4年 社会 水はどこから

水はどこから ── 蛇口の向こうに、山と森がある

じゃ口をひねれば水が出る。当たり前に見えるこの1杯が、どこから来ているかを追いかけます。

1日にどれだけ使っているか

まず、自分がどれだけ水を使っているか見てみましょう。

使い道1回あたりの量
トイレ約6〜13L
シャワー(10分)約120L
おふろ(湯ぶね)約200L
洗たく(1回)約80L
歯みがき(流しっぱなし30秒)約6L

合計すると、1人1日約200〜250L。2Lのペットボトルで100本以上です。

これだけの量を、毎日、日本中の人が使っています。それを支えているのが水道という巨大なしくみです。

では、その水はどこから来るのでしょうか。じゃ口から先をたどっていきましょう。

水の旅をさかのぼる

じゃ口の水は、こんな道すじをたどってきています。

じゃ口 ↑ 配水管(道路の下) ↑ 配水池(高い所にあるタンク) ↑ 浄水場(水をきれいにする) ↑ 取水口(川から水を取る) ↑ 川 ↑ ダム(水をためる) ↑ 森(水をたくわえる) ↑ 雨

おどろくのは、出発点が「雨」だということです。空から降った雨が、こんなに長い旅をして、じゃ口にたどりつきます。

配水池が高い所にあるのには理由があります。高い所から低い所へ、水の重さだけで流すためです。ポンプを使わずに済むので、電気代が節約でき、停電のときも水が届きます。

浄水場のしくみ

川の水は、そのままでは飲めません。浄水場できれいにします。

① 取水・ちんさ池 大きなごみや砂を沈める ② ちんでん池 薬品を入れて、小さな汚れを かたまりにして沈める ③ ろ過池 砂の層を通して、 残った細かい汚れを取る ④ 消毒 塩素で細菌を殺す ⑤ 配水池へ

ポイントは、大きいものから順に取っていくことです。いきなり細かい汚れは取れないので、段階を踏みます。

②の薬品でかたまりにする工程が、浄水場の知恵です。小さすぎて沈まない汚れも、くっつけて大きくすれば沈みます。

④の消毒は、絶対に欠かせません。目に見えない細菌が残っていると、病気の原因になるからです。日本の水道水がそのまま飲めるのは、この工程があるからです。

そして、水質は常に検査されています。50項目以上の基準が定められ、24時間体制で管理されています。水道水は、実はとても厳しく管理された飲み物なのです。

ダムと森の役割

川の上流には、ダムがあります。ダムには複数の役割があります。

ダムの役割 ① 水をためる(水道・農業用水) ② 洪水を防ぐ (大雨のとき水をためて、 下流に一度に流さない) ③ 発電する(水力発電)

雨は毎日降るわけではありません。降ったときにためておくから、降らない日も水が使えるのです。

そして、ダムよりさらに上流にはがあります。

森のはたらき(緑のダム) ・落ち葉や土が雨水をたくわえる ・少しずつ川へ流す → 大雨でも一気に流れない → 日でりでも川がかれない ・土が流れ出るのを防ぐ ・水をきれいにする

森は「緑のダム」と呼ばれます。コンクリートのダムと同じ働きを、自然が果たしているのです。

だから、水道を守るには森を守る必要があります。多くの市町村が、水源の森を保護したり、植林したりしています。

木を切りすぎた山では、雨がすぐに流れ出して土砂くずれが起き、日でりのときは川がかれます。森と水は切りはなせないのです。

水源はどこにある?

自分の住む地域の水が、どこから来ているか調べてみましょう。
調べ方:
・水道局のホームページを見る
・水道料金の明細に書いてあることも
・浄水場に見学に行く
意外と遠い場所から来ていることがあります。都市部では、隣の県の川やダムから引いていることも珍しくありません。
「自分の飲む水が、どの山から来ているか」を知ると、その山を守ることが自分ごとになります。

使った水の行方

水は使ったら終わりではありません。その後も旅は続きます

使った水 ↓ 下水管 ↓ 下水処理場 ↓(きれいにする) 川・海へ ↓ 蒸発して雲になる ↓ また雨になる

下水処理場では、微生物の力を使って汚れを分解します。薬品だけでなく、生き物の働きを利用しているのが特徴です。

処理された水は川や海に流されます。そして、その川の下流では、また誰かが水道の水として使っているのです。

水は循環しています。自分が汚した水は、下流の誰かのところへ行く。だから、油や薬品を流さないことが大切なのです。

流すと大変なもの てんぷら油 500mL → 魚がすめる水にするには おふろ約330杯分の水が必要 牛乳 200mL → おふろ約11杯分

ほんの少しでも、きれいにするには大量の水が必要になります。流す前に、ふき取る・固めるだけで大きくちがいます。

節水を考える

水は限りある資源です。日本は雨が多い国ですが、それでも足りなくなることがあります。

節水の方法 ・歯みがきはコップに水をくむ (流しっぱなしと比べて約1/10) ・シャワーはこまめに止める ・おふろの残り湯を洗たくに使う ・食器のよごれは先にふき取る ・雨水をためて庭にまく

とくに流しっぱなしをやめるだけで、大きな効果があります。

そして、節水は水を大切にするだけではありません。浄水場や下水処理場で使うエネルギーの節約にもなります。水をきれいにするには電気が要るからです。

世界に目を向けると、安全な水が手に入らない人が約20億人いると言われています。じゃ口をひねれば飲める水が出るのは、当たり前ではないのです。

つまずきやすいところ

その1 浄水場の順番が分からない

工程の名前は覚えたが、順番が言えない。
大きいものから順に取ると考えます。ごみ→大きな汚れ→細かい汚れ→細菌。粒の大きさの順です。

その2 ダムと浄水場を混同する

どちらも水に関する施設なので混ざる。
ダムはためる場所、浄水場はきれいにする場所です。役割がまったくちがいます。

その3 使った後を考えない

じゃ口から出るまでしか学習しない。
水は循環しています。使った水がどこへ行くかまで追いかけると、環境への意識が育ちます。

やってみよう

Q1 水の旅を、じゃ口からさかのぼって言いましょう。

A じゃ口→配水池→浄水場→川→ダム→森→雨です。

Q2 配水池が高い所にあるのはなぜですか。

A 水の重さで流すためです。ポンプが不要で、停電時も水が届きます。

Q3 森が「緑のダム」と呼ばれるのはなぜですか。

A 雨水をたくわえて少しずつ流すので、ダムと同じ働きをするからです。

Q4 自分の家の水が、どこから来ているか調べてみましょう。

A 水道局のホームページで調べられます。地図でその場所を確かめてみてください。

まとめ

おうちの方へ

この単元は、日常生活と社会のしくみが直接つながる好例です。じゃ口をひねるだけの行為の背後に、これだけの施設と人の働きがあることを知ると、見方が変わります。
可能であれば、浄水場の見学をおすすめします。多くの自治体が見学を受け入れており、実際に見ると理解の深さがまったくちがいます。
家庭では、水道の検針票を見せてあげてください。1か月に何m³使ったかが書かれています。「1m³=1000L」なので、家族何人で割ると1人あたりの量が出せます。算数の学習にもなります。
節水の実践も効果的です。「歯みがきのときコップを使うと、どれくらい減るかな?」と実験してみると、数字で効果が見えます。