命が作られていく過程を、自分の目で見られる数少ない機会です。
メダカの観察は、おすとめすを見分けることから始まります。
見分けるポイントはひれの形です。
| ひれ | おす | めす |
|---|---|---|
| 背びれ | 切れこみがある | 切れこみがない |
| しりびれ | 大きく平行四辺形に近い | 小さく三角形に近い |
とくに背びれの切れこみが分かりやすい特徴です。
なぜおすのしりびれが大きいのでしょうか。産卵のときにめすに寄りそうためだと考えられています。すべての形には理由があるのです。
飼うときは、おすとめすを両方入れる必要があります。片方だけでは卵は生まれません。
めすが産んだ卵に、おすが精子をかけることを受精といいます。
重要なのは、受精しない卵は育たないということです。
これは、花の受粉と同じ考え方です。
| 植物 | メダカ | |
|---|---|---|
| おす側 | 花粉 | 精子 |
| めす側 | 胚珠 | 卵 |
| 結びつく | 受粉→受精 | 受精 |
| できるもの | 種子 | 受精卵 |
植物も動物も、同じしくみで命をつないでいるのです。これは大きな発見です。
メダカの卵には、細い毛のようなものがついています。これは水草にからみつくためのもので、流されないようにする工夫です。
受精卵は、約2週間で子メダカになります。その間の変化を追えるのが、この単元の面白さです。
| 日数 | ようす |
|---|---|
| 直後 | 透明な球。中に油のつぶが見える |
| 1日目 | 細胞が分かれていく |
| 2〜3日目 | 体のもとになる部分ができる |
| 4〜5日目 | 目がはっきり見える/心臓が動き始める |
| 6〜8日目 | 血液の流れが見える/体が動く |
| 9〜11日目 | 体の形が整う/黒い模様が出る |
| 約12〜14日目 | 卵の膜を破って出てくる |
いちばん感動的なのは、4〜5日目に心臓が動き始める瞬間です。
小さな透明な卵の中で、点のような心臓がドクドクと動いている。これが命だと実感できる場面です。
そして、血液の流れも見えます。体の中を赤いつぶが流れていくのが、けんび鏡ではっきり分かります。
卵からかえったばかりの子メダカは、2〜3日えさを食べません。
おなかにふくらみがあり、そこに養分が残っているからです。これを卵黄のうといいます。
植物の子葉と同じで、最初の養分は親からもらったものです。
それを使い切ってから、自分でえさを食べ始めます。
だから、生まれてすぐにえさを与えても食べません。水を汚すだけなので、少し待ちましょう。
卵の観察には、そう眼実体けんび鏡やけんび鏡を使います。
⑥と⑦の順序が重要です。近づけるときは横から見る。のぞきながら近づけると、レンズがプレパラートに当たって割れてしまいます。
探してから拡大するのが正しい手順です。
また、けんび鏡で見ると上下左右が逆になります。動かしたい方向と逆にプレパラートを動かす必要があるので、慣れるまで戸惑います。
観察を続けるには、メダカを健康に飼う必要があります。
とくに卵を別にするのが重要です。メダカは自分が産んだ卵でも食べてしまいます。
そして、えさのやりすぎに注意してください。食べ残しが水を汚し、メダカが弱る原因になります。
生き物を飼うことは、命を預かることです。観察が終わったら、責任を持って世話を続けるか、適切な場所に返す必要があります。野生のいない場所に放すと、生態系を乱すので絶対にやめましょう。
メダカは、一度に数十個の卵を産みます。そして、それを何日も繰り返します。
なぜそんなにたくさん産むのでしょうか。
生き残る確率が低いので、数を多く産むという戦略です。
これは、多くの魚や虫に共通しています。マンボウは一度に3億個もの卵を産むと言われます。それでも数が増えすぎないのは、ほとんどが生き残れないからです。
逆の戦略もあります。
たくさん産むか、大切に育てるか。生き物によって、選んだ方法がちがうのです。
どちらが優れているということはありません。それぞれの暮らし方に合った方法を、長い時間をかけて身につけてきたのです。
ひれの形が分からない。
背びれの切れこみがいちばん分かりやすい特徴です。上から見ると確かめやすくなります。
のぞきながら近づけてしまう。
レンズを寄せる作業は必ず目を離して横から確認します。ピント合わせは遠ざけながらです。
食べないので水が汚れる。
子メダカは2〜3日は食べません。おなかの養分を使い切ってからです。
Q1 メダカのおすとめすを見分けるポイントは?
A 背びれの切れこみとしりびれの形です。おすの背びれには切れこみがあります。
Q2 受精とは何ですか。
A 卵と精子が結びつくことです。受精しない卵は育ちません。
Q3 卵の中で心臓が動き始めるのは何日目ごろですか。
A 4〜5日目ごろです。目もはっきり見えるようになります。
Q4 メダカを飼って、卵の変化を毎日記録してみましょう。
A 日付とスケッチを残すと、変化がよく分かります。写真も併用すると確実です。
メダカの観察は、命が作られる過程を実際に目で見られる貴重な体験です。教科書の写真では伝わらない感動があります。
とくに、卵の中で心臓が動き出す瞬間は強い印象を残します。可能であれば、家庭でも飼育して毎日観察させてあげてください。
飼育のポイントは水です。水道水をそのまま使うと塩素でメダカが弱ります。バケツに1日置いておくだけで大丈夫です。
えさのやりすぎも典型的な失敗です。「かわいそうだから」とたくさん与えると、かえって水を汚して死なせてしまいます。
そして、命を預かる責任についても話し合ってください。観察が終わった後どうするか。飼い続けるのか、誰かに譲るのか。安易に自然へ放すのは、生態系を乱すため避けるべきです。