4年 理科 とじこめた空気と水

空気にも重さがある ── 教室いっぱいの空気で、大人3人分

「とじこめた空気と水」の実験では、空気はおし縮められるのに水は縮まらない、ということを確かめました。そのとき多くの子が、空気はふわふわして軽いもの、水はどっしりして重いもの、という感じを持ちます。ところが3年生の理科では、もう少しだけ先のことを一行だけ習っています。空気にも重さがある。ただ、この一行は習ったきり、実験で確かめる機会がほとんどありません。この記事では、空気の重さを実際の数で計算し、てんびんとごみ袋で重さの差を自分の目で見る方法まで、4年生の計算だけで確かめます。

「軽い」と「重さがない」は、ちがう言葉

風船を手放すとふわっと落ちてくる。風がなければ、空気は手でつかめもしない。こういう体験をくり返すうちに、「空気は軽い=空気には重さがない」と思いこんでしまう子が多くいます。でも、これは正しくありません。軽いということと、重さがゼロということは、まったくちがう話です。

紙1枚も、消しゴム1個も、鉄のかたまりも、みんな「物」です。物であるということは、場所を取る(体積がある)ことと、重さがあることの両方をかねそなえている、という意味です。空気は目に見えませんが、ふくろに入れれば体積を取りますし、量ってみれば重さもあります。目に見えないことと、重さがないことは別なのです。

教科書に出てくるのは、たった一行だけ

正直に書くと、「空気には重さがある」という一文は、3年生の理科の教科書にさらっと出てくるだけで、それ以上深くは進みません。4年生の「とじこめた空気と水」では、空気はおし縮められるという性質にスポットが当たり、重さの話はもう一度は出てきません。つまり空気の重さは、習ったことにはなっているのに、実感する機会がないまま先に進んでしまう知識のひとつです。

この記事が空いている場所は、まさにそこです。一行で終わっていた知識を、計算とかんたんな実験で、実感できる重さまで引き上げます。

1Lの空気は、何グラムか

教室の温度くらいの空気を、1L(1辺が約10cmの立方体の体積)だけ取り出して量ると、重さはおよそ次のようになります。

物1Lあたりの重さ
空気(室温ぐらい)約 1.2 g
水約 1000 g(1kg)
鉄約 7900 g

空気1Lはおよそ1円玉1枚分(1円玉は1g)より少し重いだけです。これだけ見ると「やっぱり空気は軽い」と思うかもしれません。たしかに軽いのですが、1.2gという数は、0gではありません。ここが出発点です。

水とくらべると、何倍ちがうか

空気の軽さを、水をものさしにして計算してみましょう。同じ1Lで、水は1000g、空気は1.2gでした。

 水と空気の重さの比 = 1000 ÷ 1.2 = 約 833   同じ1Lでも、水は空気のおよそ833倍重い

833倍という数の大きさが、空気が「感じにくい重さ」である理由の半分です。もう半分は、この先の「なぜふだんは感じないのか」で説明します。先に言っておくと、833倍軽いことと、0であることは、やはり別の話です。

教室いっぱいの空気は、何kgか

1Lで1.2gなら、量をふやせばどうなるでしょうか。たとえば、たて8m・よこ7m・高さ3mの教室を考えてみます。

 教室の体積 = 8 × 7 × 3 = 168 m³   1 m³ = 1000 L なので  168 m³ = 168 × 1000 = 168000 L

この教室いっぱいの空気の重さを、1Lあたり1.2gで計算します。

 168000 × 1.2 = 201600 g   201600 g = 201.6 kg

約201.6kg。大人1人をおよそ65kgとすると、次のようになります。

 201.6 ÷ 65 = 約 3.1   教室いっぱいの空気 ≒ 大人3人分くらいの重さ

ふだん、がらんとして何も無いように見える教室の中に、大人3人分の重さの空気がすでに入っていることになります。机や椅子の重さとは別に、空気だけでこれだけあるのです。

てんびんで、重さの差を見る

数の計算だけでは、まだ半信半疑かもしれません。重さの差は、てんびん(棒やハンガーの両はしに物をつるして、つりあわせる道具)で実際に見ることができます。

手順やること何が起きるか
①2つの風船を空気を入れずにしぼませたまま、ハンガーの両はしにつるしてつりあわせる左右とも空っぽなので、ぴたりとつりあう
②片方の風船だけ、空気入れでふくらませてもとの場所にもどすふくらませた側が、少しだけ下にさがる
③さがった理由を考える風船の中に重さを持った空気が増えたから

風船をふくらませても、ゴムの重さは変わりません。変わったのは中に入っている空気の量だけです。それなのにてんびんが傾くのは、増えた空気の分だけ、重さが増えたことの証拠です。手で持っただけでは分からない重さの差を、てんびんがかわりに感じ取ってくれます。

家でできる実験 ── ごみ袋で54gをはかる

てんびんよりもっとはっきり数字で確かめたいときは、台所用のデジタルスケール(1g単位で表示できるもの)と、45Lのごみ袋を使います。

 45Lのごみ袋いっぱいの空気の重さ  45 × 1.2 = 54 g

手順はこうです。まず、ごみ袋の口を軽くしぼって、できるだけ空気を抜いた状態でスケールにのせ、重さを0に合わせます(これをタレ、ゼロ点合わせといいます)。次に、袋の口を大きく開いて空気をたっぷり入れ、すばやく口を閉じてからもう一度のせます。

うまくいくと、スケールの表示は0gから50g前後まで上がります。54gという計算どおりにぴたりとはいかないかもしれませんが、空気の入り方や袋の大きさのずれで数gちがうのはふつうのことです。ぴたり一致よりも、確かに増えたことのほうが大事です。

この実験は、口で息をふきこんでもだいたい確かめられますが、人のはく息は吸う前の空気より少し湿っていて、すこしだけ重さの計算がずれます。できればうちわであおいで袋に空気を入れるなど、吸いこんだのと近い空気を使うと、計算とそろいやすくなります。

なぜ、ふだんは感じないのか

201.6kgもの空気が教室に入っているのに、だれもその重さで押しつぶされたりしません。なぜでしょうか。

理由は、空気の重さが、上からだけでなく、前後左右からも同じ強さで押しているからです。わたしたちの体の中にも空気や水分が入っていて、まわりの空気と同じくらいの強さで外に押し返しています。外から押す力と、内から押し返す力が全方向でつりあっているので、押されている感じが消えてしまうのです。

海やプールの中にいる魚も同じです。水面近くの魚も、深いところの魚も、まわりの水の重さにおしつぶされてはいません。水も空気と同じように全方向から均等に押していて、魚の体の中も同じ強さで押し返しているからです。重さがないのではなく、全方向からの押し合いでつりあっているという点で、空気も水もまったく同じしくみです。

まちがえやすいところ

①「空気は軽いから重さがない」はまちがい。空気は1Lで約1.2g、確かに軽いですが、0gではありません。軽いこととゼロであることは別の話です。

②「教室の空気の重さ201.6kg」と「気圧」を同じ量だと思うのはまちがい。201.6kgは教室いっぱいの空気の全部の重さです。気圧は、1cm²のような小さな面に乗っている空気の重さを表す、別のはかり方です。同じ「空気の重さ」の話から出発していますが、量の意味がちがいます。気圧については5年生の学習でくわしく計算します。

③「風船がふくらむと重くなるのは、空気に圧力がかかるから」という説明もずれている。重くなった本当の理由は、風船の中に入っている空気の量そのものが増えたからです。圧力が高いか低いかではなく、入っている空気の量が決め手です。

よくある質問

Q1 ヘリウムを入れた風船はどうして浮くのですか。空気にも重さがあるなら、浮くはずがないのでは。

A ヘリウムは空気よりもずっと軽い気体で、1Lでおよそ0.18gしかありません。空気1Lの1.2gより軽いので、まわりの空気がヘリウム入りの風船を上へ押し上げる力のほうが、風船とヘリウム自体の重さより大きくなり、浮き上がります。空気に重さがあるからこそ、もっと軽いものを浮かせる力も生まれるのです。

Q2 空気を全部ぬいた「真空」の箱は、空気の入った箱より軽いのですか。

A はい、軽くなります。箱の中の空気そのものがなくなるので、その分の重さ(箱の大きさによりますが数gから数十g)が消えます。実験で使う真空容器を精密なてんびんにのせ、空気をぬく前とあとを比べると、確かに軽くなったことが分かります。

Q3 高い山の上では、空気の重さはどうなりますか。

A 山の上のほうが空気はうすく(同じ体積に入っている量が少なく)なるので、1Lあたりの重さも軽くなります。富士山の山頂(3776m)では、地上のおよそ6割ほどの空気の量しかないといわれています。高い山で息が苦しくなるのは、この空気のうす さが関係しています。

Q4 同じ量の空気でも、あたためると重さは変わりますか。

A 空気そのものの重さ(気体の粒の数)は変わりませんが、あたためると体積がふくらむため、1Lあたりの重さは軽くなります(ものの温度と体積の単元で習った、ふくらむ・縮むと同じ空気です)。熱気球が浮くのは、あたためて軽くした空気を大きな袋に入れているからです。

Q5 空気の重さのほとんどは、何という気体の重さですか。

A 空気の約78%は窒素、約21%は酸素です。1.2gという重さのうち、いちばん多くを占めているのは窒素ですが、物が燃えるときに使われるのは酸素のほうです。ものの燃え方の単元で学ぶ「燃焼には酸素が必要」という話も、重さを持ったこの空気の中の出来事です。もののとけ方で習った「とけても重さは変わらない」のと同じように、空気も姿を変えても重さはきちんと保存されます。

まとめ

おうちの方へ

この単元は、3年生の理科で「空気には重さがある」と一文だけ習うものの、実験で確かめる機会がほとんどないまま通り過ぎてしまいます。ご家庭で確かめるなら、台所用のデジタルスケール(できれば1g単位まで表示できるもの)と、45Lほどのごみ袋を用意していただくだけで十分です。空の袋でゼロ点を合わせたあと、空気をたっぷり入れてもう一度のせるだけで、計算どおり50g前後の増加が表示され、お子さんにとって「目に見えない重さ」が初めて数字として現れる体験になります。空気入れを使った方が、口で息を入れるより湿気の影響が少なく、計算値に近づきやすい点もあわせてお伝えください。

つながっている記事… ものの温度と体積(あたためると空気がふくらみ、軽くなること)、ものの燃え方(空気の中の酸素を使って燃えること)、もののとけ方(姿を変えても重さは保存されること)。