4年 算数 倍の見方

倍の見方 ── 「何倍か」で比べると、大きさのちがいが見える

差で比べるか、倍で比べるか。比べ方の第二の目を育てる単元です。

2つの比べ方

次の問題を考えてみてください。

A店: 元の値段 100円 → 300円に値上げ B店: 元の値段 500円 → 700円に値上げ どちらの値上げが大きい?

2つの答えが考えられます。

【差で比べる】 A店: 300 - 100 = 200円上がった B店: 700 - 500 = 200円上がった → 同じ 【倍で比べる】 A店: 300 ÷ 100 = 3倍になった B店: 700 ÷ 500 = 1.4倍になった → A店のほうが大きい

どちらも正しい見方です。でも、感じ方はちがいます

100円が300円になったら「3倍だ!」と驚きます。500円が700円なら「少し上がったな」程度でしょう。同じ200円でも、もとの大きさによって受ける印象がちがうのです。

この「倍で比べる」という見方が、4年生の新しい武器です。

何倍かを求める

「何倍か」を求めるには、わり算を使います。

くらべる量 ÷ もとにする量 = 何倍

ここでいちばん大事なのが、どちらが「もとにする量」かを見分けることです。

「赤いテープは青いテープの何倍ですか」 ↑ 「の」の前が もとにする量 赤 ÷ 青 = 何倍

日本語の文では、「〜の」の前が基準になります。この読み取りができれば、式は自然に決まります。

例:赤テープ12cm、青テープ4cm 「赤は青の何倍?」 → 12 ÷ 4 = 3倍 「青は赤の何倍?」 → 4 ÷ 12 = 1/3倍

同じ2本のテープでも、どちらを基準にするかで答えがちがいます。ここが混乱しやすいところです。

基準の見分け方

問題文を読んだら、まず「〜の」を探して丸で囲む習慣をつけましょう。
「青何倍」→ 青が基準
「もとの値段何倍」→ もとの値段が基準
基準の量がわる数になります。
迷ったら、図に線分(テープ図)をかいて確かめます。基準を1として、もう一方が何個分かを見るのです。

もとにする量を求める

逆に、基準のほうが分からない問題もあります。

問題:赤いテープは18cm。 これは青いテープの3倍。 青いテープは何cm?

基準は青。青が分からないので、わり算で戻します。

青 × 3 = 18 → 18 ÷ 3 = 6cm

この関係を整理すると、3つのパターンになります。

① 何倍かを求める くらべる量 ÷ もとにする量 ② くらべる量を求める もとにする量 × 何倍 ③ もとにする量を求める くらべる量 ÷ 何倍

3つとも同じ関係を、角度を変えて見ているだけです。「もとにする量 × 何倍 = くらべる量」という1本の式から、すべて導けます。

この形は、5年生の割合で「くらべる量 = もとにする量 × 割合」として再登場します。4年生でここを固めておくと、5年生が楽になります

小数の倍

4年生では、倍が整数とは限らないことも学びます。

赤テープ 15cm、青テープ 10cm 15 ÷ 10 = 1.5 → 赤は青の1.5倍

「1.5倍」と言われてもピンとこないかもしれません。図で考えてみましょう。

青 ├──────────┤ 10cm 赤 ├──────────┼─────┤ 15cm 青と同じ分 その半分 青1つ分と、青の半分 → 1.5個分 → 1.5倍

1つ分と半分で1.5倍。「倍」は整数の個数だけでなく、半端も表せるのです。

さらに、1より小さい倍もあります。

赤テープ 6cm、青テープ 10cm 6 ÷ 10 = 0.6 → 赤は青の0.6倍

「0.6倍」は、もとより小さくなるということです。「倍」という言葉から「増える」イメージを持ちがちですが、そうとは限りません。

ここは4年生にとって大きなハードルです。倍=増える、ではない。1より大きい倍なら増え、1より小さい倍なら減る。この理解が5年生の割合につながります。

倍の見方が役立つ場面

「倍で比べる」見方は、生活のあちこちで使われています。

【売上の伸び】 A社: 100万 → 150万(1.5倍) B社: 1000万 → 1100万(1.1倍) → 伸び率ならA社が上 【身長の伸び】 赤ちゃん 50cm → 1才で75cm(1.5倍) 10才 140cm → 11才 145cm(1.04倍) → 赤ちゃんの成長のほうが急激 【値引き】 1000円が800円(0.8倍 = 2割引)

とくにニュースでは、「〜%増」「〜倍」という表現がよく出てきます。これは倍の見方そのものです。

そして、差と倍のどちらで語るかで印象が変わることにも注意が必要です。

「事故が2倍に増えた!」 → 実は 1件が2件になっただけ 「10万円の値上げ」 → 元が1000万円なら1%の値上げ

数字を見たら、差と倍の両方で考えてみる。これができると、情報にだまされにくくなります。

テープ図で考える

倍の問題を確実に解くには、テープ図(線分図)が役立ちます。

問題:ジュースが8dL。牛乳はその3倍。 牛乳は何dL? ジュース ├────┤ 8dL ↑ これを1とみる 牛乳 ├────┼────┼────┤ 8 8 8 8 × 3 = 24dL

図をかくと、かけ算かわり算かが一目で分かります。基準の長さが分かっていて、その何個分かを求めるならかけ算です。

逆のパターンも見てみましょう。

問題:牛乳は24dL。ジュースの3倍。 ジュースは何dL? 牛乳 ├────┼────┼────┤ 24dL ? ? ? ジュース ├────┤ ? 24 ÷ 3 = 8dL

全体が分かっていて、その1つ分を求めるならわり算。図があれば、式で迷いません

テープ図をかくときのコツは、基準になるほうを先にかくことです。そして、その長さを1つ分として、もう一方を並べます。

この図は5年生の割合、6年生の比でもずっと使います。4年生のうちにかき慣れておくと、あとの学年で大きな差になります。

つまずきやすいところ

その1 わる順序を逆にする

「AはBの何倍」でB÷Aとしてしまう。
「〜の」の前が基準で、それがわる数です。問題文の「の」に印をつける習慣をつけましょう。

その2 1より小さい倍がイメージできない

0.6倍を「増えた」と思ってしまう。
1を境に考えます。1より大きければ増え、1より小さければ減る。テープ図で長さを比べると視覚的に分かります。

その3 差と倍を混同する

「何倍」を聞かれてひき算をしてしまう。
「何倍」はわり算、「いくつ多い」はひき算。問われている言葉を確認してから式を作ります。

やってみよう

Q1 「AはBの何倍」の式はどうなりますか。

A A ÷ B。「の」の前のBが基準で、わる数になります。

Q2 24cmは6cmの何倍ですか。

A 24 ÷ 6 = 4倍です。

Q3 0.5倍とはどういう意味ですか。

A もとの半分。1より小さい倍なので、もとより小さくなります。

Q4 50円が100円になるのと、500円が600円になるの、どちらの値上がりが大きいですか。

A 差はどちらも変わりますが、倍で見ると2倍と1.2倍。倍で見れば前者が大きい変化です。

まとめ

おうちの方へ

この単元は、5年生の「割合」の準備として位置づけられています。割合は小学校算数最大の難所ですが、その原因の多くは「もとにする量が分からない」ことにあります。4年生のうちに、基準を見分ける力を育てておくことが大切です。
「〜の何倍」の「の」に注目させる指導は、非常に効果的です。国語的な読み取りですが、算数の式を決める決定的な手がかりになります。
テープ図(線分図)をかく習慣も、ぜひつけさせてください。基準を1本の線で表し、比べる量がその何個分かを見る。図があれば、式を間違えにくくなります。
ニュースの「○倍」「○%増」は、生きた教材です。「もとはいくつだったの?」と一緒に考えてみてください。