4年 国語 漢字の組み立て

四字熟語 ── 一石二鳥の四字には、型がある

「一石二鳥」も「老若男女」も四字熟語ですが、できかたはまったくちがいます。4字をひとつずつ訳すのではなく、どんな型で組み合わさっているかを見ると、意味が忘れにくくなります。

四字熟語は「2字+2字」が多い

4年生の「漢字の組み立て」で、熟語の多くが2字+2字の組み合わせでできていることを学びました。四字熟語も、ほとんどが2字の熟語を2つつなげた形です。

一石二鳥 = 一石 + 二鳥 老若男女 = 老若 + 男女 温故知新 = 温故 + 知新

でも、「2字+2字」という字の数の組み立てが分かっただけでは、意味まではたどり着けません。意味のほうには、もう一つ別の4つの型があります。これを知ると、知らない四字熟語に出会っても、だいたいの意味の見当がつくようになります。

型① 対になる言葉を組み合わせる

反対や対になる言葉を2つ並べて、全体を1つにまとめて表す型です。数字は使いません。

大同小異(だいどうしょうい) 大 ←→ 小 / 同 ←→ 異 → ほとんど同じで、少しだけちがう 老若男女(ろうにゃくなんにょ) 老若(年をとった人・若い人) ←→ 男女 → 年れいや性別に関係なく、すべての人

この型は、反対の意味の字が入っていることに気づけば見分けられます。「大同小異」なら大と小、同と異が、それぞれ反対の意味です。

型② 数字を使う(ちがう数字を組み合わせる)

数字をそのままの数として読んではいけません。ちがう数字を組み合わせて、差や対比を作り出しています。

一石二鳥(いっせきにちょう) 1つの石で2羽の鳥を落とす → 1つの行動で、2つの得をする 千差万別(せんさばんべつ) 千も万もあるくらい、差や別がある → それぞれに違いがあり、同じものはない 七転八起(しちてんはっき) 7回ころんでも、8回起き上がる → 何度失敗しても、あきらめずに立ち上がる

「七転八起」に注目してください。8は7より1大きいので、「転ぶ回数より、起き上がる回数のほうが1回多い」という意味が、数字の差そのものに込められています。数字を足し算や引き算の答えとして読むのではなく、数字の差や大きさが何を表しているかを考えるのがこの型のポイントです。

型③ 昔の話(故事)から生まれた

中国などの昔の出来事や教えがもとになっている型です。字だけ見ても意味が分からないことが多く、由来を知ってはじめて意味が通じます。

温故知新(おんこちしん) 論語(昔の中国の書物)の言葉 → 昔のことを研究して、新しい知識や考えを得る 画竜点睛(がりょうてんせい) 竜の絵を描いた画家が、最後に目を描き入れたら 竜が本当に飛んでいった、という中国の話から → 物事を完成させる、最後の大切な仕上げ 四面楚歌(しめんそか) 楚(そ)の国の武将が漢の軍に囲まれ、 四方からふるさと楚の歌が聞こえてきた話から → 周りが全部敵で、味方がいない状態

「画竜点睛」を「絵がじょうずなこと」と誤解する人がいますが、それは由来を知らないまま字だけで意味を当ててしまった例です。由来を知ると、正しい意味が分かり、しかも忘れにくくなります。

型④ 四字全体で1つの気持ちや様子を表す

対になる言葉でも、数字でも、昔の話でもなく、4字がまとまって1つのイメージを作っている型です。4字を分けて訳そうとすると、むしろ分かりにくくなります。

弱肉強食(じゃくにくきょうしょく) → 弱い者が強い者の犠牲になる、 強い者が弱い者を支配する世界の道理 自業自得(じごうじとく) → 自分がした悪い行いの結果を、自分が受ける 自由自在(じゆうじざい) → 思うままに、自分の力で行動できる様子

この型は、分けて覚えるよりも4字をひとまとまりの「決まり文句」として覚えるほうがうまくいきます。

4つの型のまとめ

型特ちょう例
① 対になる言葉反対・対になる言葉を組み合わせる大同小異、老若男女
② 数字を使うちがう数字の差や対比が意味を作る一石二鳥、七転八起
③ 故事から生まれた昔の話・教えが由来になっている温故知新、四面楚歌
④ 四字全体で1つの意味分けずに、4字全体で1つのイメージ弱肉強食、自業自得

知らない四字熟語に出会ったら、どの型に近いかをまず考えるのがおすすめです。数字が入っていればまず型②を、昔の人名や国の名前が入っていれば型③を疑ってみましょう。

つまずきやすいところ

その1 数字をそのままの計算として読んでしまう

「七転八起」を「7回転んで8回起きるから、差は1回だけ」のように、算数の計算として読んでしまう。
数字の差そのものが「何度失敗しても1回多く立ち上がる」という気持ちを表していると考えます。計算の答えを求める問題ではありません。

その2 由来を知らずに字だけで意味を当てようとする

「画竜点睛」を「絵がじょうずなこと」、「四面楚歌」を「歌が聞こえること」のように、字面だけで意味を推測してしまう。
型③の四字熟語は、由来(昔の話)を知らないと正しい意味にたどり着けません。知らない故事成語に出会ったら、意味だけでなく由来もセットで調べる習慣をつけましょう。

その3 同じ四字熟語でも、場面によって良い意味か悪い意味かが変わることに気づかない

「弱肉強食」を「強い者が勝つのは当然だ」という良い意味だけで覚えてしまう。
実際には、「弱い者が守られない社会はおかしい」と批判する場面でも使われます。同じ四字熟語でも、前後の文章によって、良い意味で使われているか悪い意味で使われているかが変わることがあります。

やってみよう

Q1 「温故知新」はどの型にあたりますか。

A 型③(故事から生まれた型)です。論語という昔の書物に出てくる言葉で、「昔のことを研究して、新しい知識や考えを得る」という意味です。

Q2 「一石二鳥」を「石1つと鳥2羽の話」とだけ覚えるのは、なぜ不十分ですか。

A 由来の場面だけを覚えても、「1つの行動で2つの得をする」という本当の意味や、どんな時に使う言葉なのかまで理解しないと、実際に使うときに間違えてしまうからです。

Q3 「二束三文(にそくさんもん)」は型②(数字を使う型)にあたります。2束のたきぎが3文(とても安い昔のお金)にしかならない、という意味から、全体の意味はどうなりますか。

A 「たくさんあっても、値段はとても安いこと」という意味です。数字の「二」と「三」は小さくて近い数字なので、「ほとんど値打ちがない」という差を表しています。

Q4 「自由自在」はどの型にあたりますか。理由も答えましょう。

A 型④(四字全体で1つの意味を表す型)です。対になる言葉でも、数字でも、昔の話でもなく、「思うままに行動できる様子」を4字全体でひとまとまりに表しているからです。

Q5 四字熟語の意味を覚えるとき、字だけを見て覚えるより効果的な方法は何ですか。

A どの型にあたるかを考えたり、由来(昔の話)を調べたりすることです。型や由来が分かると、意味を字のまま覚えるよりも忘れにくくなります。

まとめ

おうちの方へ

四字熟語は中学入試でも頻出ですが、暗記カードでばらばらに覚えると、似た見た目の言葉を混同しやすくなります。この記事で紹介した4つの型(対になる言葉/数字を使う/故事から生まれた/四字全体で1つの意味)で分類すると、記憶の引き出しが整理され、初めて見る四字熟語にも応用しやすくなります。
特に型③(故事成語)は、由来の物語ごと覚えると忘れにくくなります。「四面楚歌」なら項羽という武将が漢の軍に囲まれる場面を、「画竜点睛」なら竜の絵に目を描き入れたら飛んでいった場面を、絵本や子ども向けの中国古典の本で一緒に読んでみるのもおすすめです。
また、型④で紹介した「弱肉強食」や「自業自得」のように、同じ四字熟語でも文脈によって良い意味・悪い意味の両方で使われる言葉があります。ニュースや本で見かけたときに、「このときはどちらの意味で使われているかな」と話し合ってみると、言葉の使い分けに対する感覚が育ちます。