4年 理科 自由研究のすすめ方

自由研究のすすめ方 ── 「調べました」で終わらせないための順番

自由研究がむずかしいのは、理科の力が足りないからではありません。やることが決まっていないからむずかしいのです。教科書の実験は、調べることも道具も先に決まっています。自由研究は、そこを自分で決めるところから始まります。逆に言えば、決める順番さえ分かってしまえば、あとは教科書の実験と同じです。この記事では、テーマを決めてから紙にまとめるまでを、そのまま使える順番でならべます。

まず「問い」を1つ決める

自由研究で最初にやることは、調べることではありません。問いを文の形で1つ書くことです。

たとえば「アリについて」はテーマではありますが、問いではありません。これだと図かんを写して終わってしまい、最後に「アリはすごいと思いました」としか書けなくなります。ところが「アリは、あまいものとしょっぱいもののどちらに多く集まるか」と書きかえたとたん、やることが自動的に決まります。2つのえさを置いて、集まった数を数えればよいのです。

問いの形になっているかどうかは、かんたんに見分けられます。文の終わりに「か」がついていて、答えが「はい・いいえ」か「AかB」で言えるかを見てください。それができる問いは、調べれば必ず答えが出ます。「〜について」という形のままでは、どこまでやれば終わりなのかが自分でも分からず、最後まで気持ちが乗りません。

ふしぎを、くらべられる形に直す

とはいえ、いきなり良い問いは出てきません。順番としては、まず頭にうかんだふしぎをそのまま書き、それをくらべる形に直します。

頭にうかんだふしぎくらべる形に直した問い
虹はどうしてできるの水のまくの厚さで、見える虹の色の数はちがうか
氷がとけるのがはやい気がする同じ大きさの氷は、置く場所(日かげ・日なた・水の中)でとける時間がちがうか
洗たく物が乾かない同じ布は、広げたときとたたんだときで乾く時間がどれだけちがうか
植物にはどんな水がいいの水と、さとう水をあげたカイワレは、7日後の高さがちがうか

右の列には、共通した形があります。何かを2つ以上ならべて、結果を数字でくらべているという形です。理科の自由研究がうまくいくかどうかは、この一行が書けたかどうかでほぼ決まります。ここまで来れば、あとの作業は手を動かすだけになります。

三つの型から選ぶ

問いが決まったら、どのやり方で答えを出すかを選びます。小学生の自由研究は、だいたい次の三つのどれかになります。

型やること向いている問い
観察型同じものを何日も見て記録する育ち方・変わり方を知りたいとき
実験型条件を変えて結果をくらべる「AとBでちがうか」を知りたいとき
調査型歩いて数える・地図にする・人に聞く場所や数の分布を知りたいとき

気をつけたいのは日数です。観察型は、始めた日から結果が出るまでの日数がそのまま必要になります。植物なら2週間以上はかかると思ってください。残りの日数が少ないときは、1日で結果が出る実験型や、半日で終わる調査型を選ぶほうが、最後まで形になります。やりたいことより、残り日数から選ぶのが、実は一番失敗の少ない決め方です。

始める前に、紙1枚で計画を書く

手を動かす前に、計画を紙1枚に書きます。ここを飛ばすと、あとで「何回やったか思い出せない」「写真を撮り忘れた」という形でつまずきます。

【計画メモ】  問い:氷は、置く場所でとける時間がちがうか  予想:日なたが一番はやい。水の中は日かげより少しはやい  変えるもの:置く場所(日なた・日かげ・水の中)  そろえるもの:氷の大きさ・入れ物・始める時こく  はかるもの:全部とけるまでの分数  やる回数:3回  いるもの:製氷皿・ストップウォッチ・入れ物3つ・温度計

「変えるものは一つだけにして、ほかはそろえる」という考え方は、5年の理科でくわしく習います(「実験の計画の立て方」の記事)。ここでは、くらべたい一つ以外は、できるだけ同じにするとだけ覚えておけば十分です。そして、予想は必ず始める前に書きます。結果を見てから書いた予想はいつでも当たるので、書く意味がありません。予想が外れたときこそ、最後の考察に書くことが増えます。

記録は、その場で・同じ形で

記録は、終わってから思い出して書くのではなく、その場で書きます。書く形も毎回同じにしておくと、あとで表にまとめるのが一気に楽になります。

おすすめは、はじめに空らんの表を作っておく方法です。日づけ・時こく・気温・はかった数・気づいたことの列をつくり、やるたびに1行ずつうめていきます。あとから列を増やすのは大変ですが、使わなかった列を消すのはかんたんです。迷ったら列を多めに作っておくほうが得をします。

写真も、記録の一部です。ただしとにかく撮ればよいのではなく、くらべたいものが同じ写真に写っているように撮ります。日なたの氷と日かげの氷を別々に撮った写真より、始まりと終わりで同じ位置から撮った2枚のほうが、見る人に伝わります。ものさしを横に置いて撮ると、大きさも一緒に記録できます。

まとめる順番は決まっている

模造紙でもノートでも、書く順番は同じです。この順番は、大人の研究者が論文を書くときの順番とほとんど同じもので、自分で考えなくてよいところです。

 ① 題名(問いがそのまま題名になるとよい)  ② やろうと思ったわけ  ③ 予想  ④ やり方(道具・手順・何回やったか)  ⑤ 結果(表とグラフ・写真。事実だけ)  ⑥ 考えたこと(結果からどう言えるか・予想と合っていたか)  ⑦ わかったこと/これから調べたいこと  ⑧ 参考にしたもの(本の題名・作者・出た年、サイト名)

この中でとくに大事なのが、⑤と⑥を分けることです。⑤には見た事実だけを書き、自分の考えは一文字も入れません。「日なたは12分でとけた」は⑤、「日なたがはやかったのは、太陽の光で温度が上がったからだと思う」は⑥です。混ぜて書くと、読む人はどこまでが本当に起きたことなのか分からなくなります。逆に分けて書いてあると、それだけで研究らしい形になります。この分け方は、3年のかんさつカードで習った「見たこと」と「思ったこと」を分ける書き方が、そのまま大きくなったものです。

⑧を書くのも忘れないでください。本やサイトで読んだことを自分で考えたように書くのは、してはいけないことです。使ったものを正直に書くほうが、研究の値打ちは上がります。どこまでが人の調べたことで、どこからが自分の調べたことかがはっきりするからです。

つまずきやすいところ

① テーマが大きすぎる。「宇宙について」「地球温暖化について」は、大人でも一夏では終わりません。手元で数えられる・はかれる大きさまで小さくします。小さい問いのほうが、答えははっきり出ます。

② 1回しかやっていない。1回だけの結果は、たまたまかもしれません。同じことを3回くり返して、近い数が出れば「たまたまではない」と言えます。ばらばらの数が出たときは、それも立派な結果で、「そろえるものが足りなかった」と考察に書けます。

③ 予想が外れたので作り直そうとする。これはもったいない話です。予想が外れることは失敗ではありません。「予想は〇〇だったが、結果はちがった。理由は△△ではないかと考えた」と書けば、それが一番おもしろい考察になります。直すべきなのは予想ではなく、書き方です。

たしかめよう

Q1 「カブトムシについて」を、問いの形に直すとどうなる?

A 例:「カブトムシは、どの高さの木のみきに多く集まるか」のように、くらべて数えられる形にする。

Q2 予想は、いつ書く?

A 調べはじめる前。結果を見てから書いた予想には意味がない。

Q3 「日なたは12分でとけた」は、⑤結果と⑥考えたことのどちら?

A ⑤結果(はかった事実なので、考えは入れずにここへ書く)。

Q4 同じ実験は、何回やるとよい?

A 3回くらい。近い数が出れば、たまたまではないと言える。

Q5 本で読んだことを使ったときは、どうする?

A 最後の「参考にしたもの」に、本の題名・作者・出た年を書く。

まとめ

おうちの方へ

自由研究でお子さんが止まってしまうのは、たいてい「何をやるか」の段階です。ここだけは手伝ってあげてかまいません。ただし、テーマを与えるのではなく、「それって、何と何をくらべたら分かる?」と一言たずねる形にしてください。くらべる相手が決まれば、あとは自分で進めます。作業が始まったら、正しいやり方に直したくなっても、危険がないかぎりそのままやらせるほうが学びは大きくなります。うまくいかなかった記録は、考察の材料になるからです。まとめの段階では、模造紙の見た目を整えることより、結果と考えを分けて書けているかだけを見てあげてください。5年の「実験の計画の立て方」、3年の「かんさつカードの書き方」の記事とあわせて読むと、計画と記録の部分がさらに具体的になります。