5年 理科 電流と電磁石

電流と電磁石 ── スイッチで磁石を作ったり消したりできる

ふつうの磁石とちがい、必要なときだけ磁石になる。それが電磁石です。

電流が磁石を作る

3年生で磁石を学びました。4年生で電流を学びました。5年生では、その2つがつながります

導線に電流を流すと → そのまわりに磁力が発生する 導線をぐるぐる巻いて コイルにすると → 磁力が集まって強くなる コイルの中に鉄の棒(鉄心)を入れると → さらに強い磁石になる → これが 電磁石

電気と磁石は関係がある。これは大発見でした。

1820年、デンマークの科学者エルステッドが、偶然この現象を見つけました。実験中、導線のそばに置いた方位磁針が動いたのです。

それまで、電気と磁石はまったく別のものだと考えられていました。この発見が、その後のモーターや発電機につながっていきます。

永久磁石とのちがい

電磁石とふつうの磁石(永久磁石)を比べてみましょう。

永久磁石電磁石
磁力いつもある電流を流したときだけ
強さ変えられない変えられる
N極とS極決まっている入れかえられる
共通点N極とS極がある/鉄を引きつける/同じ極は反発

電磁石の強みは、3つのことを自由にできることです。

① 磁石にしたり、しなかったりできる → スイッチで切りかえ ② 強さを変えられる → 電流や巻数で調節 ③ N極とS極を入れかえられる → 電流の向きを変えるだけ

この自由さが、機械に使われる理由です。永久磁石ではできないことが、電磁石ならできます。

強さを変える2つの方法

電磁石の強さは、実験で調べられます。

方法1:電流を強くする

実験 A:かん電池1個 B:かん電池2個(直列) → 他の条件は同じにする (コイルの巻数、鉄心、導線の長さ) 結果:Bのほうがたくさんクリップがつく → 電流が強いほど、電磁石も強い

方法2:コイルの巻数を増やす

実験 A:100回巻き B:200回巻き → 電池の数は同じにする 結果:Bのほうが強い → 巻数が多いほど、電磁石も強い

ここで重要な注意点があります。

導線の長さをそろえる

巻数を比べる実験では、導線の全長を同じにする必要があります。
200回巻きのほうが導線を多く使うと、導線が長くなって電流が流れにくくなります。すると、2つの条件(巻数と導線の長さ)が変わってしまいます。
だから、100回巻きのほうは余った導線をそのままつないでおくのです。
これも条件制御です。「見えないところで条件がずれていないか」を確かめるのが、正しい実験の姿勢です。

まとめると、こうなります。

電磁石を強くするには ・電流を強くする(電池を直列に増やす) ・コイルの巻数を増やす ・鉄心を太くする

N極とS極を調べる

電磁石にもN極とS極があります。

調べるには、方位磁針を使います。

方位磁針を近づける 方位磁針のN極が引きつけられた → その側は電磁石のS極 方位磁針のN極が反発した → その側は電磁石のN極

そして、電流の向きを逆にすると、極も逆になります

電池の向きを反対にする → N極とS極が入れかわる → 永久磁石にはできないこと

この性質が、モーターのしくみの中心です。

モーターのしくみ(簡単に) ① 電磁石と永久磁石を向かい合わせる ② 引き合って回る ③ 半回転したところで電流の向きを変える ④ 極が逆になって、また引き合う ⑤ 回り続ける

タイミングよく極を切りかえることで、回転が続くのです。

4年生で「モーターは電流の向きで回る向きが変わる」と学びました。その理由が、ここで分かります。

身のまわりの電磁石

電磁石は、想像以上に多くのものに使われています。

もの電磁石の使われ方
モーター回転を生み出す
スピーカー電流で振動板を動かす
クレーン(鉄くず用)持ち上げて、切って落とす
インターホン・ベル音を鳴らす
リニアモーターカー浮かせて走らせる
自動ドアモーターで開閉
ハードディスクデータの読み書き

とくに鉄くず用のクレーンは、電磁石でなければできない仕事です。

なぜ永久磁石ではだめか 永久磁石だと… → くっついたら離せない → はがすのに大変な力が要る 電磁石なら → 電流を切れば、すぐ落ちる → 運んで、置く場所で切るだけ

「オンとオフができる」という電磁石の強みが、そのまま役立っています。

そして、モーターはほとんどの電気製品に入っています。洗濯機、冷蔵庫、扇風機、掃除機、電気自動車。数えきれません。

電磁石の発見がなければ、今の便利な生活はなかったのです。

電磁石を作ってみる

電磁石は、簡単に作れます。

材料 ・エナメル線(ホルマル線) ・鉄くぎ(太めのもの) ・かん電池 ・紙やすり 作り方 ① くぎにエナメル線を同じ向きに巻く ② 両端を10cmほど残す ③ 端のエナメルを紙やすりでけずる ④ かん電池につなぐ

ポイントは③のエナメルをけずることです。

エナメル線の表面には、電気を通さない塗料が塗ってあります。これをけずらないと電流が流れません

なぜ塗ってあるのでしょうか。となり合う導線どうしがふれても、そこで電流が近道しないようにするためです。塗料があるから、電流はコイルの形に沿って流れます。

注意点 ・巻くときは同じ向きに → 逆向きに巻くと磁力が打ち消し合う ・長時間電流を流さない → 導線が熱くなる → 電池も早くなくなる ・かん電池だけをつながない → ショートして危険

実験が終わったら、すぐに電池を外すようにしましょう。

つまずきやすいところ

その1 エナメルをけずらない

つないでも電磁石にならない。
エナメル線の端は紙やすりでけずる必要があります。塗料が電気を通さないためです。

その2 巻数の実験で導線の長さがちがう

条件が2つ変わってしまう。
導線の全長を同じにします。余った分はつないだままにしておきます。

その3 電流を流しっぱなしにする

導線が熱くなり、電池もすぐなくなる。
実験のときだけ電流を流し、終わったら外す。安全のためにも重要です。

やってみよう

Q1 電磁石と永久磁石のいちばんのちがいは?

A 電磁石は電流を流したときだけ磁石になることです。オンとオフができます。

Q2 電磁石を強くする方法を2つ言いましょう。

A 電流を強くするコイルの巻数を増やすです。

Q3 電流の向きを逆にすると、何が変わりますか。

A N極とS極が入れかわります。これがモーターが回るしくみの基本です。

Q4 くぎとエナメル線で電磁石を作ってみましょう。

A 同じ向きに巻き、端のエナメルをけずります。何個クリップがつくか数えてみてください。

Q5 鉄くず用のクレーンに永久磁石が使えないのはなぜですか。

A くっついたものを離せなくなるからです。電磁石なら電流を切るだけで落とせます。

まとめ

おうちの方へ

この単元は、3年生の磁石と4年生の電流を統合する内容です。学んできたことがつながる、理科の醍醐味を味わえる単元でもあります。
電磁石づくりは、家庭でも十分できる実験です。エナメル線と鉄くぎがあれば作れます。クリップが何個つくか数えるだけで、条件による強さのちがいが分かります。
エナメルをけずるという一手間は、多くの子がつまずくポイントです。「なぜ塗ってあるのか」まで考えると、コイルのしくみへの理解が深まります。
身のまわりの電磁石探しもおすすめです。モーターが入っているものを数えると、その多さに驚きます。
なお、実験では電池を長時間つないだままにしないよう、安全面の声かけをお願いします。導線が熱くなることがあります。