4年 理科 人の体のつくりと運動

人の体のつくりと運動 ── 骨は動かない。動かすのは筋肉

自分の体が教材です。さわって、動かして、確かめられる数少ない単元です。

骨のはたらき

人の体には、約200本の骨があります。赤ちゃんのときは300本以上あり、成長とともにくっついて減っていきます。

骨には、三つの大事な役割があります。

① 体を支える 骨がなければ、体はぐにゃぐにゃ ② 大事な部分を守る 頭の骨 → 脳を守る ろっ骨 → 心臓や肺を守る 背骨 → 神経を守る ③ 体を動かす(筋肉と一緒に) 筋肉が引っぱる「取っ手」になる

②の「守る」役割に注目してみましょう。

頭の骨は、ヘルメットのように脳をすっぽり包んでいます。ろっ骨は、かごのような形で心臓と肺を囲んでいます。大事な臓器ほど、しっかり守られているのです。

骨をさわって確かめてみましょう。頭、ひじ、ひざ、あばら。皮ふのすぐ下にかたいものがあるのが分かります。

関節がなければ動けない

骨は、かたくて曲がりません。では、なぜ体は曲がるのでしょうか。

骨と骨のつなぎ目に、関節があるからです。

骨 ━━━━━●━━━━━ 骨 ↑ 関節(曲がるところ)

関節の場所は、自分で確かめられます。曲がるところが関節です。

上半身 … 首、肩、ひじ、手首、指 下半身 … こし、ももの付け根、ひざ、足首

そして、関節には種類があります。

種類動き場所
ちょうつがい型一方向にだけ曲がるひじ、ひざ、指
ボール型あらゆる方向に回る肩、ももの付け根

ひじは、内側にしか曲がりません。ドアのちょうつがいと同じです。でも肩は、ぐるぐる回せます。

なぜちがうのでしょうか。必要な動きがちがうからです。腕全体を大きく振り回すには肩の自由さが要りますが、ひじが自由に曲がったら、物を持ち上げる力が入りません。用途に合った形になっているのです。

筋肉のしくみ

骨と関節だけでは、まだ動けません。動かす力を出すのが筋肉です。

ここで、この単元でいちばん大事なことを確認します。

筋肉は、ちぢむことしかできない × 押す ○ 引っぱる(ちぢむ)

筋肉は引っぱるだけで、押すことはできません。

では、どうやって曲げたり伸ばしたりするのでしょうか。答えは、2つの筋肉が組になっていることにあります。

腕を曲げるとき 内側の筋肉(力こぶ)… ちぢむ 外側の筋肉 … ゆるむ 腕をのばすとき 内側の筋肉 … ゆるむ 外側の筋肉 … ちぢむ

いつも、どちらかがちぢみ、どちらかがゆるむ。この組み合わせで、両方向の動きができるのです。

実際に確かめてみましょう。

① 右手で左の上腕をにぎる ② 左腕を曲げる → 内側がかたくもり上がる(ちぢんだ) → 外側はやわらかい(ゆるんだ) ③ 左腕をのばす → 逆になる

自分の体で、はっきり感じられます。教科書を読むより確実な学習です。

筋肉と骨のつながり

筋肉は、けんという丈夫なひもで骨につながっています。

骨 ━━━━━━━━━━━ |けん ▓▓▓▓ 筋肉 |けん 骨 ━━━━━━━━━━━ 筋肉がちぢむ → けんが骨を引っぱる → 関節を中心に骨が動く

いちばん有名なけんは、アキレスけんです。ふくらはぎの筋肉とかかとの骨をつないでいます。つま先立ちができるのは、このけんのおかげです。

けんは、手首の内側でも確かめられます。指を動かすと、手首に細い筋がうごくのが見えます。指を動かす筋肉は、実は腕にあるのです。長いけんで力を伝えています。

この構造には理由があります。指の中に筋肉を入れると太くなりすぎて、細かい作業ができません。力を出す部分を離れた場所に置くことで、指を細く保っているのです。

動物の体と比べる

骨・関節・筋肉のしくみは、人だけのものではありません
イヌもネコもウマも、同じしくみで動いています。関節の場所や骨の長さがちがうだけです。
鳥の翼も、実は人の腕と同じ骨からできています。形は大きくちがいますが、骨のならびは対応しているのです。
魚には手足がありませんが、背骨と筋肉で泳ぎます。背骨をくねらせるのも、筋肉がちぢむ動きです。
動物園や図鑑で、動物の動きを観察してみると面白い発見があります。

体を大切にする

骨・関節・筋肉のしくみが分かると、けがを防ぐ意味も理解できます。

【準備運動が必要な理由】 冷えた筋肉は、急にちぢむと傷つく → 温めて、のばしてから運動する 【関節を無理に曲げてはいけない理由】 関節には決まった動く向きがある → 逆向きに力を加えると、 関節やじん帯が傷つく 【骨を丈夫にするには】 カルシウムをとる(牛乳、小魚) 日光に当たる(ビタミンDが作られる) 運動する(骨に刺激を与える)

とくに成長期の今は、骨が伸びる大事な時期です。栄養・睡眠・運動の三つがそろって、丈夫な体が作られます。

また、姿勢も骨と筋肉に関係します。前かがみの姿勢を続けると、背骨に負担がかかり、筋肉も固まります。ときどき体を伸ばすことが大切です。

てこのしくみが体にもある

骨と筋肉の組み合わせは、実はてこと同じしくみです。

腕でものを持ち上げるとき 支点 … ひじの関節 力点 … 筋肉がついている場所 作用点 … 手(ものを持つ場所) ひじ●━━━┳━━━━━━━━━● 手 支点 力点 作用点

ここで注目すべきは、力点が支点のすぐ近くにあることです。

てこの原理では、支点に近いところに力を加えるのは不利です。大きな力が必要になります。実際、1kgの物を手に持つとき、筋肉は何倍もの力を出しています。

では、なぜそんな損な作りになっているのでしょうか。

力では損をするが… 筋肉が少しちぢむだけで 手は大きく動く → 速く、大きく動ける

力を犠牲にして、速さと動く範囲を得ているのです。

もし力を優先した作りだったら、重い物は持てても、腕はゆっくりしか動きません。ボールを投げることも、走ることもできないでしょう。

人の体は、力より速さを選んだ設計になっているのです。6年生でてこを学ぶとき、この話を思い出してみてください。

つまずきやすいところ

その1 筋肉が押していると思う

腕をのばすとき、筋肉が押していると考える。
筋肉はちぢむことしかできません。反対側の筋肉がちぢんで、のばしているのです。

その2 骨が動くと思う

骨自体が曲がったり動いたりすると考える。
骨はかたくて曲がりません。関節で骨と骨がつながっていて、そこが動くのです。

その3 関節の場所が分からない

どこが関節か答えられない。
曲がるところが関節です。自分の体を動かして、曲がる場所を全部探してみましょう。

やってみよう

Q1 骨の三つの役割を言いましょう。

A 体を支える・大事な部分を守る・体を動かすの三つです。

Q2 筋肉はちぢむことと、押すこと、どちらができますか。

A ちぢむことだけです。押すことはできません。だから2つの筋肉が組になっています。

Q3 ひじと肩の関節のちがいは?

A ひじは一方向だけ、肩はあらゆる方向に動きます。必要な動きがちがうためです。

Q4 自分の体の関節を、全部さがしてみましょう。

A 首・肩・ひじ・手首・指・こし・ひざ・足首など。動かしながら確かめてみてください。

まとめ

おうちの方へ

この単元は、教材が自分の体そのものという点で特別です。実験道具は要りません。腕をさわりながら曲げ伸ばしするだけで、筋肉の動きが確かめられます。
「筋肉はちぢむことしかできない」という事実は、多くの子が意外に感じます。だからこそ2つ組になっているという設計の見事さも、伝わりやすいところです。
お子さんと一緒に、腕の力こぶをさわってみてください。曲げるとかたくなり、のばすとやわらかくなる。この体験が理解の核になります。
また、この単元は保健や体育とも深くつながります。準備運動の意味、正しい姿勢の大切さ、成長期の栄養。学んだ知識を生活に結びつけると、体を大切にする気持ちが育ちます。