4年 社会 警察のはたらき

警察のはたらき ── 交番のおまわりさんは、何もない日に何をしているか

警察と聞くと、事件を追いかける姿を思いうかべるかもしれません。けれど実さいには、何も起きない日のほうが圧とう的に多い仕事です。その「何もない日」に何をしているかをたどると、警察の仕事の大部分が、起きたあとの対応ではなく起きる前に止める仕事だと分かります。

110番は、近所の交番にはつながらない

110番をかけると、電話は近くの交番や警察署には鳴りません。つながるのは、都道府県に一つだけある通信指令室です。ここには大きな地図と、現在どのパトカーがどこにいるかを示す画面が並んでいます。

110番 │ ▼ ┌─────────────┐ │ 通信指令室 │ ← 位置を特定しながら └─────────────┘ いちばん近い車に無線で指示 │ │ ▼ ▼ パトカー 交番・警察署 (現場へ) (記録・応援の準備)

係の人がまず聞くのは「事件ですか、事故ですか」、そして場所です。この2つが分かった時点で、近くにいるパトカーへもう無線が飛んでいます。くわしい状きょうは、車が走り出したあとに聞きながら無線で伝えます。

なぜ交番に直接かけさせないのでしょうか。交番は一人か二人で受け持っていることが多く、その人がちょうど見回りで外に出ていたら、電話に気づけません。都道府県に一つの指令室にまとめることで、どの交番の担当者が今どこにいても、最も近い車へつなげられるのです。

パトカーは「待っている」のではなく「流れている」

消防車は署で待機していますが、パトカーの多くはちがいます。ふだんから受け持ちの地域をゆっくりと走り回っていて、止まっている時間より動いている時間のほうが長いのがふつうです。

理由は、どこで何が起きるか前もって分からないからです。署で待っていると、現場までの距離は運まかせになります。走り続けていれば、通報が入った瞬間にいちばん近い車がそのまま向かうことができます。

署で待つ場合 通報 → 署を出発 → 現場 (現場までの距離はそのつど変わる) 流れている場合 通報 → 近くの車がそのまま方向転換 (出発のための時間がいらない)

通信指令室の画面には、受け持ちの車がおおよそどのあたりにいるかが表示されています。だから「いちばん近い車」をすぐに選べます。これは消防の「近い署から多めに呼ぶ」考え方と似ていますが、パトカーの場合はそもそも動き続けることで距離を縮めている点がちがいます。

交番という、日本らしい仕組み

この単元でいちばん身近な存在が交番です。小さな建物に、昼も夜も必ずだれかがいます。駅前や商店街でよく見かけますが、何をする場所か正確に言える人は少ないかもしれません。

交番でしていること具体的には
道案内道に迷った人、観光で来た人に地図を見せながら説明する
落とし物の受け取り拾った人・落とした人の両方からの届け出を受ける
巡回連絡受け持ちの家や店を順番に回り、こまりごとがないか聞く
見回り自転車や徒歩で町を回り、様子のおかしい場所がないか確かめる
応急の対応軽いけがの人の手当てを呼んだり、けんかの仲立ちをしたりする

表の中で見落とされがちなのが巡回連絡です。これは、担当の交番の人が受け持ちの地域を順番に訪ねて、家族の人数や連絡先、こまっていることがないかを聞いて回る活動です。聞いた内容は交番で記録され、留守がちな家やお年寄りだけの世帯を知っておくことに役立ちます。事件が起きてから調べるのではなく、ふだんから知っておくための仕事です。

一日の大半は「何も起きない時間」

交番やパトカーの一日を書き出すと、事件や事故に対応している時間はごく一部で、残りは次のようなことにあてられています。

時間帯の例していること
朝通学路に立って見守る。交通整理をする
日中見回り。巡回連絡。落とし物の整理。書類の作成
夕方商店街や公園の見回り。下校時間の見守り
夜間交代しながらパトロールと交番での待機を続ける

こうして並べてみると、防犯教室を開く、見守りに立つ、話を聞いて回るといった、事件が起きる前の活動が多くの時間をしめていることが分かります。警察官を「事件を解決する人」とだけ考えると、この時間の大半が見えなくなってしまいます。

もちろん通報が入れば、していた作業を止めてすぐに向かいます。けれど通報が来ない日のほうがずっと多いというのが、この単元の見落としやすいポイントです。

事故を防ぐための仕事

警察のもう一つの大きな役割が、交通に関する仕事です。信号機や道路標識の配置を市区町村と相談して決めたり、免許の更新を行ったりするのも警察の仕事ですが、小学生にとって身近なのは次の2つです。

自転車教室で習う「右見て、左見て、もう一度右を見る」という動作は、ただの決まりごとではありません。車は止まって見えても、少し先でまた動き出すことがあります。二度目に右を見るのは、最初に見たときから状きょうが変わっていないかを確かめるためです。

落とし物はどこへ行くのか

拾った物を交番に届けると、その後どうなるか知っていますか。交番でいったん記録されたあと、多くは警察署の遺失物(いしつぶつ)を扱う係に集められます。

拾う → 交番に届ける → 警察署でまとめて保管 → 持ち主が名のり出れば返す → 一定の期間が過ぎても現れなければ 拾った人が受け取れる場合がある

落とした人は、交番や警察署に問い合わせると、特ちょうを伝えることで自分の物かどうか確かめてもらえます。財布のような現金が入った物ほど、持ち主が見つかりやすいと言われます。中に名前や連絡先の分かる物が入っているほど、持ち主にもどる確率が上がるからです。

この仕組みを調べると、物を拾ったらどうするべきかがはっきり分かります。自分の判断で持ち続けたり、その場に置いたままにしたりせず、近くの交番に届けることが、持ち主にもどる確率をいちばん上げる行動です。

調べ学習の進め方

交番や警察署の見学・聞き取りでは、質問の作り方で分かることの深さが変わります。おすすめは次のような聞き方です。

数を聞く質問だけでなく、「なぜそうしているのか」を聞く質問を一つ混ぜると、表だけでは書けない内容が集まります。そして聞いた話をそのまま書き写すのではなく、自分が思っていた警察の仕事と、実さいに聞いた話のちがいを一行でもまとめると、レポートに自分の考えが残ります。

まとめ

おうちの方へ

この単元は、登下校の見守りに立つ人、交番の前を通るとき、という形で日常にすでに入り込んでいます。見かけたときに「この人は今、何をしているところかな」と聞いてみると、巡回連絡や見回りといった、教科書だけでは気づきにくい仕事に目が向きます。
見学の機会があれば、事前に質問を紙に書かせておくと、当日その場で考えるより落ち着いて聞けます。
また、実際に物を落としたり拾ったりした経験があれば、その時どう対応したかを思い出させてみてください。仕組みを先に教えるより、自分の経験と結びつくと記憶に残りやすくなります。