5年 国語 物語の主題

物語の主題 ── 作者が本当に書きたかったこと

あらすじが分かることと、主題をつかむことは別のことです。

主題とは何か

物語を読み終わったとき、「何の話だった?」と聞かれたら、こう答えるかもしれません。

「転校生が来て、最初はけんかしたけど、 最後は友だちになる話」

これはあらすじです。出来事の流れをまとめたものです。

では、作者はなぜこの話を書いたのでしょうか。転校生の話をしたかっただけでしょうか。

おそらく、伝えたかったのはもっと別のことです。

「人は、相手を知ることで 見方が変わる」 「思いこみは、話すことで くずれていく」 → これが 主題

主題とは、作者が物語を通して伝えたかった考えやメッセージです。

あらすじ主題
何を書く出来事の流れ作者の伝えたいこと
書かれ方本文にある直接は書かれていない
読み方順に追う変化から読み取る

主題は、本文に直接書かれていません。読者が読み取るものです。

人物の変化を追う

主題をつかむ最大の手がかりは、中心人物の変化です。

物語の基本の形 はじめ … 人物がある状態にある ↓ 出来事 … 何かが起こる ↓ 変化 … 人物の考えや行動が変わる ↓ おわり … 新しい状態になる

ほとんどの物語は、この形をしています。そして、変化の内容そのものが主題に直結します

読み取る手順 ① はじめ、中心人物はどんな状態か ② 最後、どう変わったか ③ 何がきっかけで変わったのか ④ その変化は何を意味するのか

④が主題です。

例 ① はじめ:一人でいるのが好きだった ② おわり:仲間といることを選んだ ③ きっかけ:困ったときに助けられた ④ 主題:人は支え合って生きている

変化を言葉にできれば、主題は自然に見えてきます。

逆に、変化しない物語もあります。その場合は、「なぜ変わらなかったのか」を考えます。変わらないことにも意味があるのです。

山場を見つける

物語には、いちばん盛り上がる場面があります。山場、あるいはクライマックスといいます。

山場の見分け方 ・人物の気持ちが大きく動く ・重要な決断をする ・対立が頂点に達する ・出来事が急展開する ・情景描写が印象的になる

山場は、変化が起こる場所です。だから、主題を読み取るうえで最も重要な部分になります。

物語全体の構成を見てみましょう。

設定 → 展開 → 山場 → 結末 設定:登場人物、時、場所の紹介 展開:出来事が起こり、状況が動く 山場:もっとも盛り上がる場面 結末:変化した後の姿

テストでは「山場はどこか」という問題がよく出ます。人物の気持ちがいちばん大きく動いた場面を探しましょう。

人物どうしの関係

5年生では、人物の関係にも注目します。

物語に出てくる人物の役割 中心人物 … 変化する人(主人公) 対人物 … 中心人物に影響を与える人 周辺人物 … 場面を作る人々

大事なのは、誰が中心人物かを見きわめることです。

見分け方 ・いちばん多く登場する ・気持ちが描かれている ・最も大きく変化する ・語り手の視点がその人にある

そして、対人物の存在も重要です。中心人物を変えるきっかけを作る人物です。

対人物の役割 ・中心人物と対立する ・中心人物に気づきを与える ・中心人物を助ける → 対人物との関わりで 中心人物が変わる

だから、2人の関係がどう変化したかを追うと、物語の骨格が見えます。

視点に注目する

物語には、語り手がいます。誰の目を通して語られているかで、読み方が変わります。
一人称(「わたし」「ぼく」が語る)
→ その人の内面がよく分かる
→ 他の人の気持ちは分からない
三人称(外から語る)
→ 複数の人物を描ける
→ 客観的に見える
「なぜこの視点で書いたのか」を考えると、作者の意図が見えてきます。

情景描写の効果

4年生でも学びましたが、5年生ではさらに深く読みます。

情景描写には、3つの働きがあります。

① 心を映す 「雨がやみ、日がさしてきた」 → 気持ちが晴れた ② 場面の雰囲気を作る 「静まり返った教室」 → 緊張感を伝える ③ 時の流れを示す 「桜が散り、若葉が茂った」 → 季節が過ぎたことを表す

とくに①の心を映す働きは、主題とつながります。

物語の最後に印象的な情景が描かれていたら、そこに主題のヒントがあることが多いのです。

物語の最後 「風が、頬にやさしく当たった」 → 心が落ち着いた → 受け入れられた → 和解や成長を示している

作者は、言葉で説明する代わりに景色で語っているのです。

主題を書く

主題を言葉にするとき、いくつかコツがあります。

【よくない例】 「友情の大切さ」 → ばくぜんとしすぎている 「太郎が転校生と仲良くなった話」 → あらすじになっている 【よい例】 「相手を知ろうとすることで、 思いこみは変わっていくものだ」 → 具体的で、 人間についての考えになっている

ポイントは、物語の外でも通用する形にすることです。

「太郎が〜した」では、その物語だけの話になります。「人は〜だ」「〜することが大切だ」という形にすると、主題らしくなります。

そして、本文の根拠を示せることも大切です。

「〇〇という主題だと考えます。 なぜなら、△△の場面で 主人公が□□と気づいたからです」

思いつきではなく、本文から導いたと言えることが重要です。

そして、主題は一つとは限りません

同じ物語を読んでも… Aさん:「友情の話だと思った」 Bさん:「自分と向き合う話だと思った」 Cさん:「家族の話だと感じた」 → どれも根拠があれば正解になりうる

物語は説明文とちがい、読み手によって受け取り方が変わります。それが文学の面白さです。

ただし、何を言ってもよいわけではありません。本文に根拠がなければ、それは読み取りではなく想像です。

認められる読み 「〇〇の場面で△△と書かれているから、 〜という主題だと考えた」 認められない読み 「なんとなくそう感じた」 「自分ならこうするから」

根拠のある多様な読み。これが5年生以降に求められる姿勢です。友だちと読み比べて、「そういう読み方もあるのか」と気づくことが、読解力を大きく伸ばします。

つまずきやすいところ

その1 あらすじと主題を混同する

出来事の要約を主題として書く。
主題は作者の伝えたい考えです。「人は〜」という形にすると区別できます。

その2 根拠なく主題を決める

なんとなくの印象で書く。
人物の変化を追い、山場を確かめます。本文のどこから導いたか言えることが大切です。

その3 情景描写を読み飛ばす

景色の描写を「関係ない」と思う。
とくに最後の情景には主題のヒントがあります。なぜここに書かれたかを考えます。

やってみよう

Q1 あらすじと主題のちがいは何ですか。

A あらすじは出来事の流れ、主題は作者が伝えたい考えです。

Q2 主題をつかむ最大の手がかりは何ですか。

A 中心人物の変化です。はじめと終わりでどう変わったかを追います。

Q3 山場とはどんな場面ですか。

A 人物の気持ちが大きく動く、いちばん盛り上がる場面です。変化が起こる場所です。

Q4 好きな本の主題を、一文で書いてみましょう。

A 「人は〜だ」という形にすると主題らしくなります。根拠となる場面も言えるとよいです。

まとめ

おうちの方へ

5年生の物語読解は、「何が起きたか」から「作者は何を伝えたかったか」へと段階が上がります。抽象度が高くなるため、苦手意識を持つ子も増えます。
まずは人物の変化に注目させてください。「最初はどんな子だった?」「最後はどう変わった?」という質問だけで、主題への道が開けます。
「なんとなく」で答えるときは、「どこにそう書いてあった?」と根拠を求めてください。本文に戻る習慣が、確かな読解力を育てます。
読書後の会話も効果的です。「どんな話だった?」の次に「作者は何を言いたかったんだろうね」と一段深く聞いてみる。答えは一つでなくてよく、話し合うこと自体が学習になります。
映画やドラマでも同じ読み方ができます。身近な題材から始めると、抵抗感が減ります。