4年 理科 自然の中の水のゆくえ

自然の中の水のゆくえ ── 100℃にならなくても、水は空気に消えていく

雨あがりの校庭にできた大きな水たまり。次の日の昼にはきれいになくなっています。どこへ行ったのでしょう。多くの人が「地面にしみこんだ」と答えます。半分は当たりですが、それだけではありません。コンクリートの上の、しみこむ先のない水たまりも、同じように消えるからです。水は、100℃にならなくても、少しずつ空気の中へ出ていきます。この記事はその話です。

「ふっとう」だけが気体になる道ではない

4年の理科では、水を熱すると100℃でふっとうして水じょう気になることを学びます(くわしくは水のすがた(4年))。ここでつまずきが生まれます。100℃にならないと気体にならない、と覚えてしまうのです。

でも、洗たく物は火にかけなくてもかわきます。水そうの水は、だれも熱していないのに何日かで目もりが下がります。プールから上がったあと、体はふいていないのにいつのまにかかわいています。どれも100℃には、まったく届いていません。

水の表面では、いつも少しずつ水が気体になって出ていっています。これを蒸発といいます。ふっとうが「なべの中じゅうで一気に」起きるのに対して、蒸発は「表面だけで、静かに、いつでも」起きています。同じ水じょう気になる変化でも、起き方がちがうのです。

【気体になる二つの起き方】  ふっとう … 100℃ 水の中からもあわが出る 目に見える 短い時間  蒸  発 … 何度でも 水の表面だけ 目に見えない ずっと続いている

だから「水たまりが消えた」は、なくなったのではありません。形を変えて、空気の中へ引っこしたのです。

速くかわく日と、かわかない日

蒸発はいつでも起きていますが、速さは日によって大きくちがいます。洗たく物がすぐかわく日と、夕方までしめっている日があるのは、そのためです。何がちがうのかを整理してみます。

じょうけん速くなるのはなぜか
気温高いほど速いあたたかいほど、水が表面からとび出しやすくなる
風あるほど速い出ていった水じょう気が運びさられ、次が出ていける
表面の広さ広いほど速い出口が広い。同じ量でも、うすく広げたほうが速くかわく
しめりぐあいかんそうしているほど速い空気にまだ水を受け入れるすきまがある

洗たく物をハンガーの間をあけて干すのも、風の通るところに干すのも、この表のとおりのことをしています。理科の知しきというより、家の人がずっと前からやっていたことに名前がついた、という順番です。

天気と気温(4年)で気温をはかったことを思い出してください。晴れて気温が上がり、風のある日は、水たまりの消え方がはっきり速くなります。

空気の中には、見えない水がある

ここが、この単元でいちばん大事なところです。目に何も見えなくても、空気の中には水が入っています。

水じょう気は、色もにおいもない、まったく目に見えない気体です。だから、まわりの空気に水がふくまれていることを、見ただけでは確かめられません。やかんの口から出る白いもやもや(湯気)は、水じょう気ではなく、いったん気体になった水がまた冷えて小さな水のつぶにもどったものです。白く見えているところは、もう気体ではありません。

では、見えない水を、どうやって「ある」と確かめればよいのでしょうか。答えは、冷やして、見える形にもどすです。

冷たいコップの水は、どこから来たのか

夏に、氷を入れたコップをしばらく置くと、外がわがびっしりぬれます。よくある思いこみは二つです。

どちらもちがいます。ガラスやステンレスのコップから、水はしみ出しません。中に何も入れず、氷だけを入れた金ぞくのコップでも、外がわはぬれます。しみ出す水がないのに、水がつくのです。

ついた水は、まわりの空気の中にあった水じょう気です。空気は冷たいものにふれると冷え、冷えた空気は水じょう気をかかえていられなくなります。あふれた分が、いちばん冷たいコップの表面で小さな水のつぶになります。これを結ろといいます。

【結ろが起きるまで】  空気(見えない水じょう気を運んでいる)   ↓ 冷たいコップにふれる  空気が冷える   ↓ かかえていられる量がへる  あふれた水じょう気が水にもどる   ↓  コップの外がわに水のつぶ=結ろ

冬の朝、まどガラスの内がわがくもるのも同じです。部屋の空気にふくまれた水じょう気が、外の冷たさで冷えたガラスにふれて水になります。だから、ぬれるのは外ではなく内がわです。ここを逆に覚えている人は多いので、次の寒い朝に自分の家のまどで確かめてみてください。

出ていった水は、もどってくる

校庭の水たまりから出ていった水じょう気は、その後どうなるのでしょう。

空気はあたためられると上へ動きます。水じょう気をふくんだ空気が高いところまで上がると、上空は地上よりずっと冷たいので、空気が冷えます。すると、コップの外がわで起きたのとまったく同じことが、空の高いところで起きます。かかえきれなくなった水じょう気が、小さな水のつぶや氷のつぶになるのです。それがたくさん集まって白く見えているものが雲です。

つぶがさらに集まって重くなると、うかんでいられなくなって落ちてきます。これが雨です。降った雨は、地面にしみこんだり、川へ流れこんだりします。雨水のゆくえと地面のようす(4年)で調べた、高いところから低いところへ流れていく、あの水です。川は海へ入り、海の水はまた表面から蒸発していきます。

【水のじゅんかん】     雲 ──→ 雨・雪    ↑      │   蒸発      ↓    │    しみこむ・流れる   海・川・地面・水たまり ←─┘

行き先はぐるりと一周してつながっています。これを水のじゅんかんといいます。地球の上にある水の量は、ほとんど増えも減りもしていません。いま飲んだコップ一ぱいの水も、ずっと昔に一度、雲だったことがある水です。

じっさいに確かめる

教科書で読むだけでは、「空気の中に水がある」はなかなか本当だと思えません。二つ、家でできる確かめ方をのせておきます。どちらも火を使いません。

やることじゅんび見るところ
ラップをするコップと、しないコップを並べて置く同じコップ2つ、同じ量の水、ラップ、油性ペン水面の高さにペンで線を引き、3日後にくらべる。ラップなしだけ減る
ラップをしたコップの内がわを見る上と同じラップの内がわに水のつぶがつく。出ていった水がそこで止められている

この二つを一度にやると、話が一本につながります。ラップなしのコップの水は減りました。ラップありは減っていません。そしてラップの内がわには水のつぶがついています。減った水は消えたのではなく、上へ出ていったということが、実物で見えます。

ノートに書くときは、日づけと水面の線の位置を毎日書きこんでください。「減った気がする」ではなく、何ミリ減ったかを数で残すと、風の強い日と弱い日のちがいまで見えてきます。

つまずきやすいところ

まちがえやすい考え本当は
水は100℃にならないと気体にならない表面からはいつでも蒸発している。100℃は、中からもあわが出るふっとうの温度
湯気は水じょう気だ湯気は、冷えて水のつぶにもどったもの。水じょう気は目に見えない
コップの外がわの水は、中からしみ出したまわりの空気にあった水じょう気が、冷やされて水にもどったもの
水たまりが消えたのは全部しみこんだからしみこむ分もあるが、コンクリートの上でも消える。蒸発している
地球の水はだんだん減っているぐるぐる回っていて、全体の量はほとんど変わらない

いちばん多いのは二つめと三つめです。どちらも「目に見えるほうが気体だ」と思ってしまうことから来ています。見えているものは水、見えないものが水じょう気と、逆さまに覚え直すのがこつです。

やってみよう

Q1 なべを火にかけていないのに、水そうの水が減った。何が起きた?

A 蒸発。水の表面から、少しずつ水じょう気になって空気の中へ出ていった。

Q2 やかんの口の先に見える白いもやもやは、水じょう気?

A ちがう。冷えて水のつぶにもどったもの(湯気)。ほんとうの気体のほうは、白くもならず何も見えない。

Q3 氷だけを入れた金ぞくのコップの外がわがぬれた。この水はどこから来た?

A まわりの空気の中の水じょう気。冷やされて水にもどった=結ろ。

Q4 洗たく物を早くかわかせたい。気温のほかに何を変えるとよい?

A 風を当てる、間をあけて広げる。出口を広くし、出た水じょう気を運びさる。

Q5 空高くで雲ができるのは、空気がどうなるから?

A 冷えるから。かかえきれなくなった水じょう気が、水や氷のつぶになる。

まとめ

おうちの方へ

この単元は、4年理科の中でもとくに「見えないものを、見える手がかりから確かめる」練習になる単元です。つまずくお子さんの多くは、蒸発そのものより「空気の中に水がふくまれている」という一点をまだ受け入れていません。ここは説明よりも、冷えたペットボトルを食卓に一本置いておくほうが早く伝わります。表面がぬれてきたところで「この水、どこから来たと思う?」と一度だけたずねてみてください。中からしみ出した、という答えが返ってきても、すぐに正解を言わずに「じゃあ、からっぽのびんを冷やしたらどうなるかな」と実験のほうへ返すと、自分で結論にたどり着けます。洗たく物の干し方、おふろのふた、まどのくもりなど、家の中に材料がたくさんある単元でもあります。「水のすがた(4年)」で温度と結びつけ、「雨水のゆくえと地面のようす(4年)」で流れる先とつなげると、水の一生がひとつづきの話になります。