「同じ形」を、算数の言葉で正確に定義します。そして三角形は3つの条件で決まるという発見へ。
2つの図形がぴったり重なるとき、その2つは「合同である」といいます。
ここで大事なのは、どう動かしてもよいということです。
向きがちがっていても、裏返してあっても、重なれば合同です。
紙に描いた図形なら、切り取って重ねてみれば分かります。回してもよいし、裏返してもよい。
逆に、大きさがちがえば合同ではありません。同じ形でも、拡大や縮小したものは合同ではないのです。
合同な図形を重ねたとき、ぴったり重なり合う部分どうしを「対応する」といいます。
そして、対応する辺の長さは等しく、対応する角の大きさも等しいのです。これは合同の定義から当然のことです。
ここで注意点があります。合同な図形を表すとき、対応する順に頂点を書くという約束があります。
並べ方に意味があるので、いいかげんに書いてはいけません。この約束は、中学の証明問題でも使い続けます。
問題の図が回転していたり裏返っていたりすると、対応が分かりにくくなります。
そんなときは、いちばん長い辺・いちばん大きい角を手がかりにします。
合同なら、いちばん長い辺どうしが対応するはずです。
また、印がついた辺(同じ数の斜線など)も手がかりになります。同じ印の辺どうしが対応します。
ここからが、この単元の核心です。
三角形には、辺が3本、角が3つ、全部で6つの要素があります。合同な三角形をかくには、6つ全部を測る必要があるのでしょうか。
実は、3つだけで足りるのです。しかも、決まった組み合わせがあります。
この3パターンのどれかが分かれば、三角形はただ一つに決まります。
実際に作図してみましょう。
どの方法でも、誰がかいても同じ三角形になります。それが「決まる」ということです。
では、他の組み合わせではダメなのでしょうか。試してみましょう。
角だけでは大きさが決まりません。少なくとも1つは長さの情報が必要です。
これは6年生で学ぶ拡大図・縮図の関係です。角が同じで大きさがちがう図形は、合同ではなく「相似」になります。
「その間の角」でなければならない理由が、ここにあります。
まとめると、3つの条件のうち少なくとも1つは辺で、しかも位置関係が指定されている必要があるのです。
この「三角形の決定条件」は、中学校では三角形の合同条件として、証明問題の中心になります。5年生でしっかり体験しておくと、中学がずっと楽になります。
三角形が3つの条件で決まるなら、四角形はどうでしょうか。
四角形には、辺4本・角4つで8つの要素があります。しかし、辺の長さを4つ決めても、四角形は決まりません。
四角形は形が変わってしまうのです。これは4年生で学んだ「平行四辺形は形を変えられる」という性質と同じ話です。
では、どうすれば四角形が決まるのでしょうか。答えは、三角形に分けることです。
五角形でも六角形でも同じです。三角形に分ければ考えられる。
三角形は、図形の基本単位なのです。だから三角形をこれほど詳しく学ぶのです。この考え方は、次の単元「図形の角」でもすぐに使います。
そして、三角形が形を変えないという性質は、建物やものづくりにも生かされています。
四角い枠は力を加えるとゆがみますが、すじかいを1本入れて三角形を作ると、がっちり固定されます。
本だなや机がぐらつくとき、裏に斜めの板を入れると安定するのは、この原理です。三角形は変形しない──算数で学ぶ性質が、そのまま安全な建物を支えているのです。
向きがちがうと別物だと考える。
裏返してもよいのが合同です。切り取って重ねれば確かめられます。
頂点の並べ方を適当に書く。
合同を表す式では、対応する順に書くのが約束です。中学の証明でも重要になります。
どの条件でどう作図するか混乱する。
与えられた条件を書き出すことから始めます。辺が3つなら①、辺2つと角1つなら②というように、条件で決まります。
Q1 合同とはどういう意味ですか。
A ぴったり重なること。回しても裏返してもかまいません。
Q2 三角形が決まる3つの条件を言いましょう。
A 3辺/2辺とその間の角/1辺とその両はしの角です。
Q3 3つの角だけでは、なぜ三角形が決まらないのですか。
A 大きさが自由に変えられるからです。長さの情報が最低1つ必要です。
Q4 辺が5cm・6cm・その間の角が50°の三角形をかいてみましょう。
A 定規と分度器を使います。友だちとかいて重ねると、同じ形になるはずです。
この単元は、中学数学の「合同の証明」に直結します。5年生の段階では証明はしませんが、考え方の土台がここで作られます。
まず、実際に切って重ねる体験をさせてあげてください。紙に図形をかいて切り取り、重ねてみる。裏返しても重なることを確かめると、合同の意味が体で分かります。
作図は、道具の扱いに慣れが必要です。コンパスがずれる、分度器が合わないなど、技術的なつまずきも多くあります。うまくいかないときは、道具の使い方から確認してあげてください。
友だちや家族と同じ条件で作図して、重ねてみるのも面白い活動です。「本当に同じ形になる」ことを確かめると、決定条件の意味が実感できます。