要約はまとめる技術であると同時に、捨てる判断の技術でもあります。
要約とは、元の文章の大事なところだけを残して短くすることです。
似た言葉に「感想」「あらすじ」がありますが、それぞれちがいます。
要約でいちばん大事なのは、自分の意見を入れないことです。「わたしはすごいと思いました」は要約ではありません。
あくまで筆者が言ったことを、短く言い直すのが要約です。
要約は、思いつきでやるものではありません。決まった手順があります。
順に見ていきましょう。
中心文とは、その段落でいちばん言いたいことが書かれた一文です。
見つけ方のコツがあります。
迷ったら、その段落を一文で言うとしたらどれかと考えます。
キーワードは、文章全体でくり返し出てくる大事な言葉です。
題名に含まれている言葉は、たいていキーワードです。また、何度も形を変えて出てくる言葉も重要です。
キーワードは要約に必ず入れます。逆に言えば、キーワードが入っていない要約は、どこかがずれています。
要約の本質は、実は捨てる作業です。何を残すかより、何を捨てるかを決めるほうが難しいのです。
捨ててよいものには、はっきりした特徴があります。
| 捨ててよいもの | 理由 |
|---|---|
| 具体例 | 要点を分かりやすくする道具 |
| くわしい数字 | 細かすぎる(傾向だけ残す) |
| くり返しの表現 | 同じことを言っている |
| 読者への呼びかけ | 内容ではない |
| 比喩の説明 | 言いかえにすぎない |
逆に、絶対に捨ててはいけないものもあります。
とくに「しかし」の後は要注意です。日本語では、「しかし」の後に本当に言いたいことが来ます。
「たしかに〜。しかし〜。」という形が出てきたら、後半を残すのが原則です。
要約の問題では、たいてい字数が指定されます。「40字以内で」「100字程度で」といった形です。
字数によって、残せる情報の量が変わります。
字数が少ないほど、思い切って捨てる必要があります。逆に多いときは、丁寧に残していきます。
そして、字数を守るのは絶対のルールです。「100字程度」なら90〜110字くらい。「100字以内」なら100字を超えてはいけません。
字数を減らすテクニックも覚えておきましょう。
ただし、削りすぎて意味が通じなくなっては失敗です。読み返して、意味が伝わるか確かめます。
いきなり長文の要約は難しいので、段階を踏むとよいです。
① 1つの段落を1文にまとめる
② 3つの段落を3文にまとめる
③ 3文を1文につなげる
この順で進めると、無理なく力がつきます。
また、ニュースの見出しは最高の要約の見本です。数十文字で内容を伝えています。ニュースを見て、自分で見出しをつけてみる練習もおすすめです。
要約の力は、国語のテストのためだけではありません。
理科や社会の勉強で、教科書の内容をノートにまとめるとき。全部写していては時間がかかりますが、要点だけ書けば効率的です。
人に何かを伝えるとき。長々と話しても伝わりません。「つまり何が言いたいのか」を短く言えると、相手に届きます。
自分の理解を確かめるとき。要約できないということは、実は分かっていないということです。短く言えるかどうかは、理解のものさしになります。
そして調べ学習でも使います。本やインターネットで調べたことを、そのまま写すのは調べ学習ではありません。要約して、自分の言葉で書き直す。これができて初めて、自分の知識になります。
短い文章で、要約の手順を実際にたどってみましょう。
手順どおりに進めます。
これをつないで整えると、こうなります。
具体例を捨てても、言いたいことは伝わっています。これが要約の力です。
そして「ところが」の後の内容──みつを集めるだけではない、という部分──がしっかり残っていることにも注目してください。逆接の後は、やはり大事なのです。
「わたしは〜と思いました」と書く。
要約に自分の考えは入れません。筆者が言ったことだけを短くします。感想を書く問題とは別物です。
印象に残った例を書いて、要点を落とす。
具体例は要点を説明するための道具です。その例が何を示すために出されたのかを考え、そちらを残します。
つないだだけで、文章として不自然になる。
中心文をつないだ後、読み返して整える作業が必要です。接続語を足したり、重なる言葉を削ったりします。
Q1 要約と感想のちがいは何ですか。
A 要約は筆者が言ったことを短くする。感想は自分が思ったことを書くものです。
Q2 中心文の見つけ方を言いましょう。
A 段落の最初か最後、「つまり」「このように」の後を探します。具体例は中心文ではありません。
Q3 「たしかに〜。しかし〜。」のとき、どちらを残しますか。
A 「しかし」の後です。そこに筆者の本当の主張があります。
Q4 今日読んだ本や記事を、50字で要約してみましょう。
A 主張1つと理由1つが入る長さです。字数を数えて調整してみてください。
要約は、国語のなかでも特に実用的な技術です。中学・高校の学習はもちろん、社会に出てからも使い続けます。
お子さんが要約でつまずくとき、多くは「捨てる勇気」が足りないケースです。全部大事に見えて削れないのです。「この例がなくても、言いたいことは伝わる?」と問いかけてあげてください。
練習としては、読んだ本の内容を口頭で説明させるのが手軽で効果的です。「どんな話だった?」と聞いて、1分で答えてもらう。書くより気軽にでき、要約の感覚が育ちます。
ニュースの見出しを一緒に見るのもおすすめです。プロが作った要約の実例が、毎日タダで手に入ります。