4年 社会 くらしを支える電気

くらしを支える電気 ── スイッチの向こうに、発電所がある

スイッチを入れれば、明かりがつく。当たり前に見えるこの一瞬を支えるしくみを、コンセントの向こうへたどっていきます。

電気が止まったら、何が困るか

まず、家の中で電気を使っているものを数えてみましょう。

場所電気を使うもの
リビング照明・テレビ・エアコン
台所冷蔵庫・電子レンジ・炊飯器
洗面所洗たく機・ドライヤー
見えない所給湯器・インターホン・Wi-Fi

照明やテレビはすぐ思いつきますが、注目してほしいのは「見えない所」です。水道のポンプ、信号機、電車、病院の機械、スマホの基地局。まちのしくみのほとんどが、電気で動いています

だから停電が起きると、明かりが消えるだけでは済みません。冷蔵庫の食べ物がいたみ、信号が消えて交通が混乱し、マンションの高い階では水も出なくなることがあります。電気は、水道と並んでくらしを支えるライフラインなのです。

電気の道すじをたどる

コンセントの電気は、こんな道すじをたどって届いています。

コンセント ↑ 家の分電盤(ブレーカー) ↑ 電柱の変圧器(電気を弱める) ↑ 配電線(まちの中の電線) ↑ 変電所(電気の強さを調整する) ↑ 送電線(鉄塔の高い電線) ↑ 発電所(電気を作る)

水道の旅と似ていますが、大きくちがう点がひとつあります。水は配水池にためておけますが、電気は大量にためておくことがとても難しいのです。

つまり発電所は、みんなが今この瞬間に使っている量と、ぴったり同じ量を作り続けています。夜中も、休日も、24時間ずっとです。使う量が急に増える夏の昼間は発電を増やし、夜は減らす。この調整を、電力会社の人たちが毎日行っています。

また、発電所で作られた電気は、そのままでは強すぎて家では使えません。送電線では高い電圧のまま遠くまで運び、変電所と電柱の変圧器で、少しずつ弱めてから家に届けます。遠くへ運ぶときは強く、使うときは安全な強さに。ここにも工夫があります。

電気の作り方はいろいろある

発電所と一口に言っても、電気の作り方はいくつもあります。それぞれに長所と短所があります。

発電方法しくみ長所短所
火力ガスや石炭を燃やす量の調整がしやすい燃料を外国から買う・CO₂が出る
水力ダムの水を落とす燃料いらず・CO₂ゼロ作れる場所が限られる
原子力ウランの熱を使う少ない燃料で大量に作れる事故のときの被害が大きい・ごみの処理が難しい
太陽光光をパネルで電気に燃料いらず・屋根にも置ける夜や雨の日は作れない
風力風で風車を回す燃料いらず・CO₂ゼロ風まかせで量が安定しない

表を見ると、完ぺきな発電方法はひとつもないことが分かります。だから日本は、複数の方法を組み合わせて電気を作っています。これをエネルギーミックスと言います。

今の日本で一番多いのは火力発電です。ただし燃料の多くを外国から買っているため、燃料の値段が上がると電気代も上がります。そこで、燃料のいらない太陽光や風力といった再生可能エネルギーを増やす取り組みが進んでいます。

火力も水力も、最後は同じ

火力・水力・原子力は、作り方はちがっても最後は同じことをしています。タービンという大きな羽根車を回して電気を起こしているのです。火力と原子力は熱で水を水じょう気に変えて羽根車をふき回し、水力は落ちる水の勢いで回します。「何の力で羽根車を回すか」のちがいだと考えると、すっきり整理できます。

停電と復旧 ── 台風の夜に働く人たち

台風や地震のとき、電線が切れたり電柱がたおれたりして停電が起きることがあります。

そんなとき、電力会社では停電した場所を探し、危険な場所で復旧作業をする人たちが動き出します。高い電柱に登り、雨の中で電線をつなぎ直す。大きな災害のときは、遠くの県の電力会社から応援の作業車がかけつけることもあります。

停電から復旧までの流れ ① どこが停電したかを調べる ② 電線が切れた場所を見つける ③ 安全を確かめてから作業する (電気が残っていると感電する) ④ 順番に電気を送り直す

③が大事なところです。電線には強い電気が流れているかもしれないので、安全の確認をとばして急ぐことはできません。復旧に時間がかかるのは、作業する人の命を守るためでもあるのです。

もし切れて垂れ下がった電線を見つけたら、絶対にさわらず、大人に知らせて電力会社に連絡してもらいましょう。見た目では電気が流れているか分からないからです。

節電を考える

電気はためておけない、と学びました。ここから、節電の意味が見えてきます。

とくに大切なのは、みんなが一斉に使う時間帯です。夏の暑い日の昼すぎは、日本中でエアコンが動き、使う量が発電できる量の限界に近づくことがあります。このときに使う量が発電量をこえてしまうと、大きな停電につながりかねません。だから夏に「節電のお願い」のニュースが流れるのです。

家でできる節電 ・エアコンの設定温度を1度ゆるめる ・冷蔵庫の開け閉めを減らす ・使わない部屋の明かりを消す ・テレビをつけっぱなしにしない ・カーテンで日差しを防ぐ

節電は、電気代の節約になるだけではありません。火力発電の燃料を減らし、CO₂を減らすことにもつながります。スイッチひとつの行動が、発電所の燃料までつながっているのです。

つまずきやすいところ

その1 電気はためてあると思ってしまう

水道の配水池のイメージで、どこかに電気のタンクがあると考えてしまう。
電気は作ったそばから使われています。「今ついている明かりの電気は、今まさに発電所で作られたもの」と考えると、感覚がつかめます。

その2 発電所と変電所を混同する

どちらも「電」のつく施設なので混ざりやすい。
発電所は電気を作る場所、変電所は電気の強さを調整する場所です。水道でいえば、発電所が浄水場、変電所は途中のしくみにあたります。

その3 発電方法の長所短所を丸暗記しようとする

表をそのまま覚えようとして混乱する。
燃料がいるか、いらないか」でまず2つに分けましょう。燃料がいる火力・原子力は量を調整しやすいが燃料の心配がある。いらない水力・太陽光・風力は燃料の心配がないが自然まかせ。この軸で整理すれば、暗記しなくても考えて出せます。

やってみよう

Q1 電気の道すじを、コンセントからさかのぼって言いましょう。

A コンセント→電柱の変圧器→配電線→変電所→送電線→発電所です。

Q2 発電所が24時間電気を作り続けているのはなぜですか。

A 電気は大量にためておけないので、使われる量に合わせて作り続ける必要があるからです。

Q3 太陽光発電の長所と短所を1つずつ言いましょう。

A 長所は燃料がいらないこと、短所は夜や雨の日は発電できないことです。

Q4 家の近くの電柱に、変圧器(バケツのような形の機械)がついているか探してみましょう。

A 電柱の上の方にある円柱形の機械が変圧器です。ここで電気を家庭用の強さに弱めています。

まとめ

おうちの方へ

この単元は、飲料水・ごみと並ぶライフラインの学習で、教科書では地域により電気・ガスが選択的に扱われます。理科の「電気のはたらき」(乾電池と回路)と同じ学年で学ぶため、社会科側では「作って届けるしくみと人」に焦点があります。
おすすめは、検針票(電気ご使用量のお知らせ)を見せることです。1か月に何kWh使ったかが載っており、「どの家電が多く使っていそうか」を話し合うだけで、電気が有限のものだという感覚が育ちます。
また、ブレーカーの場所を一緒に確認しておくと、防災の備えにもなります。停電時の復旧が「なぜすぐではないのか」を作業員の安全の話とセットで伝えると、社会のしくみを支える人への見方が変わります。