5年 理科 ふりこのきまり

ふりこのきまり ── 1往復の時間は何で決まる?

同じリズムで、行ったり来たり。ふりこが1往復する時間は、じつはあるひとつのことだけで決まります。おもりを重くしても、大きくふっても変わりません。その正体を、実験でたしかめていきましょう。

ふりこってなに?

糸の先におもりをつけて、ぶらさげてゆらすと、行ったり来たりをくり返します。これがふりこです。ふりこが「行って、もどってくる」までを1往復といいます。

ふりこには、いくつかのことばがあります。糸の長さ(正しくは、支点からおもりの中心までの長さ)を「ふりこの長さ」といいます。おもりがふれる、はしからはしまでの大きさを「ふれはば」といいます。そして、おもりの重さも、ふりこをつくる大事な部分です。この単元では、「ふりこが1往復する時間」が、これらのうち何によって変わるのかを、実験で調べていきます。ふりこ時計や、公園のブランコも、じつはこのふりこのしくみを使っているのです。

1往復の時間は何で決まる?

ふりこが1往復する時間を変えそうなものは、3つ考えられます。どれが本当に関係しているのでしょうか。

変えるもの1往復の時間は?
ふりこの長さ変わる(長いほどゆっくり)
おもりの重さ変わらない
ふれはば変わらない

実験してみると、おどろくことに、1往復の時間はふりこの長さだけで決まります。ふりこが長いほど、1往復にかかる時間は長く(ゆっくりに)なります。おもりを重いものに変えても、大きくふって(ふれはばを大きくして)も、1往復の時間は変わりません。「重いほど速そう」「大きくふれば時間がかかりそう」と予想しがちですが、実際はちがうのです。この意外な結果こそ、ふりこのきまりのいちばんおもしろいところです。

条件を1つだけ変える

この実験でいちばん大切なのは、調べたいこと以外は同じにするという考え方です。

たとえば「おもりの重さで変わるか」を調べるなら、おもりの重さだけを変えて、ふりこの長さとふれはばは同じにします。もし長さも重さも同時に変えてしまうと、時間が変わったとき、どちらのせいなのか分からなくなります。だから、変えるのは1つだけ、ほかはそろえる。これを「条件を制御する」といい、理科の実験でとても大事な考え方です。この考え方は、ふりこにかぎらず、いろいろな実験で役に立ちます。正しく調べるための、いわば実験のルールです。

10往復で測るのはなぜ?

1往復の時間は短くて、ストップウォッチでは正確に測りにくいものです。そこで、あるくふうをします。

10往復する時間をまとめて測り、その時間を10でわって、1往復の時間を求めます。たとえば10往復で15秒なら、1往復は15÷10=1.5秒です。1回だけ測るより、こうしたほうが、測りまちがいのえいきょうが小さくなり、正確な値に近づきます。さらに、同じ実験を数回くり返して平均をとると、もっと信らいできる結果になります。1回の数字をうのみにせず、くり返して確かめる。これも、理科で結果を正しくつかむための大切なくふうです。

実験のやり方

じっさいにふりこの実験をするときの、手順を見てみましょう。じゅんびするものは、糸・おもり・ものさし・ストップウォッチです。

まず、糸の先におもりをつけて、支点(動かない一点)からつるします。ふりこの長さをものさしで測り、決めた長さにします。次に、おもりを決めたふれはばのところまで持ち上げ、そっと手をはなします。おもりが動きはじめたら、10往復する時間をストップウォッチで測ります。これを3回くり返し、平均を出して10でわると、1往復の時間が求められます。長さを変えて同じことをすると、「長いほどゆっくり」がたしかめられます。手をはなすときにおもりをおしてしまうと、ふれはばが変わってしまうので、力を加えずそっとはなすのがコツです。友だちと役わりを分けて、はかる人・数える人・記録する人にわかれると、正確に進められます。

くらしの中のふりこ

ふりこのきまりは、わたしたちのくらしの中でも役立っています。

むかしから使われている「ふりこ時計」は、ふりこが1往復する時間がいつも同じであることを利用して、時をきざんでいます。ふりこの長さを調整すると、時計の進み方を合わせられます。メトロノーム(音楽で拍子をとる道具)も、ふりこのなかまです。公園のブランコも、こいでいないときは、同じリズムでゆれるふりこと同じです。「1往復の時間が長さで決まり、いつも一定」というきまりがあるからこそ、時計のように正確なリズムをつくれるのです。身のまわりで、ふりこのように規則正しくゆれるものをさがしてみましょう。

反対に、ふりこの長さを変えると、ゆれるリズムを変えられます。メトロノームで、はやいテンポとおそいテンポを切りかえられるのは、おもりの位置を動かして、ふりこの長さを変えているからです。長くすればゆっくり、短くすれば速くなる。この「長さでリズムが決まる」というきまりを知っていると、道具のしくみを、なるほどと理解できます。理科で学んだことが、音楽や時計といった、まったくちがう分野とつながっているのを感じられるはずです。

つまずきやすいところ

その1 重いほど速くなると思う

おもりの重さを変えても、1往復の時間は変わりません。
時間を決めるのは、ふりこの長さだけです。

その2 大きくふると時間がかかると思う

ふれはばを変えても、1往復の時間は変わりません。
大きくふっても小さくふっても、リズムは同じです。

その3 条件を2つ以上いっぺんに変える

変えるのは調べたい1つだけ、ほかはそろえます。
そうしないと、何のせいか分からなくなります。

たしかめよう

Q1 ふりこが1往復する時間は、何で決まる?

A ふりこの長さ(長いほどゆっくり)。

Q2 おもりを重くすると、1往復の時間はどうなる?

A 変わらない

Q3 10往復で20秒のとき、1往復の時間は?

A 2秒(20÷10)

Q4 「おもりの重さで変わるか」を調べるとき、同じにするものは?

A ふりこの長さとふれはば(重さだけを変える)。

まとめ

おうちの方へ

「ふりこのきまり」は、結果そのものよりも、条件を1つだけ変えて調べるという科学的な考え方(条件制御)を学ぶことに大きな意味がある単元です。「重いほど速いはず」という直感が実験でくつがえされる体験は、理科のおもしろさを感じる良い機会になります。ご家庭でも、糸とおもり(ナットや消しゴムなど)で簡単なふりこを作り、長さ・重さ・ふれはばを1つずつ変えて、10往復の時間を測ってみると、教科書の内容が実感として理解できます。ストップウォッチはスマートフォンのものでかまいません。数回くり返して平均をとる大切さも、あわせて体験させてあげてください。「風とゴムの力(3年)」「てこ(6年)」の記事とあわせて読むと、力や運動を調べる実験の考え方がつながって、理解が深まります。