5年 算数 平均

平均 ── でこぼこを、ならして平らにする

公式は単純です。でも何が見えなくなるかまで知って、はじめて使いこなせます。

ならす、という考え方

5人が集めたどんぐりの数です。

A: 8個 ████████ B: 3個 ███ C: 6個 ██████ D: 5個 █████ E: 3個 ███

バラバラです。これを全員同じ数にそろえるとしたら、1人何個になるでしょうか。

多い人から少ない人へ移す 8個の人から2個を… 3個の人へ 何度か動かすと… A: 5個 █████ B: 5個 █████ C: 5個 █████ D: 5個 █████ E: 5個 █████

全員5個になりました。このならした後の数が平均です。

移動させても、全体の数は変わりません。だから、こう計算できます。

合計 = 8 + 3 + 6 + 5 + 3 = 25 25 ÷ 5人 = 5個 平均 = 合計 ÷ 個数

公式そのものは簡単ですが、「ならす」というイメージを持っておくことが大切です。これがあると、平均の意味を取りちがえません。

逆算もできる

平均の式は、変形して使えます。

平均 = 合計 ÷ 個数 ↓ 変形 合計 = 平均 × 個数 個数 = 合計 ÷ 平均

合計を求める形は、よく使います。

問題:4回のテストの平均が78点。 合計は何点? 78 × 4 = 312点

この考え方で、こんな問題も解けます。

問題:4回の平均が78点。 5回目で何点取れば 平均80点になる? 5回の合計が必要 = 80 × 5 = 400点 4回の合計 = 78 × 4 = 312点 5回目 = 400 - 312 = 88点

合計に直して考えるのがコツです。平均のままでは計算できません。

0はどうあつかうか

平均でよく問題になるのが、0の扱いです。

1週間の読書時間(分) 月 30 火 20 水 0 ← 読まなかった 木 40 金 30 土 60 日 40

水曜日の0を、数に入れるべきでしょうか。

【0を入れる】 合計220 ÷ 7日 = 約31.4分 【0を入れない】 合計220 ÷ 6日 = 約36.7分

答えは「入れる」です。水曜日も1日として数えます。

なぜでしょうか。「1日あたり何分読んだか」を知りたいからです。読まなかった日も、1日には変わりありません。

ただし、目的によっては入れないこともあります。

「読んだ日は、1日平均どれくらい?」 → 読まなかった日は除く → 220 ÷ 6日

何を知りたいかで決まるのです。問題文をよく読む必要があります。

一方、データがない場合は別です。

・欠席していて測れなかった ・記録を取り忘れた → 0ではなく「データなし」 → 個数から除く

「0だった」と「分からない」はちがいます。ここは混同しないようにします。

平均で見えなくなるもの

平均は便利ですが、失われる情報もあります。

2つのクラスのテスト結果 Aクラス: 50, 55, 60, 65, 70 → 平均 60点 Bクラス: 20, 40, 60, 80, 100 → 平均 60点 平均は同じ60点 でも、中身はまったくちがう

Aクラスは全員が近い点数。Bクラスは大きくばらついています

平均だけを見ると、この差が分かりません。ばらつきの情報が消えてしまうのです。

もう一つ、極端な値の影響も注意が必要です。

5人のおこづかい(円) 500, 600, 700, 800, 20000 平均 = 4520円 → 5人中4人は平均より少ない!

1人だけ極端に多いと、平均が実態からずれます。「平均的な人」が実際には存在しないのです。

だから、平均を見たらこう考える習慣をつけましょう。

・ばらつきはどうか ・極端な値はないか ・元のデータは見られるか ・何個のデータの平均か
「平均以下」は普通のこと

「自分は平均以下だ」と落ちこむ必要はありません。
平均以下の人は、たいてい半分近くいます。定義上、当たり前のことです。
そして、極端に高い値がある場合、平均以下の人が半分より多くなることもあります。
平均は「真ん中」ではなく「ならした値」です。この区別を知っておくと、数字に振り回されずにすみます。

いろいろな平均

平均は、いろいろな場面で使われています。

場面何の平均か
平均気温1日や1か月の気温
平均寿命亡くなった年齢
打率ヒットの割合
燃費1Lで走れる距離
平均点テストの得点
視聴率見た人の割合

そして、平均を使って予想することもできます。

10歩歩いた長さを5回測った 平均 6.2m → 1歩は 6.2 ÷ 10 = 0.62m 100歩なら 0.62 × 100 = 62m → だいたいの距離が測れる

1回だけでは誤差がありますが、何回か測って平均をとると精度が上がります。理科の実験でも、この方法をよく使います。

また、平均は小数になってかまいません。「平均2.4人」という値もあり得ます。実際には2.4人という人はいませんが、ならした値としては正しいのです。

平均どうしは平均できない

間違えやすい問題を見ておきましょう。

問題:男子10人の平均が60点、 女子20人の平均が90点。 クラス全体の平均は? 【まちがい】 (60 + 90) ÷ 2 = 75点 【正しい】 男子の合計: 60 × 10 = 600 女子の合計: 90 × 20 = 1800 全体の合計: 2400 全体の人数: 30人 2400 ÷ 30 = 80点

なぜ75点ではないのでしょうか。人数がちがうからです。

女子のほうが人数が2倍多いので、女子の90点のほうがより強く影響します。だから、答えは真ん中の75点より、90点に近い80点になるのです。

ルールは一つです。

平均を求めるときは 必ず「合計」に直してから

平均のままでは足したりわったりできません。いったん合計にもどす。これが鉄則です。

逆に、人数が同じなら平均どうしを平均してもかまいません。10人と10人なら、(60+90)÷2=75点で正しくなります。条件によって変わるので、必ず人数を確認しましょう。

つまずきやすいところ

その1 0を除いてしまう

0の日を数えずに計算する。
0も1つのデータです。「なかった」と「分からない」は区別します。

その2 平均どうしを平均する

3人の平均と5人の平均を足して2でわる。
人数がちがうのでそのままでは平均できません。それぞれの合計を出してから、全体の人数でわります。

その3 平均を「真ん中」だと思う

平均以下の人が半分だと考える。
平均はならした値です。極端な値があると、平均以下が半分より多くなることもあります。

やってみよう

Q1 平均の求め方を式で言いましょう。

A 合計 ÷ 個数です。ならした後の値を求めています。

Q2 5回のテストの平均が82点。合計は?

A 82 × 5 = 410点です。合計=平均×個数。

Q3 読まなかった日の0は、平均の計算に入れますか。

A 「1日あたり」を知りたいなら入れます。0もデータの一つです。

Q4 自分の歩幅を、平均を使って求めてみましょう。

A 10歩の長さを何回か測って平均し、10でわります。これで距離が測れます。

まとめ

おうちの方へ

平均は計算自体は簡単ですが、意味の理解が伴わないと使いこなせません。「ならす」というイメージを、おはじきなどを実際に動かして体験させると効果的です。
この単元でぜひ伝えたいのは、平均の限界です。ニュースや広告では平均値がよく使われますが、それだけでは実態が分からないことがあります。「平均年収」「平均寿命」など、大人でも誤解しやすい数値です。
「平均以下=ダメ」という思いこみも、この機会に解いてあげてください。平均以下の人は必ずたくさんいます。それが平均というものの性質です。
歩幅を測って距離を求める活動は、平均の有用性が実感できる良い題材です。散歩のときに試してみてください。