雨がやんだあと、いつも同じ場所に水たまりができるのはなぜでしょう。答えは地面の中にかくれています。
雨がふった次の日、校庭を見わたすと、水たまりができている場所と、まったくできていない場所があります。
この場所は、雨のたびにだいたい同じです。なぜでしょうか。
ここから分かることが二つあります。①地面の傾きと②土のつぶの大きさです。この二つが、雨水のゆくえを決めています。
まず、地面の傾きについて調べてみましょう。
校庭に線を引いて、その上に水を流すと、水はまっすぐ低い方へ向かって流れていきます。坂になっていれば、必ず低い方へ流れるのです。
この実験から、水は必ず高いところから低いところへ流れるということが分かります。これは坂道でも、校庭のようなゆるやかな傾きでも同じです。
そして、まわりより低くなっている場所に水が集まると、そこから逃げ場がなくなり、水たまりになります。鉄棒の下や階段の下に水たまりができやすいのは、そこが周囲より低くなっているからです。
もう一つの理由は、土のつぶの大きさです。運動場の土と、砂場の砂を比べてみましょう。
| 運動場の土 | 砂場の砂 | じゃりの多い土 | |
|---|---|---|---|
| つぶの大きさ | 小さい | 中くらい | 大きい |
| すきまの広さ | せまい | ふつう | 広い |
| 水のしみこみ方 | おそい | 速い | とても速い |
| 水たまりのできやすさ | できやすい | できにくい | ほとんどできない |
同じ量の水を、運動場の土・砂場の砂・じゃりの3つに同時に注ぐ実験をすると、しみこむ速さのちがいがはっきり分かります。
つぶが小さいと、つぶとつぶの間のすきまがせまくなり、水が通りにくくなります。反対に、つぶが大きいとすきまも広くなり、水はどんどん下へしみこんでいきます。運動場の土はつぶが細かいため、雨水がしみこみにくく、水たまりが残りやすいのです。
地面にしみこまなかった雨水は、どうなるのでしょうか。行き先は主に三つです。
校庭のように、傾きがゆるくつぶが細かい地面では、②のしみこみが少なく、①の流れとして側溝や川へ向かいます。反対に、砂地や森の土のようにすきまが多い地面では、②のしみこみが多くなり、雨水は地下水としてゆっくりとたくわえられます。
この「しみこむ・流れる」のバランスは、大雨のときの災害とも関係しています。アスファルトのようにまったく水を通さない地面がふえると、雨水はすべて①の「流れる水」になってしまい、短時間で川に集中してこう水の原因になることがあります。
実際に校庭の傾きを調べる方法を紹介します。特別な道具がなくても、身近なものでできます。
実際に何か所かで調べて記録すると、校庭全体は完全に平らではなく、少しずつ傾いていることに気づきます。多くの学校では、水はけをよくするために、校庭のはしや側溝に向かってわずかに低くなるよう設計されています。
調べた結果を白地図のような簡単な図にまとめると、校庭のどこが高く、どこが低いかが一目で分かります。矢印を低い方へ向けて何本もかき入れると、雨水がどこに集まりやすいかを予想することもできます。予想した場所と、実際に雨上がりにできる水たまりの場所を見比べてみましょう。傾きの調べ方から予想した場所と、実際の水たまりの場所がぴったり重なることが多いはずです。これは、地面の傾きが雨水のゆくえを決める大きな要因であることの何よりの証拠になります。
水たまりの場所を「土がたくさんあるから」と考えてしまう。
正しくは周囲より低い場所に水が集まるからです。土の量ではなく、地面の高さの差が原因です。
大きいつぶの方が水を「たくさん吸いこむ」と誤解しやすい。
正しくは、つぶが大きいとすきまが広くなり水が下へすり抜けやすくなるだけで、水を吸収しているわけではありません。
地面にしみこんだ水は「なくなった」と考えてしまう。
実際は土の中に水としてたくわえられているだけで、なくなったわけではありません。井戸水や湧き水のもとにもなります。
Q1 水は地面のどちらへ向かって流れますか。
A 高いところから低いところへ向かって流れます。
Q2 運動場の土と砂場の砂、水がしみこみやすいのはどちらですか。
A 砂場の砂です。つぶが大きくすきまが広いため、水が通りやすいからです。
Q3 水たまりができやすいのはどんな場所ですか。
A 周囲より低く、土のつぶが細かい場所です。
Q4 アスファルトの地面がふえると、雨水のゆくえはどう変わりますか。
A 地面にしみこむ量が減り、流れる水が増えるため、こう水につながりやすくなります。
この単元は、雨上がりの通学路や公園を観察するだけで、家庭でも十分に学びを深められます。「なぜここに水たまりができるんだろう?」と問いかけてみると、地面の傾きやつぶの大きさに自然と目が向きます。
ビー玉やペットボトルの水平器は、特別な道具を使わずにできる簡単な実験です。実際に校庭や庭で試してみることで、教科書の中の「傾き」という言葉が、目に見える現象として実感できます。
近年増えている大雨による浸水被害とも関係の深い単元です。アスファルトやコンクリートで地面がおおわれると雨水がしみこまず流れる水が増えることは、ニュースで見る水害のしくみを理解する土台にもなります。