5年 算数 平均

仮の平均 ── 大きい数の平均は、近道で求められる

「合計 ÷ 個数」の計算が、数が大きくなるほどめんどうで、まちがえやすくなります。そこで使えるのが「仮の平均」という近道です。

こんなとき、まともに計算すると大変

5回の漢字テストの点数です。

1回目 86点 2回目 91点 3回目 88点 4回目 93点 5回目 87点

ふつうにやるなら、こう計算します。

86 + 91 + 88 + 93 + 87 = 445 445 ÷ 5 = 89点

2けたどうしの筆算を4回も続けるので、どこかで1つまちがえる危険があります。点数がもっと大きい数(458点、1024点…のような合計)になれば、なおさらです。

実は、このくらいの点数がぎゅっと近くに集まっているとき、もっと速く、まちがいにくい方法があります。それが「仮の平均」です。

仮の平均のやり方

まず、きりのいい数を1つ、仮に「平均っぽい数」として置きます。ここでは90にします。

仮の平均 = 90(きりがよくて、だいたい真ん中あたりの数)

次に、それぞれの点数が、仮の平均90からどれだけ「ずれて」いるかを求めます。

回点数90からのずれ
1回目86点-4
2回目91点+1
3回目88点-2
4回目93点+3
5回目87点-3

この「ずれ」を全部たします。

(-4)+(+1)+(-2)+(+3)+(-3) = -4+1-2+3-3 = -5

ずれの合計は-5。これを個数5でわります。

-5 ÷ 5 = -1

最後に、仮の平均に「ずれの平均」をたします。

90 +(-1)= 89点

さっきの筆算と同じ89点になりました。しかも、出てきた数字は1けたのたし算・ひき算ばかりです。2けたの筆算を4回くり返すより、まちがいが減ります。

なぜこれでいいのか

「仮の平均」は、ただの裏ワザではありません。平均の式を変形すると、仕組みが見えてきます。

本当の平均 =(86+91+88+93+87)÷ 5 ここで、それぞれの点数を 「仮の平均90」+「ずれ」の形に書きかえる 86 = 90 +(-4) 91 = 90 +(+1) 88 = 90 +(-2) 93 = 90 +(+3) 87 = 90 +(-3)

これを全部たすと、90が5個分と、ずれの合計に分かれます。

合計 =(90×5)+(ずれの合計) = 450 +(-5) = 445

つまり本当の合計は「仮の平均×個数」に「ずれの合計」をたしたものです。これを個数でわれば、

本当の平均 =(90×5 + ずれの合計)÷ 5 = 90 +(ずれの合計 ÷ 個数) = 仮の平均 + ずれの平均

となり、「仮の平均+ずれの平均」で本当の平均が求まることが説明できます。平均の意味そのもの(でこぼこをならした値)は変わっていません。ならし方の計算の道すじだけを近道にしている、というのがこの方法の正体です。

仮の平均はどう選ぶか

仮の平均は、どんな数を選んでもかまいません。90でも、85でも、100でも、計算すれば必ず同じ答え(89点)になります。ただし、選び方で計算のしやすさは大きく変わります。

同じ問題を、仮の平均100で計算すると… 100からのずれ 86→-14 91→-9 88→-12 93→-7 87→-13 ずれの合計=-55 ずれの平均=-55÷5=-11 平均=100+(-11)=89点

答えは同じ89点ですが、ずれが2けたになって、暗算の負担がふえました。よい仮の平均は、こう選びます。

選び方のコツ理由
きりのいい数にする10や100の倍数など、ずれの計算がしやすい
データの真ん中あたりにするずれが小さい1けたの数で済みやすい
いちばん小さい数より小さくしない全部プラスのずれだけにすると大きい数のまま

データをパッと見て「だいたいこのへん」という数を仮の平均にするのがコツです。ぴったり当たらなくても、ずれの計算で調整されるので心配いりません。

くらしの中でも使われている

仮の平均の考え方は、テストの点数だけでなく、いろいろな場面で役立ちます。

1週間の最高気温(℃) 月 24 火 26 水 23 木 27 金 25 土 24 日 26

仮の平均を25℃として、ずれを出します。

月-1 火+1 水-2 木+2 金 0 土-1 日+1 ずれの合計 =-1+1-2+2+0-1+1=0 ずれの平均=0÷7=0 平均気温=25+0=25℃

ずれの合計がぴったり0になると、仮の平均がそのまま答えになります。こういう「きれいにそろう」場面を見つけると、計算のくふうの便利さがよく分かります。

体重の記録や、おこづかいの週ごとの残高など、だいたい同じくらいの数が並ぶデータでは、仮の平均を使うと暗算だけで平均が出せることが多くなります。大きい数をそのまま足さずに、「基準からのちがい」だけで考える、という発想は、割合やくらべる計算など、これから習う単元でも形を変えて出てきます。

つまずきやすいところ

その1 ずれの符号をまちがえる

仮の平均より小さい数なのに+をつけてしまう。
仮の平均より小さければ-、大きければ+です。「仮の平均からどちらへ動けば元の数になるか」で考えると整理しやすくなります。

その2 ずれの合計を個数でわり忘れる

ずれの合計(-5)を、そのまま仮の平均にたしてしまう。
たすのはずれの「平均」です。ずれの合計を個数でわってから仮の平均にたします。

その3 最後に仮の平均をたし忘れる

「ずれの平均」を求めたところで答えだと思ってしまう。
-1はあくまで仮の平均からのずれです。90+(-1)=89まで計算してはじめて答えになります。

その4 データが仮の平均から遠すぎる

仮の平均を30のように選ぶと、ずれが+56、+61…のような大きい数になり、近道の意味がなくなります。
仮の平均はデータの近くの数から選びます。

やってみよう

Q1 3つの数98、102、97の平均を、仮の平均100を使って求めましょう。

A ずれは-2、+2、-3。合計-3。-3÷3=-1。100+(-1)=99です。

Q2 仮の平均を使うとき、最後に必ずすることは何ですか。

A 仮の平均に「ずれの平均」をたすことです。ずれの平均だけでは答えになりません。

Q3 仮の平均は、どんな数を選ぶのがよいですか。

A きりがよく、データの真ん中あたりの数です。選ぶ数を変えても答えは同じになります。

Q4 4つの点数81、79、83、77の平均を、仮の平均80で求めましょう。

A ずれは+1、-1、+3、-3。合計0。0÷4=0。80+0=80です。

Q5 仮の平均の方法と、ふつうに合計してわる方法は、どちらが「正しい」答えになりますか。

A どちらも同じ正しい答えになります。仮の平均は計算の近道であって、別の答えが出る別の方法ではありません。

まとめ

おうちの方へ

「仮の平均」は、教科書の発展的な扱いとして出てくることがある計算のくふうです。平均の基本(合計÷個数)がしっかり身についてから取り組むと、「なぜこれでいいのか」の説明も理解しやすくなります。
テストの点数や体重の記録など、きりのよい数から大きくは離れていないデータで練習すると、仮の平均のよさを実感しやすいです。ずれの合計が0や、きれいな数になるように点数を作ってあげると、お子さんも計算のコツをつかみやすくなります。
大人が家計簿や体重管理で「だいたい○○くらいからの増減」で考えるのと、発想は同じです。日常の場面と結びつけて話してみてください。