見た目はまるでちがう。でも、すべて同じ「水」です。すがたを変えているだけなのです。
水は、温度によって三つのすがたに変わります。
ここで大切なのは、三つとも「水」だということです。別のものに変わったのではありません。
粒で考えると分かりやすくなります。
粒そのものは変わりません。粒の動き方と並び方が変わるだけなのです。
あたためると粒の動きが激しくなり、冷やすとおとなしくなる。それだけのちがいで、こんなにも見た目が変わります。
水がすがたを変える温度は、決まっています。
ここでとても不思議なことが起こります。
氷がとけている間、いくら熱しても0℃のままです。水がふっとうしている間も100℃のまま。
なぜでしょうか。加えた熱が、温度を上げるためではなく、すがたを変えるために使われているからです。
粒の並びをくずすには、たくさんのエネルギーが要ります。そのエネルギーを熱でまかなっている間は、温度が上がらないのです。
この性質は、生活でも役立っています。氷を入れた飲み物が0℃近くを保つのは、氷がとけている間は温度が上がらないからです。
水が水蒸気になる現象には、二つあります。
| ふっとう | 蒸発 | |
|---|---|---|
| 温度 | 100℃ | どんな温度でも |
| どこで | 水の中からも | 水の表面だけ |
| 速さ | はげしい | ゆっくり |
| 見た目 | あわが出る | 変化が見えない |
| 例 | やかんのお湯 | 洗たく物がかわく |
蒸発は、いつでも起きています。冬でも洗たく物はかわきます。水たまりも、日がたてば消えます。100℃にならなくても、水は少しずつ水蒸気になっているのです。
ふっとうのときに出るあわの正体も確認しておきましょう。
熱し始めに出る小さなあわは、水にとけていた空気です。でも、はげしく出る大きなあわは水蒸気です。
ここが、この単元でいちばん間違えやすいところです。
水蒸気は目に見えません。透明な気体です。
では、白く見えるあの「湯気」は何でしょうか。
つまり、湯気は気体ではなく、液体なのです。
よく見ると、やかんの口のすぐそばには何も見えません。そこはまだ熱くて、水蒸気のままだからです。少し離れて冷やされたところから、白く見えはじめます。
雲や霧も、同じしくみでできています。空気中の水蒸気が冷やされて、小さな水のつぶになったもの。だから白く見えるのです。
覚え方はかんたんです。「目に見えたら、それは水蒸気ではない」。
湯気、雲、霧、けむり。白く見えるものは、すべて小さなつぶが集まったものです。
本当の水蒸気は、いつも透明。今、この部屋の空気にも水蒸気はたくさんふくまれていますが、まったく見えません。
冷たい飲み物のコップの外側に、水てきがつくことがあります。これを結露といいます。
コップの中の水がしみ出したのではありません。空気中にあった水蒸気が、冷やされて水にもどったのです。
冬の窓ガラスがくもるのも、同じ現象です。部屋の中の水蒸気が、冷たい窓で冷やされて水になります。
そして、この現象は自然の中でも大きな規模で起きています。
水は地球の上をぐるぐる回っているのです。今日飲んだ水も、はるか昔に恐竜が飲んだ水かもしれません。水の量は増えも減りもせず、すがたを変えながら循環しています。
水がすがたを変えるとき、体積も変わります。
粒がばらばらにとびまわるようになるので、広い場所が必要になるのです。
この性質は、危険にもなれば、役にも立ちます。
危険な例は、水を入れた容器を密閉して熱することです。中で水蒸気ができると体積が急にふくらみ、容器が破裂するおそれがあります。実験では必ず逃げ道を作っておく必要があります。
役に立つ例は蒸気機関です。水を熱して水蒸気にし、そのふくらむ力で機械を動かす。この技術が産業革命を起こし、蒸気機関車を走らせました。今でも発電所の多くは、水蒸気でタービンを回して電気を作っています。
そして、水がこおるときも体積が増えます。約1.1倍です。
ふつうの物質は冷やすと縮みますが、水は氷になると膨らみます。この水だけの変わった性質のおかげで、氷は水に浮きます。もし氷が沈んでいたら、湖は底から凍り、生き物は生きられなかったでしょう。
白く見えるものを気体だと考える。
水蒸気は透明で見えません。湯気は水蒸気が冷えてできた小さな水のつぶです。
熱し続ければ100℃を超えると考える。
加えた熱がすがたを変えるのに使われるので、ふっとう中は100℃のままです。
コップの中の水が外に出たと考える。
空気中の水蒸気が冷やされたものです。中身が空のコップを冷やしても結露します。
Q1 水がこおる温度とふっとうする温度は?
A 0℃でこおり、100℃でふっとうします。
Q2 湯気は気体ですか、液体ですか。
A 液体です。小さな水のつぶが集まって白く見えています。
Q3 ふっとうと蒸発のちがいは?
A ふっとうは100℃で水の中からも起き、蒸発はどんな温度でも表面から起きます。
Q4 冷たい飲み物のコップに水てきがつくのはなぜですか。
A 空気中の水蒸気が冷やされて水になったものです。結露といいます。
この単元の最大のポイントは「湯気と水蒸気のちがい」です。大人でも混同しがちですが、水蒸気は目に見えない気体、湯気は液体の粒です。ここを正確に理解しておくと、5年生の天気の学習がスムーズになります。
やかんの口を観察する体験がおすすめです。口のすぐそばには何も見えず、少し離れると白くなる。この目で見える証拠が、理解を確かなものにします。ただし、やけどには十分注意してください。
結露も身近な現象です。冷たい飲み物のコップ、冬の窓ガラス。「これはどこから来た水?」と問いかけると、空気中に水蒸気があることが実感できます。
水の循環の話は、環境教育にもつながります。「水は増えないし減らない」という事実は、水を大切にする気持ちの土台になります。