5年 英語 英文の書き方

大文字とピリオド ── 英語の文には、はじまりとおわりの しるしがある

英語のテストで、言いたいことは合っているのに点を引かれた経験はありませんか。最初の字が小さかった。おしまいに何も付いていなかった。語と語がくっついていた。── どれも「注意が足りなかった」と言われがちですが、注意の問題ではありません。日本語にはこの約束がまるごと無いので、そもそも「付けなければいけない」という感じが起きないのです。では英語だけ、なぜこんなに印を付けたがるのか。理由は1つで、英語は26文字しか使わないからです。この記事は、そこから順に組み立てていきます。5年生から始まる英文の書き方の約束は、ばらばらの決まりごとではなく、どれもこの1つの理由から出てきたものです。

日本語は、字の種類が切れ目を教えている

まず、ふだん自分が何に助けられているかを見ます。次の1行を読んでみてください。

わたしは犬がすきです

すきまが1つもないのに、どこで切れるかが分かります。「わたしは」「犬が」「すきです」── 迷わず3つに割れたはずです。なぜ割れたのでしょうか。ひらがなから漢字へ、漢字からひらがなへ、字の種類が変わるところが目に見えているからです。日本語は、ひらがな・カタカナ・漢字の3種類を混ぜて書きます。その混ざり目が、そのまま語の境目のしるしになっているのです。

だから日本語では、すきまを入れなくても読めます。「明日大阪へ行きます」も「コップが割れた」も、そのままつながって書いて平気です。わたしたちは、すきまのかわりに字の見た目を使っているわけです。

では英語はどうでしょう。同じことをやってみます。

ilikedogs

手がかりが1つもありません。i・l・k・e・d・o・g・s ── どれも同じ大きさの、同じ仲間の字です。切れ目になりそうな変わり目がどこにも起きていないので、目は止まる場所を見つけられません。英語は26文字だけで書く言語なので、字の種類で境目を示すという方法が、はじめから使えないのです。

ここから、英語の書き方の約束は全部おなじ1つの目的でつながっていきます。字の中に入れられない情報を、字の外がわに置く。それが、スペースであり、大文字であり、ピリオドです。

語と語のあいだは、かならず1つあける

いちばん基本の印がスペース(空白)です。上の ilikedogs は、すきまを入れるだけで急に読めるようになります。

✗ ilikedogs ○ i like dogs

英語では、この空白は「読みやすくするための気づかい」ではありません。空白そのものが、語の区切りという意味を持った印です。入れなければ別の語になってしまいます。

あけない意味あける意味
anice(そんな語はない)a niceすてきな〜
notebookノートnote bookメモの本(別物)
everyday毎日の(ようすを表す語)every day毎日(いつのことかを表す)

いちばん下の組は中学でよく出ます。I play soccer every day.(毎日サッカーをする)と everyday life(日々のくらし)では、空白が1つあるかどうかだけで役目が変わっています。空白を「見た目の問題」と思っていると、この差に気づけません。

なお、ローマ字を習ったときのことを思い出してください。国語で書くローマ字は Tanaka Kenta のように人名を書くのが中心で、文として何行も書くことはあまりありません。ローマ字が得意な子ほど「アルファベットは書けるのに、英文の空白とピリオドが抜ける」ことがあるのは、ローマ字では文の約束を使う場面がほとんど来ないからです。字が書けることと、文が書けることは別の技です。

はじまりは大文字、おわりは3つの印のどれか

空白で語は切れました。ですが、まだ足りません。次の1行を見てください。

i like dogs i have two dogs they are white

語には切れましたが、文の切れ目が分かりません。どこまでが1つの文なのか、目で追えないのです。そこで英語は、文のはじまりとおわりの両方に印を置きます。

I like dogs. I have two dogs. They are white. ↑ ↑ はじまり おしまい

ここで大事なのは、はじまりとおしまいの両方に置いているという点です。片方だけでも理屈のうえでは足りるはずですが、ピリオドは点1つでとても小さく、見落とすことがあります。大文字は背が高いので遠目にも分かります。2つの印が向かい合っているので、片方を見落としてももう片方で気づける── そういう作りになっています。

おしまいの印は3つあり、どれを使うかはその文が何をしている文かで決まります。

印名前使う文例
.ピリオドふつうに伝える文I live in Osaka.
?クエスチョンマークたずねる文Where do you live?
!エクスクラメーションマーク強い気持ちを出す文Happy birthday!

ここでよく起きるのが、次のまちがいです。

✗ Where do you live. ○ Where do you live?

たずねる文なのに、ピリオドで終わっています。書いた本人は「文が終わったからピリオド」と考えたのでしょう。ですが英語のおしまいの印は、文が終わったことだけでなく、その文の役目も同時に知らせています。たずねているならクエスチョンマーク。ここは選ぶところで、初期値ではありません。

もう1つ、!は使いすぎないというのも覚えておくと得です。日本語のメッセージでは「ありがとう!」のように軽く使いますが、英語の ! は「さけんでいる」に近い強さです。Thank you. と Thank you! では、後ろのほうがずっと大きな声になります。ふつうに伝えるときは、迷ったらピリオドを選びます。

文のとちゅうでも大文字になるもの ── 数えられない名前

大文字になるのは文の先頭だけではありません。とちゅうでも大きくなる語があります。まずは見比べてください。

I went to Tokyo with Ken on Monday in April. ↑大 ↑大 ↑大 ↑大 I saw a dog and two apples in the park. ↑小 ↑小 ↑小

上の行は全部大文字、下の行は全部小文字です。何がちがうのでしょうか。「それは世界にいくつありますか」と聞いてみると、はっきり分かれます。

語世界にいくつ?書き方
dog(犬)たくさんいる小文字
Pochi(ポチ)その1ぴきだけ大文字
city(都市)たくさんある小文字
Tokyo(東京)1つだけ大文字
country(国)たくさんある小文字
Japan(日本)1つだけ大文字

つまり、数えられるものは小文字、数えるまでもなく1つしかない名前は大文字。犬は世界にいくらでもいますが、ポチはそのポチだけです。「ほかにもある仲間のうちの1つ」か「取りかえのきかない名前」か、その区別を大文字が受け持っています。中学では、この大文字になる名前のことを 固有名詞 と習います。

この見分け方をおぼえると、まぎらわしい組も自分で決められます。

大文字にする小文字のままなぜ分かれるか
Monday, Sunday(曜日)spring, summer(季節)曜日は名前あつかい。季節は「時期の種類」
April, July(月)morning, night(朝・夜)月には名前が付いている。朝や夜には付いていない
English, Japanese(言語)math, science(教科)言語は国の名前から来ている
Mt. Fuji(富士山)mountain(山)その山1つの名前か、山ぜんぱんか

とくにつまずくのが、いちばん下から2番目の行です。教科の名前は小文字なのに、英語と国語(English・Japanese)だけ大文字になります。えこひいきに見えますが、理由があります。この2つは教科名である前に言語の名前で、言語の名前は国の名前から作られているからです。England から English、Japan から Japanese。大文字になった国の名前が、そのまま引きつがれているのです。

曜日と月が大文字になる理由も、じつは同じです。Sunday はもともと「太陽(Sun)の日」、Monday は「月(Moon)の日」。March は戦いの神マルスの月、July は昔のローマの指導者ユリウス・カエサルの名前から来ています。どれもだれかの名前・何かの名前だったものが、そのまま残りました。日本語の「日曜日」「三月」には名前という感じがないので、ここは英語だけの事情です。

I だけは、どこにいても大文字

もう1つ、ぜったいに大文字になるものがあります。「わたし」の I です。

You are kind.  → 文の頭なので大文字 He is my friend. → 文の頭なので大文字 Ken and I are friends. ↑ 文の頭でもないのに大文字

you も he も she も、文のとちゅうなら小文字に戻ります。ところが I だけは、文のどこに来ても大文字のままです。ポチのような名前でもないのに、なぜでしょうか。

これは、1文字しかない語だからだと考えられています。昔の英語では「わたし」は小文字の i で書かれていました。ですが i は、点を取れば細い縦線が1本あるだけ。手で書いた文の中では、前後の語にくっついて見えたり、m や n の一部と見まちがえられたり、うっかり書き落とされたりしました。小さすぎて見失われるのです。そこで、背の高い I にして目立たせるようになりました。

だから I の大文字は「わたしがえらいから」ではありません。見失われないための大きさです。この理由を知っておくと、短くした形でも迷いません。

I'm I'll I've I'd ↑ 短くしても、先頭の I は大文字のまま

ときどき ✗ i'm と書いてしまうのは、短くした形を1つのかたまりとして覚えているからです。中にいるのは I ですから、大きさは変わりません。

印は、前の語にくっつけて うしろをあける

ここまでで印は出そろいました。最後は、その印をどこに付けるかです。ここは規則が1つしかないので、覚えることは多くありません。

Yes, I do. ↑コンマは yes にぴたりと付け、うしろを1つあける I like dogs. I have a cat. ↑ピリオドも同じ。前に付けて、うしろをあける

つまり、. , ? ! はすべて前の語にくっつけ、そのうしろに空白を1つ置く。この1本だけです。逆にすると、こうなります。

✗ Yes ,I do. ✗ I like dogs.I have a cat.

上は印が次の語のほうへ寄ってしまい、下は空白が抜けています。どちらも読む人の目が止まる場所です。とくに下は、パソコンやタブレットで文字を打つときによく起きます。手で書くときは自然に空くのに、キーボードでは自分で押さないと空かないからです。

ただし、この規則から外れる印が1つだけあります。アポストロフィ(')です。

don't Ken's I'm ↑ 前にも うしろにも 空白を入れない

アポストロフィは文の区切りの印ではなく、語の中にいる部品だからです。don't は1つの語、Ken's も1つの語。語の中にいるものが空白を作ってしまったら、語が2つに割れてしまいます。「文を区切る印はうしろをあける、語の中の印はあけない」と分けておけば混ざりません。

もう1つ、細かいことを1つだけ。文と文のあいだの空白は1つです。昔のタイプライターの時代には2つあけていた時期があり、そう習った大人もいますが、いまのふつうの書き方は1つです。多くあけても間違いというほどではありませんが、そろえるなら1つにしておくのが無難です。

直すときは、文の「外がわ」だけを見る

ここまでの約束は、どれも文の中身とは関係のないところで起きています。単語のつづりが合っているか、動詞の形が合っているかとは、まったく別の話です。だから見直しも分けたほうが速い。次の5つだけを順に見ます。

見るところ自分に聞くこと
①文の頭いちばん左の字は、背が高いか
②文のおしり. か ? か ! のどれかが付いているか
③語と語すきまが1つずつ入っているか
④名前人・国・町・曜日・月は大きいか
⑤わたしI が小さくなっていないか

実際にやってみます。次の1行には、直すところが4か所あります。

✗ i went to tokyo on sunday with ken

①いちばん左が小さい i。⑤それは I でもあるので、2つの理由から大きくなります。④tokyo・sunday・ken は名前なのに小さい。②おしまいに何も付いていない。③語のすきまは、ここでは合っています。直すと、こうなります。

○ I went to Tokyo on Sunday with Ken.

語のならびも、つづりも、1文字も動かしていません。変えたのは大きさと点だけです。それでも、直す前の文は「書いた人が英語の約束をまだ持っていない」と読まれてしまい、直したあとは何ごともなく読まれます。かかった手間の小ささに対して、受け取られ方の差がとても大きいのが、この単元の特ちょうです。

なぜ「かざり」と思ってしまうのか

最後に、この約束がなぜ身につきにくいのかを考えておきます。原因は自分の注意力にはありません。習う順番のほうにあります。

3・4年の外国語活動では、聞くことと話すことが中心です。5年から書くことが入りますが、はじめのうちはお手本をなぞる・見て写すという形で進みます。写すとき、大文字もピリオドも空白も、もうそこに書いてあります。自分で「ここは大きくしよう」「ここで文を終わらせよう」と決めた経験がないまま、正しい文が何枚も書けてしまうのです。

ところが、自分で1文つくった瞬間に、決める人がいなくなります。写していたときは目に入っていた印が、白紙には最初から無い。だから写すのは得意なのに、書くと抜けるという、一見ふしぎな状態が起きます。これは理解していないのではなく、決める側に回った経験が少ないだけです。

ですから練習も、お手本を増やすより「自分で決める回数」を増やすほうが効きます。おすすめは、たった1文でいいので、毎日1つ自分の文を書くこと。I ate curry. でも It was hot today. でもかまいません。長さはまったく関係がなく、大事なのは頭を大きくする判断と、おしりの印を選ぶ判断を、自分で1回ずつ通すことです。この2つの判断は、文が1語でも30語でも同じ1回だからです。

やってみよう

Q1 ✗ i like music. のまちがいは何ですか。

A 先頭の i が小さいこと。ここは文の頭であり、さらに「わたし」の I でもあるので、2つの理由から大文字になります。正しくは I like music.

Q2 ✗ What time is it. のおしまいは、どう直しますか。

A What time is it? たずねる文なので、おしまいはクエスチョンマークです。おしまいの印は「文が終わった」だけでなく「この文は質問だ」も伝えています。

Q3 次のうち、大文字で書きはじめるのはどれですか。
  japan / dog / friday / science

A japan → Japan と friday → Friday。国の名前と曜日は、世界に1つしかない名前だからです。dog(犬)と science(理科)は、ほかにいくらでもある仲間の名前なので小文字のまま。ただし English は教科名である前に言語の名前なので大文字になります。

Q4 ✗ Yes ,I do. はどこが変ですか。

A コンマが右どなりの語のほうへ寄っていること。区切りの印は左どなりの語にぴたりと付き、空白はその右側にできます。Yes, I do. が正しい形です。

Q5 don't の ' の前後は、あけますか。

A あけません。アポストロフィは文を区切る印ではなく、語の中の部品です。あけてしまうと don't が2つの語に割れてしまいます。

Q6 ✗ i met ken in london last august を直してください。

A I met Ken in London last August. わたしの I、人の名前 Ken、町の名前 London、月の名前 August を大きくし、おしまいにピリオドを付けます。last(この前の)は名前ではないので小文字のままです。

まとめ

おうちの方へ

「ピリオドを忘れる」「名前を小文字で書く」は、覚えていないから起きるというより、自分で決める場面をまだ通っていないことから起きます。小学校の外国語では、書く活動の多くがお手本の書き写しから始まります。写している間は印がすでに紙の上にあるので、正しい文が何枚書けても、決める練習にはなっていません。白紙に向かった最初の1文で、はじめて全部が自分の判断になります。

ご家庭では、長い英文を書かせるより1日1文が効きます。I ate curry today. のような短い文でかまいません。頭を大きくする判断と、おしまいの印を選ぶ判断は、文が1語でも30語でも同じ1回だからです。書けたら、意味の直しは後回しにして、上の5つだけを一緒に指で追ってみてください。中身を直されると子どもは「まちがえた」と感じますが、外がわの確認は作業として進められるので、続けやすくなります。