5年 算数 合同な図形

合同な図形 ── ぴったり重なるなら、向きは関係ない

「同じ形」を、算数の言葉で正確に定義します。そして三角形は3つの条件で決まるという発見へ。

合同とは何か

2つの図形がぴったり重なるとき、その2つは「合同である」といいます。

ここで大事なのは、どう動かしてもよいということです。

合同かどうかを調べるとき ・平行に動かす(移動) ○ ・回す(回転) ○ ・裏返す(反転) ○ → どれをしてもよい → 重なれば合同

向きがちがっていても、裏返してあっても、重なれば合同です。

紙に描いた図形なら、切り取って重ねてみれば分かります。回してもよいし、裏返してもよい。

逆に、大きさがちがえば合同ではありません。同じ形でも、拡大や縮小したものは合同ではないのです。

合同 … 形も大きさも同じ 相似 … 形は同じ、大きさはちがう (6年生で学ぶ「拡大図・縮図」)

対応する辺と角

合同な図形を重ねたとき、ぴったり重なり合う部分どうしを「対応する」といいます。

三角形ABC と 三角形DEF が合同のとき 頂点A ←→ 頂点D 頂点B ←→ 頂点E 頂点C ←→ 頂点F 辺AB ←→ 辺DE 辺BC ←→ 辺EF 辺CA ←→ 辺FD 角A ←→ 角D 角B ←→ 角E 角C ←→ 角F

そして、対応する辺の長さは等しく、対応する角の大きさも等しいのです。これは合同の定義から当然のことです。

ここで注意点があります。合同な図形を表すとき、対応する順に頂点を書くという約束があります。

「三角形ABC と 三角形DEF は合同」 と書いたら、 A-D、B-E、C-F が対応する 順番を変えて 「三角形ABC と 三角形EFD」と書けば A-E、B-F、C-D が対応することになる

並べ方に意味があるので、いいかげんに書いてはいけません。この約束は、中学の証明問題でも使い続けます。

図がずれていて分からないとき

問題の図が回転していたり裏返っていたりすると、対応が分かりにくくなります。
そんなときは、いちばん長い辺・いちばん大きい角を手がかりにします。
合同なら、いちばん長い辺どうしが対応するはずです。
また、印がついた辺(同じ数の斜線など)も手がかりになります。同じ印の辺どうしが対応します。

三角形は3つで決まる

ここからが、この単元の核心です。

三角形には、辺が3本、角が3つ、全部で6つの要素があります。合同な三角形をかくには、6つ全部を測る必要があるのでしょうか。

実は、3つだけで足りるのです。しかも、決まった組み合わせがあります。

三角形が決まる3つの条件 ① 3つの辺の長さ ② 2つの辺の長さと、その間の角 ③ 1つの辺の長さと、その両はしの角

この3パターンのどれかが分かれば、三角形はただ一つに決まります。

実際に作図してみましょう。

① 3辺(3cm・4cm・5cm)

1. 5cmの直線をひく 2. 片方の端からコンパスで半径3cm 3. もう片方の端から半径4cm 4. 交わった点と両端を結ぶ

② 2辺とその間の角(4cm・5cm・60°)

1. 5cmの直線をひく 2. 分度器で60°の角をかく 3. その線上に4cmをとる 4. 残りを結ぶ

③ 1辺とその両はしの角(5cm・40°・70°)

1. 5cmの直線をひく 2. 左端から40°の線をひく 3. 右端から70°の線をひく 4. 交わった点が3つ目の頂点

どの方法でも、誰がかいても同じ三角形になります。それが「決まる」ということです。

なぜこの3つなのか

では、他の組み合わせではダメなのでしょうか。試してみましょう。

【3つの角だけ】 40°・60°・80° 三角形はかけるが… 大きさが自由に変えられる /\ / \ / \ / \ /____\ /______\ → 形は同じだが大きさがちがう → 決まらない

角だけでは大きさが決まりません。少なくとも1つは長さの情報が必要です。

これは6年生で学ぶ拡大図・縮図の関係です。角が同じで大きさがちがう図形は、合同ではなく「相似」になります。

【2辺と、間ではない角】 → 2種類の三角形ができてしまう ことがある → 決まらない場合がある

「その間の角」でなければならない理由が、ここにあります。

まとめると、3つの条件のうち少なくとも1つは辺で、しかも位置関係が指定されている必要があるのです。

この「三角形の決定条件」は、中学校では三角形の合同条件として、証明問題の中心になります。5年生でしっかり体験しておくと、中学がずっと楽になります。

四角形はどうか

三角形が3つの条件で決まるなら、四角形はどうでしょうか。

四角形には、辺4本・角4つで8つの要素があります。しかし、辺の長さを4つ決めても、四角形は決まりません。

4辺の長さが同じでも… ┌────┐ /────\ │ │ → / \ └────┘ \──────/ 正方形が ひし形にゆがむ → 決まらない

四角形は形が変わってしまうのです。これは4年生で学んだ「平行四辺形は形を変えられる」という性質と同じ話です。

では、どうすれば四角形が決まるのでしょうか。答えは、三角形に分けることです。

四角形に対角線を1本ひく → 三角形が2つできる → それぞれの三角形が決まれば 四角形も決まる

五角形でも六角形でも同じです。三角形に分ければ考えられる

三角形は、図形の基本単位なのです。だから三角形をこれほど詳しく学ぶのです。この考え方は、次の単元「図形の角」でもすぐに使います。

そして、三角形が形を変えないという性質は、建物やものづくりにも生かされています

三角形が使われている場所 ・鉄橋の骨組み ・東京タワーなどの鉄塔 ・屋根の支え ・自転車のフレーム ・棚のすじかい

四角い枠は力を加えるとゆがみますが、すじかいを1本入れて三角形を作ると、がっちり固定されます。

本だなや机がぐらつくとき、裏に斜めの板を入れると安定するのは、この原理です。三角形は変形しない──算数で学ぶ性質が、そのまま安全な建物を支えているのです。

つまずきやすいところ

その1 裏返しは合同でないと思う

向きがちがうと別物だと考える。
裏返してもよいのが合同です。切り取って重ねれば確かめられます。

その2 対応の順番を無視する

頂点の並べ方を適当に書く。
合同を表す式では、対応する順に書くのが約束です。中学の証明でも重要になります。

その3 作図の手順が思い出せない

どの条件でどう作図するか混乱する。
与えられた条件を書き出すことから始めます。辺が3つなら①、辺2つと角1つなら②というように、条件で決まります。

やってみよう

Q1 合同とはどういう意味ですか。

A ぴったり重なること。回しても裏返してもかまいません。

Q2 三角形が決まる3つの条件を言いましょう。

A 3辺/2辺とその間の角/1辺とその両はしの角です。

Q3 3つの角だけでは、なぜ三角形が決まらないのですか。

A 大きさが自由に変えられるからです。長さの情報が最低1つ必要です。

Q4 辺が5cm・6cm・その間の角が50°の三角形をかいてみましょう。

A 定規と分度器を使います。友だちとかいて重ねると、同じ形になるはずです。

まとめ

おうちの方へ

この単元は、中学数学の「合同の証明」に直結します。5年生の段階では証明はしませんが、考え方の土台がここで作られます。
まず、実際に切って重ねる体験をさせてあげてください。紙に図形をかいて切り取り、重ねてみる。裏返しても重なることを確かめると、合同の意味が体で分かります。
作図は、道具の扱いに慣れが必要です。コンパスがずれる、分度器が合わないなど、技術的なつまずきも多くあります。うまくいかないときは、道具の使い方から確認してあげてください。
友だちや家族と同じ条件で作図して、重ねてみるのも面白い活動です。「本当に同じ形になる」ことを確かめると、決定条件の意味が実感できます。