4年 理科 予想の書き方

予想の書き方 ── 「たぶん」の後ろに、「なぜなら」を書く

理科のプリントには、実験の前にかならず「予想」を書く欄があります。ところがそこに入るのは、たいてい「大きくなると思う」「変わらないと思う」の一行。実験はきちんとできているのに、この欄だけがいつも空白ぎりぎりという子はとても多いのです。予想は、当てるために書くのではありません。あとで結果と見くらべるために書くもので、そのための決まった形があります。

予想は「答え当て」ではない

予想の欄が苦手になる原因は、たいていひとつです。予想をクイズの解答らんだと思っていることです。当てたら丸、外れたらバツ。そう思っていれば、自信のない子ほど書けなくなりますし、書いても短くなります。

けれども理科の予想は、当たったかどうかで点がつくものではありません。実験が終わったあと、ノートには二つの文が並ぶことになります。

実験の前と後にできる、二つの文 予想 : 温めると、空気の体積は大きくなると思う 結果 : 温めると、ゼリーが上に動いた この二つを見くらべる作業が「考察」

予想を書いていない子のノートには、下の一行しか残りません。すると実験が終わったとき、見くらべる相手がいないことになります。「思っていたとおりだった」も「思っていたのとちがった」も言えない。ここが、予想を書かないでいちばん損をするところです。

言いかえると、予想は実験のあとで自分が使う道具です。だから、あとの自分が使いやすい形で書いておく必要があります。

「なぜなら」がない予想は、まだ予想ではない

4年の理科で先生が求めているのは、次の二つがそろった文です。

予想の型 ① どうなるか (たぶん〜になる) ② そう思うわけ(なぜなら、〜だから) ①だけ → 当てずっぽうと区別がつかない ①+② → 予想

「大きくなると思う」は①だけです。これでは、なんとなくそう書いたのか、理由があってそう考えたのかが、読む人にもあとの自分にも分かりません。そこに②をつけ足します。

前 : 大きくなると思う。 後 : 大きくなると思う。なぜなら、夏に    ボールがふくらんでいたことがあって、    温かいと空気は広がると思うから。

長い文にする必要はありません。ふえたのは一文だけです。それでも、この一文があるかどうかで、実験のあとにできることが変わります。もし結果が予想どおりなら「ボールのときと同じだった」と書けますし、ちがっていたなら「ボールがふくらんだのは別の理由だったのかもしれない」と、次の疑問につながります。

理由は、三つの引き出しから取り出す

「なぜなら」と書き出したものの、その先が出てこない。これは考える力の問題ではなく、どこから理由を探せばよいかを知らないだけであることがほとんどです。理由のもとになるものは、次の三つしかありません。

理由の引き出し ① 前にならったこと   「3年で、空気はおしちぢめられるとならったから」 ② 自分で見たこと・やったこと   「風船を日なたに置いたら、はち切れそうになったから」 ③ にている実験の結果   「水を温めたときも、体積がふえたから」

①は教科書やノートの中にあります。前のページをめくればよいので、いちばん確実です。②は生活の中の記おくです。ボール、風船、ペットボトル、おふろ、車のタイヤ。空気や水がかかわる場面は身のまわりにたくさんあります。③は、その日の授業でひとつ前にやった実験です。理科の教科書は、にた実験をわざと並べて置いてあります。

予想が書けないときは、この三つを順に自分に聞いてみるのが早道です。「ならったことは?」「見たことは?」「さっきの実験は?」──どれかひとつに引っかかれば、それがそのまま「なぜなら」の中身になります。

「何が」「どうなる」まで細かく書く

もうひとつ、予想を書くときに気をつけたいことがあります。あいまいな言葉で終わらせないことです。

あいまい : 変わると思う      → ふえるのか、へるのか分からない あいまい : すごくふえると思う      → 「すごく」は人によってちがう よい : 目もりが上に動くと思う      → 実験で見るところが決まっている

予想のよしあしは、実験のときにどこを見ればよいかが決まるかどうかで決まります。「変わると思う」では、何を見ればよいのか分かりません。「目もりが上に動く」まで書いてあれば、実験中に目もりから目をはなさずにすみます。

数字が入るならもっとよくなります。「10ぷんで2目もりくらい上がる」と書いておけば、結果が1目もりだったときに「思ったよりゆっくりだった」と、ちがいの大きさまで言えるようになります。

予想が外れたときこそ、書いておいてよかったとなる

予想が外れると、消しゴムで消してしまう子がいます。これはとてももったいないことです。外れた予想は、理科ではいちばん値打ちのある記録になります。

たとえば「金ぞくのぼうは、火に近いところから順にあたたまると思う」と予想して、実験でそのとおりになったとします。分かるのは「やっぱりそうだった」ということだけです。ところが「水も同じように、あたためたところから順にあたたまる」と予想して、実際には上の方から先にあたたまったとしたら、そこで金ぞくと水はちがうという発見が生まれます。予想を書いていなければ、この発見は起きません。

だから、外れた予想には線を一本引くだけにして、その下に気づいたことを書きたします。

予想 : 水も、あたためたところから       じゅんにあたたまると思う             ↓ ちがった 気づき: 水は上の方が先にあたたかくなった。       あたたまった水が上に動いている?

この「?」が、次の実験のたねになります。理科のノートで先生が見ているのは、当たった数ではなく、こうした書きかえのあとです。

やってみよう

Q1 予想の欄に「大きくなると思う」とだけ書きました。足りないのは何ですか。

A そう思うわけ(なぜなら〜だから)です。どうなるかだけでは、当てずっぽうと区別がつきません。

Q2 「なぜなら」が思いつきません。どこを探せばよいですか。

A ならったこと・自分で見たこと・にている実験の結果の三つです。どれかひとつ思い出せれば書けます。

Q3 「変わると思う」という予想は、なぜよくないのですか。

A 実験でどこを見ればよいかが決まらないからです。「目もりが上に動く」のように書きます。

Q4 予想が外れました。消してもよいですか。

A 消しません。線を引いて残し、ちがった点を書きたします。そこが新しい発見になります。

Q5 予想は、当たると点が高くなりますか。

A なりません。見られているのは理由がついているか、結果と見くらべたかです。

まとめ

おうちの方へ

この記事は特定の単元ではなく、4年理科のほぼすべての実験に共通する「予想の立て方・書き方」を扱っています。空気と水、温度と体積、もののあたたまり方、電気のはたらきと、単元が変わっても求められる形は同じです。実験は好きなのにプリントの予想の欄だけ空きがちというとき、原因は理科の知識ではなく、この書き方を知らないことにあります。
ご家庭で見ていただくときにおすすめなのは、正しい予想に直すことではなく、「どうしてそう思ったの?」と一言たずねることです。口では理由を言えるのに紙には書いていない、という子がとても多く、その場合は言えたことをそのまま書けばよいと伝えるだけで欄が埋まります。
もうひとつ、予想が外れたときの声のかけ方も大切です。「ちがったね」で終わらせず、「思っていたのと、どこがちがった?」と聞くと、子どもは結果と予想を自分で見くらべることになります。これは高学年の考察につながる練習そのものです。
当たり外れをほめないことも、長い目で見ると効いてきます。当てることが目的になると、書けるはずの理由まで書かなくなってしまうためです。