なぜ×÷が先なのか。( )は何のためにあるのか。順序のルールには理由があります。
次の式を計算してください。
2通りの答えが出てきます。
どちらが正しいのでしょうか。答えは14です。
もし順番のルールがなければ、同じ式なのに人によって答えがちがうことになります。それでは困ります。だから世界共通のルールが決まっているのです。
このルールは日本だけでなく、世界中どこでも同じです。だから、外国の教科書の式も同じように読めます。
「なぜかけ算が先なの?」──もっともな疑問です。実は、意味を考えると自然なのです。
この場面で「80+50」を先に計算するのはおかしいですよね。パンとあめ1個を足しても意味がありません。
×は「まとまり」を作る計算です。「50円が3個分」というまとまりを先に作ってから、他のものと合わせる。だから×を先に計算するのです。
この理解があると、ルールを忘れにくくなります。丸暗記ではなく、意味から順番が決まっているのです。
では、どうしても足し算を先にしたいときはどうするのでしょうか。
ここで( )の出番です。( )は「ここを先に計算せよ」という命令です。
( )があるかないかで、答えはまったく変わります。
| 式 | 意味 | 答え |
|---|---|---|
| 80 + 50 × 3 | パン1個とあめ3個 | 230 |
| (80 + 50) × 3 | セットを3組 | 390 |
| 100 - 30 - 20 | 順に引く | 50 |
| 100 - (30 - 20) | 差を引く | 90 |
( )は1つの数のかたまりを作ります。(80+50)は「130という1つの数」として扱われるのです。
だから、問題文を式にするときは( )が必要かどうかを必ず考えます。「まとめてから」なら( )が要ります。
4年生では、計算を工夫するための法則も学びます。
きりのよい組み合わせを先に作ると、暗算でできます。
4×25=100、8×125=1000。この組み合わせは覚えておくと便利です。
これはかけ算の筆算そのものです。2年生から使っていた仕組みに、名前がついたのです。
逆向きにも使えます。
この「くくり出す」使い方は、中学の数学で非常によく使います。
+と×は入れかえられますが、-と÷はできません。
10-3=7 ですが 3-10 は答えがちがいます。
これは、ひき算とわり算には向きがあるからです。「どちらから、どちらを」という関係が意味を持ちます。
ただし、10-3-2 のように連続するひき算は 10-(3+2) と書きかえられます。まとめて引くという工夫は可能です。
法則を使うと、筆算しなくても答えが出せます。
| 式 | 工夫 | 答え |
|---|---|---|
| 98 × 5 | (100-2)×5=500-10 | 490 |
| 25 × 16 | 25×4×4=100×4 | 400 |
| 47 + 99 | 47+100-1 | 146 |
| 36 × 25 | 9×4×25=9×100 | 900 |
大切なのは、計算する前に式をながめる習慣です。「きりのよい数が作れないか」「ばらせないか」と考える。
この習慣は、計算が速くなるだけでなく、数の関係を見る目を育てます。中学以降の数学では、この目が決定的に重要になります。
ただし、工夫が思いつかないときはふつうに筆算すればよいのです。工夫は義務ではなく、道具です。
計算のきまりを学ぶと、場面を1つの式で表せるようになります。
2つの式を1つにまとめられました。ここで×が先に計算されるというルールが効いています。もしルールがなければ、1000-120を先にしてしまい、答えがちがってしまいます。
1つの式にまとめる利点は、場面全体が一目で分かることです。「1000円から、120円の5本分を引く」という状況が、式そのものに表れています。
もう1つ例を見てみましょう。
ここでは( )が必要です。先にセットの値段を作ってから、3倍するという順序を、( )が表しています。
式を作るときは、場面の順序をそのまま式にできるかを考えます。「まず何を求めるか」が( )の中身になります。
2+3×4を20にしてしまう。
×÷が先です。式を見たら、まず×や÷に印をつけてから計算しはじめると防げます。
文章題を式にするとき、必要な( )を落とす。
「まとめてから」「セットで」という言葉があれば( )が要ります。式を作ったら、意味と合っているか読み返すのが確実です。
(100+2)×7 を 700+2 にしてしまう。
( )の中のすべての項にかけます。矢印を書いて、両方にかけたか確認しましょう。
Q1 計算の順序を言いましょう。
A ( )の中 → ×÷ → +-。同じ強さなら左から順です。
Q2 なぜ×が+より先なのですか。
A ×はまとまりを作る計算だからです。まとまりを作ってから合わせます。
Q3 4×17×25を工夫して計算しましょう。
A 4×25=100を先に。100×17=1700。
Q4 53×8+47×8を工夫して計算しましょう。
A (53+47)×8=100×8=800。分配法則の逆向きです。
計算の順序は、ルールとして覚えるだけでも計算はできます。しかし「なぜそうなのか」を理解しておくと、文章題を式にする力が伸びます。
とくに( )の使い方は、6年生の文字式や中学の方程式に直結します。「まとめてから」という場面で( )を使えるかどうかが分かれ目です。
3つの法則は、名前を覚える必要はありません。大事なのは使えることです。「4×25で100になるから先にやろう」と気づけるかどうか。
家庭では、買い物の暗算が最高の練習になります。「198円が3個だから、200円×3引く2円×3で594円」──こうした計算を口に出してみせると、お子さんも自然にまねするようになります。