あらすじが分かることと、主題をつかむことは別のことです。
物語を読み終わったとき、「何の話だった?」と聞かれたら、こう答えるかもしれません。
これはあらすじです。出来事の流れをまとめたものです。
では、作者はなぜこの話を書いたのでしょうか。転校生の話をしたかっただけでしょうか。
おそらく、伝えたかったのはもっと別のことです。
主題とは、作者が物語を通して伝えたかった考えやメッセージです。
| あらすじ | 主題 | |
|---|---|---|
| 何を書く | 出来事の流れ | 作者の伝えたいこと |
| 書かれ方 | 本文にある | 直接は書かれていない |
| 読み方 | 順に追う | 変化から読み取る |
主題は、本文に直接書かれていません。読者が読み取るものです。
主題をつかむ最大の手がかりは、中心人物の変化です。
ほとんどの物語は、この形をしています。そして、変化の内容そのものが主題に直結します。
④が主題です。
変化を言葉にできれば、主題は自然に見えてきます。
逆に、変化しない物語もあります。その場合は、「なぜ変わらなかったのか」を考えます。変わらないことにも意味があるのです。
物語には、いちばん盛り上がる場面があります。山場、あるいはクライマックスといいます。
山場は、変化が起こる場所です。だから、主題を読み取るうえで最も重要な部分になります。
物語全体の構成を見てみましょう。
テストでは「山場はどこか」という問題がよく出ます。人物の気持ちがいちばん大きく動いた場面を探しましょう。
5年生では、人物の関係にも注目します。
大事なのは、誰が中心人物かを見きわめることです。
そして、対人物の存在も重要です。中心人物を変えるきっかけを作る人物です。
だから、2人の関係がどう変化したかを追うと、物語の骨格が見えます。
物語には、語り手がいます。誰の目を通して語られているかで、読み方が変わります。
一人称(「わたし」「ぼく」が語る)
→ その人の内面がよく分かる
→ 他の人の気持ちは分からない
三人称(外から語る)
→ 複数の人物を描ける
→ 客観的に見える
「なぜこの視点で書いたのか」を考えると、作者の意図が見えてきます。
4年生でも学びましたが、5年生ではさらに深く読みます。
情景描写には、3つの働きがあります。
とくに①の心を映す働きは、主題とつながります。
物語の最後に印象的な情景が描かれていたら、そこに主題のヒントがあることが多いのです。
作者は、言葉で説明する代わりに景色で語っているのです。
主題を言葉にするとき、いくつかコツがあります。
ポイントは、物語の外でも通用する形にすることです。
「太郎が〜した」では、その物語だけの話になります。「人は〜だ」「〜することが大切だ」という形にすると、主題らしくなります。
そして、本文の根拠を示せることも大切です。
思いつきではなく、本文から導いたと言えることが重要です。
そして、主題は一つとは限りません。
物語は説明文とちがい、読み手によって受け取り方が変わります。それが文学の面白さです。
ただし、何を言ってもよいわけではありません。本文に根拠がなければ、それは読み取りではなく想像です。
根拠のある多様な読み。これが5年生以降に求められる姿勢です。友だちと読み比べて、「そういう読み方もあるのか」と気づくことが、読解力を大きく伸ばします。
出来事の要約を主題として書く。
主題は作者の伝えたい考えです。「人は〜」という形にすると区別できます。
なんとなくの印象で書く。
人物の変化を追い、山場を確かめます。本文のどこから導いたか言えることが大切です。
景色の描写を「関係ない」と思う。
とくに最後の情景には主題のヒントがあります。なぜここに書かれたかを考えます。
Q1 あらすじと主題のちがいは何ですか。
A あらすじは出来事の流れ、主題は作者が伝えたい考えです。
Q2 主題をつかむ最大の手がかりは何ですか。
A 中心人物の変化です。はじめと終わりでどう変わったかを追います。
Q3 山場とはどんな場面ですか。
A 人物の気持ちが大きく動く、いちばん盛り上がる場面です。変化が起こる場所です。
Q4 好きな本の主題を、一文で書いてみましょう。
A 「人は〜だ」という形にすると主題らしくなります。根拠となる場面も言えるとよいです。
5年生の物語読解は、「何が起きたか」から「作者は何を伝えたかったか」へと段階が上がります。抽象度が高くなるため、苦手意識を持つ子も増えます。
まずは人物の変化に注目させてください。「最初はどんな子だった?」「最後はどう変わった?」という質問だけで、主題への道が開けます。
「なんとなく」で答えるときは、「どこにそう書いてあった?」と根拠を求めてください。本文に戻る習慣が、確かな読解力を育てます。
読書後の会話も効果的です。「どんな話だった?」の次に「作者は何を言いたかったんだろうね」と一段深く聞いてみる。答えは一つでなくてよく、話し合うこと自体が学習になります。
映画やドラマでも同じ読み方ができます。身近な題材から始めると、抵抗感が減ります。