5年 国語 和語・漢語・外来語

和語・漢語・外来語 ── 同じ意味でも、受ける印象がちがう

「宿」「宿泊」「ホテル」。似た意味なのに、使う場面がちがうのはなぜでしょうか。

日本語は3つの層でできている

日本語の言葉は、どこから来たかで3つに分けられます。

種類由来特徴
和語もともとの日本語訓読み・やわらかいやま、かわ、たべる
漢語中国から音読み・かたい山岳、河川、食事
外来語欧米などからカタカナ・新しいマウンテン、リバー

和語は、漢字が伝わる前から日本にあった言葉です。「やま」「かわ」「うみ」など、生活に密着したものが多くあります。

漢語は、千数百年前に中国から入ってきました。音読みで読む言葉です。「学校」「勉強」「電気」など、多くの熟語がこれにあたります。

外来語は、主に室町時代以降にヨーロッパやアメリカから入ってきました。カタカナで書きます。

そして、3つが混ざった混種語もあります。

混種語の例 歯ブラシ … 和語+外来語 消しゴム … 和語+外来語 電子レンジ … 漢語+外来語 カラー写真 … 外来語+漢語

日本語は、いろいろな言葉を取り入れて作られてきたのです。

見分け方

3つを見分けるのは、それほど難しくありません。

外来語 … カタカナで書かれている (ただし、たばこ・かるたなど例外も) 漢語 … 漢字を音読みする 「学校(ガッコウ)」「読書(ドクショ)」 和語 … 漢字を訓読みする、ひらがな 「山(やま)」「読む(よむ)」

いちばん確実なのは、音読みか訓読みかを見ることです。

音読み … 聞いただけでは意味が分かりにくい 「サン」「ドク」「ガク」 訓読み … 聞けば意味が分かる 「やま」「よむ」「まなぶ」

なぜ音読みは意味が分かりにくいのでしょうか。中国語の発音をまねたものだからです。

訓読みは、その漢字の意味にもとからあった日本語を当てたものです。だから聞いて分かるのです。

印象がちがう

同じ意味でも、種類によって受ける感じがちがいます

和語漢語外来語
やど宿泊施設ホテル
あつまり集会ミーティング
たべもの食物フード
はやさ速度スピード
やくそく契約アポイント
かんがえ思想アイデア

並べてみると、受ける印象のちがいがはっきりします。

和語 … やわらかい、親しみやすい、日常的 漢語 … かたい、正式、専門的 外来語 … 新しい、おしゃれ、軽い

だから、場面によって使い分けるのです。

友だちとの会話 「明日、集まろう」(和語) 学級会 「明日、集会を開きます」(漢語) イベントの案内 「明日、ミーティングします」(外来語)

同じことを言っているのに、雰囲気がまったくちがいます

これは、敬語の使い分けと似ています。相手と場面に合わせて言葉を選ぶということです。

使い分けの実際

どんなときに、どれを使うとよいのでしょうか。

【和語がよい場面】 ・子ども向けの説明 ・親しみを伝えたいとき ・やさしく言いたいとき 「お知らせ」「はじめに」「たしかめよう」
【漢語がよい場面】 ・正式な文書 ・専門的な内容 ・短くまとめたいとき 「通知」「序論」「確認」
【外来語がよい場面】 ・新しい概念 ・日本語にない言葉 ・軽やかな印象にしたいとき 「スマートフォン」「エネルギー」

とくに漢語は短くできるという長所があります。

和語:「みんなが同じ考えになること」 漢語:「合意」 → 漢語のほうがはるかに短い → 見出しや標識に向いている

駅の案内やお店の表示に漢語が多いのは、短くて分かりやすいからです。

外来語の使いすぎに注意

外来語は便利ですが、使いすぎると伝わらなくなります
「コンセンサスを得てからコミットする」
→「合意を得てから約束する」
のほうが、多くの人に伝わります。
とくに、お年寄りや小さな子には通じないことがあります。公共の案内では、外来語を言いかえる取り組みも進んでいます。
「相手に伝わるか」を考えて選ぶこと。それが言葉を使う責任です。

外来語の面白さ

外来語には、いろいろな国から来たものがあります。

もとの国言葉の例
ポルトガルパン、カステラ、ボタン、てんぷら
オランダガラス、コーヒー、ランドセル、ペンキ
ドイツアルバイト、エネルギー、ワクチン
フランスアトリエ、クレヨン、デッサン
イタリアパスタ、オペラ、テンポ
英語非常に多数

意外なものが多いのではないでしょうか。「てんぷら」「かるた」「たばこ」もポルトガル語由来です。

とくに「ランドセル」は面白い例です。オランダ語の「ransel(背のう)」がもとで、日本で独自に発展しました。今では日本にしかないものです。

逆に、日本語が外国語になったものもあります。

世界で通じる日本語 sushi(すし) anime(アニメ) emoji(絵文字) karaoke(カラオケ) tsunami(津波) bonsai(盆栽)

言葉は国境を越えて行き来しているのです。

そして、外来語が日本で意味を変えることもあります。

日本独自の使い方 マンション … 英語では豪邸 サラリーマン … 和製英語 コンセント … 英語では outlet ノートパソコン … 和製英語

こうした和製英語は、外国では通じないので注意が必要です。

なぜ3つも必要なのか

疑問がわくかもしれません。同じ意味の言葉が3種類もあるのは、むだではないでしょうか。

そうではありません。選べることが豊かさなのです。

選べるから できること ・相手に合わせられる ・場面に合わせられる ・微妙なちがいを表せる ・くり返しをさけられる

とくにくり返しをさけるのは、文章を書くうえで重要です。

×「速さを調べた。速さは速かった。 速さの記録を残した。」 ○「速さを調べた。スピードは 予想以上だった。この記録を残した。」 → 言いかえると読みやすい

また、微妙なちがいを表せることも大きな利点です。

「思い」と「思想」 思い … 個人的な、心に浮かぶこと 思想 … 体系的な、まとまった考え 「母への思い」 ○ 「母への思想」 × → 不自然

完全に同じ意味の言葉というのは、実はほとんどありません。どこかに使い分けの理由があるのです。

語彙が増えるということは、表現の選択肢が増えるということ。そのぶん、伝えたいことを正確に伝えられるようになります。

つまずきやすいところ

その1 漢字だから漢語だと思う

「山」を漢語だと判断する。
読み方で決まります。「やま」なら和語、「サン」なら漢語です。

その2 カタカナなら全部外来語だと思う

擬音語のカタカナも外来語だと考える。
「ドキドキ」「ザーザー」は和語です。カタカナで書くのは、音を強調するためです。

その3 使い分けを意識しない

いつも同じ調子で書いてしまう。
相手と場面を考えます。子ども向けなら和語、正式な文書なら漢語が合います。

やってみよう

Q1 和語・漢語・外来語の見分け方は?

A 訓読みなら和語、音読みなら漢語、カタカナなら外来語が基本です。

Q2 それぞれどんな印象を与えますか。

A 和語はやわらかい、漢語はかたく正式、外来語は新しく軽やかな印象です。

Q3 「歯ブラシ」は何語ですか。

A 和語(歯)+外来語(ブラシ)の混種語です。

Q4 同じ意味の和語・漢語・外来語の組を、3つ見つけてみましょう。

A 「はやさ・速度・スピード」など。並べると印象のちがいがよく分かります。

まとめ

おうちの方へ

この単元は、語彙力と表現力を同時に伸ばせる内容です。同じ意味の言葉を3種類知っていれば、場面に応じて選べるようになります。
おすすめの活動は、言いかえ探しです。「集まり・集会・ミーティング」のように、3つそろう組を探してみる。辞書やインターネットを使うと、いくらでも見つかります。
外来語の由来調べも面白い題材です。「パン」がポルトガル語、「ランドセル」がオランダ語という事実は、子どもにとって驚きです。歴史の学習ともつながります。
和製英語の話は、実用的でもあります。海外で通じない言葉を知っておくと、将来役に立ちます。
「相手に伝わる言葉を選ぶ」という視点は、この単元でぜひ伝えたい価値観です。難しい言葉を使うことが偉いのではありません。