4年生では主張と根拠を学びました。5年生では、3つ目の要素が加わります。
4年生では、こう学びました。
これで説得できそうに見えます。でも、実はもう一つ必要なものがあります。
次の例を見てください。
根拠は事実として正しくても、主張とのつながりが説明されていません。
ここに必要なのが理由づけです。
根拠と主張をつなぐ橋。それが理由づけです。
意見を述べるときの基本形を整理します。
実際に組み立ててみましょう。
③があることで、「だからどうすべきか」がはっきりします。
理由づけは、しばしば省略されがちです。自分では当たり前だと思っているからです。
でも、相手には当たり前ではありません。だから、言葉にする必要があるのです。
説得力のある意見には、質のよい根拠が欠かせません。
| 根拠の種類 | 強さ | 例 |
|---|---|---|
| 自分で調べたデータ | とても強い | アンケート、観察記録 |
| 公的な統計 | 強い | 国や市の調査 |
| 専門家の意見 | 強い | 研究者の発言 |
| 複数の実例 | ふつう | 他校の取り組み |
| 一つの体験 | 弱い | 自分の経験 |
| うわさ・印象 | とても弱い | 「みんな言っている」 |
数字があると強くなります。「多くの人」より「30人中22人」のほうが説得力があります。
ただし、注意点もあります。
誰に、何人に聞いたかを示すことが大切です。それがないと、数字だけが独り歩きします。
5年生では、反論への対応もより本格的になります。
反論にふれることには、2つの効果があります。
ただし、弱い反論を選んではいけません。
いちばん手強い反論に答える。それができれば、意見は本当に強くなります。
話し合いで反論されるのは、攻撃されているのではありません。
相手は「その考えをもっとよくしよう」としているのです。
だから、こう受け止めます。
・まず最後まで聞く
・「なるほど、そういう見方もありますね」と認める
・そのうえで「でも、この点はどうでしょう」と返す
相手を否定するのではなく、考えを深める作業だと思うと、話し合いが楽になります。
そして、相手の意見が正しいと思ったら、考えを変えてもよいのです。それは負けではなく、成長です。
書くときと話すときでは、伝え方が変わります。
とくに「理由は3つあります」という言い方は効果的です。聞き手が心の準備をでき、話の見通しが持てます。
そして、話し言葉と書き言葉のちがいも意識しましょう。
| 話し言葉 | 書き言葉 |
|---|---|
| すごく | 非常に・とても |
| ちょっと | 少し |
| やっぱり | やはり |
| 〜みたいな | 〜のような |
| 〜とか | 〜など |
発表やスピーチでは、書き言葉に近い言い方を使うと、きちんとした印象になります。
クラスでの話し合いでは、意見を出すだけでは不十分です。
大事なのは、前の人の発言を受けることです。
それぞれが自分の意見を言うだけでは、話し合いになりません。意見と意見をつなぐことで、議論が深まります。
そして、話し合いのゴールは必ずしも一つに決めることではありません。
「意見が分かれたまま」でも、なぜ分かれるのかが分かれば、それは大きな前進です。
根拠を言ったら終わりにする。
根拠と主張をつなぐ説明が必要です。自分には当たり前でも、相手には伝わりません。
「みんなが言っている」で済ませる。
具体的な数字や事実を示します。誰に何人聞いたかまで言えると強くなります。
言い返されて感情的になる。
反論は考えを深める作業です。まず最後まで聞き、認めるところは認めます。
Q1 意見の三点セットは何ですか。
A 主張・根拠・理由づけです。3つ目が根拠と主張をつなぎます。
Q2 理由づけとは何ですか。
A 根拠から主張が導ける理由の説明です。「だからどうすべきか」をつなぎます。
Q3 反論にふれるとどんな効果がありますか。
A 両面を考えていると伝わり、信頼され説得力が増す効果があります。
Q4 身近なテーマで、三点セットの意見を作ってみましょう。
A 主張・根拠・理由づけを書き出し、家族に聞いてもらうと練習になります。
5年生では、意見を述べる力が一段上がります。カギは「理由づけ」という3つ目の要素です。
これは大人でも省略しがちな部分です。「なぜその事実から、その結論が出るの?」と問いかけてあげると、意識するようになります。
家庭での話し合いは、最良の練習の場です。「テレビを見る時間を増やしたい」といった要求があったら、三点セットで説明してもらう。実利があるので、真剣に取り組みます。
反論への態度も大切です。反論を人格否定と受け取らず、考えを深める機会と捉えられるかどうか。これは大人のふるまいを見て学びます。お子さんの意見に反論するときは、まず認めてから返すという形を見せてあげてください。
「意見が分かれてもよい」という感覚も、この時期に育てたい価値観です。