三角形の3つの角を合わせると、いつも180度でした。四角形はどうなるでしょうか。紙を切って確かめてみましょう。
「角の大きさ」の単元で、三角形の3つの角を合わせるといつも180度になることを学びました。紙の三角形を切って、3つの角をちぎって並べると一直線になる、という実験です。
では、四角形の4つの角を全部合わせたら何度になるでしょうか。まずは、いちばん簡単な四角形で考えます。
正方形や長方形なら、計算は一瞬です。直角が4つで360度。これはすぐに分かります。
でも、台形やひし形のように、角の大きさがふぞろいな四角形ではどうでしょうか。分度器で4つの角をはかって足すのは大変です。もっと賢い方法はないでしょうか。
ここで、三角形の180度というすでに知っている事実を道具として使います。
四角形には、向かい合う頂点があります。その2つの頂点を結ぶ線を引いてみましょう。
この線を対角線といいます。「垂直・平行と四角形」の単元で、平行四辺形やひし形の対角線を学んだときに出てきた言葉です。
対角線を1本引くと、四角形は2つの三角形に分かれます。
ここが大事なポイントです。四角形の4つの角は、2つの三角形の角に、そのまま分かれて移っただけです。新しい角が増えたわけではありません。
つまり、四角形の角をすべて合わせた大きさは、2つの三角形の角をすべて合わせた大きさと、まったく同じになるのです。
三角形の角の和は、形にかかわらずいつも180度でした。だから、2つの三角形の角の和は、こうなります。
四角形の角の和は、いつも360度。これが答えです。
大事なのは、この結論が四角形の形に関係なく成り立つということです。正方形でも、台形でも、ひし形でも、どんなにいびつな四角形でも、対角線を引けば必ず2つの三角形に分かれます。そして、三角形の角の和は形に関係なくいつも180度でした。
だから、四角形の形がどうであっても、角の和はいつも360度になるのです。「対角線で2つに分ける」という1つの工夫が、あらゆる四角形に通用する理由がここにあります。
| 四角形の形 | 4つの角(例) | 合計 |
|---|---|---|
| 正方形 | 90°・90°・90°・90° | 360° |
| 台形 | 70°・70°・110°・110° | 360° |
| ひし形 | 60°・120°・60°・120° | 360° |
| ふぞろいな四角形 | 50°・95°・140°・75° | 360° |
最後の「ふぞろいな四角形」を見てください。角の大きさは1つ1つまったく違いますが、足すと必ず360度になっています。形は自由でも、合計だけは決まっているのです。
計算だけでなく、実際に手を動かして確かめてみましょう。やり方は、三角形のときの実験とほとんど同じです。
すると、4つの角はぴったり1回転して、もとの場所に戻ってきます。
三角形の実験では3つの角が一直線(180度)になりました。四角形の実験では4つの角がぐるっと1周(360度)になります。「一直線」と「1周」、どちらも角が何かのきまった形にぴったり収まるという体験です。
この実験で面白いのは、どんな形の四角形で切っても同じ結果になることです。細長い四角形でも、ひしゃげた四角形でも、角を切って並べれば必ず1周ぴったり収まります。何度やっても同じ結果になることが、「いつも360度」という事実を、計算だけでなく手でも納得させてくれます。
先ほどは対角線ACで分けましたが、もう一方の対角線BDで分けても、同じように360度になります。
どちらの対角線を引いても、答えは変わりません。分け方は自由だが、合計はいつも同じ。これは、44ページ先で学ぶ「どの道を通っても同じ場所に着く」という算数の考え方の、早い出会いでもあります。
実は、この「三角形に分けて確かめる」という方法は、四角形だけの特別な技ではありません。五角形なら対角線を2本引いて3つの三角形に分けられますし、六角形なら4つの三角形に分けられます。三角形がいくつ分とれるかで、角の和も決まっていきます。この先の形について詳しくは5年生で学びますが、「分からない形を、分かっている三角形に分ける」という考え方自体は、4年生の今すぐ使える道具です。
四角形の角の和が360度だと分かっていると、1つの角が分からないときに計算で求められるようになります。
分度器で測れない角でも、残りが360度になるように逆算すれば求められます。これは「角の大きさ」の単元で学んだ、角をたしたり引いたりする考え方の応用です。
平行四辺形やひし形では、もっと便利な性質も使えます。「垂直・平行と四角形」で学んだように、平行四辺形は向かい合う角の大きさが等しいという性質がありました。これと「角の和は360度」を組み合わせると、1つの角が分かれば残り3つすべてが求められます。
知っている性質を組み合わせると、1つの数字から全部が分かる──これが算数の積み重ねの力です。
「台形だから360度にならないかもしれない」と不安になる。
対角線で三角形2つに分ければ、どんな四角形でも180°×2=360°になります。実際に自分で四角形を描いて確かめると、不安はなくなります。
となり合う頂点を結んでしまう。
対角線は向かい合う頂点を結ぶ線です。四角形には対角線が2本あり、どちらで分けても三角形2つになります。
3つの角だけ足して360度に合わない。
4つの角すべてに印をつけてから足す。分からない角を求める問題では、「360°からすでに分かっている角を全部引く」と決めて進めると、数え忘れを防げます。
Q1 四角形の4つの角を全部合わせると何度になりますか。
A 360度。四角形の形にかかわらず、いつも同じです。
Q2 なぜ四角形の角の和が360度になるのか、理由を説明しましょう。
A 対角線を1本引くと四角形は2つの三角形に分かれ、三角形の角の和はいつも180度なので、180°×2=360°になります。
Q3 四角形の4つの角のうち3つが60°・100°・90°と分かっています。残りの角は何度ですか。
A 60+100+90=250°。360°-250°=110°。
Q4 平行四辺形の1つの角が50°のとき、残り3つの角はそれぞれ何度ですか。
A 向かい合う角は等しいので50°。残りの2つは360-50-50=260°で、この2つも等しいので130°・130°。合わせて50°・50°・130°・130°。
Q5 紙で四角形を切って、角の和が360度であることを自分の手で確かめてみましょう。
A 対角線で2つの三角形に切り分け、4つの角をちぎって頂点をそろえて並べると、すきまも重なりもなくぴったり1周します。
この単元は、4年生の教科書には「360度」という結論だけが載っていることが多く、「なぜそうなるのか」までは詳しく触れられない場合があります。しかし、三角形の180度を使って説明できることを知っておくと、お子さんの「なぜ?」に答えられます。
紙を切って角を並べる実験は、三角形のときにやった実験の延長です。「三角形は一直線になったけど、四角形はどうなると思う?」と予想を立ててから切らせると、確かめる楽しさが増します。
どんな形の四角形で試しても360度になる、という点が重要です。1種類だけでなく、台形やひしゃげた四角形など、何種類かで試させてあげてください。「形によらず成り立つ」という実感こそが、この単元の本当の価値です。
五角形・六角形への発展は5年生以降の内容ですが、「三角形に分ければ分かる」という発想自体は、お子さんが自分で気づけたら大いにほめてあげてください。