4年 国語 都道府県の漢字

都道府県の漢字 ── ここでしか使わない20字を、地図の上で覚える

「茨」「媛」「潟」「阜」。これらの字を、県名以外で使ったことがありますか。4年生の漢字には、そういう字がまとめて入ってきます。

ふつうの漢字とは、覚え方が変わる

3年生までに習ってきた漢字は、たいていいろいろな言葉に出てくる字でした。「遊」なら、遊ぶ・遊園地・遊具・回遊と、次々に使い道があります。使い道が多いから、生活の中でくり返し目に入り、自然に覚えていきました。

ところが4年生で習う県名の漢字は、そうではありません。

「茨」を使う言葉 → 茨城県、(あとは「いばら」くらい) 「媛」を使う言葉 → 愛媛県、(ほぼこれだけ) 「阜」を使う言葉 → 岐阜県、(ほぼこれだけ)

くり返し出会うチャンスがありません。だから「授業で1回書いて、テストで思い出せない」ということが起きます。ここが県名の漢字のむずかしさで、字そのものが難しいのではなく、出会う回数が足りないのです。

やることは、はっきりしています。出会う回数が足りないなら、自分で回数を作る。そして、ばらばらに覚えるのではなく地図という一枚の紙にまとめて置く。この二つだけです。

「県名でしか会わない20字」を先に知っておく

47都道府県の名前に使われる漢字のうち、大部分は3年生までに習っています。北・海・道・青・岩・山・東・京・大・分──こういう字は、もう書けるはずです。

新しく覚えることになるのは、次のあたりです。学校や教科書によって多少ちがいますが、だいたい20字ほどにおさまります。

字県名ここが引っかかる
茨茨城くさかんむり。「いばら」というとげのある草
栃栃木きへん。右がわを「万」と書いてしまいがち
埼埼玉土へん。「崎」と取りちがえる
潟新潟15画。右上の形がくずれやすい
岐・阜岐阜2字ともここでしか使わない
井福井4画。書き順を「たて」から始めない
阪大阪「坂」ではない。こざとへん
奈奈良・神奈川読みは「ナ」だけ。訓読みがない
滋滋賀さんずい。右がわの点の数に注意
梨山梨くだものの「なし」と同じ字
媛愛媛おんなへん。「暖」「援」と右がわが同じ
香香川「かおり」の字
佐佐賀にんべん+左
崎長崎・宮崎山へん。2県で使う
熊熊本14画。下は「灬(れっか)」
鹿鹿児島「かごしま」と読む。字は「しか」
縄沖縄いとへん。「なわ」の字
沖沖縄さんずい+中
岡静岡・福岡・岡山3県で使う。使い回しがきく
賀佐賀・滋賀2県で使う

この表で大事なのは、右の列の「引っかかるところ」です。20字を平等に20回ずつ練習する必要はありません。引っかかるところが分かっている字だけ、多めに書けばいいのです。

また、岡・賀・崎のように複数の県で使い回せる字があります。こういう字は1回覚えると2つも3つも県が書けるようになるので、先にかたづけると得です。

まぎらわしい3組を、へんで見分ける

県名の漢字でまちがえるのは、たいてい次の3組です。どれもへんがちがうだけで、右がわは同じか、よく似ています。

① 埼(さい)と 崎(さき)

埼玉 … 土へん 長崎 … 山へん 宮崎 … 山へん

右がわの形は同じです。ちがうのは左だけ。ここに理由をつけると忘れません。「崎」は山や岬など、出っぱった土地を表す字です。長崎も宮崎も海に面していて、地形の名前として自然です。いっぽう埼玉は海のない内陸の県で、山へんではなく土へんを使います。

「海に面している2県が山へん、海のない1県が土へん」──ややこしい言い方ですが、一度覚えると取りちがえなくなります。

② 阪(さか)と 坂(さか)

大阪府 … 阝(こざとへん) さか道 … 土へん

ふだん書く「坂」は土へんです。しかし大阪だけはこざとへんを使います。こざとへんは「土を盛った高いところ」を表す部首で、階・院・防などにも入っています。

覚え方は単純で、「大阪はふつうの坂じゃない」と口に出しながら書くこと。書くときに一度でも迷ったら、正しく直したうえでもう3回書きます。

③ 岐(き)と 技(ぎ)・枝(えだ)

岐阜 … 山へん 技術 … 扌(てへん) 木の枝 … きへん

右がわが共通です。岐阜の「岐」は山へん。ここでもへんが意味を持っていることに気づけます。手でやるから「技」、木の一部だから「枝」、山が分かれるところだから「岐」。

4年生で習った「部首は意味の設計図」という考え方が、そのまま県名にも通用します。まぎらわしい字ほど、へんの意味から入るほうが速いのです。

読みのくせ ── 書けても読めない字がある

県名には、その県だけの特別な読みが混じっています。書けるようになっても読みで落とすことがあるので、分けて覚えます。

県名読み注意
鹿児島かごしま鹿を「か」と読む
茨城いばらき「いばらぎ」ではない
大阪おおさか阪を「さか」と読むのはここだけ
神奈川かながわ神を「か」と読む
愛媛えひめ媛は「ひめ」。「あいひめ」ではない
宮城みやぎ茨城は「き」、宮城は「ぎ」で逆

とくに茨城(いばらき)と宮城(みやぎ)は、同じ「城」なのに濁るか濁らないかが逆です。ここは理屈がないので、声に出して2つ並べて覚えてしまうのが早道です。

白地図に書きこむ ── 国語と社会を一度に終わらせる

いちばん効率のいい練習は、漢字ドリルではなく白地図です。理由は三つあります。

  1. 社会科でも同じ47個を覚えるので、勉強が二重にならない
  2. 位置という手がかりがつくので、字だけより思い出しやすい
  3. 47個を一枚で見わたせるので、書けない県が一目で分かる

やり方は次のとおりです。

【1回目】地図帳を見ながら、47県ぜんぶ漢字で書きこむ ↓ 【2回目】何も見ずに書く。書けなかった県に○をつける ↓ 【3回目】○のついた県だけ、5回ずつ書く ↓ 【4回目】また何も見ずに47県。○が減っているか確かめる

ポイントは2回目です。書けなかった県に○をつけて、そこだけを練習する。47県すべてを平等に練習するのは時間のむだで、たいてい書けない県は10個以下にしぼられます。

この「できないところだけ取り出して、そこを重点的にやる」という進め方は、漢字にかぎらずどの教科でも使えます。4年生のうちに身につけておくと、5年生以降がずいぶんらくになります。

つまずきやすいところ

「潟」が書けない

新潟の「潟」は15画あり、県名の漢字でいちばん画数が多い部類です。一気に覚えようとせず、部品に分けます。

氵(さんずい) + 上の部分 + 下の「灬」 → 水に関係する地形(かた=入り江)の字

「潟」は、海と切りはなされてできた湖のような地形のことです。新潟という地名そのものが、その地形から来ています。意味を知ってから書くと、部品の並びも頭に残ります。

「県」をつけ忘れる/つけすぎる

47のうち、県は43個。ほかは東京都・北海道・大阪府・京都府の4つだけです。この4つには「県」をつけません。テストで「北海道県」と書いてしまう子はけっこういます。

逆に、都道府県名を答える問題で「愛知」とだけ書いて「県」を落とすのもよくあるミスです。4つだけ特別、あとは全部「県」と決めてしまえば迷いません。

県名は書けるのに、県庁所在地で崩れる

県名と県庁所在地がちがう県では、そちらの漢字も必要になります(宇都宮・水戸・金沢・津・松江・那覇など)。ただしこれは社会科の範囲で、国語の漢字テストに出るのは県名のほうです。混ぜて覚えようとすると量が倍になるので、まず県名を確実にしてから足していきます。

確認クイズ

Q1 「さいたま」と「ながさき」、へんがどうちがいますか。

A 埼玉は土へん、長崎は山へん。「崎」は山や岬など出っぱった土地を表す字で、海に面した長崎・宮崎に使われます。

Q2 「大阪」の「阪」は、ふつうの「坂」と何がちがいますか。

A 部首がちがいます。ふつうの坂は土へん、大阪はこざとへんです。こざとへんは高くなった土地を表し、階・院などにも使われます。

Q3 茨城と宮城、「城」の読みはどうなりますか。

A 茨城は「いばらき」、宮城は「みやぎ」。同じ字なのに濁るかどうかが逆なので、2つ並べて声に出して覚えます。

Q4 「県」をつけない都道府県は、いくつありますか。

A 4つ。東京都・北海道・大阪府・京都府です。残りの43は全部「県」です。

Q5 47県を練習するとき、2回目に何をしますか。

A 何も見ずに書いて、書けなかった県に○をつけます。3回目はその○の県だけを練習します。全部を平等にやり直しません。

まとめ

おうちの方へ

県名の漢字は、覚えても使う場面がないまま忘れていく典型です。学校のテストが終わると、半年で半分は消えます。
効くのは、生活の中で県名に出会う回数を増やすことです。天気予報の地図、野菜の産地表示、旅行のパンフレット、スポーツの中継──県名は日常のあちこちに漢字で書かれています。「これ何県?」と一言たずねるだけで、練習1回ぶんになります。
とくに食品の産地表示はおすすめです。買い物のたびに目に入るうえ、「北海道のじゃがいも」「愛媛のみかん」のように、県と物がセットで頭に入ります。社会科の農業・水産業の学習にもそのままつながります。
白地図は無料で配布しているサイトが多く、印刷して何度でも使えます。冷蔵庫に1枚貼っておき、思い出したときに1県ずつ埋めていくくらいでも十分です。
なお、書き取りの回数を増やすより、書けなかった県だけを選び出すほうが結果は出ます。全部を10回ずつ書かせるのは、時間のわりに残りません。