4年 社会 自然災害にそなえる

自然災害にそなえる ── 「起きてから」では間に合わない

災害は防げません。でも被害は減らせます。そのための備えを学びます。

日本という国の条件

日本は、世界でも災害の多い国です。理由は、この国の位置と地形にあります。

【地震・火山が多い理由】 4つのプレート(地球の表面の板)が ぶつかる場所にある → 世界の地震の約1割が日本で起きる → 活火山が111ある 【水害が多い理由】 ・雨が多い(世界平均の約2倍) ・梅雨と台風がある ・山が急で川が短く、流れが速い → 大雨がすぐ川に集まる 【雪害】 日本海側は世界有数の豪雪地帯

つまり、日本に住む以上、災害と付き合っていくしかないのです。

「自分の所は大丈夫」と思いたくなりますが、地域によって起きやすい災害がちがうだけで、まったく災害のない場所はありません

だから、まず自分の地域では何が起きやすいかを知ることから始めます。

ハザードマップを読む

ハザードマップは、災害の危険が予想される場所を示した地図です。

ハザードマップで分かること ・浸水しそうな場所と深さ ・土砂くずれの危険がある場所 ・津波が来る範囲 ・地震で ゆれやすい場所 ・避難所の位置 ・避難する道すじ

市区町村が作成して配布しています。ホームページでも見られます。

確認すべきポイントは三つです。

① 自分の家はどうなっているか → 浸水する? 何mまで? → 土砂災害の区域に入っている? ② 学校や通学路はどうか → 通学中に災害が起きたら? ③ 避難所はどこか → 家からどう行くか → 途中に危ない場所はないか

大事なのは、地図を見るだけでなく、実際に歩いてみることです。

地図では近くに見えても、実際には坂があったり、川を渡らなければならなかったりします。夜や大雨のときに通れるかまで考えておく必要があります。

避難所は1つではない

災害の種類によって、行くべき場所がちがうことがあります。
・洪水のとき … 高い場所、高い建物
・地震のとき … 広い場所(公園、校庭)
・津波のとき … とにかく高い所へ
洪水のときに川のそばの低い避難所へ行っては意味がありません。
ハザードマップには、どの災害に対応した避難所かが書かれています。必ず確認しておきましょう。

三つの支え

防災には、三つの支えがあると言われます。

名前意味
自助自分と家族で守る備蓄、家具の固定、避難訓練
共助近所の人と助け合う声かけ、救助、避難所の運営
公助国や市が助ける消防、自衛隊、支援物資

ここで知っておくべき事実があります。

大きな災害のとき、 公助はすぐには来られない ・道路が壊れている ・同時に何万件も被害が出る ・消防や救急も被災している → 最初の3日間は 自助と共助でしのぐ必要がある

阪神・淡路大震災では、がれきから救出された人の約8割が家族や近所の人に助けられたという調査があります。消防や自衛隊が助けた割合より、はるかに多いのです。

だから、ふだんの近所づきあいが防災になるのです。誰がどこに住んでいるか、お年寄りや体の不自由な人はいるか。知っているかどうかが、いざというときに大きな差になります。

家でできる備え

自助の具体的な方法を見ていきましょう。

物の備え

非常持ち出し袋(すぐ持って逃げる用) ・水(1人1日3L × 3日分) ・食料(そのまま食べられるもの) ・懐中電灯、電池 ・ラジオ ・救急用品、常備薬 ・ばんそうこう、マスク ・軍手、タオル ・現金(小銭も) ・家族の連絡先を書いた紙 備蓄(家にためておく用) ・水と食料は最低3日、できれば1週間分 ・トイレ用品(意外と忘れがち) ・カセットコンロ

トイレの備えは見落とされがちですが、非常に重要です。断水すると水洗トイレは使えません。携帯トイレを用意しておく必要があります。

家の備え

・大きな家具を固定する ・ガラスに飛散防止フィルムを貼る ・寝る場所に倒れるものを置かない ・出口をふさぐ物を置かない ・消火器の場所を確認する

地震のけがの多くは、倒れた家具や割れたガラスによるものです。固定するだけで大きく減らせます。

決めごと

・災害時の集合場所を決める ・連絡方法を決める (災害用伝言ダイヤル171など) ・家族それぞれの避難経路を確認

災害時は電話がつながりません。だから、あらかじめ「どこで会うか」を決めておくことが重要です。

まちの中の備え

地域にも、災害に備えたしくみがあります。まちを歩くと見つけられます。

もの役割
防災倉庫毛布・食料・救助道具の保管
防火水そう断水しても消火できる水
広域避難場所の標識逃げる場所を示す
海抜表示その場所の高さ(津波対策)
防災無線のスピーカー情報を伝える
堤防・水門川の水をせき止める
砂防ダム土砂の流れを止める

海抜表示は、津波の多い地域の電柱などに貼られています。「海抜3.2m」といった数字が書いてあります。

これを見ると、自分がいる場所の高さが分かります。津波警報が出たとき、もっと高い所へ逃げる判断ができるのです。

また、避難訓練も重要な備えです。実際に体を動かしておくと、いざというときに考えずに動けます。訓練を「面倒」と思わず、真剣に取り組むことが命を守ります。

過去の災害から学ぶ

防災の知恵の多くは、過去の災害の経験から生まれています。

昔の人が残したもの ・災害の記録を刻んだ石碑 ・「ここより下に家を建てるな」 という津波の警告 ・地名に残る手がかり (「蛇」「竜」「沢」など、 水に関わる字がつく場所は 水害の危険があることも)

東北の海沿いには、昔の津波の高さを示す石碑が立っています。「ここより下に家を建てるな」と刻まれた碑を守った集落は、東日本大震災でも被害を免れました。

先人の警告には理由があるのです。

また、災害のたびにしくみが改善されてきました。

・耐震基準の強化 (大きな地震のたびに見直される) ・緊急地震速報のしくみ (小さなゆれを感知して 大きなゆれの前に知らせる) ・ハザードマップの整備 (水害の経験から広まった)

災害を完全に防ぐことはできません。でも、経験を次に生かすことで、被害は確実に減らせます。

自分の住む地域で、過去にどんな災害があったか調べてみてください。図書館や資料館に記録があります。そこで起きたことは、また起きる可能性があるのです。

つまずきやすいところ

その1 災害を人ごとだと思う

「自分の所は大丈夫」と考える。
日本に災害のない場所はありません。ハザードマップで、自分の地域の危険を確認しましょう。

その2 公助を待てばよいと思う

消防や自衛隊が助けに来ると考える。
大災害ではすぐに来られません。最初の数日は自助と共助が命を守ります。

その3 避難所を1つしか知らない

災害の種類で行き先が変わることを知らない。
洪水と地震では逃げるべき場所がちがいます。ハザードマップで確認しましょう。

やってみよう

Q1 ハザードマップで確認すべきことを三つ言いましょう。

A 自分の家の危険度・通学路・避難所の場所と行き方です。

Q2 自助・共助・公助とは何ですか。

A 自助=自分と家族、共助=近所の助け合い、公助=国や市の支援です。

Q3 備蓄する水は1人何日分必要ですか。

A 1日3L × 最低3日分、できれば1週間分です。

Q4 家族で避難場所と連絡方法を決めてみましょう。

A 災害時は電話がつながりません。会う場所を決めておくことがいちばん確実です。

まとめ

おうちの方へ

防災は、学校の学習で終わらせず家庭で実践してこそ意味がある単元です。
まず、ハザードマップを家族で見てください。多くの自治体がホームページで公開しています。自宅の浸水想定、最寄りの避難所、そこまでの道のり。5分あれば確認できます。
次に、避難所まで実際に歩いてみることをおすすめします。地図では分からない坂道や危険な箇所が見つかります。
備蓄については、「ローリングストック」という方法が実用的です。ふだん食べる物を少し多めに買い、古いものから使って買い足す。これなら期限切れの心配がありません。
そして、集合場所と連絡方法を必ず決めてください。災害時は電話がつながらず、これがないと家族が離ればなれになります。子どもと一緒に決めると、防災が自分ごとになります。