「宿」「宿泊」「ホテル」。似た意味なのに、使う場面がちがうのはなぜでしょうか。
日本語の言葉は、どこから来たかで3つに分けられます。
| 種類 | 由来 | 特徴 | 例 |
|---|---|---|---|
| 和語 | もともとの日本語 | 訓読み・やわらかい | やま、かわ、たべる |
| 漢語 | 中国から | 音読み・かたい | 山岳、河川、食事 |
| 外来語 | 欧米などから | カタカナ・新しい | マウンテン、リバー |
和語は、漢字が伝わる前から日本にあった言葉です。「やま」「かわ」「うみ」など、生活に密着したものが多くあります。
漢語は、千数百年前に中国から入ってきました。音読みで読む言葉です。「学校」「勉強」「電気」など、多くの熟語がこれにあたります。
外来語は、主に室町時代以降にヨーロッパやアメリカから入ってきました。カタカナで書きます。
そして、3つが混ざった混種語もあります。
日本語は、いろいろな言葉を取り入れて作られてきたのです。
3つを見分けるのは、それほど難しくありません。
いちばん確実なのは、音読みか訓読みかを見ることです。
なぜ音読みは意味が分かりにくいのでしょうか。中国語の発音をまねたものだからです。
訓読みは、その漢字の意味にもとからあった日本語を当てたものです。だから聞いて分かるのです。
同じ意味でも、種類によって受ける感じがちがいます。
| 和語 | 漢語 | 外来語 |
|---|---|---|
| やど | 宿泊施設 | ホテル |
| あつまり | 集会 | ミーティング |
| たべもの | 食物 | フード |
| はやさ | 速度 | スピード |
| やくそく | 契約 | アポイント |
| かんがえ | 思想 | アイデア |
並べてみると、受ける印象のちがいがはっきりします。
だから、場面によって使い分けるのです。
同じことを言っているのに、雰囲気がまったくちがいます。
これは、敬語の使い分けと似ています。相手と場面に合わせて言葉を選ぶということです。
どんなときに、どれを使うとよいのでしょうか。
とくに漢語は短くできるという長所があります。
駅の案内やお店の表示に漢語が多いのは、短くて分かりやすいからです。
外来語は便利ですが、使いすぎると伝わらなくなります。
「コンセンサスを得てからコミットする」
→「合意を得てから約束する」
のほうが、多くの人に伝わります。
とくに、お年寄りや小さな子には通じないことがあります。公共の案内では、外来語を言いかえる取り組みも進んでいます。
「相手に伝わるか」を考えて選ぶこと。それが言葉を使う責任です。
外来語には、いろいろな国から来たものがあります。
| もとの国 | 言葉の例 |
|---|---|
| ポルトガル | パン、カステラ、ボタン、てんぷら |
| オランダ | ガラス、コーヒー、ランドセル、ペンキ |
| ドイツ | アルバイト、エネルギー、ワクチン |
| フランス | アトリエ、クレヨン、デッサン |
| イタリア | パスタ、オペラ、テンポ |
| 英語 | 非常に多数 |
意外なものが多いのではないでしょうか。「てんぷら」「かるた」「たばこ」もポルトガル語由来です。
とくに「ランドセル」は面白い例です。オランダ語の「ransel(背のう)」がもとで、日本で独自に発展しました。今では日本にしかないものです。
逆に、日本語が外国語になったものもあります。
言葉は国境を越えて行き来しているのです。
そして、外来語が日本で意味を変えることもあります。
こうした和製英語は、外国では通じないので注意が必要です。
疑問がわくかもしれません。同じ意味の言葉が3種類もあるのは、むだではないでしょうか。
そうではありません。選べることが豊かさなのです。
とくにくり返しをさけるのは、文章を書くうえで重要です。
また、微妙なちがいを表せることも大きな利点です。
完全に同じ意味の言葉というのは、実はほとんどありません。どこかに使い分けの理由があるのです。
語彙が増えるということは、表現の選択肢が増えるということ。そのぶん、伝えたいことを正確に伝えられるようになります。
「山」を漢語だと判断する。
読み方で決まります。「やま」なら和語、「サン」なら漢語です。
擬音語のカタカナも外来語だと考える。
「ドキドキ」「ザーザー」は和語です。カタカナで書くのは、音を強調するためです。
いつも同じ調子で書いてしまう。
相手と場面を考えます。子ども向けなら和語、正式な文書なら漢語が合います。
Q1 和語・漢語・外来語の見分け方は?
A 訓読みなら和語、音読みなら漢語、カタカナなら外来語が基本です。
Q2 それぞれどんな印象を与えますか。
A 和語はやわらかい、漢語はかたく正式、外来語は新しく軽やかな印象です。
Q3 「歯ブラシ」は何語ですか。
A 和語(歯)+外来語(ブラシ)の混種語です。
Q4 同じ意味の和語・漢語・外来語の組を、3つ見つけてみましょう。
A 「はやさ・速度・スピード」など。並べると印象のちがいがよく分かります。
この単元は、語彙力と表現力を同時に伸ばせる内容です。同じ意味の言葉を3種類知っていれば、場面に応じて選べるようになります。
おすすめの活動は、言いかえ探しです。「集まり・集会・ミーティング」のように、3つそろう組を探してみる。辞書やインターネットを使うと、いくらでも見つかります。
外来語の由来調べも面白い題材です。「パン」がポルトガル語、「ランドセル」がオランダ語という事実は、子どもにとって驚きです。歴史の学習ともつながります。
和製英語の話は、実用的でもあります。海外で通じない言葉を知っておくと、将来役に立ちます。
「相手に伝わる言葉を選ぶ」という視点は、この単元でぜひ伝えたい価値観です。難しい言葉を使うことが偉いのではありません。