4年 算数 資料の整理

資料の整理 ── 二次元の表は「2つの見方」を同時にする道具

バラバラなデータを、落ちも重なりもなく整理する。データを扱う力の第一歩です。

整理しないと分からない

こんなデータがあったとします。

4年1組のけがの記録 ろうか・すりきず / 校庭・すりきず 体育館・ねんざ / 校庭・打ぼく 教室・切りきず / 校庭・すりきず ろうか・打ぼく / 体育館・すりきず 校庭・ねんざ / 教室・すりきず …(30件)

このままでは、何も分かりません。「どこでけがが多いのか」「どんなけがが多いのか」を知るには、整理が必要です。

整理の第一歩は、観点を決めることです。このデータには2つの観点があります。

観点1: 場所(ろうか・校庭・体育館・教室) 観点2: けがの種類(すりきず・打ぼく・ねんざ・切りきず)

観点を決めたら、それに沿って数えていきます。

落ちや重なりのない分類

数えるときの絶対条件は、落ちがなく、重なりもないことです。

問題意味結果
落ち数え忘れたデータがある合計が足りない
重なり同じデータを2回数えた合計が多くなる

これを防ぐ方法が2つあります。

方法1:正の字で数える

ろうか  正正丁 → 12 校庭  正正正一 → 16 体育館  正丁 → 7 教室  丁 → 2

「正」の字は5画。5ずつのかたまりで数えられるので、あとで合計しやすくなります。

方法2:数えたデータに印をつける

元のデータを1つ数えるごとに、チェックを入れていきます。全部に印がついていれば、落ちがない証拠です。

そして最後に、合計で確かめます

12 + 16 + 7 + 2 = 37 元のデータが30件なら、どこかで重複している 元のデータが40件なら、7件数え落としている

合計が元の件数と一致すること。これが正しく数えられた証明になります。

二次元の表

4年生の中心は、2つの観点を同時に扱う表です。

すりきず 打ぼく ねんざ 合計 ろうか 5 3 1 9 校庭 8 4 2 14 体育館 2 1 3 6 教室 1 0 0 1 ───────────────────────────── 合計 16 8 6 30

この表のすごいところは、4つの情報が同時に読めることです。

見る場所分かること
1つのマス両方の条件を満たす数校庭でのすりきず=8
横の合計場所ごとの合計校庭のけが全部=14
たての合計種類ごとの合計すりきず全部=16
右下のマス全体の合計けが全部=30

とくに右下のマスが重要です。ここは2通りの方法で計算できます

たての合計を足す: 16 + 8 + 6 = 30 横の合計を足す: 9 + 14 + 6 + 1 = 30 一致した → 表は正しい

2つの計算が一致すれば、表に間違いがない可能性が高い。表そのものが検算のしくみを持っているのです。

表を作るときの手順

① 2つの観点を決める
② たてとよこに項目を並べる(合計欄も忘れずに)
③ データを1件ずつ、該当するマスに正の字で記入
④ 各マスを数字にする
⑤ たて・横の合計を計算
⑥ 右下が2通りで一致するか確認
⑥まで必ずやること。ここを省くと、間違いに気づけません。

表から読み取る

表ができたら、そこから何が言えるかを考えます。

先ほどの表から分かること ・けががいちばん多い場所は 校庭(14件) ・いちばん多いけがは すりきず(16件) ・体育館では ねんざ が目立つ(6件中3件) ・教室ではほとんどけがが起きない(1件)

ここで一歩進んだ読み取りをしてみましょう。

校庭: すりきず8 / 打ぼく4 / ねんざ2 体育館: すりきず2 / 打ぼく1 / ねんざ3 校庭は「すりきず」が中心 体育館は「ねんざ」が中心 → 転び方がちがう? → 校庭は地面、体育館は床 → 動きの種類がちがうから?

数だけでなく、その中身の割合を見ると、新しい発見があります。

そして、分かったことを行動につなげるのが本当のゴールです。「校庭ではすりきずが多いから、走るときに気をつけよう」「体育館ではねんざが多いから、準備運動をしっかりしよう」。データは、そのために集めるのです。

表の落とし穴

表を読むときに、注意すべきことがあります。

【落とし穴1】数が多い=危険とは限らない 校庭のけがが14件でいちばん多い。 でも、校庭で遊ぶ人がいちばん多いなら、 当然けがも多くなる。 → 「人数あたり」で考える必要がある

この考え方は5年生の「割合」につながります。もとになる数がちがうものは、そのままでは比べられないのです。

【落とし穴2】期間や条件を確かめる 「1学期のけが」なのか「1年間」なのか 「4年1組だけ」なのか「学校全体」なのか → 表題と条件を必ず確認する

表を作るときも、読むときも、いつ・どこの・何のデータかを明記します。それがないと、正しく比べられません。

【落とし穴3】分類の仕方で結果が変わる けがを「すりきず・打ぼく・ねんざ・その他」 と分けるか、 「軽いけが・重いけが」と分けるかで、 見えてくるものがちがう → 何を知りたいかで分け方を決める

分類の仕方は1つではありません。知りたいことに合わせて観点を選ぶのです。

たとえば「保健室に行く必要があったか」で分ければ、けがの重さが見えます。「休み時間か授業中か」で分ければ、時間帯の問題が見えます。同じデータでも、切り口を変えると別の発見があるのです。

だから、表を1つ作って終わりにせず、別の観点でも作ってみると、より深く分かります。これは大人がデータを分析するときにもやっていることです。

つまずきやすいところ

その1 数えるときに落ちや重なりが出る

合計が元の件数と合わない。
数えたデータに印をつけるのが確実です。そして最後に合計で確かめます。合わないときは、必ずどこかにミスがあります。

その2 二次元の表の見方が分からない

どのマスが何を表すか混乱する。
たての見出しと横の見出しを指でたどる練習をします。「ろうかの行、打ぼくの列」と口に出しながら指を動かすと定着します。

その3 合計欄を書き忘れる

表は作れたが、合計がない。
合計欄は検算のしくみです。たてと横の合計が右下で一致するかを確かめるために、必ず作ります。

やってみよう

Q1 「落ちや重なりがない」とはどういうことですか。

A 数え忘れも二重カウントもないこと。合計が元の件数と一致すれば確認できます。

Q2 二次元の表の右下のマスは何を表しますか。

A 全体の合計。たての合計の和と横の合計の和が一致するはずです。

Q3 なぜ正の字で数えるのですか。

A 5画なので5ずつのかたまりで数えられ、合計しやすいからです。

Q4 クラスの「好きな教科」と「男女」で二次元の表を作ってみましょう。

A 合計欄まで作り、右下が2通りで一致するか確かめましょう。

まとめ

おうちの方へ

この単元は、統計・データ活用の入り口です。中学・高校、そして社会に出てからも使う力の土台になります。
「落ちや重なりのない分類」は、単なる作業ではなく思考の訓練です。数え間違いを指摘するのではなく、合計で自分で気づかせるようにしてあげてください。表の検算のしくみは、そのために用意されています。
家庭では、身近なデータで表を作るのがおすすめです。1週間の天気と気温、家族の好きな食べ物、テレビを見た時間。自分で集めたデータなら、整理する意味が実感できます。
そして「分かったことを次にどう活かすか」まで話し合えると理想的です。データは集めるだけでは意味がなく、判断や行動につなげてこそ価値があります。