5年 理科 流れる水のはたらき

流れる水のはたらき ── けずり、運び、積もらせる

水はやわらかいのに、岩をけずり、大地の形を変えます。長い時間の力です。

3つのはたらき

流れる水には、3つのはたらきがあります。

① しん食(侵食) 地面や岩をけずる ② 運ぱん(運搬) けずったものを運ぶ ③ たい積(堆積) 運んだものを積もらせる

この3つが組み合わさって、地形を作っています

どこでどのはたらきが強くなるかは、水の流れの速さで決まります。

流れが速い → しん食と運ぱんが強い → 地面がけずられ、物が運ばれる 流れがおそい → たい積が強い → 運ばれてきた物が積もる

だから、上流と下流でまったくちがう地形ができるのです。

上流・中流・下流

川を上流から下流までたどると、はっきりした変化が見られます。

上流中流下流
土地の傾きゆるやかほぼ平ら
流れ速いふつうおそい
川はばせまい広がるとても広い
強いはたらきしん食運ぱんたい積
石の大きさ大きい中くらい小さい・砂
石の形角ばっているやや丸い丸い
できる地形V字谷扇状地三角州

とくに面白いのが、石の形の変化です。

上流の石 … 角ばっている ↓ 流されながら ↓ ぶつかり合う ↓ 角がけずれる 下流の石 … 丸くて小さい

石が丸いのは、長い距離を転がってきた証拠です。角がけずれ、少しずつ小さくなっていきます。

川原の石を見れば、それがどこから来たか想像できるのです。

地形ができるしくみ

それぞれの地形がどうできるか見ていきます。

V字谷(上流)

\ / \ / \/ 川 流れが速い → 下へ下へとけずる → 深い谷ができる → 断面がV字になる

上流では、下向きのけずりが強いので、深く切りこんだ谷になります。

扇状地(中流)

山 \ \___ / \ / 扇状地 \ 山から平地へ出るところ → 急に流れがおそくなる → 運んできた石や砂が積もる → 扇を広げた形になる

扇状地は水はけがよいので、果樹園に向いています。4年生の社会で学んだ内容とつながります。

三角州(下流)

川 │ / │ \ / 三角州 \ ──────────── 海 海に出るところ → 流れがほとんど止まる → 細かい砂や泥が積もる → 三角形の土地ができる

三角州は平らで土がこまかいので、水田に向いています。大きな都市も三角州にできることが多くあります。

曲がった川の内側と外側

川が曲がっているところでは、内側と外側でようすがちがいます

外側 /‾‾‾\ ← 流れが速い / \ 深い・がけ │ 内側 │ \ / ← 流れがおそい \___/ 浅い・川原
外側(カーブの外)内側(カーブの内)
流れ速いおそい
強いはたらきしん食たい積
深さ深い浅い
地形がけになる川原ができる

なぜ外側が速いのでしょうか。外側のほうが距離が長いので、水が急いで進む必要があるからです。

そして、外側がけずられ続けると、川は少しずつ曲がりを大きくしていきます。長い年月をかけて、川の形は変わっていくのです。

実験で確かめる

流れる水のはたらきは、砂場や土の斜面で実験できます
① 土や砂で斜面を作る
② 上から水を流す
③ 曲がりを作って、内側と外側を観察
④ 水の量を変えて比べる
すると、外側がけずれ、内側に砂がたまる様子が実際に見られます。
水の量を増やすと、けずる力が急に強くなることも分かります。これが大雨のときに起こることです。
教科書の図で見るより、はるかに理解が深まります。

大雨のときに起こること

水の量が増えると、3つのはたらきすべてが強くなります

ふだんの川 → ゆっくり、少しずつけずる 大雨のとき → 水量が何倍にもなる → 流れが速くなる → けずる力・運ぶ力が 何十倍にもなる

ふだんは動かない大きな岩も、大雨のときには流されます

これが災害につながります。

大雨で起こること ・こう水(川があふれる) ・がけくずれ ・土石流(土砂が一気に流れる) ・川岸のしん食で堤防が壊れる

だから、川にはさまざまな対策がされています。

ものはたらき
堤防あふれるのを防ぐ
ダム水をためて流量を調節
砂防ダム土砂の流れを止める
護岸ブロック岸がけずられるのを防ぐ
遊水地あふれた水を一時的にためる

これらは、流れる水のはたらきを知ったうえで作られています。理科の知識が、暮らしを守る技術になっているのです。

そして、川に近づかないという判断も大切です。大雨のとき、川の様子を見に行って流される事故が毎年起きています。増水した川の力は、人間が抵抗できるものではありません。

長い時間が作った地形

流れる水のはたらきは、1日ではほとんど変化しません

でも、それが何万年、何十万年と続くと、大地の形が変わります

世界の例 グランドキャニオン(アメリカ) → 川が大地を深くけずってできた → 深さ約1600m → 数百万年かかった 日本の例 ・黒部峡谷(V字谷) ・甲府盆地の扇状地 ・広島や大阪の三角州

日本の大都市の多くは、川が運んだ土砂の上にあります。東京も大阪も、もとは海や湿地だった場所が多いのです。

つまり、今わたしたちが立っている土地も、川が作ったものかもしれません。

そして、この変化は今も続いています。川は毎日少しずつ土砂を運び、地形を変え続けています。

目に見えない変化 1年で数mmのけずれ ↓ 100年で数十cm ↓ 1万年で数十m → 気づかないほど遅いが 確実に進んでいる

小さな力も、長く続けば大きな結果になる。これは自然の大きな教えです。

この視点は、6年生の「大地のつくり」でさらに深まります。地層も、流れる水のはたらきでできたものだからです。

つまずきやすいところ

その1 3つのはたらきを混同する

しん食・運ぱん・たい積の区別があいまい。
けずる・運ぶ・積もらせると日本語で覚えます。どれが強いかは流れの速さで決まります。

その2 カーブの内外を逆に覚える

内側がけずられると考える。
外側が速くてけずられる、内側はおそくて積もります。距離が長い外側のほうが速いのです。

その3 石の形の理由が分からない

下流の石がなぜ丸いか説明できない。
流される間にぶつかり合って角がけずれるからです。丸さは移動距離の証拠です。

やってみよう

Q1 流れる水の3つのはたらきを言いましょう。

A しん食(けずる)・運ぱん(運ぶ)・たい積(積もらせる)です。

Q2 上流と下流で、石の形はどうちがいますか。

A 上流は角ばって大きく、下流は丸くて小さいです。流される間にけずられます。

Q3 曲がった川で、けずられるのは内側と外側どちらですか。

A 外側です。流れが速いためです。内側には川原ができます。

Q4 近くの川で、石の形や川はばを観察してみましょう。

A 上流と下流で比べられると理想的です。安全に配慮し、必ず大人と一緒に行ってください。

まとめ

おうちの方へ

この単元は、実験と実物観察の両方が効果的です。
砂場や庭で水を流す実験は、家庭でも簡単にできます。曲がりを作ると、外側がけずれ内側に砂がたまる様子がはっきり見えます。
川の観察は、可能であれば上流と下流の両方を見せてあげてください。石の大きさと形のちがいは、写真では伝わらない発見があります。ただし、安全が最優先です。増水時は絶対に近づかないでください。
この単元は防災にも直結します。「大雨のとき川を見に行ってはいけない」理由が、科学的に理解できます。毎年起きている事故を防ぐ知識です。
また、地形と土地利用の関係(扇状地は果樹園、三角州は水田)は、社会科ともつながります。教科を横断して考えると、学びが深まります。