4年 理科 季節と生き物

季節と生き物 ── 1年かけて調べる、たった一つの単元

4月に始めて、3月に終わる。理科でいちばん長い観察です。

1年を通して追いかける

ふつうの単元は、数週間で終わります。ところがこの単元だけは、1年間ずっと続きます

春・夏・秋・冬。同じ生き物を、季節ごとに観察します。

観察の対象(例) 植物 … サクラ、ヘチマ、ツルレイシ こん虫 … カブトムシ、バッタ、チョウ 鳥 … ツバメ、スズメ、カモ その他 … カエル、トカゲ

なぜ1年もかけるのでしょうか。短い期間では分からないことがあるからです。

春に葉が出て、夏に茂り、秋に実り、冬に枯れる。この流れは、4回の観察をつなげてはじめて見えてきます。

そして、1年たつと元にもどることも分かります。次の春にはまた葉が出る。生き物の営みは、めぐっているのです。

気温との関係

この単元の核心は、生き物の変化と気温を結びつけることです。

気温が上がる(春) → 植物が芽を出し、花がさく → こん虫が活動を始める → 鳥が卵をうむ 気温が下がる(秋・冬) → 植物が葉を落とす → こん虫の姿が見えなくなる → 鳥が南へ移動する

生き物の活動は、気温に大きく左右されているのです。

だから、観察記録には必ず気温も書きます。「4月10日 18℃ サクラが満開」というように。気温の記録がないと、関係が分からなくなります。

年によって、桜の開花が早かったり遅かったりします。これも気温のちがいで説明できます。暖かい年は早く、寒い年は遅いのです。

記録の残し方

1年間の観察では、記録の残し方が成否を分けます。
・同じページの形式を使う(比べやすい)
・写真かスケッチを毎回残す
・日付・時刻・気温・天気を必ず書く
・同じ場所、同じ角度から見る
同じ条件でくり返すのが基本です。場所や角度が変わると、変化なのか見え方のちがいなのか分からなくなります。

植物の1年

サクラを例に、1年の変化を追ってみましょう。

季節サクラのようす気温の目安
春(3〜5月)花がさき、散ってから葉が出る10〜20℃
夏(6〜8月)葉がしげり、緑が濃くなる25〜30℃
秋(9〜11月)葉が色づき、落葉する10〜20℃
冬(12〜2月)葉がなく、冬芽がついている0〜10℃

冬のサクラをよく見ると、すでに芽がついています。これを冬芽といいます。

枯れているように見えて、実は春の準備をしているのです。冬芽は固い皮に包まれ、寒さから守られています。

ヘチマやツルレイシのような1年草は、ちがう1年を送ります。

春 … 種をまく、芽が出る 夏 … ぐんぐんのびて、花がさき、実がなる 秋 … 実が熟し、種ができる 冬 … 枯れる(種だけが残る)

木は同じ体で何年も生きますが、1年草は種にすがたを変えて冬を越します。生き残り方がちがうのです。

こん虫の冬ごし

冬になると、こん虫の姿が見えなくなります。死んでしまったのでしょうか。

いいえ、それぞれのすがたで冬を越しています

冬ごしのすがたこん虫の例場所
カマキリ、バッタ草のくき、土の中
幼虫カブトムシ、セミ土の中、木の根元
さなぎアゲハ、モンシロチョウ木のみき、へい
成虫テントウムシ、ミツバチ落ち葉の下、すの中

同じこん虫でも、種類によって冬ごしのすがたがちがうのは面白いところです。

共通しているのは、寒さと乾燥から身を守れる場所を選んでいること。落ち葉の下、土の中、木の皮の裏。どこも、外より温度が安定しています。

だから、冬の観察では「いない」で終わらせないことが大切です。落ち葉をめくる、土をほる、木のみきを調べる。探せば、必ず見つかります。

春になって気温が上がると、これらの生き物がいっせいに動き出します。冬の間、じっと待っていたのです。

鳥の季節

鳥の中には、季節によって移動するものがいます。渡り鳥です。

夏鳥 … 春に来て、秋に去る ツバメ、カッコウ → 南の国から日本へ 子育てをして、また南へ 冬鳥 … 秋に来て、春に去る カモ、ハクチョウ、ツグミ → 北の国から日本へ 冬を越して、また北へ 留鳥 … 一年中いる スズメ、カラス、ハト

なぜ移動するのでしょうか。えさと気温のためです。

ツバメは、こん虫を食べます。冬の日本にはこん虫が少ないので、暖かい南の国へ移動します。カモは、北の国の冬が厳しすぎるので、日本へ来ます。

それぞれが、生きやすい場所を求めて動いているのです。

ツバメの巣を見ると、季節の移り変わりが分かります。春に巣づくりが始まり、初夏にひなの声が聞こえ、夏の終わりには空っぽになります。1年の観察に、ぴったりの題材です。

生き物は何を合図にしているのか

ここで一つ、疑問がわきます。生き物はカレンダーを持っていないのに、どうして季節が分かるのでしょうか。

手がかりは二つあります。

① 気温 一定の暖かさが続くと活動を始める ② 日の長さ 昼の時間が長くなる/短くなる

とくに日の長さは、正確な合図になります。気温はその年によって変わりますが、日の長さは毎年ほぼ同じだからです。

植物の中には、日が短くなったことを感じて花をさかせるものがあります。キクが秋にさくのは、そのためです。逆に、日が長くなると花をさかせるものもあります。

渡り鳥も、日の長さの変化を感じて移動の準備を始めると考えられています。体の中に季節を知るしくみがあるのです。

近年は、気温の上昇によって生き物の様子が変わってきています。桜の開花が早まったり、南の生き物が北へ広がったり。長く観察を続けると、こうした変化にも気づけます。

1年間の記録は、その年だけのものではありません。何年も続ければ、環境の変化を示すデータになります。研究者が長年の観察記録を大切にするのは、そのためなのです。

つまずきやすいところ

その1 記録の形式がばらばら

季節ごとに書き方がちがい、比べられない。
同じ形式のカードを使います。日付・気温・天気・ようす・スケッチの欄を決めておくと、後で比べやすくなります。

その2 冬は「いない」で終わる

姿が見えないから観察をやめてしまう。
こん虫は形を変えて冬ごししています。落ち葉の下、土の中を探すと見つかります。「いない」ではなく「どこにいるか」を探します。

その3 気温を記録しない

生き物のようすだけ書いて、気温を忘れる。
この単元の目的は気温との関係を見ることです。気温がないと、何も結論が出せません。

やってみよう

Q1 この単元で、生き物のようすと一緒に必ず記録するものは?

A 気温です。生き物の活動は気温と深く関係しています。

Q2 カブトムシは何のすがたで冬を越しますか。

A 幼虫です。土の中で春を待っています。カマキリは卵、アゲハはさなぎで越します。

Q3 ツバメが秋に南へ行くのはなぜですか。

A 冬の日本にはえさのこん虫が少ないからです。暖かい南の国へ移動します。

Q4 近所の木を一本決めて、季節ごとに写真をとってみましょう。

A 同じ場所・同じ角度から。1年後に並べると、変化がはっきり見えます。

まとめ

おうちの方へ

1年間の継続観察は、学校だけでは十分にできません。長期休みをはさむため、家庭での協力が成果を左右します。
おすすめは、近所の木を一本決めることです。通学路のサクラでも、庭の木でもかまいません。季節ごとに同じ場所から写真をとるだけで、立派な記録になります。
スマートフォンの写真は日付が自動で残るので便利です。1年後に並べて見ると、変化の大きさにおどろきます。
冬の観察では、「いない」ことに気づいて終わらせず、「どこにいるのか」を一緒に探してみてください。落ち葉の下にダンゴムシやテントウムシが集まっているのを見つけると、子どもは強い印象を受けます。
この単元で身につく「長く続けて記録する力」は、自由研究にも直結します。