5年 国語 説明文の要旨

説明文の要旨 ── 事実と考えを、線を引いて分ける

同じ文章の中に、事実と筆者の考えが混ざっています。見分けられれば、主張がつかめます。

要旨とは何か

4年生で「要約」を学びました。5年生では要旨という言葉が出てきます。似ていますが、少しちがいます。

要約 … 内容全体を短くまとめたもの (書かれていることを縮める) 要旨 … 筆者がいちばん言いたいこと (主張の中心)

要約は全体を縮める、要旨は核心を取り出す。この差を意識しておきましょう。

要旨をつかむには、筆者の考えがどこに書かれているかを見つける必要があります。そのために欠かせないのが、次の技術です。

事実と考えを見分ける

説明文には、2種類の文が混ざっています。

【事実】 だれが調べても同じになること データ、観察、実験結果、出来事 「この森には200種類の鳥がいる」 「調査では8割が賛成と答えた」 【筆者の考え】 筆者がそう思ったこと、判断 「この森は貴重だと言える」 「もっと注目されるべきだ」

この2つを分ける、いちばん確実な手がかりが文末です。

事実を示す文末考えを示す文末
〜である〜と考える
〜だ〜だろう
〜がある〜ではないか
〜という〜べきだ
〜した〜と思われる
〜が分かった〜にちがいない

「〜だろう」「〜べきだ」「〜と考える」が出てきたら、そこは筆者の考えです。

読むときは、実際に線を引き分けるとよいでしょう。

実線 … 事実 波線 … 筆者の考え → 文章のどこに主張があるか 目で見て分かる

そして、考えの部分をつないだものが、その文章の要旨になります。

なぜ事実を書くのか

ここで疑問がわきます。筆者が主張したいだけなら、なぜ事実をたくさん書くのでしょうか。

答えは、主張を支えるためです。

「この森を守るべきだ」 ↑ これだけでは説得力がない 「この森には絶滅危惧種が5種いる」(事実) 「過去10年で面積が3割減った」(事実) ↓ 「だから、この森を守るべきだ」(考え) → 事実が主張を支えている

事実は土台、考えはその上に立つ結論です。

だから、読むときはこう考えます。

・筆者の主張は何か ・その根拠になっている事実は何か ・事実から主張が導けているか

3つめが大切です。事実は正しくても、そこから導かれる主張が妥当とは限りません

事実:「Aを食べた人の8割が健康だった」 主張:「Aは健康によい」 → 本当にそう言えるか? → もともと健康な人が Aを食べていただけかも

こうした見方を批判的読みといいます。うのみにせず、筋道を確かめながら読むことです。

論の展開をつかむ

説明文には、論の進め方にいくつかの型があります。

【型1】問い → 説明 → 答え 「なぜ〜か」で始まり、 最後に答えを述べる 【型2】主張 → 根拠 → 主張 最初と最後に同じ主張(双括型) 【型3】現状 → 問題点 → 提案 「今こうなっている」 →「ここが問題だ」 →「こうすべきだ」 【型4】比較 → 結論 AとBを比べて、結論を出す

どの型かを見抜くと、要旨がどこにあるかの見当がつきます。

型を見分ける手がかりは、接続語です。

接続語その後に来るもの
しかし・ところが反対のこと(重要)
つまり・すなわち言いかえ・まとめ
なぜなら・というのは理由
たとえば具体例
したがって・だから結論
一方・これに対して比較

とくに「しかし」の後は要注意です。日本語では、逆接の後に本当に言いたいことが来ます。

段落の役割を書き出す

長い説明文では、段落ごとに役割をメモすると全体が見えます。
①話題の提示
②問いかけ
③具体例1
④具体例2
⑤具体例のまとめ
⑥筆者の主張
⑦補足
⑧結論
こう書き出すと、⑥と⑧に要旨があると分かります。
この作業は、テストの「段落の役割を答えなさい」という問題にも直結します。

要旨をまとめる

要旨をまとめる手順を整理します。

① 事実と考えを分けて線を引く ② 「しかし」「つまり」に印をつける ③ 各段落の役割を書き出す ④ 筆者の主張が書かれた段落を特定する ⑤ その中心文を取り出す ⑥ 指定字数に整える

⑤で取り出すのは、主張そのものです。具体例や細かい数字は入れません。

【100字程度の要旨の形】 〇〇について、 △△という事実がある。 そこから筆者は、 □□すべきだと主張している。 → 主張 + 主な根拠 が入る形

字数が少ないときは、主張だけに絞ります。

そして、書き終えたら確認します。

・筆者の主張が入っているか ・自分の意見が混ざっていないか ・具体例を書きすぎていないか ・指定字数を守っているか

とくに自分の意見を混ぜないことは重要です。要旨は筆者の考えを取り出す作業であって、自分の感想を書く場ではありません。

複数の文章を読み比べる

5年生では、同じテーマの複数の文章を読むこともあります。

同じテーマでも、筆者によって主張がちがう 文章A:「〇〇を進めるべきだ」 文章B:「〇〇には問題がある」 → どちらも根拠を持っている → 立場がちがうだけ

こういうとき、どちらが正しいかを決める必要はありません。大事なのは、次のことです。

・それぞれの主張は何か ・それぞれの根拠は何か ・どこが対立しているのか ・自分はどう考えるか

意見がちがう文章を並べて読むことで、ものごとには複数の見方があると実感できます。

そして、それぞれの根拠を確かめたうえで、自分の考えを持つ。これが5年生から始まる、本格的な読みの姿勢です。

つまずきやすいところ

その1 事実と考えの区別があいまい

すべてを「書いてあること」として読む。
文末に注目します。「〜だろう」「〜べきだ」は筆者の考えです。線を引き分けると見えます。

その2 具体例を要旨に入れる

印象的な例を書いてしまう。
要旨は主張の中心です。具体例は主張を支える材料であって、主張そのものではありません。

その3 自分の感想を書く

「すごいと思った」などを入れる。
要旨は筆者の考えを取り出すものです。自分の意見は別の問題で書きます。

やってみよう

Q1 要約と要旨のちがいは何ですか。

A 要約は全体を縮める、要旨は筆者の主張の中心を取り出すものです。

Q2 筆者の考えを示す文末を3つ言いましょう。

A 〜だろう/〜べきだ/〜と考えるなど。事実は「〜である」で終わります。

Q3 なぜ説明文には事実がたくさん書かれているのですか。

A 主張を支える根拠にするためです。事実がないと説得力がありません。

Q4 教科書の説明文で、事実と考えに線を引き分けてみましょう。

A 実線と波線で分けると、主張がどこにあるか目で分かります。

Q5 「しかし」の後に注目するのはなぜですか。

A 日本語では逆接の後に本当に言いたいことが来るからです。要旨を探す手がかりになります。

まとめ

おうちの方へ

5年生の説明文読解は、単に内容を理解するだけでなく、筆者の論の進め方をとらえる段階に入ります。
「事実と考えを分ける」練習は、線を引き分ける作業が最も効果的です。教科書や新聞のコラムで、実線と波線を使って分けてみてください。文章の構造が目に見えるようになります。
「事実から主張が導けているか」という批判的な読み方も、この時期から少しずつ育てたい力です。「本当にそう言える?」という問いかけが、その入り口になります。
新聞の社説やコラムは、良い教材です。事実と意見が明確に分かれており、主張もはっきりしています。難しければ、子ども新聞から始めるとよいでしょう。
複数の意見を読み比べる経験も、ぜひさせてあげてください。世の中には正解が一つでない問題がたくさんあることを知る機会になります。