5年 国語 漢字の成り立ち

漢字の成り立ち ── 4つのでき方を知ろう

「山」という字は、本当に山の形からできています。漢字は、ただの記号ではなく、それぞれに「でき方」があります。そのでき方は、大きく4つに分けられます。成り立ちを知ると、漢字がぐっと身近になり、覚えやすくなります。

漢字は4つのでき方に分けられる

たくさんある漢字も、そのでき方をたどると、大きく4つの種類に分けられます。

種類でき方れい
象形文字ものの形をえがいた山・川・木・目
指事文字形のないことをしるしで表した上・下・一・二
会意文字意味を組み合わせた林・森・明
形声文字音と意味を組み合わせた清・晴・時

「象形」「指事」「会意」「形声」——名前はむずかしそうですが、一つ一つのでき方は、じつはとても分かりやすいものです。ものの形からできた字、しるしで表した字、意味を組み合わせた字、音と意味を組み合わせた字。この4つを知ると、漢字がどうやって生まれたのかが見えてきます。それでは、一つずつくわしく見ていきましょう。

象形文字 ── 形をえがいた字

象形文字は、目に見えるものの形を、そのままえがいてできた漢字です。

「山」は、山の形。「川」は、水が流れるようす。「木」は、木がえだをのばした形。「目」は、目の形。どれも、もとの絵をだんだん簡単にしていくうちに、今の漢字の形になりました。象形文字は、漢字の中でもいちばん古く、基本になる字が多いのが特ちょうです。字の形と、それが表すものの形を見くらべると、「なるほど、にている」と気づけます。もとの絵を思いうかべながら覚えると、形をまちがえにくくなります。

指事文字 ── しるしで表した字

指事文字は、形のない、目に見えないことがらを、しるしを使って表した漢字です。

「上」は、ある線より上をしめすしるし。「下」は、その反対に下をしめすしるし。「一」「二」「三」は、その数だけ線を引いて、数を表しています。これらは、ものの形ではないので、絵にはできません。そこで、点や線などのしるしを使って、位置や数といった、目に見えない考えを表したのです。象形文字が「見えるものの形」なら、指事文字は「見えないことがらのしるし」だと考えると、区別しやすくなります。

会意文字 ── 意味を組み合わせた字

会意文字は、2つ以上の漢字を組み合わせて、新しい意味を表した漢字です。

「林」は、「木」を2つならべて、木がたくさんあるところを表します。「森」は、「木」を3つで、林よりもっと木が多いようす。「明」は、「日(太陽)」と「月」を組み合わせて、「明るい」という意味を表しています。このように、会意文字は、もとの字の意味をたし合わせて、新しい意味を作り出しています。字を分けてみて、「どんな意味を組み合わせているのかな」と考えると、その漢字の意味が、すっと分かることがあります。意味のパズルのような、おもしろいでき方です。

形声文字 ── 音と意味を組み合わせた字

形声文字は、「意味を表す部分」と「音を表す部分」を組み合わせてできた漢字です。漢字の中で、いちばん数が多い種類です。

たとえば「清」は、「氵(さんずい・水の意味)」と「青(セイという音)」の組み合わせです。水に関係があって、「セイ」と読む——だから「清(きよい)」。「晴」は、「日(太陽の意味)」と「青(セイという音)」で、「晴れ」。「時」は、「日」と「寺(ジという音)」の組み合わせです。形声文字は、意味を表す部分(多くは部首)を見れば、だいたいの意味が分かり、音を表す部分を見れば、読み方の見当がつきます。じつは、漢字の8割以上が、この形声文字だといわれています。だから、この成り立ちを知っておくと、知らない漢字に出会っても、意味や読みを推理できるようになります。

形声文字の見分け方は、字を「意味の部分」と「音の部分」に分けてみることです。たとえば「銅(どう)」は、「金(金ぞくの意味)」と「同(ドウという音)」でできています。金ぞくの一種で、「ドウ」と読む——それが銅です。同じように、「板」は「木」と「反(ハンという音)」、「花」は「くさかんむり(草の意味)」と「化(カという音)」です。「同じ音の部分を持つ漢字」を集めてみると、読み方のなかまが見えてきて、とてもおもしろい発見があります。青のなかま(清・晴・請)、寺のなかま(時・持・詩)のように、音でグループにして覚えると、たくさんの漢字が、一度にすっきり整理できます。

成り立ちを知ると覚えやすい

漢字の成り立ちを知ることには、ただおもしろいだけでなく、漢字を覚え、使いこなす上での大きな利点があります。

漢字を、ただの線のあつまりとして丸暗記しようとすると、数が多くて大変です。でも、「この字は、どんな部分でできているのか」を考えるくせがつくと、漢字が「意味のあるパーツの組み合わせ」に見えてきます。たとえば「さんずい(氵)」がついている字は、海・池・波・流のように、水に関係する意味を持つことが多い、と気づけます。すると、初めて見る漢字でも、「これは水に関係がありそうだ」と、意味を推理できるようになります。形声文字なら、音を表す部分から、読み方の見当もつきます。つまり、成り立ちを知ることは、知らない漢字に出会ったときの「推理する力」を育てることにつながるのです。これは、これから何千もの漢字を学んでいく上で、とても心強い武器になります。漢字を、こわいものではなく、なぞ解きのように楽しめるようになるのが、この単元のいちばんのねらいです。

つまずきやすいところ

その1 象形と指事を混同する

象形は見えるものの形、指事は見えないことがらのしるしです。
「山」は象形、「上」は指事、と区別しましょう。

その2 会意と形声を混同する

会意は意味どうし、形声は意味+音の組み合わせです。
「明(日+月)」は会意、「晴(日+青の音)」は形声です。

その3 成り立ちを丸暗記しようとする

用語より、字を分けて考えるくせが大切です。
「どんな部分でできているか」を見る目を養いましょう。

たしかめよう

Q1 「山」「川」のように、ものの形をえがいた漢字を何という?

A 象形文字

Q2 「上」「下」のように、しるしで表した漢字を何という?

A 指事文字

Q3 「林」「明」のように、意味を組み合わせた漢字を何という?

A 会意文字

Q4 意味を表す部分と音を表す部分でできた、いちばん数が多い漢字は?

A 形声文字

まとめ

おうちの方へ

「漢字の成り立ち」は、漢字を丸暗記の対象から、「意味のあるパーツの組み合わせ」へと見方を変えてくれる、とても大切な単元です。とくに形声文字(漢字の8割以上)のしくみ——意味を表す部分と音を表す部分の組み合わせ——を理解すると、初めて見る漢字でも、意味や読みを推理する力が育ちます。ご家庭では、漢字を部分に分けて「この部首はどんな意味かな」「この部分はどう読むかな」と一緒に考える遊びがおすすめです。象形文字は、もとの絵と見くらべると楽しく覚えられます。用語(象形・指事など)を暗記させることより、「漢字にはでき方がある」という見方を身につけさせることが大切です。「漢字のへんとつくり(3年)」「熟語(4年)」の記事とあわせて読むと、漢字を組み立てとしてとらえる力が、いっそう深まります。