5年 理科 台風と防災

台風と防災 ── 南の海から来る、大きなうずまき

夏から秋にかけて、テレビのニュースで「台風が近づいています」と聞くことがありますね。台風は、どこで生まれて、どう動くのでしょうか。じつは台風の動き方には、ふつうの天気の変化とはちがう特ちょうがあります。台風のしくみを知り、身を守る方法まで考えていきましょう。

台風ってなに?

台風は、日本のずっと南にある、あたたかい海の上で生まれる、大きな空気のうずまきです。

南の海は太陽の光を強く受けて、海の水がどんどん蒸発し、しめった空気がたくさん上にのぼっていきます。この空気が集まって、たくさんの雲をつくりながら、ぐるぐると回りはじめたものが台風のもとです。気象衛星から見た台風の雲画像は、大きなうずまきの形をしていて、中心に近いほど雲があつく、風も雨も強くなります。台風の中心のまわりでは、強い風がふき、はげしい雨がふります。台風は「熱帯低気圧」というなかまのうち、風がとくに強くなったものにつけられる名前です。日本には、おもに7月から10月ごろにやってきて、8月や9月にいちばん多く近づきます。

台風はどう動く?

「天気の変化」の単元で、日本の天気はおおよそ西から東へ変わると学びました。では、台風も同じでしょうか。

くらべることふつうの天気の変化台風
動く向きおよそ西から東へ南から北へ進み、その後、東寄りに曲がることが多い
生まれる場所(雲は西からやってくる)日本のずっと南のあたたかい海の上
雨や風おだやかなことが多い大雨・強風になりやすい

台風は、日本の南の海で生まれたあと、はじめは西や北西に向かって進み、日本に近づくころに、向きを変えて北や北東へ進むことが多いです。つまり、台風は南からやってくるのです。西から東へ、という天気のきまりだけでは台風の動きは説明できません。ただし、日本付近まで来た台風が東寄りに進路を変えるのは、日本の上空にふく西からの強い風(偏西風)におし流されるからで、ここには天気の変化と同じしくみも関わっています。台風の進む道すじは1つひとつちがうので、気象情報で予想進路をたしかめることが大切です。

台風が近づくと天気はどうなる?

台風が近づくと、天気は大きくくずれます。どんな順番で変わっていくのか見てみましょう。

台風がまだ遠いうちは、空に少しずつ雲がふえてきます。近づくにつれて雨がふりはじめ、風もだんだん強くなります。台風の中心が近づくと、たたきつけるような大雨と、立っていられないほどの強風になります。そして台風が通り過ぎると、雨や風は急におさまり、青空が広がることもあります。台風が過ぎたあとに晴れることを「台風一過」とよびます。大切なのは、台風の雨や風は中心に近いほど強いということです。雲画像で台風のうずまきの位置を見て、自分の住む町に中心が近づくのかどうかを知ると、これからの天気の変化をおおよそ予想できます。

気象情報を使いこなそう

台風から身を守るために、いちばん役に立つのが気象情報です。どんな情報があるか知っておきましょう。

気象衛星の雲画像を見ると、台風のうずまきがどこにあるか、どちらに動いているかが分かります。テレビやインターネットの天気予報では、台風の予想進路が円をつないだ図で示されます。この円は「予報円」といい、台風の中心がその円の中に入る可能性が高いことを表しています。円が大きいのは「台風が大きい」のではなく「進路がまだはっきり決まっていない」という意味なので、読み方に注意が必要です。また、アメダス(全国の雨量や風を自動で観測するしくみ)の情報を見ると、今どこでどれくらい雨がふっているかが分かります。気象庁は、大雨や強風のおそれがあるときに「注意報」や「警報」を発表します。警報は注意報より危険が大きいときに出るもので、テレビやスマートフォンで確認できます。情報を正しく読めることが、防災の第一歩です。

台風による災害と備え

台風は、大雨と強風によって、さまざまな災害を引き起こすことがあります。

大雨がふり続くと、川の水がふえてあふれたり(こう水)、山やがけがくずれたり(土砂くずれ)することがあります。「流れる水のはたらき」で学んだように、水の量がふえると、水が地面をけずる力や物を運ぶ力はとても大きくなります。強風は、木をたおしたり、屋根や看板を飛ばしたり、電線を切って停電を起こしたりします。海では高波や高潮(海面がふだんより高くなること)が起こることもあります。

だからこそ、台風が来るの備えが大切です。家庭でできる備えには、次のようなものがあります。ベランダや庭の、風で飛びそうな物(植木ばち・物干しざおなど)を家の中に入れる。停電に備えて、かい中電灯や充電池を用意する。断水に備えて、飲み水をくんでおく。ハザードマップ(住んでいる地域の危険な場所を示した地図)で、避難場所と避難する道を家族でたしかめておく。そして台風が近づいたら、川や田んぼ、海の様子を見に行かないことがとても大事です。増水した川はふだんとまったくちがう力を持っています。外に出ず、気象情報を確認しながら、安全な場所で過ごしましょう。

つまずきやすいところ

その1 台風も西から東へ来ると思う

台風は日本の南の海で生まれ、南から北へやってきます。
日本付近で東寄りに曲がることが多いですが、進路は台風ごとにちがいます。

その2 予報円が大きい=台風が大きい、と思う

予報円は台風の中心が入る可能性が高いはんいを表します。
円が大きいのは、進路がまだ定まっていないという意味です。

その3 台風が来てから備えればよいと思う

強い雨や風の中での作業や買い出しは危険です。
備えは台風が来る前にすませ、近づいたら外に出ないのが原則です。

たしかめよう

Q1 台風はどこで生まれる?

A 日本のずっと南の、あたたかい海の上

Q2 台風の雨や風は、どこに近いほど強い?

A 台風の中心に近いほど強い。

Q3 台風の予報円が大きいのは、何を表している?

A 進路がまだはっきり決まっていないこと(台風の大きさではない)。

Q4 台風が近づいたとき、してはいけないことは?

A 川や海の様子を見に行くこと(増水した水はとても危険)。

まとめ

おうちの方へ

「台風と防災」は、5年理科「天気の変化」の発展として、台風の動きの特ちょうと防災行動を結びつけて学ぶ単元です。ふだんの天気が西から東へ変わるのに対し、台風は南から北上するという対比が理解のポイントになります。台風シーズンには、ぜひお子さんと一緒に気象衛星の雲画像や予想進路図を見て、「うずの中心はどこ?」「予報円はどういう意味だった?」と会話してみてください。実際の台風を教材に、予想と結果を比べる体験ができます。また、ハザードマップで自宅周辺の避難場所を家族で確認したり、非常用の持ち出し品を一緒に点検したりすることは、そのまま実践的な防災教育になります。「天気の変化(5年)」「流れる水のはたらき(5年)」の記事とあわせて読むと、雲の動きのきまりや増水した川の力とつながって、理解が深まります。