4年 算数 計算のきまり

計算のきまり ── 世界共通の「計算する順番」

なぜ×÷が先なのか。( )は何のためにあるのか。順序のルールには理由があります。

順番で答えが変わる

次の式を計算してください。

2 + 3 × 4 = ?

2通りの答えが出てきます。

【左から順に】 2 + 3 = 5 5 × 4 = 20 【×を先に】 3 × 4 = 12 2 + 12 = 14

どちらが正しいのでしょうか。答えは14です。

もし順番のルールがなければ、同じ式なのに人によって答えがちがうことになります。それでは困ります。だから世界共通のルールが決まっているのです。

計算の順序 ① ( ) の中 ② × ÷ ③ + - 同じ強さなら左から順に

このルールは日本だけでなく、世界中どこでも同じです。だから、外国の教科書の式も同じように読めます。

なぜ×÷が先なのか

「なぜかけ算が先なの?」──もっともな疑問です。実は、意味を考えると自然なのです。

80円のパンを1個と、 50円のあめを3個買った。合計は? 80 + 50 × 3 あめ3個分は 50×3=150円 パンと合わせて 80+150=230円

この場面で「80+50」を先に計算するのはおかしいですよね。パンとあめ1個を足しても意味がありません。

×は「まとまり」を作る計算です。「50円が3個分」というまとまりを先に作ってから、他のものと合わせる。だから×を先に計算するのです。

+ - は「合わせる・取り去る」 × ÷ は「まとまりを作る・分ける」 まとまりを作ってから合わせる → だから ×÷ が先

この理解があると、ルールを忘れにくくなります。丸暗記ではなく、意味から順番が決まっているのです。

( ) の役割

では、どうしても足し算を先にしたいときはどうするのでしょうか。

80円のパンと50円のあめのセットを、 3セット買った。合計は? (80 + 50)× 3 = 130 × 3 = 390円

ここで( )の出番です。( )は「ここを先に計算せよ」という命令です。

( )があるかないかで、答えはまったく変わります。

意味答え
80 + 50 × 3パン1個とあめ3個230
(80 + 50) × 3セットを3組390
100 - 30 - 20順に引く50
100 - (30 - 20)差を引く90

( )は1つの数のかたまりを作ります。(80+50)は「130という1つの数」として扱われるのです。

だから、問題文を式にするときは( )が必要かどうかを必ず考えます。「まとめてから」なら( )が要ります。

計算を楽にする3つの法則

4年生では、計算を工夫するための法則も学びます。

交換法則 ── 入れかえてよい

a + b = b + a a × b = b × a 25 + 78 + 75 = 25 + 75 + 78 ← 入れかえた = 100 + 78 = 178

きりのよい組み合わせを先に作ると、暗算でできます。

結合法則 ── まとめる場所を変えてよい

(a + b) + c = a + (b + c) (a × b) × c = a × (b × c) 4 × 25 × 7 = (4 × 25) × 7 ← 先に4×25 = 100 × 7 = 700

4×25=1008×125=1000。この組み合わせは覚えておくと便利です。

分配法則 ── ばらして計算してよい

(a + b) × c = a × c + b × c 102 × 7 = (100 + 2) × 7 = 700 + 14 = 714

これはかけ算の筆算そのものです。2年生から使っていた仕組みに、名前がついたのです。

逆向きにも使えます。

a × c + b × c = (a + b) × c 38 × 6 + 62 × 6 = (38 + 62) × 6 = 100 × 6 = 600

この「くくり出す」使い方は、中学の数学で非常によく使います。

なぜ-や÷では交換できないのか

+と×は入れかえられますが、-と÷はできません。
10-3=7 ですが 3-10 は答えがちがいます。
これは、ひき算とわり算には向きがあるからです。「どちらから、どちらを」という関係が意味を持ちます。
ただし、10-3-2 のように連続するひき算は 10-(3+2) と書きかえられます。まとめて引くという工夫は可能です。

工夫して計算する

法則を使うと、筆算しなくても答えが出せます

工夫答え
98 × 5(100-2)×5=500-10490
25 × 1625×4×4=100×4400
47 + 9947+100-1146
36 × 259×4×25=9×100900

大切なのは、計算する前に式をながめる習慣です。「きりのよい数が作れないか」「ばらせないか」と考える。

この習慣は、計算が速くなるだけでなく、数の関係を見る目を育てます。中学以降の数学では、この目が決定的に重要になります。

ただし、工夫が思いつかないときはふつうに筆算すればよいのです。工夫は義務ではなく、道具です。

1つの式にまとめる

計算のきまりを学ぶと、場面を1つの式で表せるようになります。

問題:1本120円のジュースを5本買い、 1000円札で払った。おつりは? 【今までのやり方】 ① 120 × 5 = 600 ② 1000 - 600 = 400 【1つの式で】 1000 - 120 × 5 = 400

2つの式を1つにまとめられました。ここで×が先に計算されるというルールが効いています。もしルールがなければ、1000-120を先にしてしまい、答えがちがってしまいます。

1つの式にまとめる利点は、場面全体が一目で分かることです。「1000円から、120円の5本分を引く」という状況が、式そのものに表れています。

もう1つ例を見てみましょう。

問題:1個90円のパンと、1本60円の牛乳を セットで3組買った。代金は? (90 + 60) × 3 = 450円

ここでは( )が必要です。先にセットの値段を作ってから、3倍するという順序を、( )が表しています。

式を作るときは、場面の順序をそのまま式にできるかを考えます。「まず何を求めるか」が( )の中身になります。

つまずきやすいところ

その1 左から順に計算してしまう

2+3×4を20にしてしまう。
×÷が先です。式を見たら、まず×や÷に印をつけてから計算しはじめると防げます。

その2 ( )を書き忘れる

文章題を式にするとき、必要な( )を落とす。
「まとめてから」「セットで」という言葉があれば( )が要ります。式を作ったら、意味と合っているか読み返すのが確実です。

その3 分配法則で片方だけかける

(100+2)×7 を 700+2 にしてしまう。
( )の中のすべての項にかけます。矢印を書いて、両方にかけたか確認しましょう。

やってみよう

Q1 計算の順序を言いましょう。

A ( )の中 → ×÷ → +-。同じ強さなら左から順です。

Q2 なぜ×が+より先なのですか。

A ×はまとまりを作る計算だからです。まとまりを作ってから合わせます。

Q3 4×17×25を工夫して計算しましょう。

A 4×25=100を先に。100×17=1700

Q4 53×8+47×8を工夫して計算しましょう。

A (53+47)×8=100×8=800。分配法則の逆向きです。

まとめ

おうちの方へ

計算の順序は、ルールとして覚えるだけでも計算はできます。しかし「なぜそうなのか」を理解しておくと、文章題を式にする力が伸びます。
とくに( )の使い方は、6年生の文字式や中学の方程式に直結します。「まとめてから」という場面で( )を使えるかどうかが分かれ目です。
3つの法則は、名前を覚える必要はありません。大事なのは使えることです。「4×25で100になるから先にやろう」と気づけるかどうか。
家庭では、買い物の暗算が最高の練習になります。「198円が3個だから、200円×3引く2円×3で594円」──こうした計算を口に出してみせると、お子さんも自然にまねするようになります。