4年 理科 とじこめた空気と水

とじこめた空気と水 ── 空気は縮むのに、水は縮まない

同じように見えて、まったくちがう性質。そのちがいが道具を生んだのです。

空気は「ある」もの

空気は目に見えません。だから、つい「何もない」と思ってしまいます。

でも、空気は確かに存在するものです。それを確かめる方法があります。

・ふくろに空気を入れると ふくらむ ・水中でふくろの口を開けると あわが出る ・うちわであおぐと 風を感じる ・注射器の先をふさいで押すと 押し返される

とくに最後のものが、この単元の出発点です。空気は押し返してくる。何もないなら、押し返すはずがありません。

3年生では「空気には重さがある」ことも学びました。空気は目に見えないだけで、物質であるのです。

空気を押すとどうなるか

注射器に空気を入れて先をふさぎ、ピストンを押してみます。

押す前 押した後 ┌────┐ ┌────┐ │ │ │████│ ← 押した │空気│ │ │ │ │ │空気│ ← 体積が減った └────┘ └────┘ ・体積は小さくなる ・手ごたえは強くなる ・手をはなすと 元にもどる

三つのことが分かります。

① 体積が小さくなる:空気は押しちぢめられます。

② 押すほど手ごたえが強くなる:押しちぢめられた空気は、元にもどろうとする力が強くなります。

③ 手をはなすと元にもどる:空気はばねのような性質を持っています。

ただし、いくらでも縮むわけではありません。ある程度縮むと、それ以上は押せなくなります。強く押すほど、押し返す力も強くなるからです。

空気の粒で考える

空気は、目に見えないほど小さな粒がとびまわっているものだと考えると分かりやすくなります。
粒と粒の間にはすきまがあります。押すと、そのすきまが狭くなって体積が減ります。
でも、粒そのものは小さくなりません。だから、ある程度以上は縮まないのです。
そして、狭いところに押しこめられた粒は、はげしくぶつかり合います。これが「押し返す力」の正体です。

水を押すとどうなるか

今度は、同じ注射器に水を入れて押してみます。

押す前 押した後 ┌────┐ ┌────┐ │ │ │ │ │ 水 │ │ 水 │ ← 変わらない! │ │ │ │ └────┘ └────┘ ・体積は変わらない ・ピストンはほとんど動かない

まったくちがう結果になります。水は押しても縮みません

なぜでしょうか。水の粒は、すでにぎっしり詰まっているからです。すきまがほとんどないので、押しても縮みようがありません。

空気
押すと体積は小さくなる変わらない
粒のようすすきまが多いぎっしり
手ごたえだんだん強くなる最初から動かない
手をはなすと元にもどる変化なし

この「空気は縮む、水は縮まない」という性質のちがいが、この単元でいちばん大事なことです。

空気でっぽうのしくみ

この性質を使った代表的な道具が空気でっぽうです。

┌──────────────────┐ │● 押し棒→ ●│ └──────────────────┘ 前玉 空気 後玉 ① 押し棒で後玉を押す ② 中の空気が押しちぢめられる ③ 空気が元にもどろうとする力が強くなる ④ その力が前玉を押し出す ⑤ 前玉が「ポン!」と飛び出す

ここで大事なのは、後玉が前玉に直接ぶつかっていないということです。

間にある空気が力を伝えているのです。だから、後玉を最後まで押しきる前に前玉が飛びます。

では、中に水を入れたらどうなるでしょうか。

水を入れた場合 水は縮まない → 押した分がそのまま前に伝わる → 後玉を押した瞬間に前玉が動く → 「ポン」と勢いよくは飛ばない

空気だからこそ、いったんためた力が一気に解放されて、勢いよく飛ぶのです。縮む性質が、飛ばす力になっている

身のまわりでの利用

空気と水、それぞれの性質が道具に生かされています。

空気の性質(縮む・元にもどる)を使うもの

・自転車や車のタイヤ → 空気がクッションになり、 でこぼこの衝撃を吸収する ・エアクッション(緩衝材) → 荷物を守る ・ボール(サッカー、バスケ) → よくはずむ ・エアーマット、空気まくら → やわらかく体を支える

どれも「押されて縮み、元にもどる」性質を使っています。空気は天然のばねなのです。

水の性質(縮まない)を使うもの

・自動車のブレーキ → ペダルを踏んだ力が、 液体を通してそのまま伝わる ・油圧ショベル(重機のアーム) → 小さな力で大きな物を動かす ・水鉄砲 → 押した分だけ水が出る

こちらは「押した力がそのまま伝わる」性質を使っています。もし縮んでしまったら、力が逃げてしまいます。

ブレーキが空気だったら、踏んでも縮むだけで止まりません。命に関わる部分だからこそ、縮まない液体を使うのです。

空気と水を一緒に入れると

では、注射器に空気と水を両方入れて押すとどうなるでしょうか。

┌────┐ │ 空気 │ ← ここが縮む ├────┤ │ 水 │ ← ここは変わらない └────┘ 押すと… 空気の部分だけが小さくなる 水の部分はそのまま

予想どおり、空気の部分だけが縮みます。それぞれの性質は、混ざっていても変わりません。

この性質は、身近なところで使われています。ペットボトルロケットです。

ペットボトルロケットのしくみ ① ボトルに水を少し入れる ② 空気入れで空気を押しこむ ③ 中の空気が押しちぢめられる ④ ふたを外すと、 空気が元にもどろうとして水を押し出す ⑤ 水が勢いよく出た反動で飛ぶ

ここでも、空気が力をためる役割水が押し出される役割を分担しています。

水を入れずに空気だけでも飛びますが、水を入れたほうが遠くまで飛びます。重い水を勢いよく後ろに出すほうが、大きな反動が得られるからです。空気と水、それぞれの性質を組み合わせた工夫といえます。

つまずきやすいところ

その1 空気がなくなったと思う

押しちぢめると、空気が減ったと考える。
空気の量は変わっていません。同じ量が、狭いところに押しこめられているだけです。

その2 水も少しは縮むと思う

強く押せば縮むはずだと考える。
日常の力ではほとんど縮みません。だからこそブレーキに使えるのです。

その3 空気でっぽうで玉が飛ばない

玉が飛ばず、そのまま押し出されてしまう。
玉がゆるすぎて空気がもれている可能性があります。しめった紙を使う、玉のサイズを合わせるなどで直ります。

やってみよう

Q1 注射器に空気を入れて押すと、どうなりますか。

A 体積が小さくなり、手ごたえが強くなります。手をはなすと元にもどります。

Q2 水を入れて押すとどうなりますか。

A 体積は変わりません。水の粒はすでにぎっしり詰まっているためです。

Q3 空気でっぽうで玉が飛ぶのはなぜですか。

A 押しちぢめられた空気が元にもどろうとする力で前玉を押し出すからです。

Q4 自動車のブレーキに空気ではなく液体を使うのはなぜですか。

A 液体は縮まないので、踏んだ力がそのまま伝わるからです。

まとめ

おうちの方へ

この単元は、実験の楽しさが際立つ内容です。注射器で空気と水を押し比べる体験は、教科書を読むだけでは得られない実感を与えてくれます。
「空気には手ごたえがある」という感覚が出発点です。目に見えないものを、手の感覚でとらえる。理科の面白さがここにあります。
空気でっぽうは、うまく飛ばないと楽しさが半減します。玉がゆるいと空気がもれるので、少ししめらせた紙を丸めて使うとよく飛びます。
身のまわりの応用例も、ぜひ一緒に探してみてください。自転車のタイヤ、緩衝材、ボール。「なぜ空気を使っているんだろう?」と考えると、学んだことが生活とつながります。