4年 理科 水のすがた

水のすがた ── 氷も水も水蒸気も、同じもの

見た目はまるでちがう。でも、すべて同じ「水」です。すがたを変えているだけなのです。

三つのすがた

水は、温度によって三つのすがたに変わります。

固体(氷) 形も体積も決まっている 液体(水) 形は変わるが、体積は決まっている 気体(水蒸気) 形も体積も自由に変わる 目に見えない

ここで大切なのは、三つとも「水」だということです。別のものに変わったのではありません。

粒で考えると分かりやすくなります。

固体 … 粒がきちんと並んで その場でふるえているだけ 液体 … 粒がくっついているが 位置を入れかえられる 気体 … 粒がばらばらに 自由にとびまわっている

粒そのものは変わりません。粒の動き方と並び方が変わるだけなのです。

あたためると粒の動きが激しくなり、冷やすとおとなしくなる。それだけのちがいで、こんなにも見た目が変わります。

0℃と100℃

水がすがたを変える温度は、決まっています。

氷 ←─ 0℃ ─→ 水 ←─ 100℃ ─→ 水蒸気 0℃ … こおる/とける温度 100℃ … ふっとうする温度

ここでとても不思議なことが起こります。

氷を熱し続けたときの温度変化 温度 100℃| ───── ← ふっとう中は | / 温度が上がらない 50℃| / | / 0℃|────── ← とけている間は | 温度が上がらない └────────────→ 時間

氷がとけている間、いくら熱しても0℃のままです。水がふっとうしている間も100℃のまま

なぜでしょうか。加えた熱が、温度を上げるためではなく、すがたを変えるために使われているからです。

粒の並びをくずすには、たくさんのエネルギーが要ります。そのエネルギーを熱でまかなっている間は、温度が上がらないのです。

この性質は、生活でも役立っています。氷を入れた飲み物が0℃近くを保つのは、氷がとけている間は温度が上がらないからです。

ふっとうと蒸発のちがい

水が水蒸気になる現象には、二つあります。

ふっとう蒸発
温度100℃どんな温度でも
どこで水の中からも水の表面だけ
速さはげしいゆっくり
見た目あわが出る変化が見えない
やかんのお湯洗たく物がかわく

蒸発は、いつでも起きています。冬でも洗たく物はかわきます。水たまりも、日がたてば消えます。100℃にならなくても、水は少しずつ水蒸気になっているのです。

ふっとうのときに出るあわの正体も確認しておきましょう。

ふっとう時のあわ = 水蒸気 ×「空気」ではない ○ 水が気体になったもの → 水の中で水蒸気ができて、 あわとなって上がってくる

熱し始めに出る小さなあわは、水にとけていた空気です。でも、はげしく出る大きなあわは水蒸気です。

湯気と水蒸気はちがう

ここが、この単元でいちばん間違えやすいところです。

やかんの口 口 ● | ← ここは何も見えない(水蒸気) ▓▓▓ ← 少し離れると白く見える(湯気)

水蒸気は目に見えません。透明な気体です。

では、白く見えるあの「湯気」は何でしょうか。

湯気の正体 = 小さな水のつぶ(液体) 水蒸気が空気中で冷やされて → 小さな水のつぶになった → それが光を反射して白く見える

つまり、湯気は気体ではなく、液体なのです。

よく見ると、やかんの口のすぐそばには何も見えません。そこはまだ熱くて、水蒸気のままだからです。少し離れて冷やされたところから、白く見えはじめます。

雲や霧も、同じしくみでできています。空気中の水蒸気が冷やされて、小さな水のつぶになったもの。だから白く見えるのです。

見えるものは水蒸気ではない

覚え方はかんたんです。「目に見えたら、それは水蒸気ではない」
湯気、雲、霧、けむり。白く見えるものは、すべて小さなつぶが集まったものです。
本当の水蒸気は、いつも透明。今、この部屋の空気にも水蒸気はたくさんふくまれていますが、まったく見えません。

結露と自然の水のじゅんかん

冷たい飲み物のコップの外側に、水てきがつくことがあります。これを結露といいます。

結露のしくみ 空気中の水蒸気 ↓ 冷たいコップに触れる 冷やされる ↓ 水のつぶになる ↓ コップの外側につく

コップの中の水がしみ出したのではありません。空気中にあった水蒸気が、冷やされて水にもどったのです。

冬の窓ガラスがくもるのも、同じ現象です。部屋の中の水蒸気が、冷たい窓で冷やされて水になります。

そして、この現象は自然の中でも大きな規模で起きています。

水のじゅんかん 海や川の水 ↓ 太陽の熱で蒸発 水蒸気になって空へ ↓ 上空で冷やされる 雲になる(小さな水のつぶ) ↓ つぶが大きくなる 雨や雪になって降る ↓ 川になり、海へもどる

水は地球の上をぐるぐる回っているのです。今日飲んだ水も、はるか昔に恐竜が飲んだ水かもしれません。水の量は増えも減りもせず、すがたを変えながら循環しています。

すがたが変わると体積も変わる

水がすがたを変えるとき、体積も変わります

水 → 水蒸気 体積が約1700倍になる! 水1mLが水蒸気になると 約1.7Lにふくらむ

粒がばらばらにとびまわるようになるので、広い場所が必要になるのです。

この性質は、危険にもなれば、役にも立ちます

危険な例は、水を入れた容器を密閉して熱することです。中で水蒸気ができると体積が急にふくらみ、容器が破裂するおそれがあります。実験では必ず逃げ道を作っておく必要があります。

役に立つ例は蒸気機関です。水を熱して水蒸気にし、そのふくらむ力で機械を動かす。この技術が産業革命を起こし、蒸気機関車を走らせました。今でも発電所の多くは、水蒸気でタービンを回して電気を作っています。

そして、水がこおるときも体積が増えます。約1.1倍です。

冬に水道管が破裂するのは 中の水がこおって 体積が増えるから ペットボトルを凍らせるときに 少しへこませておくのも 同じ理由

ふつうの物質は冷やすと縮みますが、水は氷になると膨らみます。この水だけの変わった性質のおかげで、氷は水に浮きます。もし氷が沈んでいたら、湖は底から凍り、生き物は生きられなかったでしょう。

つまずきやすいところ

その1 湯気を水蒸気だと思う

白く見えるものを気体だと考える。
水蒸気は透明で見えません。湯気は水蒸気が冷えてできた小さな水のつぶです。

その2 ふっとう中に温度が上がると思う

熱し続ければ100℃を超えると考える。
加えた熱がすがたを変えるのに使われるので、ふっとう中は100℃のままです。

その3 結露をしみ出しだと思う

コップの中の水が外に出たと考える。
空気中の水蒸気が冷やされたものです。中身が空のコップを冷やしても結露します。

やってみよう

Q1 水がこおる温度とふっとうする温度は?

A 0℃でこおり、100℃でふっとうします。

Q2 湯気は気体ですか、液体ですか。

A 液体です。小さな水のつぶが集まって白く見えています。

Q3 ふっとうと蒸発のちがいは?

A ふっとうは100℃で水の中からも起き、蒸発はどんな温度でも表面から起きます。

Q4 冷たい飲み物のコップに水てきがつくのはなぜですか。

A 空気中の水蒸気が冷やされて水になったものです。結露といいます。

まとめ

おうちの方へ

この単元の最大のポイントは「湯気と水蒸気のちがい」です。大人でも混同しがちですが、水蒸気は目に見えない気体、湯気は液体の粒です。ここを正確に理解しておくと、5年生の天気の学習がスムーズになります。
やかんの口を観察する体験がおすすめです。口のすぐそばには何も見えず、少し離れると白くなる。この目で見える証拠が、理解を確かなものにします。ただし、やけどには十分注意してください。
結露も身近な現象です。冷たい飲み物のコップ、冬の窓ガラス。「これはどこから来た水?」と問いかけると、空気中に水蒸気があることが実感できます。
水の循環の話は、環境教育にもつながります。「水は増えないし減らない」という事実は、水を大切にする気持ちの土台になります。