尊敬語と謙譲語の混同は、だれの動作かを確かめるだけで解決します。
敬語には、大きく3つの種類があります。
| 種類 | だれを高めるか | 例 |
|---|---|---|
| 尊敬語 | 相手を高める | 先生がおっしゃる |
| 謙譲語 | 自分を低める | わたしが申す |
| 丁寧語 | 言い方を丁寧に | 行きます、本です |
この3つのちがいをつかむのが、この単元のすべてです。
丁寧語はいちばん簡単です。「です・ます」をつけるだけ。相手が誰でも使えます。
問題は、尊敬語と謙譲語です。ここが混乱しやすいところです。
尊敬語と謙譲語を見分ける方法は、たった一つです。
これだけです。動作の主が誰かを確かめれば、必ず判断できます。
よくある間違いを見てみましょう。
逆のパターンもあります。
迷ったら、主語を確かめる。それだけで正解にたどりつけます。
よく使う動詞には、専用の敬語があります。
| ふつう | 尊敬語 | 謙譲語 |
|---|---|---|
| 言う | おっしゃる | 申す・申し上げる |
| 行く・来る | いらっしゃる・おいでになる | うかがう・まいる |
| いる | いらっしゃる | おる |
| する | なさる | いたす |
| 食べる・飲む | 召し上がる | いただく |
| 見る | ご覧になる | 拝見する |
| 聞く | お聞きになる | うかがう・拝聴する |
| もらう | お受け取りになる | いただく・ちょうだいする |
| あげる | くださる | さしあげる |
| 知る | ご存じ | 存じる・存じ上げる |
すべて覚えるのは大変ですが、よく使うものから身につけていきましょう。
とくに間違えやすいのが「いただく」と「くださる」です。
同じ出来事でも、誰を主語にするかで使う言葉が変わります。
特別な形がない動詞は、決まった形で敬語にできます。
この形を知っていれば、どんな動詞でも敬語にできます。
ただし、使いすぎに注意です。
敬語を重ねすぎると、かえっておかしくなります。
×「おっしゃられる」(おっしゃる+られる)
○「おっしゃる」
×「お召し上がりになられる」
○「召し上がる」
×「ご覧になられる」
○「ご覧になる」
敬語は1回で十分です。丁寧にしようとして重ねると、不自然になります。
敬語で難しいのが、身内の扱いです。
なぜでしょうか。身内は自分の側だからです。外の人に対しては、自分の側を低めます。
| 身内(外の人に話すとき) | 相手側 |
|---|---|
| 父・母 | お父さま・お母さま |
| 兄・姉 | お兄さま・お姉さま |
| 家・自宅 | お宅 |
| 会社・当社 | 御社・貴社 |
この考え方は、学校でも同じです。
ただし、5年生の段階では、ここまで厳密でなくてかまいません。「身内には尊敬語を使わない」という原則を知っておけば十分です。
敬語は面倒に感じるかもしれません。でも、大事な役割があります。
②の距離が面白いところです。
言葉づかいで、相手との関係が表現されます。
逆に言えば、使い方をまちがえると関係を損なうこともあります。目上の人にためぐちを使えば失礼になり、親しい友だちに敬語を使えばよそよそしく感じられます。
敬語は、相手を大切に思う気持ちを形にしたものです。形だけ覚えるのではなく、その気持ちを持って使うことが大切です。
敬語は、いつでも使えばよいというものではありません。場面に合わせることが大切です。
友だちに敬語を使い続けると、よそよそしく感じられます。距離を置いているという合図になってしまうのです。
また、同じ相手でも場面によって変わります。
この判断は難しく、大人でも迷います。基本は迷ったら丁寧にです。丁寧すぎて失礼になることは、ほとんどありません。
そして、言葉づかいだけが敬意ではないことも覚えておきましょう。あいさつ、姿勢、話を聞く態度。それらすべてが相手への敬意を表します。完璧な敬語より、相手をきちんと見て話すことのほうが大切な場合もあるのです。
自分の動作に尊敬語を使ってしまう。
だれの動作かを確かめます。主語に指を置いてから言葉を選ぶ習慣をつけましょう。
「おっしゃられる」のように重ねる。
敬語は1回で十分です。丁寧にしようとしすぎないことです。
外の人に「父がおっしゃいました」と言う。
身内は自分の側です。外の人に対しては謙譲語を使います。
Q1 尊敬語と謙譲語の見分け方は?
A だれの動作かで決まります。相手なら尊敬語、自分なら謙譲語です。
Q2 「食べる」の尊敬語と謙譲語を言いましょう。
A 尊敬語は召し上がる、謙譲語はいただくです。
Q3 「おっしゃられる」はなぜ間違いですか。
A 「おっしゃる」に「られる」を重ねた二重敬語だからです。「おっしゃる」で十分です。
Q4 先生に何かをたずねる場面を、敬語で書いてみましょう。
A 「先生、これについてうかがってもよろしいでしょうか」など。主語を意識して選びます。
敬語は、覚える量が多く感じられますが、原則は「だれの動作か」の一点です。ここさえ押さえれば、あとは語彙の問題になります。
実際の場面で使う機会を作ってあげてください。お店の人と話す、電話を取る、親戚に挨拶する。使ってみて初めて身につくのが敬語です。
間違えたときは、その場で厳しく直すよりも、後で「こう言うといいよ」と伝えるほうが効果的です。萎縮すると使わなくなってしまいます。
テレビのニュースやドラマも教材になります。「今の言い方、尊敬語?謙譲語?」と聞いてみると、自然に意識が向きます。
なお、大人でも二重敬語や身内への尊敬語はよく間違えます。完璧を求めず、少しずつ身につけていけば十分です。