自分の体が教材です。さわって、動かして、確かめられる数少ない単元です。
人の体には、約200本の骨があります。赤ちゃんのときは300本以上あり、成長とともにくっついて減っていきます。
骨には、三つの大事な役割があります。
②の「守る」役割に注目してみましょう。
頭の骨は、ヘルメットのように脳をすっぽり包んでいます。ろっ骨は、かごのような形で心臓と肺を囲んでいます。大事な臓器ほど、しっかり守られているのです。
骨をさわって確かめてみましょう。頭、ひじ、ひざ、あばら。皮ふのすぐ下にかたいものがあるのが分かります。
骨は、かたくて曲がりません。では、なぜ体は曲がるのでしょうか。
骨と骨のつなぎ目に、関節があるからです。
関節の場所は、自分で確かめられます。曲がるところが関節です。
そして、関節には種類があります。
| 種類 | 動き | 場所 |
|---|---|---|
| ちょうつがい型 | 一方向にだけ曲がる | ひじ、ひざ、指 |
| ボール型 | あらゆる方向に回る | 肩、ももの付け根 |
ひじは、内側にしか曲がりません。ドアのちょうつがいと同じです。でも肩は、ぐるぐる回せます。
なぜちがうのでしょうか。必要な動きがちがうからです。腕全体を大きく振り回すには肩の自由さが要りますが、ひじが自由に曲がったら、物を持ち上げる力が入りません。用途に合った形になっているのです。
骨と関節だけでは、まだ動けません。動かす力を出すのが筋肉です。
ここで、この単元でいちばん大事なことを確認します。
筋肉は引っぱるだけで、押すことはできません。
では、どうやって曲げたり伸ばしたりするのでしょうか。答えは、2つの筋肉が組になっていることにあります。
いつも、どちらかがちぢみ、どちらかがゆるむ。この組み合わせで、両方向の動きができるのです。
実際に確かめてみましょう。
自分の体で、はっきり感じられます。教科書を読むより確実な学習です。
筋肉は、けんという丈夫なひもで骨につながっています。
いちばん有名なけんは、アキレスけんです。ふくらはぎの筋肉とかかとの骨をつないでいます。つま先立ちができるのは、このけんのおかげです。
けんは、手首の内側でも確かめられます。指を動かすと、手首に細い筋がうごくのが見えます。指を動かす筋肉は、実は腕にあるのです。長いけんで力を伝えています。
この構造には理由があります。指の中に筋肉を入れると太くなりすぎて、細かい作業ができません。力を出す部分を離れた場所に置くことで、指を細く保っているのです。
骨・関節・筋肉のしくみは、人だけのものではありません。
イヌもネコもウマも、同じしくみで動いています。関節の場所や骨の長さがちがうだけです。
鳥の翼も、実は人の腕と同じ骨からできています。形は大きくちがいますが、骨のならびは対応しているのです。
魚には手足がありませんが、背骨と筋肉で泳ぎます。背骨をくねらせるのも、筋肉がちぢむ動きです。
動物園や図鑑で、動物の動きを観察してみると面白い発見があります。
骨・関節・筋肉のしくみが分かると、けがを防ぐ意味も理解できます。
とくに成長期の今は、骨が伸びる大事な時期です。栄養・睡眠・運動の三つがそろって、丈夫な体が作られます。
また、姿勢も骨と筋肉に関係します。前かがみの姿勢を続けると、背骨に負担がかかり、筋肉も固まります。ときどき体を伸ばすことが大切です。
骨と筋肉の組み合わせは、実はてこと同じしくみです。
ここで注目すべきは、力点が支点のすぐ近くにあることです。
てこの原理では、支点に近いところに力を加えるのは不利です。大きな力が必要になります。実際、1kgの物を手に持つとき、筋肉は何倍もの力を出しています。
では、なぜそんな損な作りになっているのでしょうか。
力を犠牲にして、速さと動く範囲を得ているのです。
もし力を優先した作りだったら、重い物は持てても、腕はゆっくりしか動きません。ボールを投げることも、走ることもできないでしょう。
人の体は、力より速さを選んだ設計になっているのです。6年生でてこを学ぶとき、この話を思い出してみてください。
腕をのばすとき、筋肉が押していると考える。
筋肉はちぢむことしかできません。反対側の筋肉がちぢんで、のばしているのです。
骨自体が曲がったり動いたりすると考える。
骨はかたくて曲がりません。関節で骨と骨がつながっていて、そこが動くのです。
どこが関節か答えられない。
曲がるところが関節です。自分の体を動かして、曲がる場所を全部探してみましょう。
Q1 骨の三つの役割を言いましょう。
A 体を支える・大事な部分を守る・体を動かすの三つです。
Q2 筋肉はちぢむことと、押すこと、どちらができますか。
A ちぢむことだけです。押すことはできません。だから2つの筋肉が組になっています。
Q3 ひじと肩の関節のちがいは?
A ひじは一方向だけ、肩はあらゆる方向に動きます。必要な動きがちがうためです。
Q4 自分の体の関節を、全部さがしてみましょう。
A 首・肩・ひじ・手首・指・こし・ひざ・足首など。動かしながら確かめてみてください。
この単元は、教材が自分の体そのものという点で特別です。実験道具は要りません。腕をさわりながら曲げ伸ばしするだけで、筋肉の動きが確かめられます。
「筋肉はちぢむことしかできない」という事実は、多くの子が意外に感じます。だからこそ2つ組になっているという設計の見事さも、伝わりやすいところです。
お子さんと一緒に、腕の力こぶをさわってみてください。曲げるとかたくなり、のばすとやわらかくなる。この体験が理解の核になります。
また、この単元は保健や体育とも深くつながります。準備運動の意味、正しい姿勢の大切さ、成長期の栄養。学んだ知識を生活に結びつけると、体を大切にする気持ちが育ちます。