へこんだピンポン玉を、お湯につけると元にもどる。これは温めると空気の体積が増えるからです。空気・水・金属は、温度によって大きさ(体積)が変わります。そのふしぎを、順番に見ていきましょう。
ものは、温めると体積が増え、冷やすと体積が減ります。体積とは、そのものが空間の中で「しめている大きさ」のことです。
たとえば、少しへこんだピンポン玉をお湯につけると、中の空気が温められて体積が増え、へこみをおし返して元の丸い形にもどります。これは、中の空気の量(重さ)が増えたのではなく、同じ量の空気が、温められて「ふくらんだ」だけです。反対に冷やすと、体積は減って、また小さくちぢみます。この「温度によって体積が変わる」という性質は、空気だけでなく、水にも金属にも見られます。まずは「温めると増える、冷やすと減る」という大きなきまりを、しっかりおさえましょう。
空気・水・金属は、どれも温めると体積が増えますが、その増え方の大きさはちがいます。
| もの | 温めたときの体積 | 変わり方の大きさ |
|---|---|---|
| 空気 | 増える | とても大きい |
| 水 | 増える | 中くらい |
| 金属 | 増える | ごくわずか |
体積の変わり方がいちばん大きいのは空気です。同じだけ温めても、空気は大きくふくらみ、水はそれより小さく、金属はほんの少しだけ増えます。目で見て分かるほど大きく変わるのは空気で、金属の変化は小さすぎて、ふつうは見た目では分かりません。「空気 > 水 > 金属」の順で変わり方が大きい、と覚えておきましょう。同じように温めても、もののしゅるいによって変わり方がちがう、というのがこの単元のおもしろいところです。
空気の体積が変わることは、かんたんな実験でたしかめられます。
口の部分にせっけん水のまくをはった試験管を、手でにぎって温めると、まくがふくらんでもり上がります。中の空気が温められて、体積が増えたからです。反対に、冷たい水につけて冷やすと、まくは試験管の内側にへこみます。空気の体積が減ったからです。ペットボトルの口に風船をつけて、お湯と冷たい水に交ごにつけても、同じように風船がふくらんだり、しぼんだりします。空気は、目には見えませんが、温度によってしっかり体積を変えているのです。手のぬくもりだけでも変化が見られるほど、空気は温度にびんかんです。
水も、温めると体積が増えます。空気ほど大きくはありませんが、細いガラス管を使うと、目で見て分かります。
水をいっぱいに入れた入れものに、細いガラス管をさしたふたをします。すると、管の中を水が少しのぼってきます。この入れものを、お湯につけて温めると、水の体積が増えて、管の中の水面が上がります。反対に、冷たい水につけて冷やすと、体積が減って、水面が下がります。ふつうのコップの水では変化が分かりませんが、細い管を通すことで、小さな体積の変化が、水面の高さの大きな動きになって見えるのです。これは、温度計のしくみとよく似ています。水の変化は空気より小さく、金属より大きい、という中くらいの大きさだと覚えておきましょう。
かたい金属も、じつは温めると体積が増えます。変化はごくわずかですが、実験で確かめられます。
金属の球が、ちょうど通りぬけられる大きさの輪を用意します。ふつうは球は輪を通りますが、球を火であぶって温めると、体積が増えて少し大きくなり、同じ輪を通らなくなります。冷やして元の温度にもどすと、また通るようになります。金属の変化はとても小さいので、こうした道具を使わないと気づけません。かたくて変わらないように見える金属も、温度によってちゃんと大きさを変えている、というのはおどろきですね。「もののあたたまり方」の単元とあわせて考えると、金属の性質がよりよく分かります。
「温度で体積が変わる」性質は、身のまわりのいろいろなところで役立ったり、気をつけられたりしています。
電車の線路(レール)のつなぎ目には、わざと小さなすき間があけてあります。夏の暑い日に、レールが温められて体積が増えても、すき間があるので、レールがおし合ってゆがむのを防げるのです。温度計は、赤い液体(アルコールなど)が、温度が上がると体積を増して上にのび、下がるとちぢむ性質を利用しています。かたくてあかないびんのふた(金属)を、お湯で温めるとあけやすくなるのも、金属のふたが少し大きくなるからです。このように、温度と体積の関係を知っていると、身のまわりのしくみのわけが見えてきます。
ほかにも、橋には「しんしゅくつぎ手」というくしのようなすき間があり、暑さで橋がのびてもこわれないようになっています。夏にへこんだように見えるボールが、日なたに置くとふくらむのも、中の空気が温められて体積を増すからです。反対に、寒い日にタイヤの空気が少しへったように感じるのは、空気が冷えて体積が減るためです。こうして見ると、「温めると増え、冷やすと減る」という一つのきまりが、いろいろな場面で顔を出していることに気づきます。身のまわりで、温度で大きさが変わっている例をさがしてみましょう。
温めても、空気の量(重さ)は変わりません。
同じ量の空気の体積(大きさ)が増えるだけです。
金属も温めると体積が増えます。
変化がごくわずかで、見た目で分からないだけです。
変わり方の大きさは、空気 > 水 > 金属の順です。
同じ温度でも、増え方はしゅるいでちがいます。
Q1 ものを温めると、体積はどうなる?
A 増える(冷やすと減る)。
Q2 空気・水・金属で、体積の変わり方がいちばん大きいのは?
A 空気
Q3 金属の球を温めると、同じ輪を通る?通らない?
A 通らない(体積が増えて大きくなるため)。
Q4 線路のつなぎ目にすき間があるのはなぜ?
A 暑い日にレールの体積が増えても、ゆがまないようにするため。
「ものの温度と体積」は、目に見えにくい空気の変化や、ごくわずかな金属の変化を、実験を通して確かめる単元です。ポイントは「温めても、ものの量(重さ)は変わらず、体積(大きさ)だけが変わる」という点で、ここは大人でも混同しやすいところです。ご家庭では、へこんだピンポン玉をお湯でもどす、風船をかぶせたペットボトルをお湯と冷水につける、といった実験が手軽で、空気の変化を実感できます。金属の変化は家庭では見えにくいので、「あかないびんのふたをお湯で温めるとあけやすい」という身近な例で補うとよいでしょう。線路のすき間や温度計のしくみに気づくと、学んだことが日常とつながります。「とじこめた空気と水」「水のすがた」の記事とあわせて読むと、空気・水の性質の理解が立体的になります。