3年生では、地図記号と方位で「何がどこにあるか」を読みました。4年生の地図には、そこにもう一つの情報が乗ります。土地の高さです。それを運んでいるのが、茶色い細い線=等高線です。
4年生の社会では、自分たちの県の地形を調べる場面が出てきます。ここで多くの子が同じところでつまずきます。地図に、意味の分からない曲がった線がびっしり引いてあるからです。
3年生までの地図は、記号と名前を見れば読めました。学校は文の記号、田は稲を刈ったあとの記号、というように一つの記号が一つのものを指す約束だったからです。
ところが等高線はちがいます。1本の線そのものには、建物も道も対応していません。線は地面の高さを表すためだけに人が引いた線で、現地に行っても地面に線は引かれていません。ここを知らないまま見ると、いつまでも「何かの道」に見えてしまいます。
つまり4年生の地図は、平らな紙の上で立体を表そうとしています。そのための道具が等高線だ、と先に決めてしまうと、あとの話はすべてつながります。
等高線の意味は、名前のとおりです。高さが等しいところを通る線。ある1本の線の上を歩き続けたら、上りも下りもなくずっと同じ高さのまま元の場所にもどってくる、そういう線です。
山にぐるりと水を張ったところを想像すると分かりやすくなります。水面と地面が接するところは、どこでも同じ高さです。その形をそのまま上から写しとったものが、等高線1本です。水を10メートル上げて、また写す。これをくり返して重ねたのが地形図です。
だから等高線は、とちゅうで切れたり、他の線と交わったりしません。同じ場所の高さが同時に2つになることはないからです。線は必ずつながって輪になるか、地図の外へ出ていきます。
地図には10メートルごとの細い線と、50メートルごとの太い線が引かれています。数字は全部の線には書かれていないので、数字の書いてある太い線から、細い線を数えて上り下りするのが基本の読み方です。
等高線でいちばん役に立つのは、じつは高さそのものよりも線と線のすき間です。
となり合う線は、どちらも高さの差が10メートルと決まっています。同じ10メートル上がるのに、地図の上で長い道のりが必要なら、それはゆるやかな坂です。すぐとなりに次の線があるなら、短いきょりで10メートル上がる、つまり急な坂です。
| 線の見え方 | 土地のようす | よくある使われ方 |
|---|---|---|
| 線と線が広い | ゆるやかな坂・平地 | 田畑・住宅地・大きな道路 |
| 線と線がせまい | 急な坂・がけ | 森林・道はつづら折り |
| 線がほとんどない | ほぼ平ら | 平野・川ぞいの低地 |
この表は、そのまま「なぜ人がそこに住むのか」の説明になります。平らで水が近い土地に家と田が集まり、急な斜面は森のまま残る。県の地形と人口の広がりが結びつくのは、この一点を通してです。
等高線が山側へ向かってとがっている場所と、外側へ張り出している場所があります。この2つの区別ができると、地形図はぐっと読めるようになります。
谷には水が集まるので、たどっていくと川になります。地図で青い線をさがすと、たいてい谷のとがりの内側を通っているはずです。川はいちばん低いところを流れるという当たり前の事実が、線の形として目に見えるわけです。
反対に尾根は、水が左右に分かれていく高まりです。昔の道や県のさかいが尾根に沿って引かれていることが多いのは、そこが人の行き来のさかい目になりやすかったからです。
テストでも調べ学習でも、行きあたりばったりに見ると時間が足りません。見る順番を毎回同じにしておくと安定します。
順番に意味があります。自然の条件を先につかんでおくと、④で見つけた家や道が「なぜそこにあるのか」の答えとして読めるからです。逆に建物から見はじめると、記号を数えるだけの作業になってしまいます。
②の縮尺も忘れずに使います。同じ大きさの地図でも、2万5千分の1なら1センチが250メートル、5万分の1なら1センチが500メートルです。線の混み具合をくらべるときは、縮尺がそろっているかを必ず確かめます。
茶色の線を道路だと思ったまま読むと、地図がまったく通じません。
「この線の上はどこでも同じ高さ」と一度声に出して確かめてください。線は現地にはないと分かった時点で、半分は解決します。
ふつうは内側が高いのですが、くぼ地では逆になります。
決め手は数字です。内側へ進むほど数字が大きくなるか小さくなるかを、太い線の数字で1回だけ確かめるくせをつけます。
「高そうだから200メートルくらい」では答えになりません。
数字のある太い線を出発点にして、細い線を1本10メートルとして数えます。上がっているのか下がっているのかを先に決めるのがこつです。
Q1 等高線とは、どんな線ですか。一文で説明しましょう。
A 地面の高さが同じところをつないだ線です。実際の地面に引かれている線ではありません。
Q2 線と線のすき間がせまい場所は、どんな土地ですか。
A 短いきょりで高さが変わる、つまり急な坂です。広ければゆるやかな坂になります。
Q3 等高線が高いほうへ ∧ の形にとがっている場所は、谷と尾根のどちらですか。
A 谷です。雨水が集まる形なので、たどると川になります。
Q4 太い線に「100」とあり、そこから外側へ細い線を3本こえました。高さは何メートルですか。
A 外側は低いほうなので、10メートルずつ3回下がって70メートルです。上りか下りかを先に決めるのがポイントです。
Q5 自分の住む市町村の地形図で、家が多い場所と森のままの場所をさがし、線の混み具合をくらべてみましょう。
A 平らな場所に家や田が集まっていれば、土地の形が人のくらしを決めていることの発見です。
等高線は、小学校の社会で初めて出会う「実物のない記号」です。地図記号は建物や田そのものを指していましたが、等高線が指しているのは目に見えない高さという性質で、そこに抽象のかべがあります。お子さんが読めないのは、注意力ではなく、この一段の高さのせいです。
いちばん効くのは、立体で一度体験してしまうことです。段ボールや発泡トレーを同じ形に何枚か切って重ねると小さな山になり、それを真上から見た輪郭がそのまま等高線になります。手を動かした経験は、線の意味を説明されるより長く残ります。
お出かけのときは、ハイキングコースの案内板や登山地図が格好の教材です。「この区間は線がつまっているから、きっと息が切れる坂だね」と一言そえるだけで、地図と体感が結びつきます。
ご家庭で紙の地形図を用意しなくても、地図アプリの地形表示や航空写真で十分です。同じ場所を写真と地図で見くらべ、山や谷が地図ではどう表れているかを重ねてみてください。
この単元が読めるようになると、5年生の国土の学習や、6年生の防災・ハザードマップの理解が目に見えて楽になります。急がず、線1本の意味を確実にしておくことをおすすめします。