実験そのものは班のみんなでうまくできた。ところがノートを見ると、数字がメモのように散らばっていて、あとから見ても何を調べたのか分からない。5年の理科でつまずくのは実験の腕ではなく、出てきた数字をどう置くかのところです。ここは決まった形があります。
実験中に出てきた数字を、思いついた場所に書きつけていくと、こうなります。
この書き方の問題は、あとで見たときにどれが変えた条件で、どれが出てきた結果なのかが分からないことです。数字は合っているのに、使えません。
表にすると、この区別が形になって残ります。理科の表の作り方は、いつも同じです。
左に「変えたもの」、右に「出てきたもの」。この向きをそろえておくと、表を見ただけで何を調べた実験なのかが分かります。単元がふりこでも、もののとけ方でも、発芽の実験でも同じです。
単位を書き忘れると、数字が意味を失います。「28」だけでは、28秒なのか28℃なのか28gなのか、書いた本人でさえ数日たてば分からなくなります。単位は、表を作るときに列の見出しへ一度書けば十分です。
5年の実験で必ず出てくるのが「3回はかりなさい」という指示です。面どうに感じるところですが、これには理由があります。
はかるという行為には、どうしてもずれが出ます。ストップウォッチを押す指のタイミング、目もりを読むときの目の高さ、風のあるなし。同じ実験をしても、1回目と2回目でぴったり同じ数字になることは、まずありません。
そこで、3回はかって平均を出します。平均は、算数で習ったとおり「全部たして、回数でわる」です。
ここで大事なのは、平均を出したあとも3回分の数字を消さないことです。平均だけを残すと、その数字がどれくらい信用できるかが分からなくなります。3回が14.2・14.0・14.3ならよくそろっていますが、14.2・9.8・18.5なら、実験のやり方のどこかがおかしいと気づけます。ばらつきそのものが情報です。
もう一つ、ふりこで「10往復をはかって10でわる」のも同じ考え方です。1往復は1秒ほどしかないので、押すタイミングのずれが結果に大きくひびきます。10往復まとめてはかれば、ずれも10分の1になります。長い時間をはかって、あとでわる。これは理科全体で使える手です。
表ができたら、次はグラフです。どちらを選ぶかで迷いますが、判断は一つの問いで決まります。「たての条件は、とちゅうの数もあるか」です。
| 選ぶグラフ | こんなとき | 例 |
|---|---|---|
| 折れ線グラフ | 変えた条件が、とちゅうの数もある(連続している) | ふりこの長さと時間、水の温度ととける量、日にちと成長 |
| 棒グラフ | 変えた条件が、種類で分かれている | 食塩とミョウバン、日光あり・なし、水あり・なし |
ふりこの長さは、25cmと50cmの間に30cmも40cmもあります。だから点と点を線でつないでよく、その間のようすも読み取れます。一方「食塩」と「ミョウバン」の間には何もありません。ここを線でつなぐと、存在しないものを作ってしまうことになります。
グラフをかくときの手順も決まっています。
3をとばして、いきなり点を打ち始めるのが失敗のもとです。最大が62gなのに1目もり1gで取ると、用紙からはみ出します。先にいちばん大きい数字を見て、「たて軸を70まで、1目もり5g」と決めてから打ち始めます。
表と同じ数字なのに、なぜわざわざグラフにするのか。答えは、変わり方の形が見えるからです。
もののとけ方で、水の温度を上げながらとける量を調べると、食塩はほとんど平らな線、ミョウバンは右上がりに急な線になります。この「線の形のちがい」は、数字の列を目で追っているだけでは気づきにくいものです。
さらに、グラフには調べていないところが見えるという働きもあります。点が三つしかなければ、線を引いてもその間は予想にすぎません。「40℃はまだ調べていない」ということがひと目で分かるので、次にどこを調べればよいかも決まります。
一つだけ線から大きく外れた点があるときも、グラフならすぐ見つかります。その点は消すのではなく、そのまま残して「ここだけずれたのは、水の量をこぼしたためかもしれない」と書いておきます。まとめの段階でそれが材料になります。
よこ軸に結果、たて軸に条件を取ってしまうと、グラフが横倒しになり、読み取りの練習問題と形が合わなくなります。「自分で決めたものが、よこ」と覚えておくと迷いません。時間を変えていく実験なら、よこ軸は時間です。
ストップウォッチを押しそこねた、水をこぼした、といった回は平均に入れません。ただし消さずに残し、「押しまちがえ」と理由を書いて、はかり直した回を加えます。理由を書かずに数字だけ消すと、あとから見たときに何回はかったのか分からなくなります。
用紙に収めたくて、たて軸のとちゅうから1目もりの大きさを変えてしまうと、グラフの形がゆがんで、増え方をまちがって読むことになります。1目もりの大きさは、いちばん下からいちばん上まで同じにします。どうしても入らないときは、目もりを大きく取り直します。
Q1 実験の表で、左のはしの列(たて)に書くのはどちらですか。変えた条件と、出てきた結果のうち。
A 変えた条件です。左に自分で決めたもの、右に出てきたものを置きます。
Q2 同じ実験を3回はかるのは、なぜですか。
A はかるときにずれが出るからです。3回の平均を取ることで、たまたまのずれの影響を小さくできます。
Q3 「食塩」と「ミョウバン」のとける量をくらべた結果は、折れ線と棒のどちらでかきますか。
A 棒グラフです。二つは種類で分かれていて、間にとちゅうの数がないためです。
Q4 ふりこで、1往復ではなく10往復の時間をはかるのはなぜですか。
A ストップウォッチを押すずれの影響を10分の1にできるからです。長くはかって、あとでわります。
Q5 グラフをかくとき、点を打つ前にすることは何ですか。
A 1目もり分の大きさを決めることです。いちばん大きい数字が入るように先に決めます。
この記事は特定の単元ではなく、5年理科の実験ほぼすべてに共通する「結果の整理のしかた」を扱っています。ふりこ、もののとけ方、発芽と成長、電磁石と、単元が変わっても表とグラフの作り方は同じです。実験は楽しくできているのにテストの表・グラフの問題で点が伸びないというとき、原因は知識ではなく、この整理の手順にあることが多くあります。
ご家庭で見ていただくときは、グラフの美しさを直すより、「この表、よこは何を変えたの?」と一言聞いてみてください。答えられれば、その子は実験の骨組みを分かっています。答えにつまるなら、実験そのものの目的があいまいなまま手を動かしていた可能性があります。
平均の計算は算数の内容ですが、理科で使うときにつまずく子は少なくありません。わり切れないときにどこで四捨五入するかは、学校の指示に合わせるのが確実です。
班での実験は、記録係になった子とならなかった子で、表を書く経験に差がつきます。持ち帰ったプリントの表を見ながら、平均の欄だけ一緒に埋めてみる、という短い練習でも十分に効果があります。