15分おきにしか同じ場所から動き始めないので、動き始めてからまだ1周もしていない5分後に、観覧車とそろうことはあり得ません。くり返しの周期そのものより短い時間で、2つがそろうことはないのです。

このように、答えを場面に戻してみて意味が通るかどうかを確かめることも、取りちがえを見つける手がかりになります。

連除法は同じ道具、かけ合わせる場所がちがう

「偶数と奇数・倍数と約数」で習った連除法を使うと、10と15の最大公約数と最小公倍数を、1回の計算で両方求められます。

5 ) 10 15    2  3 最大公約数 = 5 最小公倍数 = 5 × 2 × 3 = 30

左に書いた割った数(5)が、そのまま最大公約数になります。最小公倍数は、割った数(5)に、下に残った2つの数(2と3)をすべてかけ合わせます。同じ1つの連除法の図から、見る場所を変えるだけで、2つの違う答えが出てくるのです。計算の道具は同じでも、「割った数だけを見るか」「割った数と残った数を全部見るか」で、求めているものが変わります。

つまずきやすいところ

その1 言葉を読まずに、数字だけで判断してしまう

「2つの数が出てきたから、とりあえず連除法で割ってみよう」と、文章の意味を読まずに計算を始めてしまう間違いがあります。連除法そのものはどちらの計算にも使える共通の道具なので、何を求めればよいかは、文章の言葉からしか分かりません。計算を始める前に、「分ける話か、そろう話か」を文章から読み取ることが先です。

その2 答えが明らかにおかしいのに、見直さず進んでしまう

最大公約数を求める問題で、もとの数より大きい答えが出たり、最小公倍数を求める問題で、もとの数より小さい答えが出たりしても、そのまま次の問題に進んでしまう間違いがあります。最大公約数はもとの数以下、最小公倍数はもとの数以上という大きさの関係は、答えを出すたびに確認できる簡単な検算です。

その3 数が3つに増えると、途中で計算のしかたを混ぜてしまう

3つの数の最小公倍数を求めるとき、1つめと2つめの最小公倍数まで正しく求めたのに、その続きで最大公約数の計算に切りかわってしまう間違いがあります。3つ以上の数でも、最後まで同じ1種類の計算(最大公約数なら最大公約数、最小公倍数なら最小公倍数)を続けるという点は変わりません。途中で答えの意味が変わっていないかを、計算の合間に確認すると気づきやすくなります。

やってみよう

Q1 たて8cm、よこ12cmの板を、あまりなく同じ大きさの正方形でぴったり埋めたい。正方形をいちばん大きくするには、一辺は何cmですか。

A 「あまりなく」「いちばん大きく」という言葉から最大公約数の問題です。8と12の最大公約数は4cm(8÷4=2、12÷4=3、どちらもあまりなし)。

Q2 あるランプは6秒おきに、別のランプは8秒おきに光ります。2つが同時に光ったあと、次に同時に光るのは何秒後ですか。

A 「同時に」「次に」という言葉から最小公倍数の問題です。6と8の最小公倍数は24秒後(6の倍数:6・12・18・24…、8の倍数:8・16・24…、最初に重なるのが24)。

Q3 赤色のテープは9m、青色のテープは12mです。どちらのテープも、あまりが出ないように同じ長さに切り分けたい。いちばん長く切るには、1本を何mにすればよいですか。どちらの道具を使うか、言葉の手がかりもあげて答えなさい。

A 「あまりが出ないように」「いちばん長く」が手がかりで、最大公約数を使います。9と12の最大公約数は3m(9÷3=3本、12÷3=4本)。

Q4 ある電車は9分おき、別の電車は12分おきに発車します。同時に発車したあと、次に同時に発車するのは何分後ですか。

A 「同時に」「次に」が手がかりで、最小公倍数を使います。9と12の最小公倍数は36分後。

Q5 ある子が「6と8の最大公約数は24です」と答えました。この答えがおかしいことを、計算をやり直さずに説明しなさい。

A 最大公約数は、もとの2つの数のうち小さいほうの数(6)以下になるはずです。24は6より大きいので、この時点で明らかにおかしいと分かります(実際には24は6と8の最小公倍数で、6と8の最大公約数は2です)。

Q1・Q3は最大公約数(「あまりなく分ける」「いちばん大きく(長く)」の言葉)、Q2・Q4は最小公倍数(「同時に」「次に」の言葉)、Q5は計算をやり直さずに答えの大きさだけで気づく検算の練習です。

まとめ

おうちの方へ

最大公約数と最小公倍数は、どちらも連除法という同じ計算手順を使うため、「割る」という操作だけを覚えてしまい、何を求めているのかがあいまいになりやすい単元です。お子さんが文章題を解いているとき、「この答えは、もとの数より大きいはず?小さいはず?」と1つだけ聞いてみると、取りちがえに自分で気づけることがあります。
生活の中にも両方の場面があります。「おかしを同じ数ずつ、あまりなく分けるには何人組がいいかな(最大公約数)」「お父さんの休みは3日おき、お母さんの休みは4日おき、2人そろって休めるのは何日おきかな(最小公倍数)」のように、実際の場面と結びつけると、どちらを使うべきかの感覚がつかみやすくなります。