算数で初めて「正確でなくてよい」と教わる単元です。ここで算数の見方が一段広がります。
これまでの算数は、正確な答えを求めるものでした。ところが4年生で、突然こう言われます。「およその数で表しましょう」。
正確なほうがいいに決まっているのに、なぜでしょうか。
正確な計算は時間がかかります。知りたいのが「足りるかどうか」なら、だいたいで十分なのです。
そもそも正確に決められない量もあります。人口、観客数、面積。こういうものは、およその数で表すのが自然です。
つまり、がい数は手抜きではなく、目的に合った表し方なのです。
がい数にする方法でいちばん使うのが四捨五入です。
名前のとおり、「四(まで)は捨て、五(から)は入れる」です。
大事なのは、どの位で四捨五入するかです。ここが問題文の読み取りポイントになります。
| 問題の言い方 | 見る位 | 3847の答え |
|---|---|---|
| 十の位までのがい数 | 一の位 | 3850 |
| 百の位までのがい数 | 十の位 | 3800 |
| 千の位までのがい数 | 百の位 | 4000 |
| 上から2けたのがい数 | 上から3けた目 | 3800 |
「○の位までのがい数」と言われたら、その1つ下の位を見る。これが鉄則です。
なぜ1つ下を見るのでしょうか。四捨五入は「残す位のすぐ下」で判断するからです。百の位まで残すなら、十の位の数字が5以上かどうかで決まります。
「百の位までのがい数」で、百の位を見てしまうミスが非常に多いです。
正しくは十の位を見ます。
覚え方は「までの位の1つ下を見る」。問題を読んだら、まず見る位に指を置く習慣をつけましょう。
がい数と一緒に、範囲を表す言葉を学びます。
| 言葉 | 意味 | その数を含む? |
|---|---|---|
| 5以上 | 5と、それより大きい | 含む ○ |
| 5以下 | 5と、それより小さい | 含む ○ |
| 5未満 | 5より小さい | 含まない × |
| 5より大きい | 5をこえる | 含まない × |
「以」がつくと、その数を含みます。「未満」は「まだ満たない」=届いていないので、含みません。
この言葉は、生活のあちこちで使われています。
1文字のちがいで、意味が変わります。正確に読み取る力が必要です。
がい数と結びつけると、こうなります。
この「もとの数の範囲」を求める問題は、4年生の山場です。以上と未満を使い分けるのがポイントになります。
四捨五入のほかに、いつも切り上げ・いつも切り捨てという方法もあります。
| 方法 | やり方 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 四捨五入 | 5以上なら上げる | ふつうの見積もり |
| 切り上げ | 0でなければ上げる | 足りるか確かめたい |
| 切り捨て | いつも下げる | 何個買えるか |
使い分けには理由があります。
「足りるか」を知りたいときは多めに見積もる。それで足りれば、確実に足ります。
「何個買えるか」なら少なめに見積もる。安全側に倒すわけです。
どちらに倒せば安全かを考えて選ぶ。これが見積もりの本当の意味です。
がい数の力は、計算ミスの発見にも使えます。
けた数が1つずれるミスは、筆算でよく起こります。先に見積もっておけば、すぐ気づけます。
これは、わり算のひっ算で「商のけた数を予想する」のと同じ発想です。答えの見当をつけてから計算する──算数の大切な習慣です。
そして、この習慣は大人になっても役立ちます。レジの合計、電気代、旅行の予算。おかしい数字に気づける人は、この力を持っています。
見積もりのコツは、上から1〜2けただけを見て、あとは0にすることです。476なら500、38なら40。細かい数字は捨ててしまいます。
そのとき、どちらの方向にずれるかも意識できると上級です。476を500に、38を40にしたので、どちらも多めに見積もっています。だから見積もりの20000は本当の答えより大きいはず。実際の18088と比べると、確かにそうなっています。
このように「見積もりは実際より大きいか小さいか」まで言えるようになると、答えの妥当性をもっと細かく判断できます。ただの目安から、根拠のある予測へ。がい数の力はそこまで伸ばせます。
「百の位まで」で百の位を四捨五入してしまう。
1つ下の位を見る。問題を読んだら、見る位に指を置いてから作業します。
「5以下」と「5未満」を同じだと思う。
「以」がついたら含む。数直線に●(含む)と○(含まない)で描いて確かめると定着します。
「四捨五入して500になる数の範囲」で手が止まる。
一番小さい数と一番大きい数を探す。450なら切り上げて500、549なら切り捨てて500。だから450以上550未満です。
Q1 「千の位までのがい数」にするとき、どの位を見ますか。
A 百の位。1つ下の位を見るのが鉄則です。
Q2 6284を上から2けたのがい数にしましょう。
A 上から3けた目の8を四捨五入して6300。
Q3 「8未満」に8は入りますか。
A 入りません。「未満」はその数を含みません。「8以下」なら入ります。
Q4 500円で198円のパンは何個買えますか。見積もりで考えましょう。
A 多めに200円とみて 500÷200=2。2個なら確実に買えます。
この単元は「正確な答え」を求めてきた子どもにとって、価値観の転換を伴います。「なぜだいたいでいいの?」という疑問に、目的の話で答えてあげてください。速さが要るとき、そもそも正確に測れないとき、がい数のほうが優れているのです。
「見る位を間違える」ミスは非常に多いですが、これは注意力ではなく手順の問題です。問題を読んだら見る位に印をつけるという作業を習慣化すれば、かなり減ります。
買い物は最高の練習の場です。レジに並びながら「だいたいいくらになる?」と聞いてみてください。切り上げ・切り捨ての使い分けも、実際の場面のほうが理解が早いです。