5年 国語 意見を述べる

意見を述べる ── 主張・根拠・理由づけの三点セット

4年生では主張と根拠を学びました。5年生では、3つ目の要素が加わります。

根拠だけでは足りない

4年生では、こう学びました。

主張 + 根拠 「図書室の本を増やすべきだ」(主張) 「人気の本に10人以上の 予約が入っている」(根拠)

これで説得できそうに見えます。でも、実はもう一つ必要なものがあります。

次の例を見てください。

主張:「この店に行くべきだ」 根拠:「駅から3分の場所にある」 → なぜ近いと行くべきなのか? → 近さと「行くべき」が つながっていない

根拠は事実として正しくても、主張とのつながりが説明されていません

ここに必要なのが理由づけです。

主張:この店に行くべきだ 根拠:駅から3分の場所にある 理由づけ:短い時間で行けるので、 忙しい人でも立ち寄りやすいから → つながった

根拠と主張をつなぐ橋。それが理由づけです。

三点セットの形

意見を述べるときの基本形を整理します。

① 主張 … わたしは〜だと考えます ② 根拠 … なぜなら〜という事実があるからです ③ 理由づけ … 〜なので、〜と言えます

実際に組み立ててみましょう。

① 主張 学校に自習室を作るべきだと考えます。 ② 根拠 クラスの30人にアンケートを取ったところ、 22人が「放課後に勉強したいが 場所がない」と答えました。 ③ 理由づけ 多くの人が場所を必要としているのに 用意されていないということは、 学校が対応すべき問題だからです。

③があることで、「だからどうすべきか」がはっきりします。

理由づけは、しばしば省略されがちです。自分では当たり前だと思っているからです。

でも、相手には当たり前ではありません。だから、言葉にする必要があるのです。

根拠を集める

説得力のある意見には、質のよい根拠が欠かせません。

根拠の種類強さ
自分で調べたデータとても強いアンケート、観察記録
公的な統計強い国や市の調査
専門家の意見強い研究者の発言
複数の実例ふつう他校の取り組み
一つの体験弱い自分の経験
うわさ・印象とても弱い「みんな言っている」

数字があると強くなります。「多くの人」より「30人中22人」のほうが説得力があります。

ただし、注意点もあります。

数字の落とし穴 「30人中22人が賛成」 → 誰に聞いたのか? → クラス全員? 仲のいい友だちだけ? 「8割が満足と回答」 → 何人に聞いた? → 10人中8人なら 全体を代表していないかも

誰に、何人に聞いたかを示すことが大切です。それがないと、数字だけが独り歩きします。

反論を予想する

5年生では、反論への対応もより本格的になります。

【反論を先取りする形】 たしかに、〜という意見もあります。 しかし、〜という点を考えると、 やはり〜すべきだと考えます。

反論にふれることには、2つの効果があります。

① 両面を考えていると伝わる → 信頼される ② 相手の言いたいことを先に言うので 相手が反論しにくくなる → 説得力が増す

ただし、弱い反論を選んではいけません

×「反対する人は、めんどうだからと 言うかもしれません。しかし…」 → わざと弱い反論を選んでいる → ずるいやり方 ○「費用がかかるという問題があります。 しかし、〜という方法なら…」 → 本当に強い反論に向き合っている

いちばん手強い反論に答える。それができれば、意見は本当に強くなります。

反論されたときの受け止め方

話し合いで反論されるのは、攻撃されているのではありません
相手は「その考えをもっとよくしよう」としているのです。
だから、こう受け止めます。
・まず最後まで聞く
・「なるほど、そういう見方もありますね」と認める
・そのうえで「でも、この点はどうでしょう」と返す
相手を否定するのではなく、考えを深める作業だと思うと、話し合いが楽になります。
そして、相手の意見が正しいと思ったら、考えを変えてもよいのです。それは負けではなく、成長です。

話すときの工夫

書くときと話すときでは、伝え方が変わります。

話すときの工夫 ・結論を先に言う 「わたしは〜だと考えます。 理由は3つあります」 ・数を先に示す 「3つあります」→ 聞き手が準備できる ・区切って、間を取る 一気に話さない ・大事なところをゆっくり 速さに変化をつける ・聞き手の顔を見る

とくに「理由は3つあります」という言い方は効果的です。聞き手が心の準備をでき、話の見通しが持てます。

そして、話し言葉と書き言葉のちがいも意識しましょう。

話し言葉書き言葉
すごく非常に・とても
ちょっと少し
やっぱりやはり
〜みたいな〜のような
〜とか〜など

発表やスピーチでは、書き言葉に近い言い方を使うと、きちんとした印象になります。

話し合いを深める

クラスでの話し合いでは、意見を出すだけでは不十分です。

話し合いを深める発言 ・「〇〇さんの意見に付け加えると…」 ・「〇〇さんとはちがう考えで…」 ・「〇〇さんの言う△△について もう少し聞きたいのですが」 ・「今までの意見をまとめると…」 ・「別の見方をすると…」

大事なのは、前の人の発言を受けることです。

それぞれが自分の意見を言うだけでは、話し合いになりません。意見と意見をつなぐことで、議論が深まります。

そして、話し合いのゴールは必ずしも一つに決めることではありません

話し合いの成果 ・一つの結論にまとまる ・複数の案が出そろう ・問題点がはっきりする ・意見のちがいの理由が分かる → どれも成果

「意見が分かれたまま」でも、なぜ分かれるのかが分かれば、それは大きな前進です。

つまずきやすいところ

その1 理由づけを省略する

根拠を言ったら終わりにする。
根拠と主張をつなぐ説明が必要です。自分には当たり前でも、相手には伝わりません。

その2 あいまいな根拠を使う

「みんなが言っている」で済ませる。
具体的な数字や事実を示します。誰に何人聞いたかまで言えると強くなります。

その3 反論を攻撃だと感じる

言い返されて感情的になる。
反論は考えを深める作業です。まず最後まで聞き、認めるところは認めます。

やってみよう

Q1 意見の三点セットは何ですか。

A 主張・根拠・理由づけです。3つ目が根拠と主張をつなぎます。

Q2 理由づけとは何ですか。

A 根拠から主張が導ける理由の説明です。「だからどうすべきか」をつなぎます。

Q3 反論にふれるとどんな効果がありますか。

A 両面を考えていると伝わり、信頼され説得力が増す効果があります。

Q4 身近なテーマで、三点セットの意見を作ってみましょう。

A 主張・根拠・理由づけを書き出し、家族に聞いてもらうと練習になります。

まとめ

おうちの方へ

5年生では、意見を述べる力が一段上がります。カギは「理由づけ」という3つ目の要素です。
これは大人でも省略しがちな部分です。「なぜその事実から、その結論が出るの?」と問いかけてあげると、意識するようになります。
家庭での話し合いは、最良の練習の場です。「テレビを見る時間を増やしたい」といった要求があったら、三点セットで説明してもらう。実利があるので、真剣に取り組みます。
反論への態度も大切です。反論を人格否定と受け取らず、考えを深める機会と捉えられるかどうか。これは大人のふるまいを見て学びます。お子さんの意見に反論するときは、まず認めてから返すという形を見せてあげてください。
「意見が分かれてもよい」という感覚も、この時期に育てたい価値観です。