5年 理科 花のつくりと実

花のつくりと実 ── 花は、実を作るための装置

花はきれいなだけの存在ではありません。すべての部分に役割があります。

花の4つの部分

花は、外側から順に4つの部分でできています。

外側から ① がく … つぼみを守る ② 花びら … 虫を呼ぶ ③ おしべ … 花粉を作る ④ めしべ … 実になる

それぞれの役割を見ていきましょう。

がくは、いちばん外側にある緑色の部分です。つぼみのときは、中の花びらを包んで守っています。

花びらは、目立つ色や形をしています。これは虫を呼ぶためです。飾りではなく、大事な役割があります。

おしべは、先端にやくという部分があり、そこで花粉を作ります。1つの花に何本もあることが多いです。

めしべは、ふつう1本だけで中心にあります。3つの部分に分かれています。

めしべのつくり 柱頭(ちゅうとう)… 先端。花粉がつく ↓ 花柱(かちゅう) … 中間の細い部分 ↓ 子房(しぼう) … 根元のふくらみ → ここが実になる

子房が実になる。これがこの単元の核心です。

受粉のしくみ

おしべで作られた花粉が、めしべの柱頭につくことを受粉といいます。

受粉 → 実ができる 受粉しないと、 実も種子もできない

これは実験で確かめられます。

受粉の実験(ヘチマなどで) 【A】つぼみのうちに袋をかぶせ、 花が開いたら受粉させて、また袋 【B】つぼみのうちに袋をかぶせ、 受粉させずに袋のまま 結果 A:実ができる B:実ができず、しぼんで落ちる → 受粉が必要だと分かる

袋をかぶせるのは、虫や風による受粉を防ぐためです。条件制御の考え方が、ここでも使われています。

受粉した後は、こうなります。

受粉 ↓ 花粉から管がのびて、子房の中へ ↓ 子房の中の胚珠(はいしゅ)と結びつく ↓ 胚珠 → 種子になる 子房 → 実になる

だから、実の中に種子があるのです。ミカンもリンゴもトマトも、すべてこのしくみでできています。

花粉はどう運ばれるか

植物は動けません。では、花粉はどうやってめしべまで届くのでしょうか。

運び手花の特徴
虫(虫媒花)目立つ花びら、みつ、香りアサガオ、ヘチマ、サクラ
風(風媒花)地味な花、大量の軽い花粉スギ、イネ、トウモロコシ
赤い花、たくさんのみつツバキ
水に浮く花粉水草の一部

虫媒花は、虫に来てもらうためにさまざまな工夫をしています。

虫を呼ぶ工夫 ・目立つ色の花びら ・あまいみつ ・よい香り ・虫が止まりやすい形 ・みつのありかを示す模様(蜜標)

虫はみつを求めて花に来ます。そのとき体に花粉がつき、別の花へ運ばれるのです。

虫は食べ物を得て、植物は花粉を運んでもらう。おたがいに得をする関係です。

一方、風媒花はまったくちがう戦略です。

風媒花の特徴 ・花びらが小さいか、ない ・色も香りもない ・花粉が非常に軽く、大量 ・おしべが外に出ている → 虫を呼ぶ必要がないので 花にお金をかけない

スギ花粉が問題になるのは、大量の花粉を風に飛ばすからです。虫に運んでもらうより効率が悪いので、数で勝負しているのです。

けんび鏡で花粉を見る

花粉は、けんび鏡で観察できます。
種類によって形がまったくちがい、とげがあるもの、丸いもの、細長いものなど、見ていて飽きません。
けんび鏡の使い方のポイント
・直射日光の当たらない明るい場所で
・低い倍率から始める
・横から見ながら対物レンズを近づける
・のぞきながら遠ざけてピントを合わせる
近づけながら合わせると、プレパラートを割ってしまうので注意です。

2種類の花

花には、大きく2つのタイプがあります。

【両性花】 1つの花に、おしべもめしべもある → アサガオ、サクラ、アブラナ 【単性花】 おばな と めばな に分かれている → ヘチマ、カボチャ、トウモロコシ

ヘチマが実験によく使われるのは、単性花だからです。

ヘチマの場合 おばな … おしべだけ。実はならない めばな … めしべだけ。根元がふくらんでいる (子房がある) → めばなを袋で包めば、 確実に受粉を防げる

両性花だと、同じ花の中で受粉してしまうことがあります。単性花なら、受粉の有無をはっきり分けられるのです。

実験には、目的に合った材料を選ぶことが大切です。これも科学の方法の一部です。

実と種子のゆくえ

受粉して実ができたら、それで終わりではありません。

実には、種子を運ぶという役割があります。

おいしい実 → 動物に食べてもらう → 種子はふんと一緒に遠くへ 例:サクランボ、カキ、ナンテン → 種子は消化されずに残るしくみ

果物があまいのは、動物に食べてもらうためです。人間のために作られたわけではありません。

実の形にも工夫があります。

・羽がある → 風で飛ぶ(カエデ) ・とげがある → 動物にくっつく(オナモミ) ・軽くて浮く → 水で運ばれる(ヤシ) ・はじける → 自分で飛ばす(ホウセンカ)

すべて種子を遠くへ運ぶための工夫です。

そして、運ばれた種子が発芽して、また花を咲かせる。植物の一生がめぐっていくのです。

この単元は、前の「発芽と成長」とつながっています。種子ができる → 発芽する → 成長する → 花が咲く → 種子ができる。ひとつの輪になっているのです。

受粉と食べ物

受粉のしくみは、わたしたちの食べ物と深く関わっています。

受粉しないと できないもの リンゴ、ナシ、モモ、サクランボ イチゴ、メロン、スイカ トマト、ナス、キュウリ アーモンド、大豆 → 世界の作物の約3分の1が 虫の受粉に頼っている

もし虫がいなくなったら、これらの食べ物が手に入らなくなります

だから、農家ではミツバチを借りてくることがあります。ハウスの中にミツバチの巣箱を置いて、受粉させるのです。

手で受粉させることもあります。人工授粉といい、筆で花粉をめしべにつけていきます。手間はかかりますが、確実に実をつけさせられます。

近年、世界的にミツバチが減っていることが問題になっています。原因は農薬、病気、環境の変化などと言われますが、はっきり分かっていません。

虫は「害虫」というイメージを持たれがちですが、受粉を助ける大切な存在でもあります。花のしくみを知ると、そのつながりが見えてきます。

つまずきやすいところ

その1 おしべとめしべを取りちがえる

どちらがどちらか分からなくなる。
めしべは中心に1本、おしべはそのまわりに何本もあります。根元がふくらんでいるのがめしべです。

その2 実がどこからできるか分からない

花びらが実になると考える。
子房(めしべの根元)が実になります。花びらやおしべは、役目を終えると落ちます。

その3 けんび鏡でピントが合わない

操作の順序が分からない。
横から見て近づけ、のぞきながら遠ざけるのが基本です。近づけながら合わせると割れます。

やってみよう

Q1 花の4つの部分を外側から言いましょう。

A がく、花びら、おしべ、めしべの順です。中心にあるのがめしべです。

Q2 受粉とは何ですか。

A おしべの花粉がめしべの柱頭につくことです。受粉しないと実はできません。

Q3 実になるのはどの部分ですか。

A めしべの根元にある子房です。中の胚珠が種子になります。

Q4 身近な花を分解して、4つの部分を確かめてみましょう。

A アブラナやツツジは分解しやすい花です。ピンセットがあると便利です。

まとめ

おうちの方へ

この単元は、実物を使った観察が最も効果的です。花を分解して4つの部分を確かめる活動は、教科書の図を見るのとはまったくちがう理解をもたらします。
アブラナ、ツツジ、ユリなどは分解しやすく、観察に向いています。ピンセットと虫めがねがあると、より詳しく見られます。
「花びらは虫を呼ぶためにある」という視点は、子どもにとって新鮮です。「じゃあ、風で運ぶ花は?」と発展させると、スギやイネの地味な花に気づけます。
果物を食べるとき、「これはどこの部分?」「種はどこ?」と話題にするのもおすすめです。実と種子の関係が、日常の中で理解できます。
けんび鏡は学校のものを使うことが多いですが、家庭用の簡易なものでも花粉は十分観察できます。