ふつうの磁石とちがい、必要なときだけ磁石になる。それが電磁石です。
3年生で磁石を学びました。4年生で電流を学びました。5年生では、その2つがつながります。
電気と磁石は関係がある。これは大発見でした。
1820年、デンマークの科学者エルステッドが、偶然この現象を見つけました。実験中、導線のそばに置いた方位磁針が動いたのです。
それまで、電気と磁石はまったく別のものだと考えられていました。この発見が、その後のモーターや発電機につながっていきます。
電磁石とふつうの磁石(永久磁石)を比べてみましょう。
| 永久磁石 | 電磁石 | |
|---|---|---|
| 磁力 | いつもある | 電流を流したときだけ |
| 強さ | 変えられない | 変えられる |
| N極とS極 | 決まっている | 入れかえられる |
| 共通点 | N極とS極がある/鉄を引きつける/同じ極は反発 | |
電磁石の強みは、3つのことを自由にできることです。
この自由さが、機械に使われる理由です。永久磁石ではできないことが、電磁石ならできます。
電磁石の強さは、実験で調べられます。
ここで重要な注意点があります。
巻数を比べる実験では、導線の全長を同じにする必要があります。
200回巻きのほうが導線を多く使うと、導線が長くなって電流が流れにくくなります。すると、2つの条件(巻数と導線の長さ)が変わってしまいます。
だから、100回巻きのほうは余った導線をそのままつないでおくのです。
これも条件制御です。「見えないところで条件がずれていないか」を確かめるのが、正しい実験の姿勢です。
まとめると、こうなります。
電磁石にもN極とS極があります。
調べるには、方位磁針を使います。
そして、電流の向きを逆にすると、極も逆になります。
この性質が、モーターのしくみの中心です。
タイミングよく極を切りかえることで、回転が続くのです。
4年生で「モーターは電流の向きで回る向きが変わる」と学びました。その理由が、ここで分かります。
電磁石は、想像以上に多くのものに使われています。
| もの | 電磁石の使われ方 |
|---|---|
| モーター | 回転を生み出す |
| スピーカー | 電流で振動板を動かす |
| クレーン(鉄くず用) | 持ち上げて、切って落とす |
| インターホン・ベル | 音を鳴らす |
| リニアモーターカー | 浮かせて走らせる |
| 自動ドア | モーターで開閉 |
| ハードディスク | データの読み書き |
とくに鉄くず用のクレーンは、電磁石でなければできない仕事です。
「オンとオフができる」という電磁石の強みが、そのまま役立っています。
そして、モーターはほとんどの電気製品に入っています。洗濯機、冷蔵庫、扇風機、掃除機、電気自動車。数えきれません。
電磁石の発見がなければ、今の便利な生活はなかったのです。
電磁石は、簡単に作れます。
ポイントは③のエナメルをけずることです。
エナメル線の表面には、電気を通さない塗料が塗ってあります。これをけずらないと電流が流れません。
なぜ塗ってあるのでしょうか。となり合う導線どうしがふれても、そこで電流が近道しないようにするためです。塗料があるから、電流はコイルの形に沿って流れます。
実験が終わったら、すぐに電池を外すようにしましょう。
つないでも電磁石にならない。
エナメル線の端は紙やすりでけずる必要があります。塗料が電気を通さないためです。
条件が2つ変わってしまう。
導線の全長を同じにします。余った分はつないだままにしておきます。
導線が熱くなり、電池もすぐなくなる。
実験のときだけ電流を流し、終わったら外す。安全のためにも重要です。
Q1 電磁石と永久磁石のいちばんのちがいは?
A 電磁石は電流を流したときだけ磁石になることです。オンとオフができます。
Q2 電磁石を強くする方法を2つ言いましょう。
A 電流を強くするとコイルの巻数を増やすです。
Q3 電流の向きを逆にすると、何が変わりますか。
A N極とS極が入れかわります。これがモーターが回るしくみの基本です。
Q4 くぎとエナメル線で電磁石を作ってみましょう。
A 同じ向きに巻き、端のエナメルをけずります。何個クリップがつくか数えてみてください。
Q5 鉄くず用のクレーンに永久磁石が使えないのはなぜですか。
A くっついたものを離せなくなるからです。電磁石なら電流を切るだけで落とせます。
この単元は、3年生の磁石と4年生の電流を統合する内容です。学んできたことがつながる、理科の醍醐味を味わえる単元でもあります。
電磁石づくりは、家庭でも十分できる実験です。エナメル線と鉄くぎがあれば作れます。クリップが何個つくか数えるだけで、条件による強さのちがいが分かります。
エナメルをけずるという一手間は、多くの子がつまずくポイントです。「なぜ塗ってあるのか」まで考えると、コイルのしくみへの理解が深まります。
身のまわりの電磁石探しもおすすめです。モーターが入っているものを数えると、その多さに驚きます。
なお、実験では電池を長時間つないだままにしないよう、安全面の声かけをお願いします。導線が熱くなることがあります。