災害は防げません。でも被害は減らせます。そのための備えを学びます。
日本は、世界でも災害の多い国です。理由は、この国の位置と地形にあります。
つまり、日本に住む以上、災害と付き合っていくしかないのです。
「自分の所は大丈夫」と思いたくなりますが、地域によって起きやすい災害がちがうだけで、まったく災害のない場所はありません。
だから、まず自分の地域では何が起きやすいかを知ることから始めます。
ハザードマップは、災害の危険が予想される場所を示した地図です。
市区町村が作成して配布しています。ホームページでも見られます。
確認すべきポイントは三つです。
大事なのは、地図を見るだけでなく、実際に歩いてみることです。
地図では近くに見えても、実際には坂があったり、川を渡らなければならなかったりします。夜や大雨のときに通れるかまで考えておく必要があります。
災害の種類によって、行くべき場所がちがうことがあります。
・洪水のとき … 高い場所、高い建物
・地震のとき … 広い場所(公園、校庭)
・津波のとき … とにかく高い所へ
洪水のときに川のそばの低い避難所へ行っては意味がありません。
ハザードマップには、どの災害に対応した避難所かが書かれています。必ず確認しておきましょう。
防災には、三つの支えがあると言われます。
| 名前 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 自助 | 自分と家族で守る | 備蓄、家具の固定、避難訓練 |
| 共助 | 近所の人と助け合う | 声かけ、救助、避難所の運営 |
| 公助 | 国や市が助ける | 消防、自衛隊、支援物資 |
ここで知っておくべき事実があります。
阪神・淡路大震災では、がれきから救出された人の約8割が家族や近所の人に助けられたという調査があります。消防や自衛隊が助けた割合より、はるかに多いのです。
だから、ふだんの近所づきあいが防災になるのです。誰がどこに住んでいるか、お年寄りや体の不自由な人はいるか。知っているかどうかが、いざというときに大きな差になります。
自助の具体的な方法を見ていきましょう。
トイレの備えは見落とされがちですが、非常に重要です。断水すると水洗トイレは使えません。携帯トイレを用意しておく必要があります。
地震のけがの多くは、倒れた家具や割れたガラスによるものです。固定するだけで大きく減らせます。
災害時は電話がつながりません。だから、あらかじめ「どこで会うか」を決めておくことが重要です。
地域にも、災害に備えたしくみがあります。まちを歩くと見つけられます。
| もの | 役割 |
|---|---|
| 防災倉庫 | 毛布・食料・救助道具の保管 |
| 防火水そう | 断水しても消火できる水 |
| 広域避難場所の標識 | 逃げる場所を示す |
| 海抜表示 | その場所の高さ(津波対策) |
| 防災無線のスピーカー | 情報を伝える |
| 堤防・水門 | 川の水をせき止める |
| 砂防ダム | 土砂の流れを止める |
海抜表示は、津波の多い地域の電柱などに貼られています。「海抜3.2m」といった数字が書いてあります。
これを見ると、自分がいる場所の高さが分かります。津波警報が出たとき、もっと高い所へ逃げる判断ができるのです。
また、避難訓練も重要な備えです。実際に体を動かしておくと、いざというときに考えずに動けます。訓練を「面倒」と思わず、真剣に取り組むことが命を守ります。
防災の知恵の多くは、過去の災害の経験から生まれています。
東北の海沿いには、昔の津波の高さを示す石碑が立っています。「ここより下に家を建てるな」と刻まれた碑を守った集落は、東日本大震災でも被害を免れました。
先人の警告には理由があるのです。
また、災害のたびにしくみが改善されてきました。
災害を完全に防ぐことはできません。でも、経験を次に生かすことで、被害は確実に減らせます。
自分の住む地域で、過去にどんな災害があったか調べてみてください。図書館や資料館に記録があります。そこで起きたことは、また起きる可能性があるのです。
「自分の所は大丈夫」と考える。
日本に災害のない場所はありません。ハザードマップで、自分の地域の危険を確認しましょう。
消防や自衛隊が助けに来ると考える。
大災害ではすぐに来られません。最初の数日は自助と共助が命を守ります。
災害の種類で行き先が変わることを知らない。
洪水と地震では逃げるべき場所がちがいます。ハザードマップで確認しましょう。
Q1 ハザードマップで確認すべきことを三つ言いましょう。
A 自分の家の危険度・通学路・避難所の場所と行き方です。
Q2 自助・共助・公助とは何ですか。
A 自助=自分と家族、共助=近所の助け合い、公助=国や市の支援です。
Q3 備蓄する水は1人何日分必要ですか。
A 1日3L × 最低3日分、できれば1週間分です。
Q4 家族で避難場所と連絡方法を決めてみましょう。
A 災害時は電話がつながりません。会う場所を決めておくことがいちばん確実です。
防災は、学校の学習で終わらせず家庭で実践してこそ意味がある単元です。
まず、ハザードマップを家族で見てください。多くの自治体がホームページで公開しています。自宅の浸水想定、最寄りの避難所、そこまでの道のり。5分あれば確認できます。
次に、避難所まで実際に歩いてみることをおすすめします。地図では分からない坂道や危険な箇所が見つかります。
備蓄については、「ローリングストック」という方法が実用的です。ふだん食べる物を少し多めに買い、古いものから使って買い足す。これなら期限切れの心配がありません。
そして、集合場所と連絡方法を必ず決めてください。災害時は電話がつながらず、これがないと家族が離ればなれになります。子どもと一緒に決めると、防災が自分ごとになります。