5年 算数 小数のわり算

小数のわり算 ── わったのに大きくなる理由

1より小さい数でわると、答えは元より大きくなります。ここが最大の関門です。

わったのに増える

かけ算の逆が起こります。

6 ÷ 0.5 = 12 わったのに、6より大きくなった!

信じられないかもしれませんが、正しい答えです。意味を考えてみましょう。

「6を0.5ずつに分けると、何個できる?」 6 の中に 0.5 は… 1の中に2個 6の中には 2 × 6 = 12個 → 12 で正しい

わり算には、2つの意味があります。

意味言い方
等分除何人かで等しく分ける12個を3人で分けると1人4個
包含除いくつ分あるか数える12個を3個ずつ分けると4組

小数でわるときは、後者(いくつ分あるか)で考えると分かりやすくなります。「0.5人で分ける」は意味不明ですが、「0.5ずつ何個分か」なら考えられます。

わる数と答えの関係 わる数が1より大きい → 答えは小さくなる 6 ÷ 2 = 3 わる数が1 → 変わらない 6 ÷ 1 = 6 わる数が1より小さい → 答えは大きくなる 6 ÷ 0.5 = 12 6 ÷ 0.1 = 60

かけ算と同じく、1が境目です。

わる数を整数にする

計算のしかたは、実はとても単純です。

わる数を整数に直せばよい

使うのは、4年生で学んだわり算の性質です。

わられる数とわる数に 同じ数をかけても、商は変わらない 7.2 ÷ 2.4 → 両方10倍 → 72 ÷ 24 = 3

小数÷小数を、整数÷整数に変えてしまうのです。

筆算では、こう書きます。

3 ┌──────── 2.4│7.2 └──────── ↑ ↑ 両方の小数点を 同じだけ右へ動かす 3 ┌──────── 24│72

ポイントは「わる数を整数にするのに必要なだけ動かす」ことです。

動かすけた数直した式
7.2 ÷ 2.41けた72 ÷ 24
4.68 ÷ 1.21けた46.8 ÷ 12
3 ÷ 0.252けた300 ÷ 25
0.9 ÷ 0.032けた90 ÷ 3

わられる数のけたが足りないときは、0を補います。3 ÷ 0.25 なら、3を3.00とみて300にします。

そして、商の小数点は、動かした後の位置に合わせて打ちます。

あまりの落とし穴

この単元でいちばん間違えやすいのが、あまりの小数点です。

7.6 ÷ 2.3 の商を一の位まで求め、 あまりも出しましょう 3 ┌──────── 2.3│7.6 → 23│76 69 ──── 7 商 = 3 あまり = 7 ? ← まちがい! あまり = 0.7 ← 正しい

なぜでしょうか。あまりは、元の数の大きさで考えるからです。

小数点を動かしたのは計算の都合。 あまりは元にもどす必要がある。 確かめ算: 2.3 × 3 + 0.7 = 7.6 ✓ 2.3 × 3 + 7 = 13.9 ✗

検算すれば、すぐ分かります。「わる数 × 商 + あまり = わられる数」が成り立たなければ、あまりが間違っています。

あまりの小数点は「元の位置」

筆算では、動かす前のわられる数の小数点の真下に、あまりの小数点があります。
商の小数点は動かした後の位置、あまりの小数点は動かす前の位置。2つは別です。
混乱しやすいので、筆算のときに元の小数点を薄く残しておくとよいでしょう。
そして必ず検算します。あまりがわる数より大きくなっていたら、それも間違いのサインです。

わりきれないとき

小数のわり算では、わりきれない場合がよくあります。3通りの対応があります。

① わり進む

3 ÷ 8 = 0.375 3を3.000とみて、 わりきれるまで計算する

0を補えば、いくらでも計算を続けられます。

② 四捨五入する

10 ÷ 3 = 3.333… 「小数第二位を四捨五入」 → 3.33 「上から2けたのがい数」 → 3.3

問題文の指定をよく読みます。どの位で四捨五入するかで答えが変わります。

注意点は、指定より1つ下の位まで計算することです。小数第二位までなら、第三位まで計算してから四捨五入します。

③ あまりを出す

「一の位まで求めて、あまりも」 → 商 3、あまり 1

どこまで求めるか、問題文で指定されます。

そして、場面によって選び方がちがうことも大切です。

「35Lを1.5Lずつ入れると何本できる?」 → 35 ÷ 1.5 = 23.33… → 答えは 23本(あまりは入れられない) 「35mのロープを1.5mずつ切ると 1本あたり何m必要?」 → 四捨五入や分数で表す

「何本できるか」なら、小数の答えは意味を持ちません。切り捨てて整数にします。答えを出したら、場面に合っているか確かめる習慣が大切です。

見当をつけて確かめる

小数のわり算も、答えの見当をつけられます。

8.4 ÷ 0.7 = ? 0.7 は1より小さい → 答えは8.4より大きいはず 約8 ÷ 約0.7 は… 8 ÷ 1 = 8 より大きい → 10くらい? (正しくは 12)

もし答えが「1.2」や「0.12」になったら、明らかにおかしいと気づけます。

そして、かけ算で検算するのも確実です。

8.4 ÷ 0.7 = 12 検算: 0.7 × 12 = 8.4 ✓

小数の計算はミスしやすいので、検算の価値が特に高い単元です。

かけ算とわり算を見分ける

文章題では、かけ算かわり算かの判断がいちばん難しいところです。

【問題A】 1mが 240円のリボン。 2.5m 買うといくら? 【問題B】 2.5m で 600円のリボン。 1mあたりいくら? どちらがかけ算?

整数に置きかえて考えます。

A:1mが240円で「3m」買うと? → 240 × 3 → だから 240 × 2.5 = 600円 B:「3m」で600円なら1mは? → 600 ÷ 3 → だから 600 ÷ 2.5 = 240円

1つ分が分かっていて全体を求めるならかけ算。全体が分かっていて1つ分を求めるならわり算です。

小数だと迷いますが、整数に置きかえれば構造は同じです。

そして、答えが出たら大きさで確かめます

Aの答えが 96円 だったら? → 1mで240円なのに、 2.5m買って安くなるのはおかしい → 計算ミス Bの答えが 1500円 だったら? → 2.5mで600円なのに、 1mが600円より高いのはおかしい → 計算ミス

式・計算・確認の3段階。どれか一つでも欠けると、間違いに気づけません。

つまずきやすいところ

その1 わったら減ると思いこむ

6÷0.5=12に納得できない。
「6の中に0.5がいくつあるか」と考えます。いくつ分あるかの意味で捉えると自然です。

その2 あまりの小数点をまちがえる

0.7のところを7にしてしまう。
あまりは元の数の大きさです。動かす前の小数点の位置に合わせます。検算で確かめましょう。

その3 四捨五入する位をまちがえる

指定と1つずれた位で処理する。
「小数第二位まで」なら第三位を四捨五入します。問題文を線を引いて確認します。

やってみよう

Q1 わる数が1より小さいとき、答えはどうなりますか。

A 元の数より大きくなります。かけ算と同じく1が境目です。

Q2 小数でわる計算のやり方を一言で言うと?

A わる数を整数に直す。わられる数も同じだけ動かします。

Q3 あまりの小数点は、どこに打ちますか。

A 動かす前のわられる数の小数点の位置に合わせます。検算で確認しましょう。

Q4 「20Lを1.5Lずつ入れると何本?」の答えは?

A 20÷1.5=13.33…ですが、本数なので13本。場面に合わせて考えます。

まとめ

おうちの方へ

小数のわり算は、小学校算数で最も難しい計算の一つです。「わったのに大きくなる」という結果への抵抗感に加え、あまりの小数点という技術的な落とし穴もあります。
まず、意味の理解を優先してください。「6の中に0.5がいくつ入るか」と考えれば、12という答えは自然です。数直線に0.5ずつ印をつけて数えてみると、目で確かめられます。
あまりの小数点は、検算で気づかせるのが最良です。「わる数×商+あまり」が元の数にもどるか。合わなければ間違いだと自分で分かります。
そして、答えの妥当性を場面で確かめる習慣も大切です。「13.33本のジュース」はあり得ません。計算して終わりではなく、意味を考える。この姿勢が、割合や速さの単元でも生きてきます。