4年 算数 小数

小数のかさの文章題 ── ふえる計算か、分ける計算か

小数×整数と小数÷整数の計算のやり方はもう習いました。でも文章題でどちらを使うかを決めるのは、別の力です。

計算はできても、文章題は別の壁

次の2つの計算は、どちらも正しくできる人が多いはずです。

2.4 × 3 = 7.2 7.2 ÷ 3 = 2.4

ところが、文章題になるとどちらを使えばいいか迷う子が増えます。

問題A 1本に2.4Lずつ入ったペットボトルが3本あります。 全部で何Lですか。 問題B 7.2Lのジュースを、3本のペットボトルに 同じ量ずつ分けます。1本分は何Lですか。

どちらも「2.4」「7.2」「3」という同じ数字が出てきます。でも式はまったく逆です。

整数の文章題では「1つ分×いくつ分」「全部÷いくつ分」をもう習っています。小数になっても、考え方の骨組みは同じです。この記事では、その骨組みを小数のかさ(L・dL)の問題で確認します。小数の筆算ができることと、どちらの筆算を使うかを選べることは、別の力だと意識して読み進めてください。

「1本分」が分かっているとき ── かけ算

問題Aを図にしてみます。

1本分 ├──2.4L──┤ 3本分 ├──2.4L──┼──2.4L──┼──2.4L──┤ 2.4 × 3 = 7.2L

「1本分(1つ分)」が分かっていて、それが何本分あるかで全体を求める。これはかけ算です。

手がかりになる言葉は、「1本に□Lずつ」「1人に□kgずつ」のような「ずつ」「あたり」という表現です。1つ分の量がはっきり示されていたら、かけ算の出番です。

別の例:1箱1.8kgのりんごが5箱 1.8 × 5 = 9kg

整数のときの「1つ分×いくつ分=全部」が、小数でもそのまま使えます。かける数(本数・箱数)は整数のままというのも大事な点です。4年生で学ぶのは「小数×整数」まで。小数×小数は5年生で習います。

「全体」が分かっているとき ── わり算

今度は問題Bです。

全体 ├──────7.2L──────┤ 3本に等しく分ける 1本分 ├──?──┼──?──┼──?──┤ 7.2 ÷ 3 = 2.4L

「全体」が分かっていて、それを同じ数ずつに分けたときの1つ分を求める。これはわり算です。

手がかりになる言葉は、「同じ量ずつ分ける」「等しく分ける」「1本分は」という分配を表す言葉です。

別の例:9kgのりんごを5箱に同じ量ずつ分ける 9 ÷ 5 = 1.8kg(1箱分)

これも、問題Aのりんごと同じ数字(9kg・5箱)を使っています。かけ算の答えを、わり算の問題として読みかえただけです。かけ算とわり算は、同じ関係を見る方向がちがうだけなのです。

わる数はいつも整数

4年生の小数のわり算は「小数÷整数」です。わる数(本数・人数など、分ける先の数)はいつも整数になります。「0.6Lずつ分ける」のように、わる数のほうが小数になる問題(小数÷小数)は5年生で習います。今の段階では、わる数=分ける先の数=整数と覚えておけば大丈夫です。

「倍で比べる」とは、ちがう場面

この見分け方は、以前学んだ「倍の見方」の問題とは別の場面です。混同しないように整理しておきましょう。

【倍で比べる(別の単元)】 赤テープ15cm、青テープ10cm。 赤は青の何倍? → 15 ÷ 10 = 1.5倍 *2つの量を「比べる」わり算 【この記事(分ける)】 7.2Lを3本に同じ量ずつ分けると1本何L? → 7.2 ÷ 3 = 2.4L *1つの量を「分ける」わり算

どちらもわり算ですが、意味がちがいます。「倍の見方」は2つの量を比べて「何倍か」を出す式でした。今回の「分ける」わり算は、1つの量を同じ数ずつに切り分ける式です。算数ではこの「分ける」わり算を等分除と呼びます。

見分けるコツは、「何倍」と聞かれているか、「1本分・1人分」と聞かれているかを確認することです。「何倍」なら比べる式、「1つ分」なら分ける式です。

見分け方をまとめる

ここまでをもとに、式を決める手順をまとめます。

① 「1つ分の量」がすでに分かっているか? → YES なら かけ算(1つ分 × 個数 = 全体) ② 「全体の量」がすでに分かっていて、 同じ数ずつに分けると言っているか? → YES なら わり算(全体 ÷ 個数 = 1つ分) ③ 「何倍か」を聞かれているか? → YES なら 比べるわり算(別の単元の考え方)

この手順は、整数の文章題でずっと使ってきた考え方と同じです。数が小数になっても、式を決める手順は変わらない。これが、この記事でいちばん伝えたいことです。

文章の中の言葉をそのまま信じるのも危険です。「3本で7.2L」という文は、一見どちらの式にも使えそうに見えます。最後に聞かれているのが「全体」か「1つ分」かを、問いの文で必ず確認しましょう。

つまずきやすいところ

その1 数字の大きさで式を決めてしまう

「7.2のほうが大きいから、2.4でわる」のように、数字の見た目だけで操作を選ぶ子がいます。
正しい手順は、「1つ分」と「全体」のどちらが分かっていて、どちらを聞かれているかを文章から読み取ることです。数字の大小では決まりません。

その2 わる数まで小数にしてしまう

7.2÷2.4のように、答えを求める数どうしをわってしまうまちがいです。
分ける先の数(本数・人数)は必ず整数です。文章の中で「何本に」「何人に」分けるのかを、整数として探しましょう。

その3 「倍」の問題と混同する

「1本分は何L」という問いを、「何倍か」の問題と同じように解いてしまうことがあります。
「1本分」「1人分」は分ける式、「何倍」は比べる式。問いの文の最後の言葉に注目する習慣をつけましょう。

やってみよう

Q1 1本に1.5Lずつ入ったお茶が4本あります。全部で何Lですか。

A 1.5 × 4 = 6L。「1つ分」が分かっているので、かけ算です。

Q2 6Lのお茶を4本のペットボトルに同じ量ずつ分けます。1本分は何Lですか。

A 6 ÷ 4 = 1.5L。「全体」を同じ数ずつに分けるので、わり算です。

Q3 1.2Lのペンキで、かべを1枚ぬれます。6枚のかべをぬるには、ペンキは何Lいりますか。

A 1.2 × 6 = 7.2L。「1枚分(1つ分)」が分かっているので、かけ算です。

Q4 「何倍か」を求める問題と、「1本分」を求める問題のちがいは何ですか。

A 「何倍か」は2つの量を比べるわり算。「1本分」は1つの量を同じ数ずつ分けるわり算です。同じわり算でも意味がちがいます。

まとめ

おうちの方へ

計算そのもの(小数×整数、小数÷整数の筆算)ができるようになっても、文章題でどちらを使うかを決めるのは別の技能です。「数字が大きいほうでわればいい」のような、根拠のない選び方が身についてしまう子が少なくありません。
家庭でできる確認は、問題文の最後の問い(「全部で何L」「1本分は何L」「何倍」)に線を引かせることです。問われているものが「全体」なのか「1つ分」なのか「比べた倍」なのかが分かれば、式は自然に決まります。
また、整数の文章題で同じ数字関係を先に確認してから、小数に置きかえて見せるのも効果的です。「りんご9kgを5箱に分ける」を整数で確認し、同じ考え方が小数でも使えることを実感させてあげてください。