花はきれいなだけの存在ではありません。すべての部分に役割があります。
花は、外側から順に4つの部分でできています。
それぞれの役割を見ていきましょう。
がくは、いちばん外側にある緑色の部分です。つぼみのときは、中の花びらを包んで守っています。
花びらは、目立つ色や形をしています。これは虫を呼ぶためです。飾りではなく、大事な役割があります。
おしべは、先端にやくという部分があり、そこで花粉を作ります。1つの花に何本もあることが多いです。
めしべは、ふつう1本だけで中心にあります。3つの部分に分かれています。
子房が実になる。これがこの単元の核心です。
おしべで作られた花粉が、めしべの柱頭につくことを受粉といいます。
これは実験で確かめられます。
袋をかぶせるのは、虫や風による受粉を防ぐためです。条件制御の考え方が、ここでも使われています。
受粉した後は、こうなります。
だから、実の中に種子があるのです。ミカンもリンゴもトマトも、すべてこのしくみでできています。
植物は動けません。では、花粉はどうやってめしべまで届くのでしょうか。
| 運び手 | 花の特徴 | 例 |
|---|---|---|
| 虫(虫媒花) | 目立つ花びら、みつ、香り | アサガオ、ヘチマ、サクラ |
| 風(風媒花) | 地味な花、大量の軽い花粉 | スギ、イネ、トウモロコシ |
| 鳥 | 赤い花、たくさんのみつ | ツバキ |
| 水 | 水に浮く花粉 | 水草の一部 |
虫媒花は、虫に来てもらうためにさまざまな工夫をしています。
虫はみつを求めて花に来ます。そのとき体に花粉がつき、別の花へ運ばれるのです。
虫は食べ物を得て、植物は花粉を運んでもらう。おたがいに得をする関係です。
一方、風媒花はまったくちがう戦略です。
スギ花粉が問題になるのは、大量の花粉を風に飛ばすからです。虫に運んでもらうより効率が悪いので、数で勝負しているのです。
花粉は、けんび鏡で観察できます。
種類によって形がまったくちがい、とげがあるもの、丸いもの、細長いものなど、見ていて飽きません。
けんび鏡の使い方のポイント
・直射日光の当たらない明るい場所で
・低い倍率から始める
・横から見ながら対物レンズを近づける
・のぞきながら遠ざけてピントを合わせる
近づけながら合わせると、プレパラートを割ってしまうので注意です。
花には、大きく2つのタイプがあります。
ヘチマが実験によく使われるのは、単性花だからです。
両性花だと、同じ花の中で受粉してしまうことがあります。単性花なら、受粉の有無をはっきり分けられるのです。
実験には、目的に合った材料を選ぶことが大切です。これも科学の方法の一部です。
受粉して実ができたら、それで終わりではありません。
実には、種子を運ぶという役割があります。
果物があまいのは、動物に食べてもらうためです。人間のために作られたわけではありません。
実の形にも工夫があります。
すべて種子を遠くへ運ぶための工夫です。
そして、運ばれた種子が発芽して、また花を咲かせる。植物の一生がめぐっていくのです。
この単元は、前の「発芽と成長」とつながっています。種子ができる → 発芽する → 成長する → 花が咲く → 種子ができる。ひとつの輪になっているのです。
受粉のしくみは、わたしたちの食べ物と深く関わっています。
もし虫がいなくなったら、これらの食べ物が手に入らなくなります。
だから、農家ではミツバチを借りてくることがあります。ハウスの中にミツバチの巣箱を置いて、受粉させるのです。
手で受粉させることもあります。人工授粉といい、筆で花粉をめしべにつけていきます。手間はかかりますが、確実に実をつけさせられます。
近年、世界的にミツバチが減っていることが問題になっています。原因は農薬、病気、環境の変化などと言われますが、はっきり分かっていません。
虫は「害虫」というイメージを持たれがちですが、受粉を助ける大切な存在でもあります。花のしくみを知ると、そのつながりが見えてきます。
どちらがどちらか分からなくなる。
めしべは中心に1本、おしべはそのまわりに何本もあります。根元がふくらんでいるのがめしべです。
花びらが実になると考える。
子房(めしべの根元)が実になります。花びらやおしべは、役目を終えると落ちます。
操作の順序が分からない。
横から見て近づけ、のぞきながら遠ざけるのが基本です。近づけながら合わせると割れます。
Q1 花の4つの部分を外側から言いましょう。
A がく、花びら、おしべ、めしべの順です。中心にあるのがめしべです。
Q2 受粉とは何ですか。
A おしべの花粉がめしべの柱頭につくことです。受粉しないと実はできません。
Q3 実になるのはどの部分ですか。
A めしべの根元にある子房です。中の胚珠が種子になります。
Q4 身近な花を分解して、4つの部分を確かめてみましょう。
A アブラナやツツジは分解しやすい花です。ピンセットがあると便利です。
この単元は、実物を使った観察が最も効果的です。花を分解して4つの部分を確かめる活動は、教科書の図を見るのとはまったくちがう理解をもたらします。
アブラナ、ツツジ、ユリなどは分解しやすく、観察に向いています。ピンセットと虫めがねがあると、より詳しく見られます。
「花びらは虫を呼ぶためにある」という視点は、子どもにとって新鮮です。「じゃあ、風で運ぶ花は?」と発展させると、スギやイネの地味な花に気づけます。
果物を食べるとき、「これはどこの部分?」「種はどこ?」と話題にするのもおすすめです。実と種子の関係が、日常の中で理解できます。
けんび鏡は学校のものを使うことが多いですが、家庭用の簡易なものでも花粉は十分観察できます。