5年 理科 もののとけ方

もののとけ方 ── 見えなくなっても、なくなっていない

砂糖を水に入れると、見えなくなります。でも消えたわけではありません

「とける」とはどういうことか

食塩を水に入れてかき混ぜると、姿が見えなくなります。これを「とける」といいます。

とけてできた液を水溶液といいます。水溶液には、はっきりした特徴があります。

水溶液の3つの特徴 ① 透明である(色がついていてもよい) ② つぶが見えない ③ 時間がたっても分かれない (下にたまらない)

「透明」と「無色」はちがいます。色つきでも、向こうが透けて見えれば透明です。

水溶液である例 食塩水、砂糖水、うすい塩酸 硫酸銅水溶液(青色だが透明) 水溶液でない例 牛乳(にごっている) どろ水(つぶが見え、時間で分かれる) 泥水を静かに置いた上ずみ? → にごりが残れば水溶液ではない

見分け方は、光を通すか放置して分かれるかです。

とけても重さは変わらない

ここで重要な実験をします。

水50g + 食塩5g とかす前: 55g とかした後: ? → 55g(変わらない!)

とけても重さは変わりません。これは大切な発見です。

なぜでしょうか。食塩がなくなったのではなく、水の中に散らばっただけだからです。

とけるとは 目に見えないほど小さなつぶになって 水の中に均一に広がること → つぶ自体はなくなっていない → だから重さも変わらない

この「形が変わっても全体の重さは変わらない」という考え方は、理科の基本原則です。中学以降、繰り返し使います。

実験するときの注意点があります。

正しい実験のしかた ・ふたをして測る (蒸発を防ぐ) ・容器ごと測る ・とかす前と後で同じ条件 → 開けたまま測ると 水が蒸発して軽くなる

条件をそろえないと、正しい結果が出ません。ここでも条件制御の考え方が生きています。

とける量には限りがある

食塩をどんどん入れていくと、やがてとけなくなります

50mLの水に食塩を入れ続けると 少しずつとける ↓ 約18gでとけなくなる ↓ 底に残る

このとける限界の量を溶解度といいます。

溶解度は、2つのことで変わります

① 水の量 水が2倍 → とける量も2倍 (比例する) ② 水の温度 温度によって変わる ただし、物によってちがう

②が面白いところです。物によって温度の影響がまったくちがうのです。

水温食塩ミョウバン
20℃約36g約11g
40℃約36g約24g
60℃約37g約57g

※水100gあたりの量

食塩はほとんど変わりません。温度を上げても、とける量はわずかしか増えないのです。

一方、ミョウバンは大きく増えます。60℃では20℃の5倍以上とけます。

この差が、次の「取り出す方法」につながります。

とけたものを取り出す

水溶液から、とけたものを取り出す方法は2つあります。

方法1:水を蒸発させる

水溶液を加熱する → 水が水蒸気になって出ていく → とけていたものが残る → どんな物にも使える

海水から塩を作る塩田は、この方法です。太陽と風の力で水を蒸発させます。

方法2:温度を下げる

熱い水にたくさんとかす → 冷やす → とける量が減る → とけきれない分が つぶになって出てくる

ただし、この方法が使えるのは温度で溶解度が変わる物だけです。

ミョウバン → 冷やすとたくさん出てくる ○ 食塩 → 冷やしてもほとんど出てこない × → 蒸発させるしかない

出てきたつぶを結晶といいます。ミョウバンの結晶は、きれいな形をしています。

そして、とけ残ったものと液を分けるにはろ過を使います。

ろ過のしかた ・ろ紙を折って、ろうとにつける ・ろ紙を水でぬらして密着させる ・ガラス棒を伝わせて注ぐ ・ろうとの先はビーカーの 内側につける

ガラス棒を使うのは、液がはねるのを防ぐためです。ろうとの先を内側につけるのも、しずくが飛び散らないようにする工夫です。

結晶を作ってみよう

ミョウバンの結晶づくりは、家庭でもできる面白い実験です。
① お湯にミョウバンをとけるだけとかす
② ゆっくり冷ます(急に冷やすと小さい結晶ばかりになる)
③ 出てきた小さな結晶を1つ選ぶ
④ 糸でつるして、新しい飽和水溶液に入れる
⑤ 何日も待つ
ゆっくり時間をかけるほど、大きくきれいな結晶ができます。
ミョウバンはスーパーの漬物コーナーで手に入ります。

身のまわりの水溶液

水溶液は、生活のあちこちにあります。

ものとけているもの
海水塩など
しょうゆ・スープ塩、うまみ成分
炭酸水二酸化炭素(気体)
お茶・コーヒー茶葉やコーヒーの成分
点滴塩分、糖分
川の水ミネラル(少量)

注目したいのが炭酸水です。とけているのは気体なのです。

気体のとけ方は逆 固体 … 温度が高いほどよくとける 気体 … 温度が低いほどよくとける → 炭酸飲料は冷やすと 気が抜けにくい → 温かいと泡が出やすい

魚が水中で生きられるのも、酸素が水にとけているからです。夏に水温が上がると酸素が減り、魚が苦しくなります。

川の水が飲めるのも、逆に飲めない場合があるのも、何がとけているかによります。理科の知識は、こうした判断にもつながります。

濃さを考える

同じ食塩水でも、濃さがちがうことがあります。

A:水100gに食塩10g B:水100gに食塩20g → Bのほうが濃い

濃さは、割合で表せます。5年生の算数で学んだ考え方が使えます。

濃さ(%)= とけているものの重さ ÷ 水溶液全体の重さ × 100 A: 10 ÷ 110 × 100 = 約9% B: 20 ÷ 120 × 100 = 約17%

注意点は、わるのは「水の重さ」ではなく「水溶液全体の重さ」だということです。とけた分も含めた全体で考えます。

そして、水溶液の重要な性質があります。

水溶液の濃さは、どこでも同じ 上のほうも、下のほうも、 横のほうも、同じ濃さ → 均一に広がっているから → だから時間がたっても分かれない

これが、水溶液とにごった液のちがいです。どろ水は放っておくと下に沈みますが、水溶液は永久に混ざったままです。

海水の塩分濃度は約3.4%です。これは世界中どこの海でもだいたい同じで、深いところでも変わりません。とけたものは均一に広がるという性質が、地球規模で成り立っているのです。

つまずきやすいところ

その1 とけると軽くなると思う

見えなくなったから減ったと考える。
重さは変わりません。小さくなって散らばっただけです。実験で確かめられます。

その2 水溶液の定義があいまい

牛乳を水溶液だと考える。
透明で、つぶが見えず、分かれないのが水溶液です。牛乳はにごっているので該当しません。

その3 取り出し方を使い分けられない

食塩を冷やして取り出そうとする。
食塩は温度で溶解度が変わらないので、蒸発させます。ミョウバンなら冷やす方法が使えます。

やってみよう

Q1 水溶液の3つの特徴を言いましょう。

A 透明・つぶが見えない・時間がたっても分かれないことです。

Q2 食塩を水にとかすと、全体の重さはどうなりますか。

A 変わりません。とけたものは消えたのではなく、散らばっただけです。

Q3 とける量を増やす方法を2つ言いましょう。

A 水の量を増やす温度を上げる。ただし食塩は温度の効果がほとんどありません。

Q4 ミョウバンで結晶を作ってみましょう。

A 熱いお湯にとかし、ゆっくり冷やします。時間をかけるほど大きな結晶ができます。

まとめ

おうちの方へ

この単元は、実験の楽しさが際立つ内容です。とくに結晶づくりは、多くの子が夢中になります。
ミョウバンはスーパーで手に入り、家庭でも安全に実験できます。大きな結晶を作るには時間がかかりますが、その待つ時間も学習です。
「とけても重さは変わらない」という原則は、中学の化学につながる重要な考え方です。実際に台ばかりで測ってみると、納得が深まります。
身のまわりの水溶液を探すのも良い活動です。「これは水溶液?」と考えると、透明かどうか、分かれるかどうかを判断する目が育ちます。
炭酸飲料の話(冷やすと気が抜けにくい)は、日常の経験と結びつく面白い題材です。「気体は冷たいほうがよくとける」という、固体とは逆の性質に驚くはずです。