4年 算数 直方体と立方体

直方体と立方体 ── 展開図は「開いた箱」の設計図

立体を平面の紙の上で考える。この単元でその方法を身につけます。

2つの立体

2年生で「はこの形」を学びました。4年生では、それに名前をつけて詳しく調べます。

直方体 … 6つの長方形で囲まれた形 (ティッシュの箱、本、れんが) 立方体 … 6つの正方形で囲まれた形 (さいころ、キューブ型の積み木)

立方体は、すべての辺の長さが等しい直方体です。正方形が特別な長方形だったのと同じ関係です。

どちらも、面・辺・頂点の数は同じです。

面 … 6つ 辺 … 12本 頂点 … 8つ

この数は覚えておくと便利ですが、数え方を知っておくほうが確実です。

面:上下・前後・左右で 2×3 = 6 辺:たて4本・よこ4本・高さ4本 = 12 頂点:上の面に4つ、下の面に4つ = 8

実際に箱を手に持って数えてみると、確実に身につきます。見えない裏側も忘れずに数えるのがコツです。

面と面、辺と辺の関係

直方体の面や辺には、垂直と平行の関係があります。

1つの面に注目すると… 向かい合う面 … 1つ(平行) となり合う面 … 4つ(垂直)

底面に注目してみましょう。底面と平行なのは上の面だけ。残りの4つの側面は、すべて底面に垂直です。

辺についても同じように考えられます。

1本の辺に注目すると… 平行な辺 … 3本 垂直な辺 … 4本 ねじれの位置の辺 … 4本

「ねじれの位置」というのは、平行でも垂直でもなく、交わりもしない関係です。平面では起こらない、立体ならではの関係です。

4年生ではこの言葉は使いませんが、「平行でも垂直でもない辺がある」ことに気づけると立体の理解が深まります。

実物で確かめる

面と辺の関係は、図だけで理解するのは難しいものです。
ティッシュの空き箱を用意して、指でなぞりながら確かめるのがいちばんです。
「この面と平行なのはどれ?」「この辺と交わらない辺は?」と問いかけながら触ると、立体の感覚が育ちます。

展開図

立体を切り開いて平らにした図を展開図といいます。

立方体の展開図(例) □ □ □ □ □ □ 6つの正方形がつながっている → 組み立てるとさいころになる

展開図は、箱の設計図です。お菓子の箱をていねいに開くと、展開図が現れます。

立方体の展開図は、なんと11種類あります。回転させて同じになるものを除いた数です。

代表的な形 【十字型】 【階段型】 【T字型】 □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □

すべて覚える必要はありませんが、いくつかは自分で見つけてみると面白い発見があります。

展開図を見るときのポイントは2つです。

① 組み立てたとき、どの面とどの面が 向かい合うか ② 組み立てたとき、どの点とどの点が 重なるか

①は、1つ飛ばしの位置にある面が向かい合います。十字型なら、横一列の1番目と3番目、2番目と4番目が向かい合います。

②は難しいですが、切り開いた辺どうしがくっつくと考えます。実際に紙で作って確かめるのが一番の近道です。

見取図をかく

立体を立体らしく紙にかいた図を見取図といいます。

見取図のかき方 ① 手前の面を長方形でかく ② 各頂点から、ななめに同じ長さの線をひく ③ 線の先を結んで、奥の面をかく ④ 見えない辺は点線にする

ポイントは③のななめの線を、全部同じ向き・同じ長さにすることです。ばらばらだと、ゆがんだ形になってしまいます。

そして④の点線が重要です。見えない辺を点線でかくことで、「これは立体だ」と伝わります。点線がないと、平面の図形と区別がつきません。

展開図と見取図は、それぞれ得意なことがちがいます。

見取図 … 全体の形が分かる (どんな箱か一目で) 展開図 … 各面の大きさが正確に分かる (紙を何cm²使うか計算できる)

目的によって使い分けます。2つの表し方を行き来できることが、この単元のゴールです。

位置の表し方

この単元にはもう1つ、重要な内容があります。空間での位置を数で表す方法です。

平面なら、2つの数で位置が決まります。

教室の座席 「前から3番目、左から2番目」 → (3, 2) と表せる

では立体ではどうでしょうか。

たてに3m、よこに2m、高さ1.5m の位置 → (3, 2, 1.5) 3つの数が必要!

平面は2つ、立体は3つの数で位置が決まります。これが「2次元」「3次元」という言葉の意味です。

この考え方は、身のまわりで実際に使われています。

・飛行機の位置(緯度・経度・高度) ・地図アプリの座標 ・3Dゲームのキャラクターの位置 ・建物の設計図

3つの数で空間の1点を指定する。これがコンピュータの世界を支えているのです。中学の数学、そして高校の空間図形へとつながる、大事な考え方です。

箱の表面積を考える

展開図が分かると、箱を作るのに必要な紙の量が計算できます。

たて3cm・よこ4cm・高さ2cm の直方体 上と下の面: 3 × 4 = 12cm² … 2つ 前と後ろの面: 4 × 2 = 8cm² … 2つ 左と右の面: 3 × 2 = 6cm² … 2つ 合計 (12 + 8 + 6) × 2 = 52cm²

ポイントは、面が3種類あり、それぞれ2つずつだということです。向かい合う面は同じ大きさなので、3種類を求めて2倍すれば済みます。

この計算をするとき、展開図をかいてみると確実です。6つの面がすべて見えるので、数え落としがなくなります。見取図では裏側が見えないため、面を忘れやすいのです。

立方体ならもっと簡単です。6つの面がすべて同じなので、1面の面積を6倍します。1辺5cmなら 5×5×6=150cm² です。

お菓子の箱やティッシュの箱には、実際にこの計算が使われています。紙をむだなく使うために、展開図の形も工夫されているのです。空き箱を開いたとき、余分な「のりしろ」がどこにあるかも見てみてください。

つまずきやすいところ

その1 展開図から組み立てた形が想像できない

頭の中で立体にできない。
実際に作るのが最短です。紙に展開図をかいて、切って、組み立てる。数回やれば感覚がつかめます。想像力は経験から育ちます。

その2 見えない辺を実線でかいてしまう

見取図が平面図のようになる。
見えない辺は点線です。手前の面から順にかき、最後に「これは見えるか?」と確認しながら線種を決めます。

その3 面と辺の関係が分からない

「この面に垂直な面はどれ?」で止まる。
実物を手に持って確かめます。図だけで考えるのは4年生には難しい作業です。箱を触りながらなら分かります。

やってみよう

Q1 直方体の面・辺・頂点はいくつありますか。

A 面6つ、辺12本、頂点8つ。立方体も同じです。

Q2 直方体の1つの面に平行な面はいくつありますか。

A 1つ(向かい合う面)です。残りの4つは垂直です。

Q3 見取図で、見えない辺はどうかきますか。

A 点線でかきます。これがないと立体に見えません。

Q4 お菓子の空き箱を開いて、展開図を作ってみましょう。

A どの面とどの面が向かい合っていたか、印をつけてから開くと分かりやすいです。

まとめ

おうちの方へ

立体図形は、紙の上の図だけでは理解が進みません。実物を手に取ることが何より効果的です。ティッシュの空き箱、お菓子の箱、さいころ。家にあるもので十分です。
とくに展開図は、実際に開いて・組み立てる経験が決定的です。「開く前に、向かい合う面に同じ色のシールを貼る」といった工夫をすると、展開図の中での位置関係が見えてきます。
見取図をかくのは、意外と難しい作業です。うまくかけなくても、立体を理解していないわけではありません。まずは実物を見ながらかかせて、少しずつ精度を上げていけば十分です。
「位置を3つの数で表す」考え方は、地図アプリやゲームの世界と直結しています。身近な例を出すと、興味を持って取り組めます。