4年 社会 下水のゆくえ

下水のゆくえ ── 使った水はどこへ行くのか

お風呂・トイレ・台所で使った水は、そのまま川や海に流れるわけではありません。行き先を追いかけます。

「使った水」はどこへ行く?

家で水を使うと、排水口に流れて見えなくなります。多くの人は、そこで水のことを考えなくなります。

でも、水は消えません。排水口の先には、下水道という地下のパイプが張りめぐらされていて、家々からの水を集めています。

下水の主な種類 ・お風呂・洗面所・台所の水(生活はいすい) ・トイレの水(し尿) ・工場からの水(産業はいすい) ・雨水(地域によって同じ管、別の管の場合がある)

これらは下水管を通って、下水処理場に集められます。処理場できれいにしてから、初めて川や海に流されるのです。

つまり、水道の水が家に届くまでの「じょう水」の流れとは逆向きの旅が、使ったあとの水にも続いています。

下水処理場でのそうじの流れ

下水処理場では、いくつもの段階を経て水をきれいにします。

下水がきれいになるまで ① 沈砂池(ちんさち) 大きなごみや砂を取りのぞく ② 最初沈殿池(さいしょちんでんち) 水を静かに流し、しずむよごれを底にためる ③ 反応タンク びせいぶつ(小さな生き物)に、 水の中の汚れを食べてもらう ④ 最終沈殿池 びせいぶつのかたまりをしずめて取りのぞく ⑤ 消毒 残った小さな生き物(細菌など)を消毒する ⑥ 放流 きれいになった水を川や海へ

この中でもっとも重要なのは③です。

反応タンクの中には、目に見えないほど小さなびせいぶつがたくさんいます。このびせいぶつが、水の中のよごれ(有機物)を食べて分解してくれるのです。

人間が化学薬品だけでよごれを取りのぞくのではなく、生き物の力を借りて水をきれいにする──これが下水処理の大きな特ちょうです。

びせいぶつのはたらき

反応タンクの中のびせいぶつを、まとめて「活性汚泥(かっせいおでい)」と呼びます。

びせいぶつとの協力関係

活性汚泥の中には、細菌やそれを食べる小さな生き物など、たくさんの種類の生物がいます。
下水処理場の職員は、この生き物たちが元気に働けるように、空気を送りこんで酸素をあたえたり、水の温度や量を管理したりしています。
びせいぶつの調子が悪いと、水がうまくきれいにならなくなってしまいます。だから毎日、けんび鏡で生き物のようすを観察する仕事もあります。
目に見えない小さな生き物の健康状態が、まちの水環境を左右している──これはとても興味深い事実です。

反応タンクを出たあと、びせいぶつはかたまり(汚泥)となって水から分けられます。この汚泥は、肥料や建設材料、燃料などに再利用されることもあります。

水質検査というチェック

処理場から川や海に水を流す前には、必ず水質検査が行われます。

検査する項目意味
BOD(生物化学的酸素要求量)水のよごれの度合いを表す数値
pH(ピーエイチ)水が酸性かアルカリ性かを表す
大腸菌の数病気の原因になる菌が残っていないか
においや色目や鼻で確かめる基本のチェック

国や自治体は、放流してよい水質の基準を法律で定めています。処理場はこの基準を満たすまで、しっかり水をきれいにしなければなりません。

基準を守らずに汚れた水を流してしまうと、川や海の生き物が住めなくなったり、下流の人が使う水が汚れたりします。だから水質検査は、毎日欠かさず行われる大切な仕事です。

下水道が果たす役割

下水道には、水をきれいにする以外にも大切な役割があります。

下水道の役割 ・生活環境をよくする(においや虫を防ぐ) ・川や海をきれいに保つ ・大雨のときに水を地下にためて、 まちが水びたしになるのを防ぐ ・感染症の広がりを防ぐ

とくに大雨のときの役割は重要です。下水道は、家庭からの水だけでなく、道路にふった雨水を集める働きもしています。

もし下水道がなければ、大雨のたびに道路が水びたしになり、生活に大きな支障が出ます。地下に張りめぐらされた下水管は、まちを守る見えないインフラなのです。

また、昔の日本では、し尿処理が不十分だったために感染症が広まることがありました。下水道の整備が進んだことで、こうした病気は大きく減りました。

これからの課題

下水道にも、これから解決すべき課題があります。

① 施設の老朽化 多くの下水管や処理場は 数十年前に作られたまま ② 大雨・豪雨の増加 気候変動で処理能力を こえる雨が増えている ③ 費用の問題 直したり作り直したりするには 大きなお金がかかる ④ エネルギーの使用 びせいぶつに空気を送るには 多くの電力が必要

とくに①の老朽化は深刻です。地下にうまっている下水管は、点検や工事がむずかしく、古くなっても放置されがちです。

近年は、汚泥から発生するガスを利用して発電するなど、下水処理場自体をエネルギーの拠点にする試みも進んでいます。使った水を「ただのゴミ」ではなく「資源」として見直す考え方です。

さらに、処理したあとの水を工場の冷却水や公園の噴水・トイレの洗浄水として再利用する再生水の取り組みも広がっています。限りある水資源を有効に使うために、下水処理場は「よごれを取りのぞく施設」から「水をつくり直す施設」へと役割を広げつつあります。

つまずきやすいところ

その1 じょう水場と下水処理場を混同する

どちらも「水をきれいにする」施設だが、役割が逆。
じょう水場は川や湖の水を「飲める水」にする施設。下水処理場は使ったあとの水を「川や海に流せる水」にする施設です。

その2 水は薬品だけできれいになると思う

下水処理の中心はびせいぶつの力です。薬品はあくまで消毒などの補助的な役割です。

その3 流したらすぐ消えると思う

使った水は、下水管→処理場→川や海と、長い道のりを経て自然に戻ります。一つ一つの段階に人と生き物の働きがあります。

やってみよう

Q1 家で使った水は、どこを通って川や海に戻りますか。

A 下水管 → 下水処理場を通り、きれいにされてから川や海に流されます。

Q2 下水処理場で、よごれを取りのぞく中心的な役目を果たすのは何ですか。

A びせいぶつ(活性汚泥)です。よごれ(有機物)を食べて分解してくれます。

Q3 下水道には、水をきれいにする以外にどんな役割がありますか。

A 大雨のときにまちが水びたしになるのを防ぐ役割や、感染症の広がりを防ぐ役割があります。

Q4 自分の家のトイレやお風呂の水が、どこの下水処理場に集まるか調べてみましょう。

A 自治体のホームページや水道局の資料で調べられます。処理場の見学ができる自治体もあります。

まとめ

おうちの方へ

水道の学習は「飲む水」に注目が集まりがちですが、使ったあとの水も同じくらい大切なテーマです。
可能であれば、自治体が実施している下水処理場の見学に参加してみてください。実際に反応タンクの水を見ると、泡立つ様子やにおいから「生き物が働いている」感覚がつかみやすくなります。
家庭でできることとして、油や食べ残しを排水口に流さないようにする工夫も話題にしてみてください。処理場や下水管への負担を減らすことにつながります。
「じょう水場」と「下水処理場」の違いを整理すると、水の循環全体のイメージがぐっとつかみやすくなります。