同じように見えて、まったくちがう性質。そのちがいが道具を生んだのです。
空気は目に見えません。だから、つい「何もない」と思ってしまいます。
でも、空気は確かに存在するものです。それを確かめる方法があります。
とくに最後のものが、この単元の出発点です。空気は押し返してくる。何もないなら、押し返すはずがありません。
3年生では「空気には重さがある」ことも学びました。空気は目に見えないだけで、物質であるのです。
注射器に空気を入れて先をふさぎ、ピストンを押してみます。
三つのことが分かります。
① 体積が小さくなる:空気は押しちぢめられます。
② 押すほど手ごたえが強くなる:押しちぢめられた空気は、元にもどろうとする力が強くなります。
③ 手をはなすと元にもどる:空気はばねのような性質を持っています。
ただし、いくらでも縮むわけではありません。ある程度縮むと、それ以上は押せなくなります。強く押すほど、押し返す力も強くなるからです。
空気は、目に見えないほど小さな粒がとびまわっているものだと考えると分かりやすくなります。
粒と粒の間にはすきまがあります。押すと、そのすきまが狭くなって体積が減ります。
でも、粒そのものは小さくなりません。だから、ある程度以上は縮まないのです。
そして、狭いところに押しこめられた粒は、はげしくぶつかり合います。これが「押し返す力」の正体です。
今度は、同じ注射器に水を入れて押してみます。
まったくちがう結果になります。水は押しても縮みません。
なぜでしょうか。水の粒は、すでにぎっしり詰まっているからです。すきまがほとんどないので、押しても縮みようがありません。
| 空気 | 水 | |
|---|---|---|
| 押すと体積は | 小さくなる | 変わらない |
| 粒のようす | すきまが多い | ぎっしり |
| 手ごたえ | だんだん強くなる | 最初から動かない |
| 手をはなすと | 元にもどる | 変化なし |
この「空気は縮む、水は縮まない」という性質のちがいが、この単元でいちばん大事なことです。
この性質を使った代表的な道具が空気でっぽうです。
ここで大事なのは、後玉が前玉に直接ぶつかっていないということです。
間にある空気が力を伝えているのです。だから、後玉を最後まで押しきる前に前玉が飛びます。
では、中に水を入れたらどうなるでしょうか。
空気だからこそ、いったんためた力が一気に解放されて、勢いよく飛ぶのです。縮む性質が、飛ばす力になっている。
空気と水、それぞれの性質が道具に生かされています。
どれも「押されて縮み、元にもどる」性質を使っています。空気は天然のばねなのです。
こちらは「押した力がそのまま伝わる」性質を使っています。もし縮んでしまったら、力が逃げてしまいます。
ブレーキが空気だったら、踏んでも縮むだけで止まりません。命に関わる部分だからこそ、縮まない液体を使うのです。
では、注射器に空気と水を両方入れて押すとどうなるでしょうか。
予想どおり、空気の部分だけが縮みます。それぞれの性質は、混ざっていても変わりません。
この性質は、身近なところで使われています。ペットボトルロケットです。
ここでも、空気が力をためる役割、水が押し出される役割を分担しています。
水を入れずに空気だけでも飛びますが、水を入れたほうが遠くまで飛びます。重い水を勢いよく後ろに出すほうが、大きな反動が得られるからです。空気と水、それぞれの性質を組み合わせた工夫といえます。
押しちぢめると、空気が減ったと考える。
空気の量は変わっていません。同じ量が、狭いところに押しこめられているだけです。
強く押せば縮むはずだと考える。
日常の力ではほとんど縮みません。だからこそブレーキに使えるのです。
玉が飛ばず、そのまま押し出されてしまう。
玉がゆるすぎて空気がもれている可能性があります。しめった紙を使う、玉のサイズを合わせるなどで直ります。
Q1 注射器に空気を入れて押すと、どうなりますか。
A 体積が小さくなり、手ごたえが強くなります。手をはなすと元にもどります。
Q2 水を入れて押すとどうなりますか。
A 体積は変わりません。水の粒はすでにぎっしり詰まっているためです。
Q3 空気でっぽうで玉が飛ぶのはなぜですか。
A 押しちぢめられた空気が元にもどろうとする力で前玉を押し出すからです。
Q4 自動車のブレーキに空気ではなく液体を使うのはなぜですか。
A 液体は縮まないので、踏んだ力がそのまま伝わるからです。
この単元は、実験の楽しさが際立つ内容です。注射器で空気と水を押し比べる体験は、教科書を読むだけでは得られない実感を与えてくれます。
「空気には手ごたえがある」という感覚が出発点です。目に見えないものを、手の感覚でとらえる。理科の面白さがここにあります。
空気でっぽうは、うまく飛ばないと楽しさが半減します。玉がゆるいと空気がもれるので、少ししめらせた紙を丸めて使うとよく飛びます。
身のまわりの応用例も、ぜひ一緒に探してみてください。自転車のタイヤ、緩衝材、ボール。「なぜ空気を使っているんだろう?」と考えると、学んだことが生活とつながります。